尾上屋台 2018/06/29 16:36

「銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE」

・アニメ公式


銀英伝、二度目のアニメ化ですね。
ちなみに、前作は見てないんですけど、原作の方は学生の時に読みました。
で、こうしてあらためて話を見返してみると、細かいとこってのはまったくと言っていい程覚えてなかったりして、そんな自分にびっくりやらがっかりやら、です(笑)。
おかげで、まったく新規の物語見るようにして楽しめましたけど。

ものすごく昔の作品とは思えないくらい、今の時代に合致した台詞回しが多いんですけど、やっぱこれって、人や国、政治を考える上で、基本の事柄が多く話されるからでしょうね。
これが結構直接的な言説に聞こえるってのは、それだけ今の時代が斜陽に向かっていることの証左だろうなあと。
もうちょい豊かで寛容な時代だったら、単に普遍的な話にしか聞こえなかったと思うんですよね。
今、この時代にリメイクする意義の大きかった作品であると同時に、そうじゃない時代に見ても、やはりそのメッセージ同様、普遍的な作品なんだろうなと思います。
今の時代に書かれた物語だったら、もうちょい女性キャラも多いんでしょうけどね(笑)。

まだこの段階ではファシズムの限界はさほど描かれてないんですけど、同盟側、民主主義の限界と問題点は、しっかり描かれているなあと。
田中芳樹の作品って、設定が実に緻密というか、 おかしなところがないんですよ。
その立場の意味や、その選出方法とか、行政に関する知識がしっかりあるんで、どの作品見ても、単に「王様」とか、軍人でも偉いというだけの「 大佐」みたいなのが出てこない。
なぜその人がその立場にいるのか、能力だとか血筋だとか制度だとか、そういうのがきっちりしてるんですよね。
ちゃんと、世界設定ができてるんです。

余談ですけど、僕が思春期に触れたSF、ファンタジー、その他フィクションって、大体がこういう感じだったんです。
なので僕も自分の世界観作り始めた時に、やっぱり無理のない、きっちりとしたものを作り上げなくちゃいけないというか、それが当たり前という意識があって。
僕は多分、あくまでそれに関わる仕事をしてない人間の中では、比較的政治とかに詳しい方だと思うんですけど、それも大体は、自分で設定練り上げていく過程で学んだものが多いんですよ(半分くらいは政治に詳しい大人たちに酒の席とかで教えてもらった)。
最近は設定についてずぼらな作品も少なくはないんで、あらためて、この時代の作品ってのは、こうだったよなあって。

で、その辺がしっかりしてるんで、ちょっと真理をついたような台詞でも、耳障りのいい精神論のお題目って感じじゃなくて、地に足着いた言葉になっていくわけで。

ただ、田中芳樹の作品って、台詞回しもそうですけど、それ以上に文章が美文麗文じゃないですか。
なので映像化した時に、あの面白さがちゃんと表現できるのかちょっと心配でしたけど、この作品に関しては杞憂でしたね。

続編は、劇場でってことなんですかね。
ともあれ、続きも楽しみにしましょう!

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