投稿記事

2023年 06月の記事 (8)

ぶるがり屋 2023/06/25 23:45

どうする家康 24話 の感想

どうする家康 24話
「築山へ集え!」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 はるかな夢、忘れた夢、忘れられない夢
本当に、本当にこの、築山事件を丁寧丁寧にじわじわと描いてくれますよ……
そして、納得してしまいます。
 多くの者がいくさに疲れ果て、夢を見ながら、いつしか諦めていく中で。
嘘を吐き通して、力を貯め続けて、いくさの無い世を作り上げた人が、誰かを。
花園で遊ぶのが大好きな、泣き虫の白兎が、今の小さな幸せで満足する殿様が、いくさを戦い抜き、何を為すのか。

 ああ、分かってしまうのです。
痛いほどに。

厭離穢土浄土の夢

 強いものが弱いものから全てを奪う。
そんな世は嫌じゃと一緒に泣いていた夫は、疲れ果て心が擦り切れて戦続き。
故国も家もとうに消え、夫と一緒に傷だらけで守り抜いた子は、一人は戦の道具として嫁いでいき、一人は戦続きで心病み。
 そんな中で、瀬名は確かに道を作ったのだ、脆くても、途中まででも、道を作ったのだ。

 ただ、弱者と敗北者の寄せ集めであり、必ずバレる、そして露見したら終わりの、見えていた破局でした。
それでも願ってしまうほどの、淡く美しい夢。

江戸の夢、まだ遠く、遥か遠く

 ここまで大胆な解釈が大河ドラマで採用されるとは……!
好き嫌いは分かれるでしょうし、「女が考える現実離れした夢」のように描かれて見え、私もあんまり好きではないです。
ですが家康が過去焦がれ、敗れ続けて忘れた後に、なおまた焦がれ続けて最後に叶えるという物語は、美しい。
 そう、家康の中に間違いなくあった夢なのだ。
愛する瀬名が、思い出させてくれた夢なのだ。

夢の終わり、いや─

 誰もが危険だと、成功率の低い夢物語と考えてはいたでしょう。
そして、たやすく破れた。

 今まで私たちが見てきた泣き虫白兎なら瀬名の夢に溺れるのも、ここまで一緒に苦難をともにしてきた家臣と民の為ならば犠牲にするのも、理解できてしまうのです。
 そして見てきた私たちだから、分かる。
家康はこの夢物語を、一緒に見た夢と犠牲を忘れられず背負うから、泰平の世の為に心を削って生き続けるのだ。
力を蓄え続けるのだと。

 遥か夢の果て、江戸の世で徳川家康と今川氏真と遊ぶ時間は、白兎にとって大きな救いなんだろうなぁ……。

破れた夢の先で

 誰だって、夢を見たいものなぁ。見てしまうものなぁ。
家康も、瀬名も、信康も、五徳も、勝頼も、梅雪も、信長も。
信長も、成功する手法は暴力的ですが、世の泰平を目指しているのですよね。

 穴山梅雪が武田勝頼を裏切るのも、五徳姫が世捨て人になるのも、分かるのです。
平岩親吉はどうなってしまうのかなぁ。

 この残酷な物語と大胆な解釈、本能寺や大坂の陣、真田幸村との戦いがどう描かれるのか、楽しみになってきました。

どうする家康

 知っていた、分かっていた、残酷な悲劇。
最大の犠牲を払った先で、何処へ行くのか。
 次回、『はるかに遠い夢』
どうする家康。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

ぶるがり屋 2023/06/25 22:09

機動戦士ガンダム 水星の魔女 23話 の感想

機動戦士ガンダム 水星の魔女 23話
「譲れない優しさ」の感想です。


各種動画配信サービスにて配信中

【監督】⼩林 寛
【シリーズ構成・脚本】⼤河内⼀楼
【原作】矢立 肇、富野由悠季
【出演】市ノ瀬加那、内田直哉 ほか
(C)創通・サンライズ・MBS

機動戦士ガンダム 水星の魔女

 「母親なら娘を等しく愛しなさいよ!」
「兄弟ゲンカで死ぬとかマジ笑えないっすから!」

 正論!!

 止まらない罪過の輪の中で、もがき苦しみ人の物語。
誰も救われないまま終わる、なんてことがなくて本当に良かったですよ……。
罪を犯しても、苦しんでも、それでも人生は続くし、良いことだってしたら良い。
一緒に一歩進めば良い。
ミオリネの、罪人を憎まない大きさに驚かされました。

ガンダムの呪い

 冒頭の、スレッタとラウダの呼吸音がもう、本当に本当に苦しそうで。
大事に愛し合う、戦うべきでない姉妹と兄弟が戦う様が、辛かったですよ。
でも違ったのですよね。
大事だから、愛しているから、命を削ってでもぶつかろうとした、だから、通じたのだと思います。
いややっぱりラウダの方はちゃんと話せよ!と思いますが(笑

 そしてエアリアルinエリクトは最強で、最新技術の塊のガンダムは強いと。
そんなエアリアルにギリギリ粘れるスレッタはやっぱり強くて、
圧倒的なスペックのシュバルゼッテと対等に戦えるグエルは、本当に強いですよ。
美しく苛烈で、見事なバトルでした。

地球寮の人びと

 勇気を出して、格好良い言葉を吐いて、世界で一番危険な場所に来たマルタンがやっぱりへなちょこで(笑
癒されるなぁ、可愛いなぁ、偉いなぁ。
みんな文句言わないし、5号くんがちょっとかばってて吹きました(笑
支えたいぜ!

グエルとラウダ

 ラウダとグエルの出会い。
やっぱりグエルは最高の漢だし、ラウダが脳を焼かれるのが納得でき過ぎる(笑
あとヴィムが恰幅良過ぎる格好良過ぎるよ!
この男ぶりでなんで妻と愛人に捨てられるんだよ!

 ラウダくんの闇落ちの理由はまー知ってる状況からすると分かります。
グエルが逃げたのもガンダム呼び込んだのも地球て暴動になったのもそこから学園テロになったのも、ミオリネに関係するのは事実ですからね。

 それはそれとして物語での意味は、ずっと言えなかった苦しみをラウダがぶちまけて、罪に苦しんで誰にも頼らないグエルと殴り合って、お互いぶちまけあって。
赦し認め合うこと、グエルを救うことだったのかな。

 誰にも頼らず全部背負うグエルは最高に格好良い。
格好良いけれど、グエルが好きな家族と仲間からすれば、それは傲慢な不幸なのですよね。
それでも「普通に話せよ!」なのですが(笑、
 グエルがやっと罪と責任の荷を下ろして、弱音を言える場所が出来た。
これから、幸せになれるんだ。

 だからフェルシーちゃん、君は今回のMVPだ!
偉い!可愛い!
絶対生き残って!

 しかしラウダくん、父死んで兄が殺害者で何も言ってくれなくて恋人重傷でノイローゼ状態なのは分かるけど、
その最愛の兄さん向けて殺人兵器ぶっ放すな!
絶対君グエル兄さんなら大丈夫と信じ切ってるだろ!
そっちの方が割と深刻な狂気だからね!

エリクトとスレッタ

 母娘の願いは一つ、エリクトが自由に過ごせる世界を。
意思の疎通が難しかった2人ですが、齟齬がなくてちょっとほっとしました。
罪は罪でも、勘違いより自覚的な方が救いはありますよ。

 少なくとも、大好きなスレッタと本気で戦えるほど、エリクトは本気でデータストームで満ちた世界を望んでいるのですね。

 そして対するスレッタは。
お母さんとお姉ちゃんが大好きで、同時に、人を守るために生きる人で。
どっちも曲げられない、スレッタの望みだから、命をかけて立ち塞がる。

言い続けろ

 お互いが譲れない本当の願い。
ただ、スレッタの愛は間違いなく尊いのだけど、「お母さんのそばに居たい、抱きしめたい」は、エリクトにはデータストームの中ですら、叶わないのですよね。

 それでも。

 愛する家族でもすれ違うし許せないしいさかうことも、ある。
それでも家族で、愛しているんだ。
命をかけて守るんだ。

罪過を超えて

 無敵の人だったにプロスペラは。
多くの人を傷つけ殺し、加害者になった。
唯一残した家族に、命を賭けて立ち塞がれた、娘を殺す側になった。

 それでも止まれないプロスペラに、母の愛を確かに受け取ったミオリネは、手を差し伸べる。
「私たち、家族になるんだから」
は百合としてもとても美しいのですが、それ以上に、「誰も犠牲になんてしない」と決めた強さと誇りを見ました。
お前も家族だ、犠牲にしない、罪も痛みも一緒だ、と。

 どこまでも正しいミオリネと、どこまでも優しいスレッタ。
世界がどんなに暗くて残酷でも、一緒に歩いていける。
最高の2人だ。

罪を背負った大人たち

 デリング、無理した!
ベルメリアさん、頑張った〜〜〜!!

 最善と突き進んで来ても、生き延びるにはこの道しかなくても。
罪を背負った大人たちが、せめてもと頑張る姿は、やはり素晴らしいですよ。
まぁデリングは人としても親としても企業人としてもこれぐらいはできて当然ですが、ベルメリアさんは本当に、荒事苦手なんだなぁ、と。

 弾が尽きて最後、死の危険を冒してミオリネを庇った背中が、今のベルメリアさんの本当の姿だと思います。
ずっとずっとそうして生きたかったのか、今までの罪を背負ったから出来たのかは分かりませんが。

 だから、5号くんも優しい言葉をかけたのだと思います。

ラスボスはペイル社!?

 いやー、議会連合が予想を遥かに超えて悪の暴力でした(笑
隠蔽、秘密兵器、関係ない民衆ごとも滅ぼす破壊、
コロニーレーザー!
 これはデリングが暴力で権力を奪って戦争シェアリングで回してきた世界が、それがまだ前世代よりマシな状況だったと納得してしまいます。

 ペイル社も今まで通りかなり悪辣なのですが、直接暴力行為には噛んでないので、これまた風見鶏に逃げられそうな所がヒドい(笑
流石に真エラン様が顔をしかめてたので、4CEOは切られる側になるかも?
うーん、しれっと逃げ延びても、懲らしめられても、どっちも重しおり良い悪キャラだなぁ。

次回、最終回

 プロスペラとデリングのクワイエット・ゼロの目的は今までの説明通りっぽいので、残る謎はそんなに気にならないかなー。

 唯一、今回データストームを止めたのは誰なのか、何なのか。
ちょっと難しい描写でしたが、エアリアルかクワイエット・ゼロの中に誰かが居るのか?
今まではエリクト・プロスペラに協力的で、でもそれ以上にスレッタに協力的な、誰かが。

 次回、『最終回』
果たして最後まで副題は「最終回」なのか!?
3/4年見続け(webラジオを)聴き続けてきたこの物語の、
残酷な世界を駆け抜けるこの愛しい若者たちの行き先が、とても楽しみです。
 とりあえずミオリネスレッタ、ラウダペトラ、マルタンとニカorセセリアのデート見せて!
幸せな恋物語を見せてー!!

ガンダムシリーズの中で

 ガンダムシリーズの色々なオマージュの込められた今作ですが、流石にハロが殺人機械となって主人公たちを襲って来たのは初めてな気がします(笑
いやただ命令通りに動くAIなだけなんですが、やっぱり可愛くて面白くて、怖いよ!

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

ぶるがり屋 2023/06/19 01:05

どうする家康 23話 の感想

どうする家康 23話
「瀬名、覚醒」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 まさか、まさかこんなにも丁寧にじわじわと延々と、瀬名と信康の悲劇を描かれようとは……
かなり前から気構えしているのに、じわじわとこの気構えも穴が空いて壊れてきています。
分かった、分かってるからもうせめて一思いに……!

あんなに一緒だったから

 徳川信康、五徳、瀬名。
前回前々回で壊れかけかと思ったのですが、今もまだすれ違って不安定だけど、それでも小さい頃から一緒の、今も愛し合う大事な家族なんだ。
ああ、なのに、だから、辛いですよ。

浜松の女房、家康の妻たち

 今回まともな出番無いのに万千代(笑
女もお菓子も食い散らかしてんのか!
その上女房にけつ叩かれる立場なのもまた可笑しいよ君亡国の王子だよ!

 久々登場のお葉さん、新登場の於愛さん。
お葉さんは家宰としても有能な、武家の女性ですねぇ。
そんなお葉さんにも瀬名にも信頼される於愛さんも、佳い女ですよ。
真っ直ぐでおおらかな、情の濃さが伝わる女性だ。

 『源氏物語』来期につながった(笑
あの食いつきぶり、オタクらしくて好きになっちゃいますよ。

 今の家康を安らげるのはこんなおおらなか女性で、幼い亀姫も少し大人になって嫁に出て行き、瀬名は満足してしまったのか。

裏切りと警告

 水野信元、こんなところで死んでしまうのか!
山師で不敵で、口はずっと悪くても甥の家康にずっと優しくて、佳いキャラでした。
でも織田信長にとっては、切っても痛くない、直参でない配下だったのですね。

 久松俊勝とは仲良い親戚、男友達だったのだろうなぁ。
言葉の端々からそう思えて、だから家に戻り、於大の方を見た俊勝はぽっきり折れたのだと分かりました。
ちょっとした差し違えで、主人の考えで、ひとかどの武士が死に、殺され、殺さなければならない。
これからも、ずっと。

 五徳は、これも自分の行いが結果だと分かっているでしょう。
瀬名に釘を刺したのは、脅しではなく、願いだったのだと伝わってきます。
瀬名は、分かったのかなぁ。
五徳を信じ切っていても、脅しだと分かっていても、瀬名は突き進んだか。

 そして今回とどめをさしてしまった平岩親吉。
瀬名に信康に五徳に大事にされ、彼らを大事に守る忠臣に、悲劇しか見えないのがまた辛いですよ。
怖くてまだ平岩親吉のWikipediaページ見られていません。

心と言う器は

 信長に抗うは地獄、下るは更なる地獄。
戦い続け、罰して、殺して、弑して。
立派な侍に、君主にと己を鍛え上げ、己の弱さを押さえつけてきた信康に、もう耐えられるはずもなく。
人の心が少しづつ壊れていく様が、母・瀬名の言葉にはっと気づいて愛する妻と子を見る怯えた顔が、あまりにも痛々しくて。

 たとえ過ちでも、罪でも、失敗しても、瀬名は愛する者の為なら、なんだって貫いてしまいますよね……

まつりごと、はかりごと

 望むは平和、女性のまつりごと。
望月千代女とは五分というところですが、進まない、ですよね。
立場は遠く、理想はまだ形も無い考えで、じっくり作っていくはずのものでしょう。

 なのに信長が恐れる通り、武田との謀は出来てしまうんですね……。
"上役の男"を通しての、はかりごと。

 間違いなく、瀬名と信康の、止められても脅されても突き進んだ、理想も理念も無い、謀反。
それでも、この謀が悪などと、誰が言えるでしょうか。
人の心を、家族を大事にしたいと願ったこの挙を、誰が。

悲劇は止められたのか

 家康がこの転げ落ちる悲劇を止められないのは、何故なんだろうなぁ。
何度も指摘されたのに、目を瞑って。
家康も半分壊れかけだからか、家康を一番知っている瀬名が上手く秘しているのか。
辛くて逃げている家康が、瀬名の強さと脆さをまだ分かっていないのか。
みんなみんな、家族が大事なのに、傷だらけですれ違いで。

 誰が悪いかというと、まぁおさ信長と時代が悪い。
でもこの悪い時代を終わらせるには織田信長という人物が必要だったと考えると、時代が悪い買った……

どうする家康

 次回、『築山へ集え!』
回り始めた悲劇に、
今川を泣いて裏切っても守り通した妻子に、
置いていった弱き白兎に、
どうする家康。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

ぶるがり屋 2023/06/18 22:07

どうする家康 22話 の感想

どうする家康 22話
「設楽原の戦い」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 それは国を救う大勝でなく。
魔王に隷属する恐怖のなぶり殺しだった。

 前回信長が怒った、というより従属を強いたのは、背後にいる徳川が一番の危険対象だと気づいた、もしくは気づかれたと考えたからなのか。
武田を、徳川を終わらせ、織田一強の為に。

海老すくい

 酒井忠次、死す──!
え、アレで死なないの?(笑

 石川数正の朗々たる海老すくい。
低く実直な海老すくいだ。
格好悪くて田舎臭い、これが徳川家中の絆の証なのですよね。

 そうそう、最初は家康も戸惑ってましたよね。
洗礼を受けた井伊直政が可哀想やら可愛いやら(笑
誰か説明してあげなよ!

虎の子・武田四郎勝頼

 父の無念を果たさねばならなかった。
父を越えなければならなかった。
死中の活、信長を越える為に桶狭間を願った。
愚かといえば、確かに愚かだったのでしょう。
勝頼の煩悶すら読み、十分な戦力装備を揃えた、先に奇跡を計算して起こした信長が相手だったのですから。

 武田四郎勝頼、美しく烈しく、儚い英雄でした。
いやまだまだ戦いは長いのですが!
あまりにも滅びの美が美し過ぎる……

長篠の戦い

 戦場にかかる虹、猛々しく轟く騎馬の蹄、
終わらない銃撃、銃撃、銃撃。
勇者、山県昌景の、敵も遠く虚ろな死。

 羽柴秀吉が嘲笑い、ひしめく死体の野原の前で。
慄く家康と絶望する信康が可哀想ですよ。
戦力分布の、戦略構想の、そして織田政権権力基盤の大きな転機だったんだなぁ。

 地獄のような戦場で、それでも勝頼を最後まで侮らず、死にゆく武田の兵に敬意を評しる信長が格好良いですよ。

崩れゆく岡崎

 従属するしかない、しかし従属に耐えられない。
優しく朴訥な信康が壊れていく様が、痛々しいですよ。
そりゃ信長の終わらない戦いに引き摺り込まれたとなれば……
もう傷だらけで慣れてしまった家康が、傷だらけの家康と信康に耐えられない瀬名が、この家族を壊してしまう五徳が、哀れでなりません。

 父・家康と瀬名と同じように。
子供の頃からずっと一緒に過ごしてきた夫婦なのに。
徳川を潰す命令を受けた五徳は、信康に触れられない。
信長に心壊された信康は、五徳にすがれない。

ああ、辛い。

暴虐の魔王・織田信長

 信長の五徳への扱い、ひどいなぁ、道具として見てるんだなぁ、と思って見ていたのですが、よく考えたら家康とあんまり変わらないのですよね。
信長様、もしかして本当に五徳を愛してる……?

 才気溢れる愛しい者たちが、自分に恐怖し言う通りになるのを「愛されてる」って思って満足してるのかな、もしかして。
もしそうなら、信長も信長の愛する者たちも、不幸だなぁ。
秀吉だけ満足してそうですが(笑

人でなし・羽柴秀吉

 「“猿”の脳みそでは到底分からんことで。」の猿は、隣にいて真意を理解できない佐久間信盛だよなぁ。

 ずっと利用し嘲り蹴り落とし、人の道を外れた羽柴秀吉。
今回も武田の兵を蟲と笑う様は外道でしたが、別れ際の「本当にお仲間になりませんかの?」の言葉だけ、ふと。
信長の戦略や自分の利益も計算してるでしょうけど、本当に家康を心配してる言葉に聞こえました。
ちょっとだけ優しさを、人間を感じたり。

 この感情豊かに人の心がない外道秀吉、だんだん好きになってきましたし、この秀吉の心を捉え続けたねねがどんなキャラなのか、俄然興味が湧いてきたぞう!

どうする家康

 追い詰められていく徳川、岡崎。
織田の配下か、織田の敵か、武田とは。
五徳は、信康は、そして瀬名は何を選択するのか。
次回、『瀬名、覚醒』

 いや家康、最初からあんまりたおやかな"だけ"な女じゃなかったでしょ!(笑
どっちかというと君を食っちゃう肉食お嬢様だったでしょ!

 強くしたたかでなければ生き残れない時代で、誇り高い妻、繊細な息子、孤独な嫁。
着々と近づく悲劇に、
どうする家康。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

ぶるがり屋 2023/06/18 21:12

どうする家康 21話 の感想

どうする家康 21話
「長篠を救え!」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 長篠の戦い、その前夜
つい最近まで、この時点ではもう織田-徳川の天下間近だと思ってましたし、長篠は山に囲まれても広い平野だと思っていました。
なので築山殿や徳川信康の謀反はあり得ない、冤罪なイメージでしたが……

 このドラマが真実や最新研究かはともかく、この時代の岡崎あたりは、多くの人の何処に転ぶか分からない、運命の岐路だったのだなぁ…

女の政

 お万に託された願い。
恐らくは、遥か昔に家康と見た夢、家康がもう見られなくなってしまった夢。
厭離穢土欣求浄土
戦さのない、幸せな国。

 戦いで多くを失ったからここまで来てしまったのが真実なら、望月千代女に毒のように刺さったでしょう。
「またおいでくださいませ」は瀬名の自信か。
女の視点、だけど高位の武家の視点なのが、最後まで刺さらなかった理由な気がします。

 亀ちゃん、その岩は殺す気だよ!
幼い無垢な姫じゃなく、図太い天然な気がして来ました(笑

信長はなぜ怒ったか

 今までで一番織田信長が怒ったのは間違いなく、亀姫の結婚取り止めが最後の後押しになったのも確かですが、では何故か。
自分と敵対すると言ったことか、今の自分に刃向かったことか、それを直接でなく部下を通して伝えたことか。
それとも、糠を通したことで強行的な反応をせざるを得なかったか。

 ただ、どれでも家康が信長と一対一で内心をぶつけられれば、回避出来たように思えます。
同盟破棄を言い渡した後では、信長より家族の問題を優先した後では、もう遅かった……

 「どうする家康」
今回ついにそのままの言葉で問われた家康ですが、この先もまた、問い続けられるのか。

孤独な姫、五徳

 今回、五徳姫が一番可哀想でした。
父を愛しても道具でしかなく、長年暮らしてきた義母・瀬名も夫・信康も亀を大事にして守ってもくれない。
戦さが怖く、権力は誰かのもので、もう、何処にも自分の家も家族もない。
流れる涙の一筋が、美しく切なくて。

忠義の侍

 鳥居強右衛門、奔る!
1話で過去も今もぎゅっと凝縮して、忠義の人物を人品でよく見せるでなく、心の動きと愛嬌で見せるのが、『どうする家康』ですねぇ。
ぽろっと涙が出ました。

 弱くて汚くて間抜けな大男が、自分を信じ抜いてくれた2人の為に、最後まで頑張る、頑張った、怖くて怖くて挫けて、でも最後の最期でもう一つ頑張った。
 ああ、良い唄でした。

長篠にて

 ドラマでの長篠城、伝説の秘境の名城のようで「またエグい誇張だなぁ」と思って調べたら、割と本物そのままでした(笑
 流石に「三段撃ち」は後世の記述と決まりましたが、「長篠の戦いで大量の鉄砲で大きな戦果」はあり得るらしく。
歴史は真実でなく観測ですが、難しいものですよ。

 同じく私のイメージと違い、徳川-織田が盤石でなく、圧倒的でなく。
一部でも欺瞞でも、武田と通じたい、武田と謀略を進めるのも、十分にあり得る状況だったのですね、

 そして、長篠の戦いの先の、
築山殿・信康の悲劇。
今回見て、五徳の密告のせいはなさそうですしあんまりなのでなしであって欲しいですが。(怒った)信長の命令による処刑、はありそうな気がしてきました。
ああ、怖いなぁ、見たいけど苦しいなぁ。

無垢な姫君

 亀姫が今まで徹底的に子供扱いされ純真無垢な理由、今まで不思議でしたが、今回で詰まっていました。
 家族総出で姫扱いする、自分のせいと思って信長に謝る、信長が許しちゃう、助右衛門を信じ切る、死んだ助右衛門の幻影を当たり前に見る。

 今回とこの先の悲劇で、大人になっていくのでしょうか。
戦国の武家の女に。

どうする家康

 日の本の歴史、勢力図の転換点となる、長篠の戦い。
徳川家の一番大きな傷となる事件。
家康が最初に見た夢、夢を一緒に見た妻との日々の終わり。
次回、『設楽が原の戦い』
どうなる、どうする、家康。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

« 1 2

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索