ぶるがり屋 2020/12/20 23:56

麒麟がくる 37話の感想

麒麟がくる 37話「信長公と蘭奢待」の感想ですよー。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 
 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜
時の流れが!重い!痛い!
敗北した足利義昭や三淵藤英も、勝利した織田信長や木下藤吉郎も、時代に流され、乗っているのですよね。
この流れを導いた明智十兵衛光秀すら、もう流れを変えることも止めることも出来ず、流されるままでしかいられない…

 前回から一週間、信長包囲網+武田信玄進軍が週またぎで崩壊してて吹きました(笑
が、これ義昭からするとたまったものじゃないですね…
 後半の信長の増長と合わせて、立場と権力で人は変わらざるを得ない、と言うことなのでしょう。
無力、付け焼き刃の剣術、侮蔑すらしない優しさ。
全力で人を助けようとした優しく人が良い好青年が、無力と権威と臣に絡みつかれて頑張って、悩んで苦しんで頑張って頑張って、その果てに間違ってしまった。
 負けてもなお、最愛の駒を前にしても、間違ったかもと悩みながらも進み続ける、涙混じりの哀れな姿。
ああ、ああ。
優しく人が良かったからこそ、今もそのままなのに、変わってしまった、間違ってしまったのだなぁ…

 木下藤吉郎の「勝った我ら」には新しい時代を作る信長・藤吉郎が入っているのでしょうけど、光秀も入っているのかな。
それとも「勝ち馬に入れ」と引き入れようとしているのかな。

 絶対のピンチを逃れ、将軍も幕府も追いやり天下・畿内を支配した(よね?)信長。
気持ち良いくらい増長してますね〜(笑
仲が良かった筈の松永久秀の命を軽んじ、権威の形ばかり求めて。
 笑顔だけはまだ可愛いのに、"認められた!"と幸せな信長の、可愛い所がどんどん落ちていって、無邪気な恐ろしさがどんどんむき出しに…
蘭奢待をねだるのも正親町天皇に分けプレゼントするのも、「認めて!」「喜んで!」なだけなのですよね。
本質的には変わっていなくても、権力を得て、結果と影響だけが化け物として成長していく…
 正親町天皇の「信長は変わった奴だ(意訳)」の言葉と表情の冷たさ、その重苦しいBGMの突然の終わり。
怖いよー!

 三淵藤英の、裏切られた悲しみをぶつけるしかない泣き顔。
そして最後の達観したような穏やかな表情と仕草。
美しいのに寂しい落日に、何より足利室町幕府、一つの時代の終焉を感じました。
 きっと足利義輝が死んだ時にもう幕府は死んでいたのだと思います。
ただ、一度将軍を見捨てた藤英は、もう二度と見捨てられなかったのじゃないか、そう感じるのです。
だから、幼子を殺すと言う残酷で卑怯な手段を選んでも足利幕府の再興に全てを捧げたのだと。

 藤英が二度と主君を見捨てないと決めたように、きっと伝吾も人生を決めるのだろう。
そして多くの者が新しい人生を見つけて裏切ったように、このまま「信長の時代」に流されるままでなく、自分の人生を選ぶのだろうと。
 藤英と見たあの落日は、光秀自身が導いた「信長と光秀の時代の終わり」も暗示しているような。
そんな風に思えるのです。

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