尾上屋台 2017/12/26 22:06

「魔法使いの嫁」

・アニメ公式


見てる内に段々と味が出てきた「少女終末旅行」や、前期から充分面白いとわかってた「将国のアルタイル」と比べて(ってのも変な言い方ですが)、今回初見で初めから終わりまで安定して面白かったと感じたのが、この作品ですね。

すごく目新しかったりオリジナリティがあるって感じじゃないんですが(さらに言うとややご都合主義的な設定や展開もあったりするんですが)、 そういうのは全然気にならないくらい、話としてちゃんとしてるなあと。
僕はよくここで「丁寧に描かれてる」ってのを褒め言葉として多用してると思うんですが、この作品こそまさに、丁寧に描かれた作品だなあと。
人によっては地味に感じたり、ちょっとテンポ悪いように感じるかもですが、主人公の感情ひとつひとつをきちんと描いていくと、こういう形ってのはひとつの完成形なんじゃないかと思います。
という言い方が出来る通り、荒削りな部分がありつつも、実に完成度の高い作品だなあと。

物語の筋ってものもきちんとあるんですが、主軸になるのはあくまで主人公の心の揺らぎであって、この作品ってのは何を描くのかって部分が、終始ぶれてないなあと。
他者の視点を描きつつも、軸は主人公の気持ちってのがあるもんですから、何か新しいキャラが出てくると「出会い」って感じがするんですよ。

かなり閉じてるし、こじらせてる部分が大きい主人公なもので、そういった孤独感が、新しいキャラの登場によってちょっとずつ開かれていく感じがするんで、「出会い感」があるんでしょうね。
キャラだけじゃなく、シーンだったり展開だったりもするんですけど。

であるとやはり、主人公が思春期である必要ってのがあるんですよ。
時折、これって主人公が十代である必要ってある?みたいな作品もあったりしますが、この作品に関しては、間違いなく主人公がそうである必要がある。
自分だけの世界に閉じこもっていた少女だからこそ、何か新しいものに出会って、それを少しずつ受け入れていく過程が描けるというか。
成長って色々なパターンがあると思うんですけど、この「他者を受け入れていく」って部分は、間違いなく成長ですよね。
器なんて言い方もしますけど、どれだけ自分と異質なものを受け入れられるかってのが、子供が大人になる過程だと思うので。

そういう部分を、なにかひとつの出来事でポーンと成長しちゃうんじゃなく、ひとつひとつ丁寧に描いてるって意味で、僕的にはよくできた、素晴らしい作品だと思います。
また演出的な部分でも、そういう心情とシーンが上手くマッチしてて、よくできてるんですよ。
開放感や達成感を、そのまま無条件に良いものとして描くんじゃなく、話と絡めて、ちょっとした寂寥感、喪失感や、物悲しい雰囲気を残したまま描くっていう。
いやこれ、よくできた作品ですよねえ!

と、この作品はこのまま2クール目に突入なので、続きも楽しみにしたいと思います!

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