尾上屋台 2017/05/08 07:54

マッチョドラゴンの担々麺

前々回の記事で、俺が浪人生の頃、タイ料理の店によく通っていたということを書いた。
他にも、東中野には結構通ってた店が多かったんだよ。
むちゃくちゃ美味い!みたいのはこの記事の最後に書くとして、当時俺がよく行ってたのは、例のタイ料理屋を除くと、四軒くらいかな。

西の方、でいいのかな、東中野知ってる人は、駅から大きな道挟んでちょっと行ったとこに、商店街があるのがわかると思うんだけど。
そこの洋食屋には、よく行ったかな。
狭い店で、いつも昼休みにはテレビで「笑っていいとも」流しててね(笑)。

この店で、多分生まれて初めてチキンカツってヤツを食べたんだけど、これが結構イケる。
ランチは色んな種類があったと思うんだけど、一通り食べた後は、ずっとこれを注文してたなあ。
割合チープな店構えだったんだけど、まあ俺はこういうとこで食べるのが結構好きで。
女の子連れてはなかなか行けないけど、一人だったり男同士だったら、こういう店選んで食べることが多いよ。
ただね、こういう話すると、結構行きたがる女の子は多かったりするんで、そういう子とは、ちゃんとした話ができるような気がするな。
いや、ちゃんとしたって何だよって話だけど。

でもあれよ、パッと見冴えなかったり、あまり綺麗じゃないなって感じの店は、こと食事する所に関しては、美味い店が多いよな。
雑誌で紹介されるような小綺麗なとこってのは、どうも雰囲気で流し過ぎっていうか、美味さで勝負できる店は、ホント少ないと思うよ。
この洋食屋は、そういう意味で、ちゃんと食事するところって感じだった。
もう二十年くらい前の話だから、今はどうなってるんだろうなあ。

この商店街では、もうひとつ、とんかつ屋のお世話にもなった。
家ではさ、あんま揚げ物って出たことないんで、一人で食事するようになってからは、定番であるにも関わらず、家では滅多に食べないものを中心に選んでいたように思う。
ここも結構美味かったんだけど、浪人生の懐事情では、しょっちゅう行けるって感じの店でもなかったかなあ。
大体600円前後で食べられる店を探してたんだけど、ここは昼の定食で、確か800円くらいいってたと思う。
老夫婦が営んでる店で、引き戸の入り口を開けるとさ、いかにも昔ながらのとんかつ屋というか、なんとも和風な、落ち着いた感じの店でね。
席に着くと、商店街の喧騒も、どこか遠くの世界の出来事って感じでさ。
たまにそんな雰囲気を味わいたくて、二週間にいっぺんくらい、ここで定食を頼んだりしてた。

あと、当時東中野の北口出てすぐのとこにあった、立ち食いそばにもよく行った。
安いんだよね!
あと、頼んでから品物が出てくるまでが、異常に早い。
なんか一品つけても、30秒以内に出てくるもんなあ。
そりゃまあ立ち食いそばですからね、器につゆ入れて、そば入れて、作り置きの一品乗せて、はいどうぞって感じですから。
昼休みって一時間くらいだから、時間かけたくない時にはよくここ行ったよ。
あと安い、確か200円くらいだったんで、浮いたお金を、道挟んで目の前にあるゲーセンに使ってた(笑)。
てかさ、時間もそうだけど、ちょっとゲーセン寄りたいなあって時は、迷わず立ち食いそばなのだった。

で、最後、タイ料理屋行ってた時もよく行ってたし、その後はメインになったのが、当時大通りに面した場所にあった、ラーメン屋なのだった。
タイ料理屋の時に触れたけど、当時の俺は辛いもんが好きだったからね。
ここで初めて、担々麺ってヤツを頼んだんだ。
もうね、すごい辛いんだけど、すごい美味いんだよ。
その辛さに耐えられない時は、担々つけ麺ってのもあってね、こっちだとつけ麺な分かなりマイルドになるんで、これもよく食べてたなあ。
全体的に質の高いラーメン屋で、何食べても美味いって感じだったけど、担々麺は絶品だったなあ。
あれから色んな担々麺食べてきたけど、今でもここが、No.1だな。

ちなみにここの主人、いや、主人は多分じいさんだけど、ここで働いてるおっさんがいてね。
その人が、なんか藤波辰爾に似ててさ、俺はこのおやじを心の中で「マッチョドラゴン」って呼んでたんだ。
もう途中から面倒くさくなって、単にドラゴンって呼んでたけど。
いや、本人に向かってそんなこと言ったことないけど(笑)。
ともあれドラゴンが、なんというか、人懐っこい笑みを浮かべる人でね。
愛想がいいというか、何かしら話しかけてくれたり、「いつもありがとう」って言ってくれたりね。
まあなんか、雰囲気もいい店ではあったよ。
ラーメン屋っていうか、下町の中華料理屋って雰囲気でもあったか。
ここはホント常連で、二日に一度はここで食べてた。

で、それから十年くらい経った後に、またあの店の担々麺が食べたいって思って、女の子の友人と二人、その店を訪ねてみたんだ。
久々に東中野訪れてびっくりしたのが、当時は常に工事してた大通りが、大幅に拡張されてたってことなんだ。
ちょっと嫌な予感しつつその店を訪ねてみると、というか、その店があった場所は、やはり道の一部になってたんだ。

あー、あの店なくなっちゃったのか、と一瞬あきらめかけたんだけど、待てよ、確かあの店には、おそらくドラゴンの息子と思われる男も働いていたなって。
で、息子が後継ぐかもなのに、そう簡単に、立ち退いて店たたむってこと、あるんかいなと。
そう思って、商店街の方歩き回ったり、駅周辺を見て回ったんだけど、それらしいラーメン屋はない。
途方に暮れていると、その友人が、電話帳で調べればいいんじゃないかって思いついてね。
いや、当時ネットはあったけど、スマホとかはなかったし、携帯にナビみたいなサービスも、あんまなかったから。
んなわけで、まずは公衆電話を探し、中のボックスにある、電話帳を調べることおよそ数分。

あった。
確かに、あの店の名前がある。
単に立ち退きに応じて場所を変えただけで、店は健在だったのだ。

で、およそ十年振りに入ったその店の味は、あの頃のままだったよ。
当然、ドラゴンもいたしね(笑)。
まあドラゴンは俺のこと覚えてない様子だったけど(ひょっとしたらどこかで見たことあるくらいは思ったかもだけど)、メニューなんかは、ほぼ当時のままでね。
美味かったよ。
あれから色んな担々麺食べてきたけど、やっぱりここのが一番だなって、あらためて思ったね。

ちなみに今でもこの店が健在なのか気になって、食べログで調べてみた。
あるね、今でも。
評価はまあ普通って感じだけど、口コミ書いてる誰もが、ここで本当に美味いもん食べてないのに、ちょっとイラっと来たよ(笑)。
メニューが結構多いのよ、ここ。
で、メニューやら価格帯やらがかなり広いもんだから、中には当然、んー、まあこんなものかな、というものもある。
担々麺食べなよ、って言いたい感じで(笑)。
他にもいくつか当たりのメニューがあるんだけど、誰もそれを食べてないものだから、あんまり食べログとかも、こうやって知ってる店になっちゃうと、イマイチ当てにはならんよなあ。
まあ口コミでレビューされてるとこだから、致し方ないわけでもあるんだけど。

そうだなあ、君がこの店で食べたいって言ったら、俺が案内するよ。
何よりもこれ書いてて、俺が今すぐにでも行きたい感じだからさ(笑)。
この店の担々麺は、君にも食べてほしいな。
辛いの苦手だったら、担々つけ麺が、マイルドでおすすめだぞ。

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