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どうする家康の記事 (42)

ぶるがり屋 2024/01/28 14:50

どうする家康 42話 の感想

どうする家康 42話
「天下分け目」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHKプラス

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 関ヶ原前夜
天下分け目の大戦、関ヶ原の戦い、その前夜。
多くの野望と理想、刃と計略、生き様死に様が交差するドラマ
……面白い!

徳川家康、その物語の最終章が近づく

 ふと見ると、家康の神に白いものが交じって。
すでに晩年であり、天下を狙うに最後のチャンスなのですよね。
時代も戦国から離れ、古くからの家臣も老い、少女だった茶々も今は今は齢三十を越え。

 元康と瀬名の花園から、遠くへ来たものですよ。

小山評定の前に

 徳川因縁の大敵、真田家は敵味方に。
真田信幸の味方はありがたい、でもそれ以上に昌幸が敵はマイナスが大き過ぎる(笑

 城壁越しの爺孫の別れ。
稲殿の烈女大っぷりよ!
まぁ天下で一番信用は出来ないですよね、「真田昌幸は絶対策を弄する」信頼がある(笑
愛している、信じている。

 ただ昌幸の寂しさは、計略なくても本当のものだったでしょう。
多分、本当に生涯の別れですよねぇ……。
 関ヶ原の後、沙汰が出るまでの間にいっぱい会ってた可能性もありますが(笑

 そして秀忠軍が来たら初手降伏!(笑
流石は表裏比興の者。
いやぁ徳川にとって本当にいやらしい邪魔者ですよ真田!

老将と若君

 真田に振り回される徳川、秀忠軍。
振り回されながらも的確に分析して次の策に進む本多正信と榊原康政が渋く格好良く、
ちょっと意地悪な助言を聞いた上で、怒らず腐らず任せず、自分で即指示を出す若君、徳川秀忠。
決して天才ではなけれど、微笑ましく有望な若殿だ。

小山評定

 天下の茶番劇!
ここら辺の『どう家』の小芝居、大好きです。
本多正信の目配せがまた(笑

 「内府と共に!」まで持っていったのが福島正則、引き継いで跪いたのが山内一豊かな?
まだ黒田長政・加藤清正と見分けがつかないぜ……

いざ、徳川の天下よ

 我らの天下じゃ!
は織田信雄のまでもやりましたが、今回はもっと大丈夫なの!?

 意気盛ん、喜ぶ徳川諸将の面々はずっとドラマを追って来た視聴者へのご褒美に思えるぐらい、眩しいですよ。
 特に私は、平岩親吉が報われたのが一番嬉しい。
駿府から家康とともに育ち、瀬名と信康を守り、守り切れず。

 数多の傷を痛みを犠牲を悲劇を踏みしめて、もう一歩、
戦のなき世に、
厭離穢土欣求浄土。

あの日見た夢のために 失ったものとともに

 伏見城の戦い。
望月千代女さん、若い!綺麗!強い!
まさかこんなに徳川の物語の重要な役割になろうとは。

 鳥居元忠と望月千代女。
徳川と武田、血で血を洗う戦国の世を戦い抜き、夢を見て、挫け、それでも生き抜いた夫婦の、夢に繋いた終わり。

 大筒で吹き飛ばされて、火縄で撃たれ。
肩を寄せ合い立ち上がり、敵を斬りながら進む。
生きる限り、前へ前へ。

老将の死を、また踏み越えて

 分かっていた、三成がたてば鳥居元忠は死ぬと。
それもその死の報はあまりに痛切で。

 鳥居元忠の死に様を聞いて、奮い立たない三河武士は居ないよなぁ。
まして古くからの猛将、本多忠勝と渡辺守綱ならば。

どうする家康

 石田三成の将才は天下のもの。
日ノ本を二分し、お互い万全は果たせないまま、近づく決戦。
徳川家康と石田三成、2人だけで通じていて。
知略・戦術という点で、三成は家康に近い大英雄なのだなぁ。

 戦の大元である茶々の本性を知り、長年培った人心掌握と政略で徳川が一枚上ですね。
薄く硬い、一枚だけ。

 次回決戦、『関ヶ原の戦い』
どうする家康。

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ぶるがり屋 2024/01/28 14:42

どうする家康 41話 の感想

どうする家康 41話
「逆襲の三成」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHKプラス

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 敵を信じ、仲間を信じ、関ヶ原へ
関ヶ原に進む両勢力、じわじわと深まる緊張感。
歴史上有名な逸話が続く、ゾクゾクする45分でした。
次回ももっと続くんだと思うと、さらに興奮してしまいます。
悲劇もくるんだけどね!

天下の腹黒狸、変身したばかり

 事実上、天下一の権力を得た徳川家康。
物言いも首の角度も畳の叩き方も、
狸〜!
特に首の角度は千年の恐ろしき執権を思い起こさせてくれますね。

 と思ったらまだまだ不慣れで、頑張って狸してるのか(笑

 そんな狸慣れてない家康をねぎらう本多正信。
まぁ正信の求める世に、その主人として、憎まれ狸は必要ですよね(笑

徳川の仕置き

 虎の威を借る狐、豊臣の名を利用した徳川の仕置きではありますが、だからこそ力の暗示と明文が大事。
浅野長政、大野治長のキャラが少しづつ立ってきた!
いいキャラだなぁ。

 難しい仕置きを家康ならば解決するだろう、そう理解する石田三成。
石田三成も徳川家康も、毎日星を見るように、悠々隠居できたらそれが幸せだったろうになぁ。
今まで「戦いたくないけど致し方なく戦う」から「戦いに助力したいけど出来ない」「これ以上は許せないので戦う」だったので、「好いてる相手と自ら選んで戦う」のは、家康の初めての経験か。

 関ヶ原はもうすぐそこに。
天下を握るのは、本当に遠くて辛い道のりだ。

江戸時代に続く道

 茶屋四郎次郎二代目!
兄が死んで同じ顔同じ声の弟が出てくる作品を思い出します(笑
でも顔とキャラを覚えられない私には嬉しい演出!

 ウィリアム・アダムス=三浦按針登場
オランダ船のイギリス人船員!
まー海で籍とか出身とかあんまり関係ないですしね。

 途中から茶屋四郎次郎の言葉になってるじゃねーか(笑

関ヶ原の布石、会津征伐

 上杉景勝と直江兼続!
直江状登場!

いやーやはり気持ちの良い悪口の塊ですね、直江状(笑

 そして因縁。
そう言えば、当時の北条家の上洛を求めて戦を留めていたのが家康でした。
呼びつけ、断られれば大軍勢で取り囲み制圧したのが秀吉。
「戦は嫌じゃ」だったはずなのに、戦を利用することに躊躇の無い家康は、織田信長の心中に近づいているのか。

 「奴なら出来る」
本当に、お互いに理解して信頼していますね……
織田信長とも豊臣秀吉とも無かった絆ですよ。

会津、関ヶ原に向かう徳川は

 ずっと関東住まいなので、大阪・伏見起点、尾張三河へという地図が今だに新鮮です。
琵琶湖南が要所で、北関東までの距離を感じます。

 今回も勇ましい結城秀康登場!
わーい格好良いぜ!

一番名が残った戦いですしね。
いくらでも格好良くて良いよ!

 四天王、再集結!
井伊直政以外はもう十分な年ですが、だからこそ渋く格好良い……!
今や伝説中の勇将ですね。
 渡辺守綱も十分な勇将なんだけどなぁ(笑

 そして徳川西の留守居役、石田三成が事を起こすなら、一番危険な役は……

彦と千代

 ああ、そうか。
老将たちの去り際が寂しいものばかりだったのは。
鳥居元忠の嫁取りが因縁の千代だったのは。
最初の今川、そして武田との戦い、瀬名の理想と悲劇を千代が背負ったのは。

 三成は立つだろう、ならば徳川の一人が、勇敢に戦って死なねばならない。
同じく家康は三成を理解し信頼し。
家康と元忠は、全てを理解してなお、絞リ出すように言葉を交わす。

 そう、この死の先に、何十年も犠牲を出し続けて、泣いて逃げて戦って、ずっと遠くだった乱世の終わりが、徳川家康の天下が待っているのだから。
家康は泣いて命令し、老将は喜んで受け入れると、分かっている。
 「戦なき世を成し遂げてくださいませ」
駿府から一緒だった老将の言葉は、家康の祝福になるのか、重荷になるのか。

 ああ!千代さん再登場!
今も強そうだ。
本当に素晴らしい、味わい深い夫婦だよなぁ……。

立ち上がる西軍

 三成の正義。
それは「豊臣秀吉の遺言通りのまつりごと」
でも秀吉にとってもあれは方便で、秀頼を守るための術でしか無かったもので。
三成自身のまつりごとを行うための道具に出来ないことが、三成の限界で敗因なように思えます。
英傑でなく、能吏でしかない。

 お、大谷吉継〜〜!
やっぱり三成と吉継の、損得を超えてしまう友情は美しいですよ。
短いながらも胸震えるシーンです。

 そしてこの後ろで蠢く、毛利輝元の純粋な欲望と、負の因縁で煮こごった茶々の暗躍。
これは… ただ純粋に徳川家康を滅ぼす為なのか、愛息・豊臣秀頼以外の権力を弱らせる為なのか、豊臣すら滅ぼしたいのか……
 茶々の笑顔が、あまりに禍々しいですよ。

 そして戦が嫌いな徳川家康と石田三成が、日本最大の戦いへ導いていく。

どうする家康

 関ヶ原の戦いがついに開幕!
上田in真田親子との戦い!
小早川秀秋の「家康の首を取れ」。
ああもうゾクゾクするシーンが山積みですよ。

 次回、『天下分け目』
どうする家康。

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ぶるがり屋 2023/11/28 22:46

どうする家康 40話 の感想

どうする家康 40話
「ああああ」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHKプラス

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 秀吉の後の世
一代で築いた豊臣の世。
その秀吉がくたばった後は……

五大老・五奉行登場!

 今回の話の主役ですね。
ここにきてやっとの登場で、家康信長秀吉と比べれば明らかに小粒ですが、
毛利輝元は猜疑心嗾す曲者、上杉景勝は勝敗よりも道義!
とキャラ立ってるなぁ(笑
 家康評で「平気で嘘をつくぞ」はそこそこ当たってますからね……

 大きく賢い前田利家が見られて嬉しかった、のですがもう死んじゃうかー!
家康がまだ気づけていない、すでに自分は伝説の大大名で白兎ではいられないと忠告するのも、重いですよ。
 利家は知ってますものね。
秀吉の悪辣さも奥深さも正直な生き方も、家康の不器用さ優柔不断さ戦嫌いさも。
戦国を生き抜いた生き強さを。

 もう前田利長に代が変わって家康の配下扱いになっちゃった!
展開が早いし怖い!

家康の息子たち

 人懐っこい秀忠に続き、誠実な息子、
結城秀康登場。
ああ、いいなぁ、こういうかしこまって賢くて優しい秀康という人物造形。
親子仲も悪くないけど、主従に近い感じだなー。

 『花の慶次 -雲のかなたに-』で好きになり、たぶん私の先祖の主家筋、『へうげもの』の落ち着いた武も美も好む名称の姿と、とても好きな人物です。

レジェンド武者 本多忠勝

 修羅の道を選ぶ家康。
 正道を進んでくれたらそれが一番だけど、やっぱ覇道だよな!
その殿に侍って守るのが俺だよな!

と張り切ってるようにしか見えませんよ本多忠勝さん!
多分三成より精神年齢が男の子のままだよ!

 「守られる主君」であろう。
家康は忠勝との約束を果たしてるんだなぁ。

三成失脚

 無駄が嫌い、筋を通さないことを嫌う、話が合わない者を嫌い見下す。
三成の子供っぽさが可愛いけれど、政務失敗にも納得してしまいます。
人の心をつかめず、つかむ手間も惜しんで見せる君主に、人は頑張れませんよね。

 一番苦労した者たちの失敗も不満も受け止めなければいけない。
武士を従わせるには、最大武力の家康と力を合わせなければいけない。
しかし、筋が通らない、秀吉の遺訓とはずれる。

 でもやっぱり、目の前の人たちの努力も不満も無視して捨てちゃうのはダメですし、三成も結局合議してないのですよね。

 それはそれとして、島左近格好良いな……!

白兎の天下取り

 前回ラストで天下を獲る気が決まった!
と思ったら優柔不断でどっちつかずに見えてやきもきしましたが、三成と豊臣の世の成否で動く計算だったのか。
三成政権が上手くいけば支えて影で権力を伸ばし、失敗するだろうから次の準備に地盤を広げておく。
そしてやはりと言うべきか、三成は失敗した。

 戦ってきた強敵たち、大事な家臣たちの言葉。
今こそ、天下を徳川の手に!

 とはいえ、先に裏切ったのはやっぱり家康だったと思います。
心を。
まー家康も、天下とか家臣よりも三成を支える義理はないんですが(笑
ただ、やっぱり非情なのも確かだったなと。

 家康は星を見る仲間を、過去の自分と同じ理想を夢見る未熟で不器用な男を、支えなかった。
信長のように守りきりは、しなかった。

どうする家康

 ウィリアム・アダムス=三浦按針!大谷刑部!
そして……鳥居元忠!(涙
家康はついに天下への道を進むのか。
嫌われる道を、敵対者を殺す覚悟を、大事なものを失う覚悟を。

 次回、『逆襲の三成』
どうする家康。

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ぶるがり屋 2023/11/26 15:12

どうする家康 39話 の感想

どうする家康 39話
「太閤、くたばる」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHKプラス

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 ヒドいタイトルだ(笑
渇望の化け物・豊臣秀吉というドラマ、最終回。

豊臣家の形

 願いと憎しみの、豊臣秀頼の誕生。
可愛いなぁ。
秀吉も、さぞ可愛かろうなぁ。
その気持ちの重さが、唐入りにつながる悲劇が痛々しい。
鼻切り、聞くだけで痛い気持ちになります。

 茶々とねねが仲良くとまではいかずとも、お互いの立場に敬意を持ってつながっているようで安心します。
ただ、秀吉が居なくなってしまったら切れてしまうような、そんな遠さも感じたり。

三成の見た星

 力よりも、知恵。
知恵で世を治める。

それが夢という石田三成。
貧しく美しく、でも夢を語るだけでは夢で終わると知り、教える徳川家康。
本当にこのドラマの三成と家康は心が近いなぁ。

 ただ戦国を嫌という程苦し身生き抜いてきた世代と、ある程度以上の権力基盤の下、戦国が終わりつつある時代を生きてきたものとは、常識も夢の難しさも違いますよねぇ。
厭離穢土欣求浄土と、知恵で治める世。
同じようで少し違う、石田三成と徳川家康の絆と違いが、少し怖いです。

徳川秀忠登場

 成長著しい秀忠!
姿も人を惹きつける青年で、人懐っこい眩しい陽気さ、ええなぁ。
江との結婚で、また豊臣との絆も深まりますね。

酒井忠次 老将、最後の奉公

 幼い白兎、松平元康を支えた老将。
若き秀忠が物語に登場し、忠次は去っていくのですね。

 最後の会話、最後の法要、最後のえびすくい
ああ、駿府の花園から、藁ばかりの岡崎から、こんなにも遠くまで来たのだなぁ。

 老いて目も見えず、体も動かず。
出陣の陣触れも、そんなものがある筈もないのに、
ずれた、収まらぬ鎧姿を笑って支える妻。
そして、そのまま。
「ご苦労様でございました。」

三成に託したもの

 愛する家族を失い、殺し、体も心も虚ろになって。
権力の後ろ盾を失う茶々も、ずっと支えて来たねねも、傷だらけに見えて。

 有力な人物を一人一人読んで、秀頼の未来を頼む。
ボケたふりや今にも死にそうなふりで、何人も試したのでしょう。
おそらくはおそらくはその中でも一番強く、秀頼を託された三成。

 ああ、そうか。
ここで家康との道が分かたれるのですね。
三成の理想とは、豊臣の世。
こんなの、理想を夢見て秀吉に絶対の忠誠を誓う三成に、違う道が取れるわけないじゃないですか。
命を捨てるじゃないですか。
この理想と切望が、豊臣家、秀頼の悲劇の端緒になってしまうじゃないですか。

 ああでも、上手くいけば秀頼の生き残る唯一の道だったかもしれないのか……
世の安寧、民の幸せ
でもこれも、秀吉の"試し"に聞こえるなぁ……

 「そんなもん、嘘じゃ」
ですよねー!

家康に遺したもの

 さすが秀吉、最後まで謀って嘘ついて試して、
恐ろしいほどに賢しく欲望深いままだった。

 三成の理想なんて信じて居なくて、力のままに家康が天下を奪うと読み切っていて。
それでも愛する秀頼のために、無様に倒れて死んだふりして、人の気持ちを操って頼み込むんだ。

 家康と秀吉、最後の問答に心惹きつけられ、揺さぶられました。
戦国を人生を戦い抜き生き抜いて来た傑物2人の、初めての魂のぶつかり合い。
言えなかった言いたくなかった、好意と羨み。

 領地も配下も今生きているのも不思議なくらいか弱く、家康と一緒に傷つきながら育ってきたものですが、秀吉はそれすらも無かったのですものね。
だから家康よりも、無様に秘境に残忍に、織田信長の後を引き継いだ、天下を奪った。
渇望、そして劣等感こそ、秀吉の力だったのかもしれないなぁ。

 でも共に生き抜いてきた家康だから、その苦しみも分かる。
「天下を引き継いだのはそなた
誠に、見事であった。」

自分の心さえ操ってきた秀吉の、虚をつかれたような顔。
そして、安らかな笑顔と言葉。
きっとここだけは、本当の藤吉郎。

 「上手くやれなされや。」
「二度と戦乱の世には戻さん 後は任せよ。」

物語初期から続いた2人の相剋が、やっと交わった一瞬だったと思います。

茶々が引き継いだもの

 全てを残した秀吉の、最期を看取るのは茶々。
血を吐く秀吉の顔を引きずり擦り上げて
「秀頼はあなたの子とお思い?」
ああ、なんて昏い情念。
悲しく重く、泣き出しそうな憎しみ。
手で擦り上げた笑顔は、本物か偽物か。
茶々のその涙は。

 憎まれて呪われて、痛く苦しい残酷な終わり。
でも私は、茶々に愛も有ったように感じるのです。
憎しみと蔑みと呪いと愛、誰よりも強い感情に包まれて秀吉は死んだのだと。
秀吉は、報いを受けたのだと。

天下簒奪

 秀吉は死んだ。
そして災いの種は撒き散らされている。
いやホント、これからゴタゴタゴタゴタ続きますからね……

 天下取りを恐れ嫌がる家康に忠次が遺したのは、愛子をいたわるような抱擁と言葉。
よく耐え忍ばれましたなぁ。
殿だから、出来るのです。
戦が嫌いな殿だからこそ。
嫌われなされ 天下を獲りなされ。

 再び天下取りに動き始める徳川家康。
それは多くの者の願いであり、三成を裏切ることでもある。

戦国の終わりに、秀吉の遺したもの

 乱世の苦しみを、織田信長は焼き尽くそうとして自ら焼かれ。
豊臣秀吉は全部飲み干して鎮め、飲み切れなかった災いが溢れて。
そんな戦国を終わらせた化け物の、心を家康が引き継ぎ。
ゴタゴタ過ちを三成が引き継ぎ、憎しみを茶々が引き継いでしまったように感じました。

 戦国が終わるまで、まだ一歩。
苦しみは終わらないんだ……

どうする家康

 織田がつき羽柴がこねし天下餅。
敗北と苦渋を積み重ね、ついに天下最大の権力者の座に着き、
天下を狙う狸と呼ばれ始める家康。

 次回、『天下人、家康』
どうする家康。

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ぶるがり屋 2023/11/25 22:57

どうする家康 38話 の感想

どうする家康 38話
「唐入り」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHKプラス

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
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(C)NHK

どうする家康

 化け物の落日
魔王・織田信長もさることながら、渇望の化け物・豊臣秀吉というドラマ、最高でした。

豊臣の世、生き残った群雄たち

 やっと前田利家登場(笑
秀吉配下もやっと登場が増えてきた!
なのに優男の髭面ばっかりで、人を覚えるのが苦手な私では覚えられる気がしません(笑

 役割的に重要なのは大谷吉継、徳川家にとって関係性が強いのは池田輝政ですが……
今回出てなかったような。

最後の将軍

 足利義昭がこんなイイキャラだとは!(笑
今までの登場シーンは権勢欲&無能だった、からこその説得力。
考えてみると多くの権力者の家に自由に入れて権力者と直に話せる、最強のスパイ&フィクサーですね。
化粧とたるみと、欲が削げ落ちた様が、人として味わい深く見えました。

『麒麟がくる』と合わせて、面白い人物像になったなぁ。

復讐の玉藻前

 愛と憎しみで染め上げた、戦国の美女、傾国の美姫の仮面を被った少女、茶々。
全てを繕って覆い隠して、仇の秀吉に縋り、子を成し。
天下を奪えた、と思ったら子を失い。

 家康に迫った、「なぜ来てくれなかったか」と問い、「守る」と言われた時の顔だけが、茶々の素顔だったように思えます。
「守る」なんて、軽く言いやがったな…!絶対許さない!
そんな熱く昏い、ドロドロに燃えたぎった決心。

狐と番犬

 お市様への罪悪感もあり、泣いて縋る女にめっぽう弱い家康。
家康の立場からするとまず守れないので、やっぱりまだまだダメな白兎ですよ(笑

 すっかり騙されてたのに、天下を脅かす狐の面を家康の前で見せちゃった!
これは大失敗。
プライド高くて負けん気強いのが茶々の弱点かなー。

 いやぁ阿茶の方、良い仕事をしました(笑

『どうする家康』のヒロイン

 信長の半身、家康の心の婚約者、秀吉の野望と欲望の対象。
そしてこの血と美貌を受け継いだ、嘘も涙も女も操り尽くす烈女。
日ノ本一の抜け目なく、かつ悟り枯れた男に野望の火を点ける。

 妻がいっぱいでどんどん死んじゃう家康の物語のヒロインとして、最高ですよ。
北川景子さん素敵!

化け物の落日

 秀吉は、食い物と愛を求めてたのかな。
一番欲しいものを一番愛してる人からもらえなかった。
食うために、愛を得るために、がむしゃらに働いて生き抜いて殺して奪って。
人を集めて操って、人がついてきて、金も権力も全て得た、はずなのに。
母は最後まで愛してくれず、愛してくれた妻と弟に報いないまま、多く失って。
誰もついてこれなくなって。

 一番愛して欲しかった母の言葉と死で、やっと立ち止まれた。
それでもなお、ねねが押し止め、三成や家康が身を以って止めてくれた。
止まって良いんだ。
欲望にギラつく瞳、母を喪って枯れた横顔、遠く家康や三成を見つめる姿。

 そこからの、火がついた骸骨のような哀しく恐ろしいまでの妄執の笑い。
でもそれは愛じゃない、愛じゃないんだ……

 渇望の化け物の、終わりの始まり。

どうする家康

 ラストからの予告。
枯れてからの溢れる欲望の再燃。
天下一統からの朝鮮・明との戦、後継や権力問題、これは家康も三成も困りますよ。
大弱りですよ(笑

 茶々の憎しみいっぱいの笑顔の
「貴方の子とお思い?」
なんて言うかもう、秀吉の因果応報とはいえ、もう少し手心を……!

 次回、『太閤、くたばる』
また副題も秀吉にキツいな!
どうする、家康。

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