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どうする家康の記事 (42)

ぶるがり屋 2023/03/26 22:36

どうする家康 12話 の感想

どうする家康 12話
「氏真」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 少年漫画 + メロドラマ
急に過去挿入されるし男のプライド最優先されるし無茶なキャラ移動するなぁ!
正直、大好きです。
時代考証とか雑なんじゃなくて、ケレン味とキャラ造形のエッジに割り振ってるのですよね。
今川氏真、糸、徳川家康、平岩親吉、鳥居元忠……好き!

今も輝く太守さま、今川義元

 これだけ今川義元が名君主として描かれるとも、こんなに出続けるとも思わなかったなぁ(笑
だからこそ、氏真と家康たちが失ったものがどれだけ大きいか。
そして、これから家康が背負い続ける"駿府"がどれだけ重いのか、
熱く美しく、切なく描いてくれました。

 ただ、義元公が偉大だからこそ。
当人も必ず伝える気持ちだったとはいえ、本当に呪いの言葉になってしまったのですよね。
「其方に将としての才は無い。」
義元公、あなたの言葉は2人には偉大過ぎる父の、抗えない神の言葉なのですよ……

敗者の名は、今川氏真

 また一人、家康の前で敗北し舞台を降りる。
その名は今川氏真。

 負けて敗けて、錯乱して殺して、裏切られて失って。
義元公から受け継いで、敗北の痛手も引き継いで、何も為し切れず。
逃れ逃れて、やっと将として戦い、敗ける。

 情けない泣き言、しみったれたプライド、だけど捨てられる訳がなく。
格好悪いけど、格好いいよ、氏真。
全てを曝け出した氏真に、多くのものが最後まで付き従ったのだと思います。

 いや、それにしても戦姿も乱れ髪姿も、色気プンプンで美しいのですよねこの氏真。
絵になる〜〜!

 そんな大事な義兄が命を振り絞って戦い抜いて、家康が見捨てられる訳もなく。
苦しみを分かって、2人を知る皆がその思いを守らずにはいられず。

 最後の一騎打ちもはずっと続けてきた稽古、関係は兄と弟、「生きたい」は妻との仲睦まじいだけの生活、「そこで」は君としての重責、「まだまだ苦しめ」はちょっとの恨みと義元公の理想の引き継ぎ。
2人だけ分かれば良い、それだけの言葉。
ああ、終わったんだ、きっと多くのものが。

 そして氏真は、満ち足りて戦国の舞台を降りる。

 まーこの後ホントに妻と仲睦まじく戦国の終わりまでのほほんと生きるんだけどね!(笑
戦国物で「幸せに生きてー」とよく願うのですが、本当に「幸せに生きましたー!」と返してくれる、稀有な方ですよ。

徳川の臣、豊かな彩り

 このドラマで一番丁寧に描かれているのは、実は君臣の関係だと思っています。
織田信長の配下は信長の行動一つ一つに常に怯えて傅いて、家康配下は家康の言動からどうやって支えようか考えて行動してるのですよね。

 ボンボンで感情的で考えが浅くて失敗するけど、嫌々でも命がけで国の為臣の為民の為で戦ってくれる。
だから、殿として担いで支えたい!

 今川に恩も有る氏真を兄として慕っていると分かる平岩親吉・鳥居元忠は諫めるし支えるし暴言吐いちゃうし2人の決闘守るし、大久保忠世や榊原康政は分からないなりに進言するし、本多忠勝はなんとなく察してフォローするし。
やっぱりこの三河勢、好きだなぁ。

 服部半蔵はちゃんと有能なんだけど、上司同輩の気持ち読んでないだけだと思うます(笑

暴、武田信玄

 駿府略奪と首桶の匂いで季節の移り変わりを表す武田勢の野蛮っぷりよ(笑
かつ怒りも欲望も威風堂々、戦国の英雄として格好良くも有るのですが、やはり「幸せな駿府」と相対する存在として描かれているように思います。
「現世の地獄」そのものの存在として。

どうする家康

 駿府の夢は、甘く美しく、今は切ない痛みになって。
関口家は斬られ田鶴殿は討ち死に駿府は血の海となり。
失い続けた氏真は去り、
家康は、義元の氏真の、多くの者の夢と願いを背負う。
幸せな花園で遊ぶ少年2人、ただ1人残されて。

 それでも、戦い続けねばならぬ。
家康は、そう分かって、決めた。
流されるままでなく、自分が駿府の夢を引き継いで戦うと。
三河を駿府に、関東を、日の本を、きっとそうして戦い続けるのでしょう。

 今回最後、窮地にも関わらず家康は窮地にも慌てずぐっと先を見つめているのですよね。
そしてその頬杖はあの顰像に似て見えて。

 家康最大の窮地、三方ヶ原が近付く……!
と思ったら次回は京なのーー?(ズッコケ
 でも足利義昭明智光秀、茶屋四郎次郎が出てくるのはワクワクしちゃう〜〜!

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ぶるがり屋 2023/03/20 23:09

どうする家康 11話 の感想

どうする家康 11話
「信玄との密約」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 エモ!外連味!
いやぁ、この大河ドラマは人の心に真っ正面から切り込んできますね。
嫌いじゃないぜ!

 幸せが壊れ壊して失くなっていく様が、鮮烈で美しかった……

徳川の血筋

 物知らずで、家康が源氏になる為に"家系図にちょっと無茶した"程度は聞いていましたが、松平からの改姓は、なんだか縁起の良い名前にしたぐらいなイメージでした(笑
ちょっと考えれば、天下を取るような一族が適当な氏姓・改姓なんて許される筈もありませんでした。
というか、立派な位を得る為の改姓でしたね。

 でも漢字は変えて良いのか。
まだまだ日本の文化は難しいぜ……!

甲斐の虎 武田信玄

 圧倒的、暴!
武力知略、格。
何もかも圧倒的な武田信玄でした。

 何も言い返せない家康はまだまだ小物なのでしょうが、刀を抜こうという血の気があるのが驚きでした。
最後までずっと睨んで、圧倒されても負ける気はないのですね。

 でも信玄から見ると、まだまだ「用心はするが、小物」ぐらいかな。

苦渋の決断をする主君、守り寄り添う家臣たち

 愛らしい徳川家臣団。
今回は仲良し過ぎる本多忠勝・榊原康政同年代勢と、主君を甘く厳しく支える酒井忠次・石川数正家老勢が良かった〜。
特に酒井忠次、今回は主役と言っていいほど家康をずっとフォローしていました。

 織田勢は織田信長の一挙一投足に慄き従い、武田勢は武田信玄に百戦錬磨の強者どもが傅く。
徳川勢は、家康の未熟を知って、足りないところを補い決断が必要なら説得し、傷ついたらちょっとだけ寄り添い、命がけで守るのですよね。
この理想を捨てず現実に苦しむ若者を、愛してともに生きたいと戦うんだ。

それは死にゆく者の美しさ

 何故夫を裏切ってまで今川に尽くしたのか。
何故勝てぬと分かって戦い抜いたのか。

田鶴の方の心中は、思ったよりシンプルで、だからこそ救いがなく、美しい程でした。
 田鶴の方当人の悲劇は先週で覚悟していたのですが、もう失くなってしまった幸せな駿府の情景が、田鶴が瀬名が、氏真が元康が、多くの者たちが幸せに笑っている姿が、あまり眩しくて、辛いですよ。
家康は裏切り、氏真は壊れ、駿府はもう燃えたのに。
 幼い頃からの幼馴染を戦友を、殺して降してのが家康なのだと、突きつけられた気持ちです。

 瀬名だけの、田鶴だけの悲劇ではない。
裏切り裏切られた者たちの悲劇。
どれだけの思い、命が踏みにじられ、届かず、消えていったのか。
田鶴の手紙は届かない。
それでもあの頃の雪はあんなにも白く、椿は紅く美しい。

どうする家康

 着実に勢力と版図を伸ばしている家康ですが、守れなかった、奪ってしまった、間違えた、そんな傷の連続なのですね。
あと織田信長と武田信玄という巨大な暴風に振り回されるのもずっと続きますね(笑

 これからも傷を背負って、失くしてしまった幸せを再び作ろうと頑張って、嘘も方便も何でも使って、
いつか褒めそやすナレーションも真実となって、太平の世・江戸を作っていくのかな。
この肝小さく迷い苦しむ徳川家康は。

 今回何故か描かれなかったのは、次回の主役だったからですか。
どうする家康。
どうする「氏真」。

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ぶるがり屋 2023/03/20 23:00

どうする家康 10話 の感想

どうする家康 10話
「側室をどうする!」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 戦国の女たち
もー色々予想外でした(笑
手垢のついた戦国三英傑の物語で、少年漫画的演出の中で、ここまでやるかー!

戦場の勇者、平時のダメ男

 渡辺守綱くん、ダメ男だぁ(笑
一応日本でも有数の剛の者、なはずなんですが、木村昴の格好よさ可愛さダメな愛嬌がいいキャラしてますね(笑
そんな戦場の勇者、平時のダメ男を超える強さを見せるお葉さん。
これは惚れますわ〜。
 お葉の方=西郡局ですね。

 今回は家康もまーダメなポンコツ若当主でしたし、男が不甲斐ない回でした(笑

三国一の嫁姑

 花園の中で遊ぶ白兎・家康を愛し、その家康の裏切りという形で故国と一族が滅びゆく瀬名。
多くを失って、戦国の倣いを何処まで身につけ、何処まで家康を愛しているのか、ちょっとだけまだ不安でした。
が、家康が今川を裏切るのはどうしようもなかった必然であり、なお戦国の鬼になりきれない家康を、今も同じく強く強く愛しているのですね。

 「殴られる!」と残酷な言葉を吐いた於大の方の手を取るのも、いまも家康を愛しながら、戦国の将の妻として、あるべき役目と断じたからでしょう。

 「正しく、人の心がない」正論をぶっ続ける、けど瀬名の逆襲に逃げ、息子の性癖に吐き気を及ぼす於大の方が小憎らしくも可愛い(笑
性癖漏らさせたの貴女ですよ!

 この合わないし仲良くはない2人が、家康の為に一緒に頑張る様、とても微笑ましいです。
家康が本当に大好きで、大事で、それだけは2人ともお互い分かってる。
これがとても尊く、そして……
築山殿の名が、痛い。

お葉、奮戦!

 お葉さんが側室になってからは最高でした。
赤裸々な閨作戦室、バトル描写な床上!
何が起こるか分かり切っていたのにもうお腹痛くて痛くて(笑

 お葉さんが女性愛者だったのは意外でしたが、フられる形の家康が滑稽で可愛くて。
許された女性2人の仲睦じさが微笑ましくて。
これもいいな、と思えました。

 いや「そんなに!?」とショックを受ける家康はやっぱり可哀想でしたが(笑
45分ほとんど振り回される側でしたし。
でも結局、最後、瀬名との穏やかな日々に浸る家康は、幸せにしか見えませんでした。

田鶴は取り戻したい

 三河のそんなドタバタをよそに、残酷劇が広がる今川。
ああ、田鶴さんか……
失ってしまった瀬名さんが未だ悩み苦しむように、いやもしかしたら奪ってしまったから、取り戻せない傷をつけてしまったから。
これしかないのだと、あの強く大きく優しい今川の世を取り戻すしかないのだと、田鶴さんは決めてしまったのか。

 夫を騙して殺して。
瀬名と同じだけ深い傷を負って、でも違う道を選びとってしまったのですね……

どうする家康

 大きく変わる情勢。
天下布武に走り始める織田信長、立て直し牙を剥く今川氏真、そして三河平定を成し遂げた家康の戦略戦術を…
全部ひっくり返す武力の化け物、
武田信玄が関東に攻めてくる。

 歴史的に一番有名な徳川家康の危機。
どうする、家康。

痛みの正体

 今回、体調が悪かったのもあるのですが、視聴語感がかなり悪いものでした。
同性愛はについてはあんま他人の性愛に興味ないですし、物語の一要素として時代の事実の一つとして描かれるのは素晴らしいと思います。

 この不快感は何か、ちょっと考えみて、「みんなが囚われている」ように思えて、辛かったのだと思い至りました。
君主の役目、武家の女の役目、信長の妹の役目、重臣の娘の役目、
正室の、側室の役目に。

 時代の文化として、実情として、これらは、真っ当で悲喜交々な役目。
どれも一族郎党の一人として生きるならやるべき、やった方が良い役目の責、なのですが。
傍若無人な於大の方でさえ囚われて、強く生きる瀬名も、猪を一撃で殺せるお葉も、信長に近い才覚を持つお市も、役目に生きる為に傷ついている姿が、とても胸が痛かったのです。

 お葉は愛する人と一緒に生きて笑いました。
瀬名はまた家康の一緒の時間を得て、少し痛そうに、でも笑いました。
私はそれが幸せだと思うのです。
 でもそれは、とても難しいのだとも描かれて。
彼女ら、彼らが、望むように望む人と暮らせる。
そんな幸せがあって欲しいと、続いて欲しいと、胸が痛くなるのです。

 田鶴さんは、きっとその幸せは得られないのだろうなぁ……
辛い。

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ぶるがり屋 2023/03/05 23:06

どうする家康 9話 の感想

どうする家康 9話
「守るべきもの」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 若き神君家康の大きな過ち。
糾すのは、認めるのは、誰か。

 三河一向宗、決着。

臆病で怖がりな、おらが大将

 疑心暗鬼の主君、忠義を尽くしたいが、殿が殿であらねば裏切る算段もあり。
徳川家臣団は、他の英傑と比べて雰囲気がとても好きです。
「先祖代々」が弱くて緩いからこその、人と人で繋がる主従の絆が良いですよね。

 弱くて臆病ですぐ逃げて閉じこもって。
でも本気で話せば殺さないし本気で受け取ってくれる。
そして、臆病で戦が嫌いだから、本気で怖がりながら、導いていく。

 鳥居忠吉も、家康が不忠な話し方でも決して自分を殺さず、家臣を信じると、信じた。
信じると決めてそのまま言葉にして、おっかなびっくり戦場ヘ向かった。
ああ、この若く未熟な主君の背中を追おう、一緒に死のうと覚悟を決められた。
 俺が担ぎたいから、担ぐ。
家康は、そんな「おらが大将」なのですよね。

思い出の空は青く、指は赤く。

 戦国の世に、苦しむのは誰か。
奪われた者は、何を求めるのか。

子供の時に救えず、大人になって力を得ても救えず。
お玉が救えなかったのは何故だ、お玉を救えなかったのは誰の罪か。
今、お玉が救いを求めた寺内町を救えないのは、誰か。

 死んだお玉の指がただただ赤い。

家康を糾すのは、本多正信

 今回45分、本多正信主人公のドラマでした。
急な過去とか幼馴染とか
いやー少年漫画的演出!
でもこれがイイ!

 先週は「裏切られても殺しても一番気が楽じゃ無い?」と思った本多正信でしたが、それでも許したいのがこの白兎ですし、普段はちゃらんぽらんな正信が命を捨てて真っ正面から糾弾するからこそ、家康が罪を吐露できたのですよね。

 忠義なぞの為に命をかけられなくなった正信が、戦場から逃れちゃらんぽらんに生き。
それでもお玉が救われた寺内町を守るために命をかけて、守りきれなくて、
甘ったれの主君を、その過ちを、罪を、命を捨てて糾弾する。

 だから誰にも吐露できなかった自らの、分かっていたけど拭えない罪を、吐露する。
未熟であれば間違い、君主が間違えば、人は死に守るべき民が傷付いていく。
国を治める苦しみ、過ち、責任。
また一つ、家康が重い荷を負っていく。

 正信だから罪を吐露できた、家康だから苦しみを理解できた。
命がけで話したから、その苦しみも生き様も分かったから。
だから、2人は前を見られた、先へ進める。
良い国を作るために。

空誓が信じたのは

 裏切られると分かって和睦を受け入れる空誓の姿にも涙が滲みました。
人を救う側だから、将でないから反したけど、将でないから戦い続ける理由も薄いのですよね。
家康も空誓も、守りたいのは民だったのに。
民を傷付けて、何を守るというのか。

 面と向き合って、涙まじりで答えた家康の言葉に、空誓も信じきれた訳ではないと、私は思います。
それでも家康は苦渋の決断で約定を破るのだと、最善の道を選択するのだと、そう感じたのだと思うのです。

 救うだけでなく、飯を奪うだけでなく。
家康は将で主だから、誤っても苦しくても、それでも戦い治め続けなければならない。

望月千代女

 千代たち、やっぱり望月千代女で歩き巫女で武田の忍びでしたか。
いや先週でほぼ確定でしたが、武田信玄の前での語りや笑顔が、何より巫女たちの集まって歩く姿が妖しく美しい……!

 切られる吉良・松平は可哀想でしたが(笑
注目は何より一番は徳川家康評ですね。
肝が小さいが、それを誰より知っている。
苦しみ、その弱さの罪を背負っていく。
 「面白い」
信玄の言葉に全てがギュッと詰まって、面白いですよ。

どうする家康

 厭離穢土浄土。
家康自身が掲げ、それでもなお恥じ悩み苦しむ家康が、このドラマの主人公ですよ。
がむしゃらに抗い続ける白兎ですよ。

 許された家臣は家康を信じ、許す家康もまた救われたと思うのです。
三河が一つになった、それは確か。

 まだ妻との庭に逃げ込んじゃう小物な家康ですが、瀬名と別れる時が、英傑と呼ばれる器になる時なのでしょうか。
今作の主人公も、失って失って、背負って背負っていくのかと思うと、辛いですよ。

 いやまー史実の家康は晩年まで子作り健康促進国づくりに精を出してましたが(笑

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ぶるがり屋 2023/02/26 21:45

どうする家康 8話 の感想

どうする家康 8話
「三河一揆でどうする!」の感想です。


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【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
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(C)NHK

どうする家康

 ぐへぇ〜〜
45分、過ちと罪と苦しみが積み上がるばっかりでした。
でも確かに、この過ちの末に、「どうする家康」は本当にドラマティックで、英雄に課すべき試練ですよ。
それは分かるけど辛いのよ!

若き家康

 誤算、軽視、足りない言葉、疑心暗鬼。
最初の失敗は、いきなりの強硬策の前の交渉の怠りか、その強硬策そのものの飯を奪ったことか。
積み上げた過ちは、自分は主人と民と配下の心に寄り添わなかったことか。

 飯を奪われれば死ぬ。
心の支えを奪われたら死ぬ。
神君家康の、今はまだ年若い御曹子なままの失敗なのだと感じました。

間違えたのは、誰だ

 そしてこの家康の未熟なゆえの過ちを、丁寧に丁寧に、そして鮮烈に見せてくれました。

 前回から3回も描写された、地に倒れ民に囲まれる家康。
配下は消え、傍らには町で見た若者の死体。
見上げれば人殺しにまだ慣れぬ、守るべき家族なはずの民たちが、血走った目で獲物を握りしめて、自分を殺そうと刃を下す。

 街で平穏に暮らしていた夫婦を、楽しげに笑っていた兄妹を、忠義に満ちていた夏目を長吉を、苦しめたのは誰だ、惑わせたのは誰だ、裏切らせたのは、死なせたのは、殺したのは。
家康だ。

救いと呪い

 ただ、同時に救いも感じました。
殺されようとする死の危険でなく、自分の過ちがこの悲劇を産んだのだと気づいて、家康は泣き叫んだことに。

 そして、その過ちを積み上げた家康を、慕う長吉が守ったことに。

 寺内町の惨状と、夏目と長吉の苦しみにやっと寄り添えて、自らの過ちを受け入れられるようになって。

 なのに、そこからの告白が、また……
長吉精一杯の忠義と贖罪の遺言が、家康の配下への信頼を奪う呪いの言葉にもなろうとは。
「何を聞いたのか」と問う酒井忠次に、私もつい疑ってしまいましたよ。
家康を心配して見守る家臣たちの目を、疑ってしまいましたよ。

裏切ったのは。

 家康が辛いなぁ、45分ずっと辛いなぁ、と思ってここまで書き連ねてきましたが、ふと。
裏切った家臣が本多正信なの、一番気が軽いのでは?
あれが裏切っても戦術的には厳しいけど心情的にはいちばんどーでもよく無い?(笑

 この後調停するのにも、もう一回こっちに裏切ってもくれそうだし。

家康が仰ぐ君主

 夢の啓示、国の主。
今川家を裏切っても刃を交えても、家康の君主としての理想像は今川義元なのですね。
未だ纏い、今回も家康を救った、黄金の具足のように、君主・家康そのものなんだ。

 民と文化を愛する今川義元の薫陶を受け、死に物狂いの民の強さと、寺の武力とは違う支配力を、痛みを以って知る。
江戸時代の治世術がどうして産まれたのか、痛いほどによく分かりました……。

どうする家康

 若さと幼さによって自ら産んでしまった苦難、治めなければいけない民と家臣たち。
積み上がるだけ積み上がり、涙目で惑い苦しむ家康。
英傑となるか、このまま歴史に埋もれるのか。
知っていても、心配になり、問うてしまいます。
どうする、家康。
どうにか穢土を浄土を作ってくれ、家康、と。

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