尾上屋台 2018/03/26 20:56

「魔法使いの嫁」2クール目

・アニメ公式


前期同様、基本的に丁寧に描かれてる作品であることには変わりないかなと。
メインのラインであるカルタフィルス関連よりかは、一、二話でまとまる小話の方が展開上手いなあと感じるくらいで。
前回書いた通り、よくできた、面白い作品なんですよ。

で、この2クール目、エリアスが思ってたよりずっと色々なことを知らない、いわば子供だったってとこがキモなのかなあと。
大体ちせがね、そういうとこあるわけじゃないですか。
ある意味中身は子供同士のカップルみたいになるわけですけど、ここにちょっと書き手が苦戦してるような感じも受けましたね。

最初にポンと、自分より色んな意味で上の存在として現れた、いわば庇護者のエリアスを、逆にある面で庇護する存在にしたってのは、結構思い切ったなあと(笑)。
ちょっと、色んな意味で願望充足型な感じもしますよね(汗)。
まず庇護者、次に弱者、そして弱い者同士これからは手を取り合って生きていこうみたいなのって、ものっすごいテクニカルな感じですよね。
いやこれ、初めから予定にあった展開だったのかもですが、この方向転換はちょっと難易度高かったんじゃなかろうかと。

願望充足型って書いたのは、これっとある意味生々しい、恋愛で相手にそうあってほしいと思う、そういったニーズをよく表してるんじゃないかと思ったわけですよ。
まず守ってほしい、でも自分に余裕出来たら守る側に回りたい(下に見られたくない)、みたいな、結構身勝手な心理だったりするんで。
これね、友情だったらまったく問題ないと思うんですけど、恋愛だったりすると、ちょっとややこしいことになってきますよね(笑)。
そういった視点で、庇護者である相手を見る、くらいだとその辺の見方と事実の揺らぎが面白かったと思うんですけど、実際エリアスがそうなっちゃったでしょう。

これやった時点で、えらい心理描写が複雑にならざるをえなくなったと思いますよ。
リアルだったら単にぐちゃぐちゃするって話で、それ描くだけでドラマになると思いますが、あくまでこの作品では、ちせとエリアスを綺麗なものとして描いていくじゃないですか。
それは概ねエリアスの暴走、たまにちせの暴走みたいな形に落とし込んでたわけですが・・・。
で、今期ではその難しい部分をもうひとつ、漫画に落とし込めてなかったような気もします。
こういった関係性の二人の話を、すとんと着地させるのは、大変だったろうなと。

けど逆に言えば、よくそれを漫画でやろうと思ったなあと。
小説とかだと心理描写を豊富に描けるんですけど、基本台詞と動きで見せてく漫画だと、ちょっと山場作らなきゃいかんみたいな制約もありますし、大変なことだったんじゃないかと。

ただ、ちせというキャラクターはまったくぶれてなかったんで、そこは救いだったかなあと。
これも前回に書きましたけど、この子は他者を受け入れていくことで成長するっていう、意外とまっすぐな部分を持ってるじゃないですか。
ここに一本筋通ってるんで破綻せずに済んでますけど、この二人の関係性って、見た目よりずっと脆いですよね。
特殊な環境がなかったら、続かないような気もしますもん。

そんな感想だったんで、見終わった後に、絵的には綺麗にまとめてても、なんか落ち着かない感じもしたんですよ。
でもこれ、原作は五月から新展開って感じで、連載再開するみたいですね!
そうそう、これもうちょっと続き描かなきゃいかんよって思ったんで、ある意味ホッとしたというか(笑)。
そちらも話がある程度溜まり次第、アニメ化してほしいですねえ。
上手く着地しないのが二人の関係性なのかもですが、であればこそ、この二人の物語はもっと続くべきだと、そう思ったのでした。

あ、ややネガティブな感想になってしまいましたが、前期同様完成度の高い、良い作品だと思いました!

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