光る君へ 4話 の感想
見逃し配信 光る君へ NHKプラス
【キャスト】吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
【作】大石静(脚本家)
(C)NHK
光る君へ
人だから
鬱屈と解放、身分と恋、正しさと生きること、ないまぜの感情、それは。
とても惹かれるテーマであり、また美術的にも心惹かれるものばかりでした。
そしてそこからの、今までの偽りと因縁が全て収束するラスト!
美しく、鮮烈なドラマ
偽りを重ねて
恋し合うまひろと三郎。
本当にこの2人と直秀だけ可憐な少女漫画の世界ですよ。
キャラの後ろに花が見えます(笑
2人とも、嘘を誤って誠意を込めて伝えて、やるせ無い嘘も理解して。
お互い賢くて、優しいなぁ。
見ていてストレスなく、純粋に応援したくなります。
まひろの素性は三郎に、そして三郎の素性を─
本当の自分を伝えたい、嘘を言ってきたあがないをしたい。
そんな真摯な瞳で姫にひざまづく姿、
王子様だぁ……!
最後まで口に出せませんでしたが、伝える誠意まではしっかりと通じたと、このドラマを信頼できます。
幾度かの、言葉と菓子だけの、嘘偽りばかりの関係。
でも笑顔とこの幸せな気持ちだけは、まこと。
恋人の仲を引き裂く、親戚の優しいおじさん
2人の恋物語に割って入る その1、藤原宣孝。
まー謹慎命令されてる、小さい頃から可愛がってきた親戚の娘が正体不明の男と怪しい雰囲気だったら止めますよね(笑
「万民は競い合い、世は乱れるばかり」
私のようなド左翼からすれば認め難い思想ですが、民主主義は権力者の上に法があり、市民農民に財力があって初めてなんとか動かせる制度なので、意見の違いが殺し合いになって当然の社会では…… 致し方ない、一番効率の良い制度なのですよね。
身分。
実際「身分なんて」と言えるのは藤原の姓を持つ「身分」だからこそ言えるの訳ですし。
頭でっかちで貴族社会に不器用な親戚・為時を叱咤激励し、もっと「頭でっかちでもっと不器用な姪っ子ぐらいなまひろの話をしっかりと聞き、わしに愚痴を言えとなだめる宣孝は、本当に良いおじさんですよ。
「間者になることを断ったんじゃな」「いいえ」
「えっ?」
がすごく可愛いおじさん(笑
この面倒でへそ曲がりな親子をずっと大事に付き合ってきた宣孝おじさん、
大好きになってきました。
正体不明のはぐれ者
2人の恋物語に割って入る その2、直秀。
乙女向けで何度も見たような……!
『アルスラーン戦記』のギーヴや『おんな城主直虎』の龍雲丸のタイプですが、属性名が思いつ来ません(笑
オレ様系ではないし、「盗賊系」とか「はぐれ者系」とか?
あんまりしっくり来ないなー。
今回道長に客観的に見られてやっと気づきましたが、この時点でまひろと道長の身分と関係を知る唯一の人物なのですよね。
そしてまひろの性格と、上級貴族の常識もよく知っている。
土御門に盗み入ったのも彼らですよね?
この当時の大盗賊や乱の首謀者、が正体でしょうか。
「尻が痛かろうに」(笑
やる気なく抜けても見えますが、やっぱり道長は鋭く頭が良いなぁ。
花山天皇の御代
強い意欲と明確な政策。
同時に他者の事情と現実を理解しない政治でもあり。
無法で甘えっ子で、学問でっかちの為時が唯一の教えというのが、理解出来ちゃって何とも嫌だなぁ(笑
即位で女御を連れ込んだのはX(旧Twitter)で知っていましたが、今回の緊縛プレイはあまりに自然で最初スルーしちゃいましたよ(笑
「辞退申し上げます!」
もう好き藤原実資〜〜!
ひび入る藤原兼家の家
毒盛られ政略に負けた円融天皇も哀れですが、父の罪と愛する夫に突き放される詮子様が辛い……
夫・円融天皇との仲が上手く行かなかったのは夫婦の問題も無きにしも非ずですが、ここまで恨まれる理由、法的にも道徳的にも完全に兼家が100%悪ですからね。
父は誤魔化し、長兄は知らず飲み込み、次兄は目を逸らし。
兼家の言葉は薄ら寒いばかりで、もうこれ以上、何が詮子の心を晴らすというのか。
何もかも裏切られ利用された詮子様はもちろん、ここまでして権力を掴むと団結した一家に、道長もどれだけ心傷付けられたのか。
もうこのひび割れた家は、二度と元には戻らない……。
花咲ける源倫子
源雅信は今作では珍しい、子を大事にする、気持ちをちゃんと確認する良い親ですよ。
不器用な為時はともかく、兼家が比較対象なので本当に素晴らしく見えます。
政略を妻娘に押し切られた形ではありますが、結果論で言えば大正解だった訳ですし。
父の優柔不断をたしなめ。サロンで姫たちと絆と学問を磨き、さらっと空気の読めないまひろをたしなめて涼やかに笑う。
いや〜徳が高い、
大貴族の姫、サロンの主人の器だ。
それはそれとして、とても猫が可愛かったです。
撫で回したくなる……!
色艶やかな五節の舞の中で
儀式で舞うまひろ。
花山天皇に気に入られたくない&まひろが倫子に惹かれている結果として、実に綺麗な展開、そして美しいシーンでした。
身分と同じく、特に中世において、儀式は厳格で重要なのは当然ですよね。
私みたいに現代的考えでやや世情が苦手な、儀式の重要性を本質的には納得してない、この「まひろ」には辛かっただろうなー。
運動センスも低そうですし(笑
舞が始まり。
変わる空気、頭上を通り抜け貴族たちを俯瞰する景。
不勉強な私でははっきりと言えませんが、日本古代や平安クラスタにはめっちゃお宝なのでは?
ああ、綺麗。美しい。
Σぎええ!
ここで「三郎」と「みちかね」を知ってしまうのか……
うおおそして次回予告も見たくなる展開ばっかり!
ドラマだ……。
でも!
ドラマの盛り上がりも最高だったのですが、舞の方をしっかり長尺で見たかったですよ。
ライブシーンは一曲全部見たい派です。
できれば手描き作画で(違う
平安の文化
五節の舞が本当に美しく。
貴族たちの装束、位を示す袍の色が鮮やかで。
現代人の私たちから見ると古典な紫式部の時代で、『竹取の翁』が古典的物語だったりと。
そう言えば猫の愛玩もそうですね。
「時代劇の作中」ではありますが、平安の風を感じます。
人だからじゃな
宣孝がまひろを諭し慰めた言葉。
理解も許しも出来ないけれど、父の苦労を思い昔大好きだった父との記憶を思い出すと、ああ良かったねと思える言葉。
とても突き放した言葉で、とても優しい言葉だと思います。
世の無常をしょうがないと諦める言葉で、それでも良いじゃないかと許し安らげる言葉。
矛盾に挟まれた苦しみの中、ひとときの感情をそのままに認められる言葉。
ついに「みちかね」に辿り着き、父の選択と苦悩を理解し、愛する「三郎」との関係さえも知ってしまった。
予告も含め、これからまひろが何を選択し、道長が何を選び取っていくのか、楽しみでなりません。
ただ願わくば、その罪を許さず憎みながらも、道兼の苦しみが想われるようになって欲しいと思うのです。
人だから、と。