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鎌倉殿の13人の記事 (48)

ぶるがり屋 2022/11/13 23:30

鎌倉殿の13人 43話 の感想

鎌倉殿の13人 43話
「資格と死角」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 よし、今回も人死なかったな!
最大の悲劇のカウントダウンなのは目を瞑りたい…!

公暁、還る

 立派な青年になって……
振り回されて振り回されて、生き延びて、振り回されて。
今回でやっと人となりが描かれましたが、鎌倉殿としては諸々問題あるにせよ、真っ直ぐな青年に育ちましたよ。
比企尼の呪いも、そのままなら埋もれる筈だったのに。
つつじ殿は、本当に本当に、鎌倉の因業から逃れて欲しかったんだなぁ。

 ちょっと我儘で独善で政治知らずですが、そこら辺を教えるのが三浦義村の役目なので、
義村が悪い。
 頼家を心ならず殺して二度とこんな悲劇をしない! と多くの者が心に刻みましたが、義村は別に反省してないんだなぁ(笑

その名は北条政子

 北条政子、長年学んで、覚悟を決めて「歴史上の北条政子」になってきました。
都人にも臣下にも、侮られず畏れられず、共に居たいと思わせられる。
「従三位♡」も頼朝にそっくりで、夫婦で似てる、そして為政者として似てきたの証なのでは。

 「重過ぎます。」
いいなぁ。
大江広元の一世一代の告白も美しいけど、全部は受けられない応えられない、でも嬉しい、想いは受け取る、と。
私的公的にも一線を引きながら友愛で返す。
素敵な答えですよ。
これには広元もはにかみするしか。

 国の根底を変える頼朝に仕え、非常に政権を律する義時に助力し、でも心はずっと政子にあった。
広元はそんな男で、政子はその誠を捧げるに値する女性なのだ。

面白い男、トキューサ

 藤原兼子を政子が落としてる横で、後鳥羽上皇を北条時房が落としてた(笑
もう完璧に「フッ面白い男」の流れなんですよ本当に面白いなコイツ。
上皇から見て、蹴鞠の腕もそんな腕を自分に見せつけるのも、無礼なのももう居ないでしょうからね。

 政子の貴族相手の交渉術も時房の蹴鞠も、本人たちのたゆまぬ努力の結果であり、またそれを支えた頼朝と頼家との日々の先にあったものなのですよね。
遠い遠いあの日の、答えの一つ。
感慨深いです。

 問題はあるものの、朝廷と結び、実朝と政子の「天皇家の将軍を戴く鎌倉殿」案も上手くいく可能性は有ったのではないか。
そう思わせてくれる成果でした。

 でも、そうはならなかった、のですよね……

冷笑の貴公子 源仲章

 憎たらしいッ!
安全を確保してから人を殺し利用し陥れてのし上がり、おまけに一々卑劣という。
今まで小憎たらしいキャラは山程居ましたが、ただただ憎たらしいキャラは新鮮。
ずっと薄っぺらい仮面を被ってたのに、義時を煽った時だけあれ素の顔ですよ。

 心に隙間ある女性をなびかせるのも納得の、優しくて麗しい顔なのですよね〜。
またムカつく!(笑
いつもは小憎らしいのえ殿が夢見る少女でチョロ過ぎて可哀想なのですが、前なびかせてた実衣ちゃんからは離れたようで、ちょっと安心したり(笑

癒しは誰?

 実衣ちゃんだけ全く成長してねー
義村との肘叩き喧嘩なんてもう伊豆の幼い頃のままで(笑
政子との不仲もグチを堂々言ってるだけですし、暗躍しないし、最近の暗い顔と不幸な未来の中では癒しですよ。
いやこの先わりと辛いのは知ってますが、それは全員なので……

 残念ながら、八田殿は前回の事業失敗で引退しちゃったようですが、三善康信殿はまだ頑張ってた!
今回も古来からの知恵を頼りに実朝を支えて、立派でしたよ。
このままずっと癒しであって… あ、無理だ。(次回の悲劇を思い出す
せ、せめて布団の上で死んで欲しい、です。

義時と泰時

 北条家の権力終わるかもしれない、この時にやっと愛息子・泰時に内心を告げられた義時。
伝わって、伝えられて良かった。
義時の多くの感情が詰まった瞳と、やっと心が晴れた泰時の笑顔が眩しいですよ。

 でも、ああ。
「本当になりたかったもの」なんて、答えられないですよ。
何度傷ついて、何度誤って、何度諦めてきたかなんて。
そんな泣き言言える男なら、ここまで来れないんだ。
言えないから、こんなに黒くなってしまったんだ。

 そして、まだなれないまま、罪を重ねていくのだろうから。
もしかしたら、この先の悲劇すら諦めて捨てて、覚悟してるかもしれないのだから。

  ただ、「本当になりたかったもの」は失言だったのですよね。
義時も本当は言いたくて、ずっと言えなかった、ついに言ってしまった。
その弱さが、とても愛らしいと思うのです。

義村が悪い

 み、三浦義村の真意がまだ掴めねーッ!
公暁を旗印に権力掴むつもりなのか、実朝公暁両方まとめて消すつもりなのか。
公暁の前の言動が全部演技なのだけは分かるけど(笑
頼家の死の真実を知らないと分かり、「こりゃ使えるな」とすぐ誘導したでしょ!

 乳人親としてどー考えても最低ですが(笑、無知の少年を権力をつかむための道具と判断したのか、それともこの無知独善な源家の青年は鎌倉の害と断じたのか。
色々まだ掴めませんが、悲劇の最後の引き金を込めたのは三浦義村、なのですね。
他にももっと、良い結果はあった筈なのに。
うん、
義村が悪い。

次回、「審判の日」

 公暁が北条義時の顔を知っているのならば。
誰が殺されるのか、誘導したのは三浦義村なのですよね。
雪の鶴岡八幡宮で、裁かれるのは、誰か。

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ぶるがり屋 2022/11/06 23:52

鎌倉殿の13人 42話 の感想

鎌倉殿の13人 42話
「夢のゆくえ」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 老いて、なお進まねばならぬなら
今回人死にが無く、全体通してとても平穏な話なのですが、だからこそ生き抜いた、生き残り老いた者たちの苦しみと寂しさがひどく胸に残りました。
 それでもなお次の時代を背負う若者たちが揃うことは、希望だったはずなのに。

大天狗の孫 後鳥羽上皇

 天皇家の神力凄ぇ!
いやこれもしかしたら源氏直系の感受性が敏感なのかも(笑
頼朝も実朝も繊細で荷が重くて、神仏にすがりたい状況でしたものね。

 後白河法皇は妖怪でしたが、後鳥羽上皇はウルトラマンなのか!
茶目っ気や怒りっぽさからするとメフィラスなのですが… 地球人体がこっちに居るからなぁ(笑

優しい実朝様

 前回、もう誰も信じられないと言って心配しちゃいましたが、北条の泰時も千世も信じ込んでいてほっとしました。
言葉にはしませんでしたが、三善康信も信じていますね、
そう!三善殿を信頼するのはちょっと危なっかしいけど、信用するのは正しいですよ実朝様!
じいとして、情緒の師匠として大事にして下さい…!

 夢見がち神仏や運命を信じがちなのは不安ですが、当時からするとおかしくないレベルですし、今回も義時・トキューサが邪魔しなければ唐船計画は上手くいった可能性は有るのですよね。
鎌倉で大船を出す、宋まで届くのは厳しいと思いますが。

 たとえ今回は失敗しても、鎌倉殿が優しく、北条家が厳しい政権ならば、安定した政権になり得る、そう思えるのです。

北条家の面々

 トキューサくん、北条家の為でなく、完全に兄義時の為に働いてますね……
泰時の賢さを認め、実朝の弁を理解し、誰も義時の味方でなくなった、それでも。
常に兄に寄り添い、他の誰にも出来ずにやらせられない仕事を果たす。
 少なくとも名工の設計図をバレず破綻する程度に書き直すなんて、義時の薫陶を受けた北条時房だけでしょう。
義時の苦しみと隠している喜びを知るのも。
あんなに頑張って苦しんで報われないお兄ちゃん、大好きで見捨てられないんだろうなぁ。

 実衣ちゃん無能〜〜!
まぁ誰も政治やら権力やら教えてないですからね。
政子お姉ちゃんもせめて実朝の精神的な助けになって欲しかったと思うのですが、それも苦手なのですよね。
末っ子気質が悪い方向に出ちゃってる。

 泰時が義時の若い頃にどんどん似てきて。
主君の希望と自分勝手な周りと厳しい現実の中で最善策までなんとかこなすけど、でもまだ足りない。
優しく正しく、不器用で鈍いけど、真っ直ぐに人と対して。
 情のままに動けない、闇の中で生きる義時の救いになっていて、ありがたい気持ちです。
トキューサと泰時が、義時の救いですね。

尼御台の決意

 丹後局強い(笑
でも、上の立場で同じ苦しみを知る立場から尻を蹴られるしか、もう無いのですよね。
長年の旧臣からもう後はないと背中を押されるしか、もう無いのです。
自分だけで大義を背負い、人の為でなく人を殺す義時の政治は、血筋に権威無く主君に敵する政治は、行き詰まる訳で。
もうすでに義時と対せるのは、自分しか居ないのだと。

晩年、宿老たち

 鎌倉殿の13人は、今や5人。
主君源頼朝はとうに亡く、多くは族滅し、年老いた宿老ばかり。
二階堂行政は義時におもねり、大江広元は目を患い、八田知家と三善康信は老いた体に鞭を打つ。
自分たちが作った時代を次世代に繋ごうと、がむしゃらに働く姿が辛いですよ。

 八田殿は自分で言いましたが、三善殿も、せめて最後に実朝に奉公したいという想いで頑張っていたように見えました。
今までの喜びも苦しみも経て、ここまで生きて。
頑張って欲しい、欲しいけど、もう無理はせず、報われて欲しいですよ。
今回の時政じっ様のように、静かにひっそりと幸せになって欲しい。
なので、唐船の失敗で引退して欲しくないのですが…… うう。

時政じっ様は静かに暮らしたい

 ああ、真っ白にか細く縮んで。
覇気の消え失せた枯れ木のような、でも優しいお爺ちゃんになったのですね。
でもしっかり若い嫁さん捕まえてたのが時政らしい(笑
まーモテますよね。

 りくさんと離れてしまったのは悲しいですが、田舎に馴染みきれない、美しくあって欲しいりくの背中を押したのは、時政当人なのだと思います。

 ちょっと「お前の責任もっと重いだろ」と思わなくはないですが(笑、血みどろの創生期を生き抜き、年老いて幸せに散る姿に、よくぞと言う気持ちでいっぱいです。

 お疲れ様でした、北条時政のじっ様。
お疲れ様でした、坂東彌十郎さん。

孤独な主人公、執権北条義時

 前回で未熟だったのも事実上裏切ったのも実朝ですし、話を通さず逆らい源頼朝と北条宗時の悲願"武家の世"の実を枯らしかねないのも実朝と政子なのは、事実。
でも同時に、その大義を共有せず大義のに皆を殉じさせ、いま生きる人の幸せを見ず潰し、君臨する。
自分の大義に能う策のみ認め、他の意見は聞かず、力を以って捻り潰しているは、
執権・北条義時。

 今、義時は老害みたいなものなのですよね。
北条政子の政策が正しいとは思いませんが、手を携える道を先に潰したのは義時から。
皆を排したのは、義時だ。

鎌倉殿

 権力を持つとは何か
大義とは何か

頼朝によって切り開かれた時代を、義時が背負って、繋いで。
重荷を超えて害悪になりかけている今。
それでも新しい時代は芽吹き、若者たちが自分の足で歩き始めた、今。

 誰もが大事なもののために、背負った呪いと祝福のために全力を尽くして。
失って、失敗して、頑張っても多くは無駄になって、それでも生き抜いて。
欠けた者たちが集まって、それでもなんとか次の時代へ繋いで繋げていく中で。

 公暁が帰って来るのか、帰って来てしまうのか……
ああ、凛々しい青年よ。
公暁はどんな青年になっているのだろう。
どんな想いでここまで来て、あの道を行ってしまうのだろう。

 儚い、酷い。
ああ、辛い。

今回の救い

 「遅かったぐらいだぁ、執権殿(笑」
こっの三浦義村がぁ!(笑
多くを失ってきた残酷な時代の中で、義村だけは楽しそうで何よりです。
ホントにもう(笑

 からかわれる義時もこの時だけは若い頃の笑顔のままなのですよね。
今回出番はありませんでしたが、泰時と初は間違いなく、未来への希望ですよ。

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ぶるがり屋 2022/10/30 22:24

鎌倉殿の13人 41話 の感想

鎌倉殿の13人 41話
「義盛、お前に罪はない」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 北条義時、最後の御家人同士の戦い
和田合戦
どっと気が重くなる、陰鬱な回でした……

 愛する登場人物たちが、望んでいないのに、でもどうしても許せずに、傷つけ合い殺し合い。
北条義時は和田義盛の情けの政治は許せないし、源実朝は情けを利用しての裏切りを許せないし、義盛は実朝への愛情を汚されて、呪って死んだ。
多くの人が死に、愛したものを失って、小四郎は泣いた、実朝は泣いた。
そしてもう戻れない、決して許せない。

和田義盛という男

 いやぁ、好人物でした。
武士として達観していながらも、決して情は忘れず、敵となった者の為に愚痴を零し涙を流す。
裏切らず、貶めず、人の情けを知る。
同時に、最高権力者の特別だと公言し、機嫌が良いとついつい放言。
ダメで可愛いおっさんでした。
 義時の政治の下、実朝に愛されるのも、他の御家人に支持されるのも、義時と大江広元に絶対許されないのも、納得するしか無いですよ。

 殺し合い騙し合いの陰鬱な物語の中、救いをずっと提供し続けてくれた和田義盛殿。
繊細で寂しかった実朝を励まし悪い遊びを教え、何度も救った和田の爺さん。
実朝への篤い忠誠心と愛情を汚され殺された義盛の死に顔が本当に心無くて、辛い……

 死体の野に佇むオババの姿は呪いか。
一人生き延びた巴は、救いなのか。

源実朝は強い力を

 一人、自分の苦しみに寄り添って人間として笑ってくれた和田殿を、自分の情けを利用し、和田殿の情けを利用して、踏みにじり、殺した。
義時に強い力を持つものが正しいと教えられたならば、強い力を以って義時と戦うと、どうして思わないか。

 戦のない、安寧の世を。
でもその世は、誰のものか。

同じ道を進むはずだった主従、叔父と甥の道は、もう交わらない。

 でも三善康信さんだけは信じてあげてー!

小四郎の過ち

 和田家に付く御家人たちに文を出すのはともかく、戦局が決しての最後の騙し討ちは、失策だったと考えます。
おそらくは、文を出す時の実朝の反抗がまず問題であり、そして実朝が許し、義盛が忠義は我にありと宣したことで、許せなくなった。
上総介広常を見殺しにし、源義経を滅ぼし、畠山重忠を討ち、北条時政を放逐して築いたこの鎌倉で、許す訳にはいかない。

 だからと言って、実朝の愛を命令を尊厳を踏みにじるのは、やはり過ちでしょう。
恐怖は人を縛るけど、憎しみは人を狂わせるのですから。
実朝が義時に従い、北条の掲げる将軍で在り続けることは、もはや在り得ない。

 小四郎は自身の理想や願望で動いてないからか、頼朝の卑怯さ残忍さを、それだけを過剰に評価し過ぎているのように思えます。
自分が頼朝に惹かれたのは何か、今も後を追う理由は。
それは恐怖では無かった筈なのに。
 恐怖だけでなく、頼朝が人の上に立った理由を、共に夢を見て喜ばせる方法を、小四郎は築けないのか、己にはないと目を背けているのか。

 義時の騙し討ちでも裏切りでもなかった、からこそ義時はより激しく怒ったのだと思いますが、今まで騙し討ち、裏切り、将軍を利用して奪ってきたのが義時。
だから和田一族が信じられず、この戦となり、この惨劇となった。
裏切ったのも、裏切らせたのも、義時。

 今回、自ら地獄への道を舗装してしまった義時。
ですが、本当に、本当にこんなことしたくはなかったのですよね。
大事な友を傷つけ殺したと、小四郎は泣いた。
誰にも知られず、見せないように、泣いた。

 そんな孤独で傷だらけの小四郎を、私は見捨てられない。

救いはわずか

 和田殿という救いが残酷に損なわれ、救いがどんどん少なっていきますね……。
実衣の「今度こそ死ぬ!」は異様に生命力溢れてて笑っちゃいます。
あと起請文は吐こう!な三浦義村と八田知家の生命力もオカしい(笑
初さん可愛い強い格好良いー!
ファランクス!じゃなかったテストゥド!そりゃ強いよ!(笑

 そして今回一番の笑いは大江殿!
小仏を取りに戻る宗時兄に似て死ぬかと思いきや、恋し崇拝する政子に手を取ってもらってからの切った張ったは何だ!(笑
仕事人みたいな音楽を背になんで格好良いんだよ大江殿!
恋はいつでもハリケーン!
今回一番の笑い&救いシーンでしたが、大体の黒幕も君だからね?

鎌倉幕府の行く末は

 草莽の時代の熱狂は遥か昔に消え去り。
有力な御家人を廃し、安定した鎌倉のための絶対的な権力を手に入れた北条義時。
悪逆な義時と戦い正しい世にする為に、力を求め朝廷と近づく源実朝。
実朝の手を取り、再び朝廷の世を取り戻そうとする後鳥羽上皇。
そして、誰もが大事なものを失っていく中、若き力を携えていく北条泰時たち。

 絶望と理想と、野望と祈りと、呪いと祝福と。
大きな時代のうねりを感じずにいられません。
ただ、やっぱりみんな死なないで欲しいなぁ……

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ぶるがり屋 2022/10/23 23:53

鎌倉殿の13人 40話 の感想

鎌倉殿の13人 40話
「罠と罠」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 晩年、北条義時
残すところ今年の大河も後2ヶ月、頂点に立ってしまった鎌倉を、どう守り、時代へ繋げていくか。
大きな事件は残すところ、あと3件。
その最初の一つ、和田合戦が始まろうとしている……

後鳥羽上皇の策略

 内裏修復。
日本で権力の正統性を示すためには必要な出費ですが、初めて権力を握った地方の武家政権から見て、どれだけの価値と重みが有るのか、それを坂東で育った源実朝や北条義時がどこまで測れるのかと不安でしたが、その2人は理解して居て、配下の御家人たちが納得せず、でしたか。
 言われてみれば、坂東武者だけでここまでの大出費を求められたのは初めてなのかな?
そこまでの権力基盤と財力を得たのも初めてだけど、初めて課せられる大増税に不満を持たないは人間は居ませんよねー(笑
 どちらかと言うとこれを大問題と思わない義時が、為政者として、人間把握として甘い気がします。

 さらなる計略は、泉親衡の乱。
史実ではやや経緯や正体がうっすら、らしいのですが、後鳥羽上皇のマッチポンプだとは、これは悪辣(笑
 源仲章はいい悪役ですよ。
ホント憎たらしい!(笑

 朝廷の策略の深さと悪辣さ(この場合は褒め言葉)と同時に、坂東は今のままでは操られやすく危険な状態だと見せつけられた気がします。
不満あれば、刃と地で覆すのだ!
怖い怖い!

鎌倉随一の忠臣、和田義盛

 この義盛が頭を下げれば何とかなる!
相撲か戦か!
眉毛剃るよ!両方剃るよ!

いやこれは笑っちゃうし、許しちゃいますわ。
器の大きい君主であれば有るほど。
 でも我らが主人公、北条義時は君としての器は小さく偽物で、亡き主・源頼朝のメッキがけしてるだけなのですよね。

 「無数の和田義盛」
字面も絵面も重くて小汚くて暑苦しいな!
それは理でなく法でなく、情と勢いと武力で解決せんとする義盛の生き方。
坂東武士の生き様。
だからこそ一番頼りになり、最も危険な。

 煩わしいのも、よく分かっちゃいますねー(笑
でも嫌えなかったから、余計に煩わしく思ったのかな。
時房の言う通り、義時は義盛を好きだったのか、心の底では死なせたくなかったのかな。

 でもトキューサくん、大江広元は和田殿を嫌いだったと思うよ!(笑

巴さん、頑張る

 息子全員と会うのは初めてなんだ(笑
和田どのが子供にウザがられたのか、本妻扱いじゃなかったのか難しいところですが、信用されているようで何より。

 悪化して行く状況、三浦義村の裏切りを勘付いて最善を尽くした、筈の巴さん、
その結果が、戦に繋がり義盛を死なせ和田一族の滅亡へ。
悪意だけでなく、愛も絆もあり、それでも噛み合わず、間違っていく。
ああ、痛ましい、辛いですよ。
あんなに救いだった和田殿と巴さん、その家が。
戦と死に呑まれて行く……

鎌倉の闇、本当の死神、大江広元

 ダーク義時の背中を押すのは大江広元。
義時が非情の手を下すか甘い道に妥協するか、非情の方へ背中を押すのは常に広元なのですよね。
ダーク義時の正しさを担保し、法と秩序を超える者を許さない。
そんな死神みたいな役なのに、政子の正しくも優しい政治には目くじら立てるどころか幸せそうな顔するなんて…
くそっ!可愛いな広元!

 権力者も英雄も小物も男も女も、誰もが人間らしく、正義でも悪でも残酷にも甘くも染まり切らない。
こういう描写、大好き。

俺たちの将軍

 千世と仲睦まじく、お互い支え合って寄り添って。
仲睦まじい夫婦の前に、歩き巫女のオババが再登場。
まぁ、千代にとって満足は遠いですよね。
でもこれ以上の幸せはと言うと、思いつきません……難しい。

 和田義盛と戦になる以上分かっていましたが。
救いだったオババの言葉も、和田邸の宴も、幸も不幸も、祝福も呪いもないまぜなのだなぁ。

 実朝君、頑張った、頑張ったよ!
抗って頼って手を固く握って、信を貫いて。
武力でなく知略でなく、何人もの絆を伝って、義時の陰謀を超えた実朝。
多くの者が、13人が願った主君になる未来が見えて。

 それなのに、ああ、ああ。

尼御台ならきっと

 北条泰時が、実朝が、最後に頼れるのは、
ブラックにダークに堕ちる義時の前に、唯一立ち塞がるのは、姉・尼御台の北条政子。
同じ夢と理想と苦しみを背負い、誰よりも正しく優しくあろうとする政子だけは、義時も排除出来ないし、しようとも思わないのですよね。
最高権力を持ちながら、雑談交じりに主君や家族親戚と大根の葉取りなんて、義時は出来ないし、もうしようとも思えないでしょう。

 そこからの北条政子の最後の計。
アレかなアレかなと頭の中を駆け巡りましたが、やっぱり女装でしたか(笑
やっぱり絵面が汚いな!
結局最後まで着替えないし!(笑

 ただ、義時の「御台所は関係するな」は自分を悪とし、自分が死んだ後の治世を正しい泰時と優しい政子に任せたい、そんな風に思っているようにも感じるのですよね。
 今回では人死には出ませんでしたが、皆すれ違って苦労背負い込んで、辛い道を進んで。
まつりごとも権力時代も、重くて辛いなぁ。

トキューサ、頑張る

 今回、実は隠れ主人公だった気がします。
非情な兄・義時と文官たち、粗暴で純粋な坂東武者たちとの間で、最善を尽くそうと、何が北条家と兄の為になるかと苦悩する北条時房の姿を見ました。
今、本当に義時の心に寄り添えるのは、自認する時房だけなのでしょう。
 彼と泰時が義時より先に死なないことだけが、この物語の救いなように思えます。

裏切りの三浦義村

 いやぁ、裏切って心無い言葉を振りまいて、それが仇になる平六の情けなさよ(笑
弟にだけは本当の心を話しているのが救いというべきか、甘さというべきか。
女性にすぐコナかけて、信用ゼロだったのが今回の悲劇の最後の後押しになってしまったようで…

 ただ本人すら認めていないかもしれませんが、怒っていても、利有れば敵になっても、本当に本当に義時が大好きなんだと思うのです。
自分と三浦家の為なら何でもやる、それは事実でも、
和田殿を殺したくなかった、義時の希望に応えたかった。
それも本心なのだと思うのです。

 和田殿が義時を変わっちまったと謗った時、無言だったのは。
元から本当はそういう奴だったと見抜いていたのか、変えたのは俺らもだろうと哀しんだのか。

北条泰時の心中

 信を貫く実朝、正しく優しくあろうと動き回る政子、裏切って当然の義村。
正道を説きながら、主君はもちろん、姉にも愛息子にも、「これ以上話しても言うこと聞かないな」と思ったら即権力か嘘を行使する我らが主人公、北条義時。
悪どいし大人気ないな!
と本当に他の手段もできる筈だと願ってしまいますが…
自分の甘さがずっと通じず、頼朝の冷徹残酷さを引き継ぎ、今や自らが数多の犠牲を強いてきた今、もう他の手法を考えることすら出来ないのかな。
その甘さを傷つきながらも絶やさなかったから、多くの者が義時を信じたのに。

 今回、優しくても良いのだと、殺さずとも良いのだと、そう思った義時も義村も失敗してしまったことが、その結果の傷の大きさが、怖い。

 愛し尊敬する父を排除して、心を病みに埋めて。
そしてこれから、本当に失いたくはなかったものを、犠牲を強いてやっと生まれた希望を、失って行く義時。

 彼がその先に何を手に入れ、最期を迎えるのか。
とても楽しみで、とても怖いです。

他、ちょこちょこ。

 のえさんの正体知らないの、もう誰も居ないのでは(笑
権力への欲望をりくさんになぞらえられたけど、器が足りないとも見定められた気がします。

 反対に実衣ちゃんの権力への欲深さが収まったのも姉との仲が戻ったのは嬉しいのですが、下品と無遠慮は前より悪化してない?(笑

 八田知家の胸チラも乏しい今回、救いは、
のえさんのズボラ悪妻ぶりにかかっている…!!

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ぶるがり屋 2022/10/16 23:04

鎌倉殿の13人 39話 の感想

鎌倉殿の13人 39話
「穏やかな一日」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 心穏やか…じゃねぇ!
いや人死んでないし一族滅亡してないけど!
一人の繊細で実直な青年の、一生一代の告白と失恋。
これを見て、穏やかで入られませんよ……

長澤まさみさん登場!

 なんてメタな(笑
まーおかげで物語終盤に長澤まさみさん演じる語り部的キャラが登場、なんてことはないと分かりましたが。
もんの凄い舞台的な演出だなぁ!

真っ黒義時

 すげえ!
主人公がついに事実上の最高権力者になった栄誉の時なのに、全く本人に高揚が無く、見ていて魅力を感じない!(笑
嘯く宗時の遺言も、もはやそれしか縋るものがないかのように聞こえました。
大事な人たちの野望と遺事だけを背負って、空っぽな闇になってしまっている…
やらねばならぬ、自分がやらねばならぬ。
でもやりたいことも、喜ばせたい人もすでに亡く。
口に出した北条家すら、泰時以外はあんまり大事にしてるとは思えないのですよね……

 あと名君主と比べると、人心掌握が下手というか、考えてもいませんね!(笑
和田義盛君が嫌がるやり方しかしないし、三浦義村にも逆らえない時だけ優しくお願いするし。
北条時政は自分の子分ばかり大事にして敵を作りましたが、義時は子分・仲間に協力を強いて味方をなくしちゃうタイプですよ。
初期の源頼朝の人心掌握&恐怖支配術とどうしても比べてしまいます。

源実朝の歌

 また源将軍が死にかけてた!
3回目ともなるとほぼカットとはヒドい(笑

 三善康信を慰める実朝の姿、良いなぁ。
源頼朝とも源頼家とも、義時とも後鳥羽上皇とも違う、傍らに座って共に居てくれる君主。
優しくて賢くて、野望なくとも理想を抱き続ける君主。

 今までずっと夫婦・妻という存在にたじろぎ、妻・千世を大事にしながらも閨を共にすることのなかった理由。
鮮烈でしたが、私にはまだ飲み込み切れていません。
実朝から北条泰時への想いは恋だったのか、恋に近いものだったのか、実朝は自覚的だったのか否か、それは性欲を伴うものだったのか否か、泰時に想いを分かって欲しかったのか否か、本当に恋慕の答え=返歌が欲しかったのか否か。
実朝が一番望んでいた、夢想した結果は、何だったのかな。

 泰時は恋と知って無かったことにし、実朝は想いが散る歌を渡した、変化を求めなかった。
嘘をつけない男が、嘘をついて独り酒を煽った。
実朝は己が苦しみをただ一人千世に告白し、千世は受け入れて抱きしめた、抱きしめ返した、抱きしめ合った。
とても悲しいけれど、とても優しい。
切なく美しい情景でした。

北条の面々

 政子と実衣の中が元通りになって本当に嬉しいですよ。
傷ついて失って離れて、こんなに遠くに来てしまって、やっと仲良い姉妹に戻ってくれて。
とても嬉しいです。

 トキューサの想い。
誅殺した一族側が本来言うべきではない言葉だけど、真実と心情を求める実朝には一番の答えだったように思います。
実朝の心を知るものは一人で出来た。
トキューサはいっぱい居そう(笑
そして、義時は?

 のえさん、もう義時以外に本性隠す気がない(笑
隠す時も雑過ぎる(笑
これは悪人にはなれない、なり切れないタイプですわ。

 鶴丸くん、ついに歴史の舞台へ!
その名は平盛綱 。
鶴丸を昇格させたのは言葉通り泰時の為、プラス北条毛勢力安定の為。
そして多分、一番守りたかった八重さんへの「してあげたかった」想いの残滓なように感じます。

 そして今回、キャラとしては新登場、
北条朝時。
いきなりの格好悪い登場ですが、義時との問答を見るに、めちゃくちゃ距離というか、隔絶と羨望を感じるのですよね。
 同じように色恋沙汰で問題起こしまくりだったのは頼朝。
頼朝と同じく家族への愛に飢え、さまよっているのじゃないかな。

今日はまだ

 我らが主人公・北条義時が最高権力者になって、「穏やかな日」からまた恐ろしくて悲しいフラグいっぱいでした。
北条家への不満と憎悪、義時と実朝の軋轢、和田と三浦との諍い、善哉くんが公暁くんに進化し6年後に帰郷……
 義時は限界を超えてボロボロだし、実朝が良い子良い君主だと分かるからこそ、この悲劇の種が積もっていく様が、辛いですよ。

 ああ、今日はまだ、穏やかな日。

他、ちょこちょこ。

 八田知家がまたエロ渋い(笑
今や北条家に物申せるのは彼だけですし、彼の言葉を聞き入れてくれるのは、北条政子だけだなぁ。

 公暁:こうぎょう なんだ……
知らない読みが出ると、随分と歳をとった気がして目がくらみます(笑

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