尾上屋台 2016/07/27 01:43

大変な物語を描こうとしている

今、「プリンセスブライト・ウォーロード」を書いている。

キャラクターが立ち上がり、あるいは物語が転がり始めたのはいつ頃からだったろうか。
今後無印プリンセスブライトのところでも触れるつもりだけど、そこにいないキャラクターの名前がなんのことはない会話の中で出てきた時に、自分の中ではもう、そのキャラクターは身体と思考を持ち、自分の意志で歩き始めている気がするんだ。
それはえてして断片的なものなので、それを繋ぎ合わせて描写していくわけだけど、いい話を書いてやろうとかそんな考えとはまったくかけ離れた所で、まるで既にある話をスケッチしているような、そんな感じになるんだな。

ツイッターなんかではしばしばこの物語について触れてきたし、サイトのシリーズ紹介のところでも以前から記述があったわけだけど、ついに書き始めるところまでこぎつけることができたわけだ。
「プリンセスブライト4」を手に取って頂いた方の中には、セシリアとアルフレッドの会話の中に"陥陣覇王"だとか"銀の乙女"といったフレーズが出てきたのを、覚えている方もいるかもしれない。
アッシェンとアングルランド、その百年戦争の末期から結末までが、今回の物語だ。
ちなみに無印プリンセスブライトはその百年戦争の決着間際で、ウォーロード自体はその少し前からの物語となる。

で、実際に書き始めるまでには、「果たして思った通りに書けるだろうか」「楽しんで書くことができるだろうか」という不安は常にあったわけだけど、それに対しては、まったくの杞憂だったことが、最初の1ページ目から明らかになった。
ずっと、この物語を書きたかったのだ。

ジャンルとしては、いわゆる戦記モノということになるだろうか。
ただファンタジーやラノベではあまり描かれることのない、政治や経済についても、できるかぎり描いていければと思う。
ただひたすら戦って、というよりは、自分が歴史や戦記を見る時にそうであるように、何故そんな戦がなされるのか、という部分は、しっかりと描いていきたいと思う。

そして物語の輪郭がハッキリしていくに従って、当初思い描いていたよりも、ずっと多様なものが描けることに気がついた。
描いていく人間一人一人に生があり、苦悩があり、喜びがある。
ある者は、子を成すこともあるだろう。
もちろんその前に恋愛があり、あるいはない中で生まれた者の、苦しみもあるかもしれない。
今回は、群像劇でもある。
物語が形を成していくにつれ、実に多くの、多様な価値観と人生を描けることに気がついた。
何が正しいとか間違っているとかではなく、それぞれが懸命に生きていく中で、どれだけたくさんのものが描けるかと思うと、たまらなくわくわくしてくる。

何を書きたい、これが伝えたいというのは、あえて設けなくていいと思っている。
ただ、生きていく人間の物語を描いていきたい。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索