尾上屋台 2018/05/27 03:30

「プリンセスブライト」




やっとこさ、ここまでやってきたよ。

そんなわけで、版権モノで迷走しつつも、このまま何か良さげなものを探し続けるのかなあと思っていた矢先、ある出来事が起きたんだ。
端的に言うと、もう絵を描く暮らしはできないかなあという状況になってしまって。
まあ、これについては別の機会にちゃんと触れような。

ともあれ、もう売れなくていい、最後に自分の好きなことを目一杯やろうと思って始めた、ないしは終わらせようと思って作ったのがこの「プリンセスブライト」シリーズなんだ。
でも、人生わからないものだねえ。
結局これが、絵を描き続ける、作品を作り続けることになるんだから。
作ってる時点では、これが最後って感じで、作ってたんだよね。
あ、この一本が最後って意味では、厳密にはないんだけど。
ともあれ、もうそれまでの感じでは作品作り続けられないとは思ってたんだよね。

で、ご存知のように、これが一番売れた(笑)。
作って、販売申請した時点では、一本も売れない、ないしはひょっとしたら、これまでの作品手に取ってくれた人が買ってくれて、二、三本は売れるかなあという、全く何の期待もしてないと言ってもいい感じで。
ある意味、無心で作った作品とも言えそうだよね。

以下、テーマ毎にいくつか振り返ってみるよ。


・世界観

ずっと以前から、「パンゲア」というオリジナルの世界観は、頭の中にあったんだ。
走り書き、メモ書き程度だけど、ある程度の世界設定は、あった。
それこそ子供の頃からちくっとずつ頭の中に構築されてた設定で、いつかオリジナルで何かやれたら、と思いつつ、この日までなかなかその機会がなかった。
これよりずっと前に書いてた二次創作の小説があるんだけど、そこのキャラたちを、いずれはここに移住させようという計画もあったりしてね。

なので、オリジナルでやろうと思った時に、ああ、ここを使えばよかろうと。
やっと、日の目を見ることになりました。

出してる部分は、サイトにあるもの(パンゲア設定)は本当に氷山の一角で、聞かれれば実に様々なことに答えられるくらい、詳細なものがあるんだよ。
考察に耐えられるくらいの重厚な設定、というのが、目指してるところでもあったので。


・キャラクター

このプリンセスブライトを始めるにあたって、まずお姫様とお付きの二人、というのが頭にあって。
最初は、お転婆姫とおっとりメイド、という設定だったんだ。

でもこれだと、以前に書いてた小説となんとなく似てきちゃうので、あえて逆にしてみた。
ちょっとおっとりしたところがある主人公ってのは、今まで作ってきたものでもやったことない要素だったので、ちょっとチャレンジブルでもあったよね。

最後と思いつつ、何気に新しいことにチャレンジしてみようって気概だけはあるんだな(笑)。
自分の好きなことだけで作り始めた作品だけど、大体俺は何か新しい要素にチャレンジすることが大好きだったりするんでね。
なので今まで得意としてきたものの焼き直しみたいのを、避けたいってのがあったんだな。
そもそもそれだと、作っていて楽しくないもの。

セリーナとレベッカ、二人については、それぞれ紹介やらメイキング的な記事を、後日書くことにするよ。


・ふたなり

これまた挑戦的な。
というのもそれまでふたなりなんて描いたことなかったし、趣味でもなかったからねえ(汗)。
ただ、描いてみて、ハマりました。
エロで食ってる人って、何かしらニッチなニーズに刺さる要素を持ってる人がほとんどだと思うんだけど、俺の場合はそこがなかったからね。
そういうとこも、ここまでちょっと、弱かったことの要因だと思った。

俺の場合、まず画力が足りないってのもあるんだけど、変な話、自分より(デッサン的に)下手な人でも、すっごい売れてる人なんかはいるわけよ。
今言ったニッチなニーズみたいのもあるんだけど、そういう人の作品は、まずエロいんですよ。
要は、これがえっちぃんだよ、みたいのを、きちっと表現できてたりする。

まず、そこを掴むことなんだろうね。
上手い人なんか、ある意味いくらでもいるわけだけど、みんな上手くいってるかっていうと、そうでもない。
上手くなってくってのはもちろん絶対に必要なことなんだけど、画力的に発展途上でも、ここは押さえたい、この場合で言えば、エロさを感じさせる、という部分を掴めると、そこそこなんとかなるのかなと。

と、ふたなりに話戻すと、普通のエッチだと、悪いヤツや怪物に襲われる、みたいな展開ばかりになっちゃうかもなあって。
二、三話で終わらせるならまだしも、それの繰り返しじゃ、話長く続けられないなあと。

セリーナとレベッカを百合百合で絡ませるにしても、なんていうのかな、女の子同士の、普通の絡みだけだと、絵的にちょっと弱いかなあというのもあった。
百合関連って、体位が限られてくるってのもあるんだけど、なんとなくこう、絶頂感みたいのが作りにくいなあってのがあって。
一枚絵でぱぱっと見せるには充分なんだけどね。
そこでふたなり、それもシチュエーションによっておちんちん有り無しみたいに、バージョンを増やせれば、絵的にも多少強くすることができるかなあというのがあって。

でもこれ、不思議だよね。
この一本でラストでいいかなって思いつつも、その後に繋げられるよう、色々仕込んであったりするんだよ(笑)。
続けよう、続けたいって意志がなくても、もし続けることがあれば、という仕込みは作ってあったりするんだよね。

ただ、「全部で十本くらい作ろう」みたいな目標感は皆無で、今でもそうだけど、目標は次の一本だよ。
この時も、先々の話はざっくり頭の中にあったんだけど、とりあえずこの一本で終わってもいいと、そんな気持ちで作ってたんだな。


・物語

これは、できるだけシンプルに作ろうと思った。
今では結構込み入った話も作ってるけど、まだキャラも少ないし、変に話を複雑にするよりかは、あくまでセリーナとレベッカはこんな人ですよ、セリーナが旅に出るのはこんな話ですよ、と、もうそれだけ伝わればいいかなと。

話の比重って、キャラが立ってからじゃないと、話そのものにキャラが引っ張られちゃう、結果キャラが弱くなっちゃうなと。
ノベルゲームくらいの尺があればストーリーに比重かけていいと思うんですけど、CG集で、絵、それもえちぃ絵がメインですからね、まずはできるだけシンプルな話で、セリーナとレベッカを知ってもらえればなと。

二人のデザインを、一発でキャラがわかるようなものにしたってのも、同じような理由からで。
パッと見て大体こんなキャラかっていうイメージ作ってもらって、話もそこから大きく外れないようにして。
意外性みたいのは、もうちょい話続けてからでいいんだよね。
ていうか、キャラのイメージが出来上がる前に意外性出しても、それも初期設定みたいな感じで捉えられちゃって、意外性にならないわけで(笑)。

この一本では、あくまでキャラのイメージを掴んでもらう、その為の物語って感じで作りました。


・売り上げ

前述した通り、背水の陣で臨んだこれが、一番売れました(笑)。
いやはや、ホントかよって感じで。
一時間ごとのランキングでも、丸一日くらい3位だったと記憶してる。
珍しく、ランキングにかじりついちゃったもの。
いや、これまではずっとランキング下位だったもので、そこに関心持てなかったんですけどね(汗)。

一位は売れてるゲーム作品で、まず桁が違ってたので、こりゃ勝負にならないなと。
二位は、何日も前からむちゃくちゃ売れてる作品で、これもまたしょうがないなと。
三位ってのは、その日販売された作品の中で、一番だったんだよ。
結果、その日だけで50本弱、一ヶ月で108本(覚えてる)、それまででもっとも売れた作品になってくれました。
発売前は、さっき書いた通り一、二本、それこそ0本の可能性が高いなあと思ってたんで、まさか、まさかだったよ。

ただ作り終えた時は、0本でいいから、次も作ってやろうという気持ちにはなってた。
俺自身がさ、セリーナたちの旅の続きを、見たいと思ってたんだ。
で、いつか一人でも、こんな作品があったんだなあってことに気づいてもらえればって気持ちだったんだ。

結果これが売れてくれたことで、今もこうして、作り続けることができている。
あの時、そしてその後にでもこの作品を手にしてくれた人に、心から感謝したい。
君のおかげで、今もこうしてセリーナたちの物語を、紡ぎ続けることができているよ。


一度くらい、売れたいとか売らなくちゃとか、そういう気持ちを投げ捨ててみることも、大事なのかもしれないね。
今、このシリーズには売れてほしいとは思ってるけど、なんていうのかな、それまでの版権で感じてた「売れてほしい」とは、また違った心持ちでいる。
見てほしい、セリーナたちの冒険を知ってほしい、そんな感覚だよ。

結果、もう一回絵の世界で頑張ってみるかなって気持ちになった。
知ってほしいから、今後も出来る限り続けていくつもり。
それこそ今後の売り上げがが0本になっても、作り続けると思うよ。

たとえ誰も手にしなくても、そこにはセリーナたちがいて、泣いたり笑ったりしながら、旅を続けているんだからさ。

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