ぶるがり屋 2022/11/06 23:52

鎌倉殿の13人 42話 の感想

鎌倉殿の13人 42話
「夢のゆくえ」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 老いて、なお進まねばならぬなら
今回人死にが無く、全体通してとても平穏な話なのですが、だからこそ生き抜いた、生き残り老いた者たちの苦しみと寂しさがひどく胸に残りました。
 それでもなお次の時代を背負う若者たちが揃うことは、希望だったはずなのに。

大天狗の孫 後鳥羽上皇

 天皇家の神力凄ぇ!
いやこれもしかしたら源氏直系の感受性が敏感なのかも(笑
頼朝も実朝も繊細で荷が重くて、神仏にすがりたい状況でしたものね。

 後白河法皇は妖怪でしたが、後鳥羽上皇はウルトラマンなのか!
茶目っ気や怒りっぽさからするとメフィラスなのですが… 地球人体がこっちに居るからなぁ(笑

優しい実朝様

 前回、もう誰も信じられないと言って心配しちゃいましたが、北条の泰時も千世も信じ込んでいてほっとしました。
言葉にはしませんでしたが、三善康信も信じていますね、
そう!三善殿を信頼するのはちょっと危なっかしいけど、信用するのは正しいですよ実朝様!
じいとして、情緒の師匠として大事にして下さい…!

 夢見がち神仏や運命を信じがちなのは不安ですが、当時からするとおかしくないレベルですし、今回も義時・トキューサが邪魔しなければ唐船計画は上手くいった可能性は有るのですよね。
鎌倉で大船を出す、宋まで届くのは厳しいと思いますが。

 たとえ今回は失敗しても、鎌倉殿が優しく、北条家が厳しい政権ならば、安定した政権になり得る、そう思えるのです。

北条家の面々

 トキューサくん、北条家の為でなく、完全に兄義時の為に働いてますね……
泰時の賢さを認め、実朝の弁を理解し、誰も義時の味方でなくなった、それでも。
常に兄に寄り添い、他の誰にも出来ずにやらせられない仕事を果たす。
 少なくとも名工の設計図をバレず破綻する程度に書き直すなんて、義時の薫陶を受けた北条時房だけでしょう。
義時の苦しみと隠している喜びを知るのも。
あんなに頑張って苦しんで報われないお兄ちゃん、大好きで見捨てられないんだろうなぁ。

 実衣ちゃん無能〜〜!
まぁ誰も政治やら権力やら教えてないですからね。
政子お姉ちゃんもせめて実朝の精神的な助けになって欲しかったと思うのですが、それも苦手なのですよね。
末っ子気質が悪い方向に出ちゃってる。

 泰時が義時の若い頃にどんどん似てきて。
主君の希望と自分勝手な周りと厳しい現実の中で最善策までなんとかこなすけど、でもまだ足りない。
優しく正しく、不器用で鈍いけど、真っ直ぐに人と対して。
 情のままに動けない、闇の中で生きる義時の救いになっていて、ありがたい気持ちです。
トキューサと泰時が、義時の救いですね。

尼御台の決意

 丹後局強い(笑
でも、上の立場で同じ苦しみを知る立場から尻を蹴られるしか、もう無いのですよね。
長年の旧臣からもう後はないと背中を押されるしか、もう無いのです。
自分だけで大義を背負い、人の為でなく人を殺す義時の政治は、血筋に権威無く主君に敵する政治は、行き詰まる訳で。
もうすでに義時と対せるのは、自分しか居ないのだと。

晩年、宿老たち

 鎌倉殿の13人は、今や5人。
主君源頼朝はとうに亡く、多くは族滅し、年老いた宿老ばかり。
二階堂行政は義時におもねり、大江広元は目を患い、八田知家と三善康信は老いた体に鞭を打つ。
自分たちが作った時代を次世代に繋ごうと、がむしゃらに働く姿が辛いですよ。

 八田殿は自分で言いましたが、三善殿も、せめて最後に実朝に奉公したいという想いで頑張っていたように見えました。
今までの喜びも苦しみも経て、ここまで生きて。
頑張って欲しい、欲しいけど、もう無理はせず、報われて欲しいですよ。
今回の時政じっ様のように、静かにひっそりと幸せになって欲しい。
なので、唐船の失敗で引退して欲しくないのですが…… うう。

時政じっ様は静かに暮らしたい

 ああ、真っ白にか細く縮んで。
覇気の消え失せた枯れ木のような、でも優しいお爺ちゃんになったのですね。
でもしっかり若い嫁さん捕まえてたのが時政らしい(笑
まーモテますよね。

 りくさんと離れてしまったのは悲しいですが、田舎に馴染みきれない、美しくあって欲しいりくの背中を押したのは、時政当人なのだと思います。

 ちょっと「お前の責任もっと重いだろ」と思わなくはないですが(笑、血みどろの創生期を生き抜き、年老いて幸せに散る姿に、よくぞと言う気持ちでいっぱいです。

 お疲れ様でした、北条時政のじっ様。
お疲れ様でした、坂東彌十郎さん。

孤独な主人公、執権北条義時

 前回で未熟だったのも事実上裏切ったのも実朝ですし、話を通さず逆らい源頼朝と北条宗時の悲願"武家の世"の実を枯らしかねないのも実朝と政子なのは、事実。
でも同時に、その大義を共有せず大義のに皆を殉じさせ、いま生きる人の幸せを見ず潰し、君臨する。
自分の大義に能う策のみ認め、他の意見は聞かず、力を以って捻り潰しているは、
執権・北条義時。

 今、義時は老害みたいなものなのですよね。
北条政子の政策が正しいとは思いませんが、手を携える道を先に潰したのは義時から。
皆を排したのは、義時だ。

鎌倉殿

 権力を持つとは何か
大義とは何か

頼朝によって切り開かれた時代を、義時が背負って、繋いで。
重荷を超えて害悪になりかけている今。
それでも新しい時代は芽吹き、若者たちが自分の足で歩き始めた、今。

 誰もが大事なもののために、背負った呪いと祝福のために全力を尽くして。
失って、失敗して、頑張っても多くは無駄になって、それでも生き抜いて。
欠けた者たちが集まって、それでもなんとか次の時代へ繋いで繋げていく中で。

 公暁が帰って来るのか、帰って来てしまうのか……
ああ、凛々しい青年よ。
公暁はどんな青年になっているのだろう。
どんな想いでここまで来て、あの道を行ってしまうのだろう。

 儚い、酷い。
ああ、辛い。

今回の救い

 「遅かったぐらいだぁ、執権殿(笑」
こっの三浦義村がぁ!(笑
多くを失ってきた残酷な時代の中で、義村だけは楽しそうで何よりです。
ホントにもう(笑

 からかわれる義時もこの時だけは若い頃の笑顔のままなのですよね。
今回出番はありませんでしたが、泰時と初は間違いなく、未来への希望ですよ。

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