尾上屋台 2017/09/30 18:39

「メイドインアビス」

・アニメ公式


今期は当たりのアニメが多かったんですけど、これはまた特に良かったですねえ。
ホント、数日前に「プリンセス・プリンシパル」を今期一番、それどころか数年に一度の傑作と褒めたたえたわけですが、この「メイドインアビス」も同じくらいよかった。
他の作品も粒ぞろいだったこと考えると、僕的にはホント、2017夏アニメってのは、大豊作のクールでしたねえ・・・!

で、この作品、僕の作品も読んでくれてる方はわかると思いますが、似てるんですよね(笑)。
もちろんキャラやら展開やらはまるで違うわけですが、基本的な価値観が、ものすごく近い。
重いんですよ、命が。
それは戦う相手ももちろんですが、食べる命ひとつにしても、重い。
今食べてる物にしても、それがかつては生きていた命で、それを食べてるんだって部分が、しっかりと描かれてる。
ちゃんと哲学のある作品なんですよ。
それをこのポップな絵柄でやってるギャップもあって、あーこれはやられたなあと(笑)。

どうしようもないほどの憧れ、探究心が大きなテーマとしてあるんですけど、それはなんかふわふわとした感じじゃなくて、そこに至るまでの、まず生き抜くってところは、しっかりと描いてきますよね。
それは決して綺麗なものじゃないし、見ていて気持ちのいいものでもないんですよ。
多くの作品がそういうところを描いていない中、要所要所にそういう描写を入れるってのは、かなりそうしたところの意識が高いなあと。
ていうかこう、丁寧なんです。

あと、冒険/探険のテンポが実にいいですね。
舞台設定も良く、常に驚きと発見の連続なんですよね。
それはかつてのTVゲームのRPGが、描いていた世界の見せ方でもあって。
そこに逞しくもどこか頼りない二人が挑んでいくっていう、王道の展開でもあります。

キャラがまた、どれもいい味出してるんですよね。
なんかこう、ストーリーの必要性からそこに配置されたって感じじゃなく、もうホント、そこに必然としているって感じで。
なのでそれぞれに、描かれてない部分も含めて、物語があるんですよ。
なんとなく配置しましたってキャラにはこういう部分が希薄なんですけど、この作品にはそれがしっかりとあるって感じですね。
"殲滅の"ライザとか、動かざるオーゼンとか、通り名も実にいいセンスしてます。

あと命の重さにも関わってくるんですけど、痛みってものをしっかり描いている作品ですね。
それはリコが生死の境を彷徨うシーンしかり、ラストのナナチとミーティのシーンしかり。
実際の痛みも、心の痛みも、余すとこなく描かれていて。
さすがにねえ、あのラストは泣きましたもん(笑)。
アニメでしっかり泣いたのって、いつ以来だったろうって。

細かいとこでは、僕もサバイバル系の番組はCS放送でかなりチェックしていて、食べ物の探し方、怪我の直し方なんかは、自分の作るものでもちくちく出してるじゃないですか。
あまりそういった部分を描く作品の少ない中、この作品はまさにそういった部分の描写に力入れていて、そういう部分もいいなあと思ったりしたのでした。

僕と感性的にかなり近い作品だけに、描き方、アプローチの違いってのは、ホント勉強になりました。
僕のがややハードボイルドの方向向いてるのに対して、一見ポップな冒険譚って違いですね。
でも結局のとこ、描きたいものは似てるんだろうなあって。
描く、っていうのは、要はこういうことですよねってのを、高いレベルで見せてもらって、いい刺激にもなりました。
これはホント、いい作品ですよ。

これは機会あれば、原作にも触れておこうと思いました!

僕ももっと、心の軋むような作品が描ければと、あらためて思った次第です。

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