ぶるがり屋 2023/04/23 23:12

機動戦士ガンダム 水星の魔女 15話 の感想

機動戦士ガンダム 水星の魔女 15話
「父と子と」の感想です。


各種動画配信サービスにて配信中

【監督】⼩林 寛
【シリーズ構成・脚本】⼤河内⼀楼
【原作】矢立 肇、富野由悠季
【出演】市ノ瀬加那、内田直哉 ほか
(C)創通・サンライズ・MBS

機動戦士ガンダム 水星の魔女

 子を愛し支配した父と、父を殺してしまった子と。
子を愛したが理解できなかった父と、父を利用すると決めた子と。
子を愛し守ろうと雁字搦めにした父と、飛び出そう抗おうとした子と。
子を愛したが守り切れなかった父と、守られると信じたまま死んだ子と。

 ああ、せめて。
1組でも、最後まで愛し合い幸せに終わる父子がいて欲しい。

地球へ…

 貧しく、肩を寄せ合って、一所懸命生きて。
レジスタンスは英雄で、希望で。
地球の状態が予想通り、予想通りの辛い状況で、胸が締め付けられました。
 どうやら本当の大阪の地形だそうで、住む方々は本当に厳しい気持ちになったでしょう。

 ただこの予想も、報道からとはいえ、本当の紛争・被差別・極貧地域を知っているから、想像できるものなのですよね。
青少年にも痛々しいリアリティを見せる、素晴らしい、とても痛い描写だったと考えます。
 今回の内面が描かれなかった敵役のMSたちも、テロ鎮圧のために正しく命令された、普通の兵士たちですしね……

 抗って、戦って、練度も装備も乏しく、命を捨て、仲間の死を利用して、虚をついて、やっと戦える。
父も子もポロポロと死に、補給は不確かで、二度は無い。
そんな戦場で。

グエル

 おお、おお。
失って失って、愛する者の為に、助けを求める少女の為に、全てを失ってでもと戦って、立ち上がって、なお。
何をつかめず、もっと失って、夢も希望も消えて。
それでも立って、進むのか。

 いやホント、胸が痛くなるくらい、グエルは主人公補正のない主人公ですよ。
強く、人を惹きつけ、心と肉体が頑健で、残酷な運命と、生き続ける強運。
父の重圧も、恋心も、全て叶わず解き放たれて落ちて、それでも選んだ先が、グエルの本当にしたいこと、なのか。

 グエル、君は物語の英雄だ。

グエルとスレッタ

 ほぼ1話まるまる使ってグエルの復活を描いて。
でも物語のヒロインたるスレッタとの交わりがほぼ無しというか一方通行な事を考えると、「スレッタに愛されない」が幸せフラグなのでは、とちょっと思えてきたり。
 いや、「グエルはこれから幸せになる!」と確信したのですが、「スレッタと恋愛的に幸せになる」は無いとしか思えないのですよね……
でも、それはそれでとても悲しい。

 グエルもスレッタも、普通の人間として幸せになって欲しい。
2人ででも各々でも、幸せな恋をして幸せな家庭を築いてほしい。
けど、特にスレッタは難しそうだなぁ〜〜〜〜!!(苦悶

世界を変える、たとえ傷ついても

 シャディクの目的や手法が思ったより健全で理想的で、ちょっと安心しました。
いやまーテロや誘拐監禁や乗っ取りが正しくはないのですが、我欲でなく復讐でなく野望でなく、どれも少しだけあるのですよね。
 当たり前の人間らしい、子供らしい、傷だらけの正義。

 シャディクたちが傷ついて夢見て、現実に打ちのめされて苦しんで考えて考えて考えて、やっと辿り着いたせめてもの正しさに繋がる道なのでしょう。
 そして当然、彼らが殺さず殺されず法を犯さずにできると、思えるはずもなく。

 ニカの傷も、ノレアの傷も、シャディクの傷も、痛々しくて、悲しいですよ。

地球、世界、正義

 ずっと見たかった地球の現状、知りたかった世界状況、そしてシャディクの目的。
世界の秩序維持のため紛争は操作され、地球は戦場になり、貧しく死んでいく。
 ニカが解決法としてテロを非難するのも、ノレアが現状を甘受する穏健派をなじるのも、シャディクが被害を増しても覆そうと暗躍するのも、どれもその立場立場では正しさがある。
でも、交われない。
正しい引鉄は、誰の正しさか。
正しい引き金で死ぬのは、正しくないから死ぬのか。

ミルクは何の味

 Cパート
デリングの腹心ラジャンが、子供の意思を尊重し、ミオリネを一個の人間として接する大人なことに安堵しました。
この世界、優しく誠実な人間が、大人が少な過ぎる……

 ミルクをゆっくり混ぜて飲むのは、傷だらけの過去に疲れ、縋る甘い夢を受け入れるようで。
救って欲しい、救われて欲しい、間違っている、これで良いのか?それでも、せめて。
そう飲み干すラジャンと対して。
 ミオリネはまだ、飲まない=決めていないのだろう。

「水星の魔女」の骨

 今回、本筋の意味での事件は進んでいませんが、わりと物語のテーマのキモであるところの、
「戦争と分断と差別と自由意志」「人の善性」を、制作側の固形化した言葉でなく、視聴者一人一人に見せつけたのだと思います。

 スレッタとミエリネは筋道の主人公で、グエルとチュチュはテーマの主人公ではなかろうか。
彼らが手を取り合っていくのではないか、新たな時代を作るのではないか。
守られる子供のままでなく、諦めを受け入れる大人ではなく。

そう、感じるのです。

ケナンジさん好きになっちゃう!

 ノレアの名前が思い出せなくて公式サイト見たらこのポーズだよ!(笑
もうケナンジさん!いいキャラなんだからなぁ!
https://twitter.com/G_Witch_M/status/1650054666175283201

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索