尾上屋台 2018/06/23 09:23

「グランクレスト戦記」2クール目

・アニメ公式


前期の感想ではこの作品そのものについてはあまり触れられなかったので、あらためて、今期は作品について。

1クール目はちょっと色々わかりづらい、いや、頭には入ってくるんだけど、すとんと気持ちの方に入ってこないかなあとか思ってたんです。
けど、今期についてはテオが自分のモチベーションで動き始めたこともあって、なかなか面白かったです。

やっぱ、序盤からもうちょい主人公の我みたいなものが見たかったんですけど、まあ初めは力不足ということで、このクールから本番かなと。
ただ、僕は原作未読なんで、ちゃんと文章で読んでたら色々心理的なものの描写もあったのかもしれないですね。

あと、これって原作10巻かなんかでしょう?
それなりに密度濃い展開を描いてる作品だとしたら、10巻を2クールって、結構飛ばしてるんじゃないかと。
というのも、比較的キャラが立つ前に、なんつうのかな、ポジションが与えられてるというか。
あ、これはキャラの身分とかと関係なく。
このクールではテオの周りにキャラが集まってくるわけですけど、そこでのポジションというのかな、それがやや、唐突な感じもあったりして。
で、これ多分、原作ではその辺りも描かれてたんじゃないのかと。
推測になっちゃいますけど。

アニメだと、やや唐突に感じる部分でも、どんどん流れていきますからね。
このクールはテンポもよく、物語もきちんと展開してたと思いますけど、逆にアニメ故に、ちょっと立ち止まりたいなと思っても、物語は進んでいくという。

でも確実に、1クール目よりも面白かったと思います。
おそらく、主人公が動き出したってのと、シルーカによりスポットが当たったからだと。
いや、シルーカがかわいいんですよ。

ヒロインってのの王道パターンっていくつもあると思うんですけど、ちょっと気が強い、でも時折弱い部分も見せ、みたいなパターンとして、横綱級のいい出来ですよね。
1クール目から、シルーカ見たいなあと思ってこの作品見続けたってところもあって。
たとえそれがメインじゃなくても(シルーカはメインですが) 、魅力的なキャラクターがいるってのは、多分ラノベでは絶対外しちゃいけないところだし、また映像作品との相性もいいんだろうと思います。
変な話、他の作品でも、話そのものは平凡でも、物語に触れればまたそのキャラクターに会えるってのがあると、作品そのものの力が違ってきますよ、やっぱ。

キャラのポジショニングにやや唐突感がありつつも、基本的に各キャラの魅力がぶれないってのも、この作品の魅力だと思います。
そこに関しては、終始しっかりしてるんですよ。
変節する時でも、ちゃんとそこに対する伏線は張ってるんですよね。
そうあってほしいと思わせて、そうなるみたいな。
マリーネなんかは、その好例ですよね。
そういうとこがちゃんとしてるんで、多少話を端折ってると感じても、作品として見れるというか。

ラスト近辺、混沌か秩序か、みたいな問答は、多少粗忽な感じもしました。
結構な難題で、どちらかに振り切ろうという意志を示すのは、乱暴かもしれないなと。
でもそれは、主人公たちが選んだ道として描いたので、良いのではないかとも思います。

で、ラストのラスト「彼は故郷を幸せにする為に、世界を変えたのだ」は実に良い一文だと思いました。
大体「世界を救う」みたいな方向に行くラノベやゲームって、これだと思うんですよね。
これに恋愛的な要素を強くすると、一時期流行った「セカイ系」みたいになっちゃうといった感じで。
それ自体は否定しないんですけど、セカイ系はよほど話そのものが面白くないと、陳腐になっちゃいますからねえ。
この作品は、そもそもが大陸全土を巻き込む戦争を軸にしてるんで、セカイ系よりかは全然世界してるというか、その意味で、テーマはしっかりと消化しています。
話が完結するところまでちゃんとアニメ化したってのがまずあるんですけど、その辺りの構成は、間違いがないんですよね。
きちんと、物語として成立してるんです。
この辺りはやはり、水野良のベテランとしての力は実にしっかりしてると。
いや、さすがです。

水野良の作品は、ロードス島戦記以来だったんですけど、また新作出たら、アニメ化してほしい感じですね。
今のラノベの潮流作った人だと思いますし、やっぱアニメ化との相性は実にいいんですよ。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索