光る君へ 5話 の感想
見逃し配信 光る君へ NHKプラス
【キャスト】吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
【作】大石静(脚本家)
(C)NHK
光る君へ
これが平安朝廷の闇
少し文章にまとめてから考えると、今回で序章が終わったのだと思います。
物語の世界、主人公たちの人となり、傷と衝動、選び取った進む道。
同じ優しさと同じ罪で繋がる、2人が進む物語が、始まる。
前回倒れたまひろは
良かった、ショックはショックだけどフテ寝だった(笑
雑だけど情報蒐集して、雑がバレない程度で一般的な祈祷を進める祈祷師、プロですね!
弟優先家優先だけど、自発的にちょい水垢離はする弟乳母が彼女なりにまひろを愛していて、ちょっとほっとしました。
欠けてはいるけど、家族だ。
人物諸々
倒れたまひろを心配し、身分でばかにする子女たちを珍しく言葉を荒げてたしなめる。
倫子さま、良い貴族の姫だ、女主人だ。
まひろのこと、好きなんだなぁ。
そして何より、猫好きですね!
藤原実資は今回も格好良かった。
実直で還元上等の誇り高い政務家!
政権内には入らなかったけど、実務トップは続行してるのですね。
花山天応に寵愛されると体を壊すのは、なんかエロ漫画を実際やってみた!みたいで笑ってしまいしました。
でもまーハードプレイで体調不良は史実でも有っただろうと思うと笑っちゃいけないんですよね。
近代以前は内臓出血や腫れ物で死にますし。
「藤原道綱母」
ううん、当時の文化と知っていても、心が苦しいですよ。
清少納言も紫式部も似たようなものですが、それでもまだ個人固有の愛称ではあって。
今回と役所としても「子のために苦しむ父」為時と、「一族のために子を使う」兼家としての対比で、幸せな未来があんまり見えない……
藤原行成、可哀想。
苦労性の優しくて気配りできる貴族初めてだー!
好ましいのですが、この朝廷では若死にしそうな気もします……
朝廷の闇
花山天皇側近と実資、重臣たちの権力争いはまだ可愛いものでしたが、天皇の子の呪殺から、重臣揃い踏みは背中が凍りました。
こんなにも多くの人間たちが、権力者たちが、人の心がない……
源雅信パパもこっちかー。
後の兼家の笑みもですが、ここで朝廷、権力争いの闇の深さが心に刻まれました。
告白
自分の嘘のせいで大好きな女性が倒れた。
そう思った末の行動として真摯ですが、「貴公子が女性の家に会いに行く」は違う意味が大き過ぎますよね。
道長はそれでも良いと思い、まひろはそれは違うと思った。
ああ、2人とも真摯だ。
不器用に真っ直ぐに、間違いも嘘も全部話して、言えなかった思いも全部伝えて、
だからまひろも、やっと言えたのかもしれない。
ずっとずっと胸に秘めていた、道兼へ、そして自分への呪いを。
罪の告白。
道兼がなぜ殺したか、自分が走って道兼が馬から落ちたことも、
なぜ自分が走ってしまったのかも、
三郎に会いたかったから
だから
母が死んだのは 自分のせい
ああ、やっと、やっと苛み続けていた罪を、苦しみを、言葉に出せたんだ。
何よりも許せなかった自分を、言葉に出来て、吐き出せたんだ。
直秀くん走り回る
今回一番可哀想だったのは直秀でした。
使いっ走りさせられまくりだよ!
どう考えてもまひろ好き過ぎますね。
三郎と出会う前から、ずっとまひろを見て来たのじゃないかなぁ。
……余計に不憫だ。
重苦しいまひろ道長の告白から、顔が出て来て「あ、居たんだ」と吹きました。
いや前後の流れから見てなきゃおかしいのですが(笑
しかも蚊帳の外だなと去ろうとしたらあと頼まれるし。
「まひろを頼む」「帰るのかよ」も吹きましたし、一緒にツッコンじゃいましたよ!(笑
ちゃんと為時邸すぐまで護衛したんだろうなぁ。
三郎道長
道長の筆、のんびりしていて好きです。
今回ずっと真摯で、人の優しさを愛して残酷を憎んでいるだけなのですよね。
傷ついた心に寄り添う優しさ。
この物語の父たちが持たず、子供たちが求めているもの。
だから友人2人の権力争いに興味が湧かないし、まひろの言葉を全て信じ、まひろが苦しんだから肩を抱き、傷つけた兄を殴りに行く。
真っ直ぐで熱血な、若者だ、男の子だ。
殴られた道兼、器が小さっ!
6年前の屈辱も恐れも覚えていて、「まひろの母の死の罪」を道長にまでおっ被せた!
ただこれはまひろと道長の罪に、絆になったのは大きいように思えます。
綺麗に生きられない。
生きているだけで、罪を背負ってしまう。
同じ罪を背負ってしまった2人……
父 藤原兼家
怒涛の展開で感情ぐちゃぐちゃにされてからの、兼家ですよ。
怒りの衝動で人を殺した息子、その不正義を憎んで兄を殴った息子、一族の名誉の為に
罪を揉み消した父。
そこで出た言葉は、「我が一族は安泰じゃ」
「帝を支えるものが誰か」
中盤で問われた言葉。
道長が求める先と、兼家が目指すものは大きく違うのですよね。
ある意味自分を関係な鋳物のように、政治機構の性質を話している道長と、"だから我が一族が握る"という目的の兼家と。
そしてその目的のために、道長の命もある。
そう何もかも。
道兼の弱さも苦しみも罪も、詮子の苦しみも憎悪も、道長の怒りも熱さも。
全て一族の繁栄でのみ測る。
普通の人と同じに怒り、驚き、笑う、人のままの化け物
父 藤原為時
物語冒頭、ずっと願っていた、為時の賭け。
そう、いつか道兼に出会ってもおかしくは無いですものね。
母の仇を知ったまひろを前にする言葉が、卑怯だけど、真摯なのが、為時を本当に表していた気がします。
女心も子供心も全く分からないけれど、ずっとまひろを見て来て育ててきて、誰よりもまひろを分かっている。
だからこそ一人の人間として、ちやはの思いも弟の立身出世も含め、罪を一緒に背負ってくれと願う。
傷ついた少女の心には寄り添えなかったけど、同じ一人の人間として真っ正面から、請う。
決して血も涙も無いのではなく、苦渋を飲んで選んだ選択なのだと分かる。
でもまだ許せない。
自分を許す前の、罪の告白さえ出来ないのに。
最後。
為時が賭けに負けて、まひろがやっと自分の罪を言葉に出せて。
泣く娘と心配する父になって、やっと家族に戻れた気がします。
兼家が壊れた父であり、化け物だと分かって。
不器用だけど父で在りつづけ、小さい人の身の、為時が好きです。
物語が始まる
今回で「権力の為に主上・天皇家さえ害し、人の心を失うものたち」が恐るべき倒すべき対象として克明に描かれ。
学問文学おもしろさで立ち向かって行こう、というのがテーマなように思います。
「日々楽しもうよ」かもしれませんが(笑
筋を通す安倍晴明と藤原実朝が同盟候補で、権力争いが嫌いな詮子倫子が協力者、優しい藤原行成が仲間にな流のかな?