ぶるがり屋 2022/10/23 23:53

鎌倉殿の13人 40話 の感想

鎌倉殿の13人 40話
「罠と罠」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 晩年、北条義時
残すところ今年の大河も後2ヶ月、頂点に立ってしまった鎌倉を、どう守り、時代へ繋げていくか。
大きな事件は残すところ、あと3件。
その最初の一つ、和田合戦が始まろうとしている……

後鳥羽上皇の策略

 内裏修復。
日本で権力の正統性を示すためには必要な出費ですが、初めて権力を握った地方の武家政権から見て、どれだけの価値と重みが有るのか、それを坂東で育った源実朝や北条義時がどこまで測れるのかと不安でしたが、その2人は理解して居て、配下の御家人たちが納得せず、でしたか。
 言われてみれば、坂東武者だけでここまでの大出費を求められたのは初めてなのかな?
そこまでの権力基盤と財力を得たのも初めてだけど、初めて課せられる大増税に不満を持たないは人間は居ませんよねー(笑
 どちらかと言うとこれを大問題と思わない義時が、為政者として、人間把握として甘い気がします。

 さらなる計略は、泉親衡の乱。
史実ではやや経緯や正体がうっすら、らしいのですが、後鳥羽上皇のマッチポンプだとは、これは悪辣(笑
 源仲章はいい悪役ですよ。
ホント憎たらしい!(笑

 朝廷の策略の深さと悪辣さ(この場合は褒め言葉)と同時に、坂東は今のままでは操られやすく危険な状態だと見せつけられた気がします。
不満あれば、刃と地で覆すのだ!
怖い怖い!

鎌倉随一の忠臣、和田義盛

 この義盛が頭を下げれば何とかなる!
相撲か戦か!
眉毛剃るよ!両方剃るよ!

いやこれは笑っちゃうし、許しちゃいますわ。
器の大きい君主であれば有るほど。
 でも我らが主人公、北条義時は君としての器は小さく偽物で、亡き主・源頼朝のメッキがけしてるだけなのですよね。

 「無数の和田義盛」
字面も絵面も重くて小汚くて暑苦しいな!
それは理でなく法でなく、情と勢いと武力で解決せんとする義盛の生き方。
坂東武士の生き様。
だからこそ一番頼りになり、最も危険な。

 煩わしいのも、よく分かっちゃいますねー(笑
でも嫌えなかったから、余計に煩わしく思ったのかな。
時房の言う通り、義時は義盛を好きだったのか、心の底では死なせたくなかったのかな。

 でもトキューサくん、大江広元は和田殿を嫌いだったと思うよ!(笑

巴さん、頑張る

 息子全員と会うのは初めてなんだ(笑
和田どのが子供にウザがられたのか、本妻扱いじゃなかったのか難しいところですが、信用されているようで何より。

 悪化して行く状況、三浦義村の裏切りを勘付いて最善を尽くした、筈の巴さん、
その結果が、戦に繋がり義盛を死なせ和田一族の滅亡へ。
悪意だけでなく、愛も絆もあり、それでも噛み合わず、間違っていく。
ああ、痛ましい、辛いですよ。
あんなに救いだった和田殿と巴さん、その家が。
戦と死に呑まれて行く……

鎌倉の闇、本当の死神、大江広元

 ダーク義時の背中を押すのは大江広元。
義時が非情の手を下すか甘い道に妥協するか、非情の方へ背中を押すのは常に広元なのですよね。
ダーク義時の正しさを担保し、法と秩序を超える者を許さない。
そんな死神みたいな役なのに、政子の正しくも優しい政治には目くじら立てるどころか幸せそうな顔するなんて…
くそっ!可愛いな広元!

 権力者も英雄も小物も男も女も、誰もが人間らしく、正義でも悪でも残酷にも甘くも染まり切らない。
こういう描写、大好き。

俺たちの将軍

 千世と仲睦まじく、お互い支え合って寄り添って。
仲睦まじい夫婦の前に、歩き巫女のオババが再登場。
まぁ、千代にとって満足は遠いですよね。
でもこれ以上の幸せはと言うと、思いつきません……難しい。

 和田義盛と戦になる以上分かっていましたが。
救いだったオババの言葉も、和田邸の宴も、幸も不幸も、祝福も呪いもないまぜなのだなぁ。

 実朝君、頑張った、頑張ったよ!
抗って頼って手を固く握って、信を貫いて。
武力でなく知略でなく、何人もの絆を伝って、義時の陰謀を超えた実朝。
多くの者が、13人が願った主君になる未来が見えて。

 それなのに、ああ、ああ。

尼御台ならきっと

 北条泰時が、実朝が、最後に頼れるのは、
ブラックにダークに堕ちる義時の前に、唯一立ち塞がるのは、姉・尼御台の北条政子。
同じ夢と理想と苦しみを背負い、誰よりも正しく優しくあろうとする政子だけは、義時も排除出来ないし、しようとも思わないのですよね。
最高権力を持ちながら、雑談交じりに主君や家族親戚と大根の葉取りなんて、義時は出来ないし、もうしようとも思えないでしょう。

 そこからの北条政子の最後の計。
アレかなアレかなと頭の中を駆け巡りましたが、やっぱり女装でしたか(笑
やっぱり絵面が汚いな!
結局最後まで着替えないし!(笑

 ただ、義時の「御台所は関係するな」は自分を悪とし、自分が死んだ後の治世を正しい泰時と優しい政子に任せたい、そんな風に思っているようにも感じるのですよね。
 今回では人死には出ませんでしたが、皆すれ違って苦労背負い込んで、辛い道を進んで。
まつりごとも権力時代も、重くて辛いなぁ。

トキューサ、頑張る

 今回、実は隠れ主人公だった気がします。
非情な兄・義時と文官たち、粗暴で純粋な坂東武者たちとの間で、最善を尽くそうと、何が北条家と兄の為になるかと苦悩する北条時房の姿を見ました。
今、本当に義時の心に寄り添えるのは、自認する時房だけなのでしょう。
 彼と泰時が義時より先に死なないことだけが、この物語の救いなように思えます。

裏切りの三浦義村

 いやぁ、裏切って心無い言葉を振りまいて、それが仇になる平六の情けなさよ(笑
弟にだけは本当の心を話しているのが救いというべきか、甘さというべきか。
女性にすぐコナかけて、信用ゼロだったのが今回の悲劇の最後の後押しになってしまったようで…

 ただ本人すら認めていないかもしれませんが、怒っていても、利有れば敵になっても、本当に本当に義時が大好きなんだと思うのです。
自分と三浦家の為なら何でもやる、それは事実でも、
和田殿を殺したくなかった、義時の希望に応えたかった。
それも本心なのだと思うのです。

 和田殿が義時を変わっちまったと謗った時、無言だったのは。
元から本当はそういう奴だったと見抜いていたのか、変えたのは俺らもだろうと哀しんだのか。

北条泰時の心中

 信を貫く実朝、正しく優しくあろうと動き回る政子、裏切って当然の義村。
正道を説きながら、主君はもちろん、姉にも愛息子にも、「これ以上話しても言うこと聞かないな」と思ったら即権力か嘘を行使する我らが主人公、北条義時。
悪どいし大人気ないな!
と本当に他の手段もできる筈だと願ってしまいますが…
自分の甘さがずっと通じず、頼朝の冷徹残酷さを引き継ぎ、今や自らが数多の犠牲を強いてきた今、もう他の手法を考えることすら出来ないのかな。
その甘さを傷つきながらも絶やさなかったから、多くの者が義時を信じたのに。

 今回、優しくても良いのだと、殺さずとも良いのだと、そう思った義時も義村も失敗してしまったことが、その結果の傷の大きさが、怖い。

 愛し尊敬する父を排除して、心を病みに埋めて。
そしてこれから、本当に失いたくはなかったものを、犠牲を強いてやっと生まれた希望を、失って行く義時。

 彼がその先に何を手に入れ、最期を迎えるのか。
とても楽しみで、とても怖いです。

他、ちょこちょこ。

 のえさんの正体知らないの、もう誰も居ないのでは(笑
権力への欲望をりくさんになぞらえられたけど、器が足りないとも見定められた気がします。

 反対に実衣ちゃんの権力への欲深さが収まったのも姉との仲が戻ったのは嬉しいのですが、下品と無遠慮は前より悪化してない?(笑

 八田知家の胸チラも乏しい今回、救いは、
のえさんのズボラ悪妻ぶりにかかっている…!!

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