尾上屋台 2020/10/15 07:09

アナスタシア

 久々再開、ていうかまだセリーナとレベッカにしか触れてなかったけど(汗)、ウォーロード第一部も完結したことだし、そちらのキャラのメイキング的なものも、ちくちくやっていくことにしますよ。
 とりあえずウォーロードのキャラでは主人公のアナスタシア、ジル、ジャンヌ、アニータ辺りを、まず。

 で、このアナスタシア。
 ウォーロードの主人公ね。

・サイトのキャラ紹介
http://bokenfantasy.web.fc2.com/pbw-chara/anastasia.html


・モデル

 モデルとかは、まあ主人公格とか、メインに近い人間に関しては、特にないんだ。
 アナスタシアも、またしかりで。
 主人公ってのは物語が出来上がってく過程で、自然と立ち上がって来るキャラだしね。

 ただあえて言えば、物語でよく出てくるような、"不遇の将"みたいのは、明確なイメージとしてあった。
 そういうキャラが好きなのだよ(笑)。
 まあそういうキャラって、結局不遇のまま終わるから"不遇の将"なんだけど、アナスタシアに関しては、その後を描きたいってのがあった。

 なので物語を始める、物語内の時間ってのは、もうちょい始める案もあったんだよ。
 これ、物語自体も近々振り返りの記事書く予定なんで、詳しくはそちらに譲るけど。
 不遇の時代を描くかどうかは、それなりに悩んで。
 ともあれ、物語は、あんな感じで始まる。


・デザイン

 シニヨンの一種ってことで良いのかな。
 Fateのセイバーとか、現実だとウクライナの政治家ティモシェンコとか、ああいう髪型ね。
 あれが昔っから大好きでさ、いつか主人公でやってみたいとは思ってたの。
 東欧の方では伝統的な髪型で、ロシアを下敷きにしてるアナスタシアに、ぴったりだなとも。
 銀髪好き、というのもあるな(笑)。

 編み込んだ髪、みたいのも好きで、この髪型はそれも兼ねてるしね。
 ちなみに髪だけじゃなく、ちょっと編み込んだもの自体が好きで、ドワーフのおっさんが髭編み込んでるのも好きなんだよ(笑)。
 編み込み好き、と。

 茫洋とした顔ってのも、初めからあった。
 ちょっと何考えてるか、わかんないみたいな。

 ことデザインに関しては、ほとんど迷いなくすんなり仕上がったと記憶してる。
 最初の一人であるアナスタシアを描き始める前に、既に物語の大まかなプロットが頭の中に出来上がってたからね。
 もうそこで活躍するアナスタシアを、そのまま描けばいいって感じで。
 メインのキャラに関しては、細かい装飾やら何やらで迷うことあっても、基本的な輪郭は明確にイメージできてるんで、アナスタシアもまた、描くのに苦労することはなかったよ。


・人格、価値観

 アウェイキングの主人公セシリアなんかは、自分の憧れを描いてるんだ。
 主人公の人格って、やっぱ作者の何かかから沸き上がったものじゃないと、正直続けてくのしんどいと思うしね。
 セシリアは、別に理想の女性ってだけじゃなく、理想の人間って感じ。
 自分の、理想が反映されてる。

 一方アナスタシアは、自分と価値観が同じ、という感じで。
 性格は、俺とは全然違うよ。
 あそこまで肝が座ってたり、気が長いわけでもないしね。

 ただこう、実際にアナスタシアがいたとして、何が大切で、あるいはそうでないかとか、その価値観は、なるべく同じにしようと思った。
 やっぱ自分に近い何かじゃないと、なんていうのかな、キャラが物語の中で、役割を演じちゃうんだよ。
 このポジションだから、こう動くみたいな。
 キャラが増えていくと、どうしてもそういうキャラは出て来るし、また必要でもあるんだけど、主人公にそれやっちゃうと、物語がテンプレ化していくというか、ダイナミズム、個性に欠けると思うんだな。

 まあテンプレは短い尺とかでそのキャラを表現するのに有効な手段の一つだと思うんで、それ自体を否定する気はまったくないんだけど、とりあえず自分の書く物語で、なおかつ主人公で、それはやりたくないなあと。
 ていうか、書いてて飽きちゃいそう(汗)。

 ともあれ、アナスタシアは、自分と同じ価値観であることが、一応のスタート。
 一応、というのは、物語が進んでいくと、ちょっと自分が思いもしなかった考えであったり、価値観を手に入れたりするしね。
 そういうものが少しずつ出てきて、ああ、アナスタシアも、なんか独り立ちしてきたなあって(笑)。
 まあでも、今の時点ではアナスタシアが大切にしているものと、自分が大切にしているものに、そう大差はないかな。
 今後、どうなっていくかは、筆者としても楽しみにしたいところ。


・名前

 アナスタシアって名前は、実は自分がゲームとかやる時に、よくつける名前だったの。
 今じゃこの"アナスタシア"がいるんで、つけないことも多くなったけど。

 モデルはロシア出身でアナスタシアっていうと、例のロマノフ王朝最後の一人(?)を思い浮かべ気味だけど、ロシア語のカタカナ表記だと、「アナスタシーヤ」になるんじゃないかな。
 でもまあ、主人公はアナスタシアだ!と決めてたんで(笑)、共通語(こっちでの英語に近い)の名前をつけられている、みたいな設定にして。
 まあこの辺は、作中一話目で述べた通り。


・通り名

 「陥陣覇王」ってのは、意図的に大袈裟にしたの。
 そんな大仰な名前、と本人がちょっと嫌がるようなイメージで。
 そういうの知らない読者からは、なんか字面的に格好いいかも、かつ笑っちゃうような大袈裟さを感じさせない名前ってことで、少し考えたよ。
 「陥陣」って部分で戦に関係してそう、で、「覇王」って部分で、おおっ、って(笑)。

 最初にこの名前が出てくるのは無印プリンセスブライト4話目で、逆に言うとこの時点で、ウォーロードの大体の骨子ってのはできてたんだな。
 ホントはアウェイキング書き終わってからウォーロードに着手しようと思ってたんだけど、まあ鉄は熱い内に打て、で。
 元から戦記モノはずっとやりたかったんで(前に二次創作でちょっとやったけど)、やれるんだったらさっさとやっちまおうと。

 その時に出てきたもう一つの通り名「銀の乙女」に関しては、追々出てきますよ。


・設定文

 余談になるけど、それぞれの物語の主人公、設定の文章が短めなのは、もうほとんど一から十まで、自分の中で明確にイメージできてるキャラだからなんだな。
 セリーナ、セシリアと、ちょっと短いでしょ?

 逆に長くなってるキャラって、デザインと設定考えてる時点で、ちょっと自分で掴めてないキャラだったりするの。
 要は、「ここからはみ出しちゃいけない」みたいなポイントを、ちくちくと打ってく必要があって。
 このポイントが足りないと、役割を演じるだけになっちゃうんだな。

 もっとも、書きだしたら、そういう心配なんて、吹き飛んでしまうことも多いんだけど。
 無印で言えば、ヒヨルスヴェイズ(ヒヨ)なんかは、設定長いけど、動かし始めたら(物語を書き始めたら)、なんかもう昔から描いてたキャラみたいに、自分の足で歩き始めたよ。
 あー、あんなに長い設定書くこともなかったなって。

 ともあれ、設定の長短は、物語書く前に、どれだけイメージが固まってるかってのの、指標になるかもだね。
 んなわけで、アナスタシアは、短い。


・自分の店を持ちたい

 料理人としての修行を始めるってのは、いわゆる"強い傭兵隊長"だけをイメージしてる人にはやや唐突に思えるかもだけど、一応唐突にならないよう、一話目から布石は打ってあるからな(笑)。
 料理人と傭兵隊長、別に変なギャップを狙ったわけじゃなくて、彼女の中では、どちらもやりたいこと、目指すべきとこなんだよ。

 これ、ちょっとヨーロッパ的な発想というか。
 日本人だと、なんか一つの職業極めるのが美徳、みたいのあるじゃない?
 職人的な仕事だとそれはアリなんだけど、ヨーロッパの人の考え方って、ちょっと違うんだな。
 ちょっとキツ言い方すると、職人でもないのに同じ仕事続けるのは、他の職業に就けない無能か、反対に自分の理想の仕事に就いてるか、どちらかみたいな。

 この考えさ、初めて明確に触れたのは、テーブルトークRPGの、「ウォーハンマーFRP」なんだよ。
 厳密に言うと、それに前後した一連のヨーロッパ産TRPGというか。
 あ、ちなみにウォーハンマーFRPはつい先日邦訳された最新版じゃなくて、第一版と第二版ね。

 わかりやすいんで(かつ最も継続的にプレイしたので)ウォーハンマーFRPを例にとると、あのゲーム、PCを一つの職業で続けると、あっという間に煮詰まるようにできてるんだよ。
 経験値を能力値やスキル、タレントに振り分けてくんだけど、そこ育てきった後は、同じ職業を続けてく意味って、ないの。
 なので次々とジョブチェンジして、新しいスキルや、能力値の上昇を図っていく。
 で、ひとつの完成されたキャラになってくって感じなんだよね。
 次になれる職業のツリーってのは多岐に渡っていて(かつ職業が膨大にあって)、どういうキャリアを経てきたかってのが、まさしくキャラクター(個性)になると。
 端的に言って、同じ仕事を続けることは、成長に繋がらない、みたいな考え方がある。

 これ別にウォーハンマーFRPに限ったことじゃなくて、当時出た(あるいは今も出ている)ヨーロッパ産のTRPGって、大体似たようなシステムで。

 んで、現実世界だと特に北欧に顕著だけど、同じ仕事って、職人じゃなくかつ組織のトップに近い位置にいない限り、まあ続けるもんじゃないと。
 続けるとしたら、余程理想の仕事なんだと。
 日本だと考えられないけど、一つの会社に三年勤めると、長い、みたいのあるしね(笑)。
 よく日本でも外人の社長やCEO連れて来るけど、大体三年くらいで辞めるでしょ?
 その実績もって余所に行く、のがあっちの基本的な考え方なんだよな。
 職種自体大幅に変えることも少なくないしさ。

 で話戻すと、アナスタシアってのは傭兵やめたら自分の酒場持つってのが始めからあって、その夢と今の自分のかけ離れた現実ってのに、ちょっと悩んでる。
 両方やっちまえってセシリアにけしかけられなかったら(笑)、今もそれに悩んでるだろうね。

 ちなみに兼業する、どこかに勤めながら個人で法人格立ち上げる、みたいのも向こうでは結構一般的で。
 大変だけど、できるならやる、みたいのはありますわね。

 そういう話とか、ヨーロッパの人間の話とか聞いてる内に、その時点ではウォーロードの構想なかったけど、ああ、ヨーロッパの人間に、こういう感覚ってあるんだな、みたいのは昔からあったんだな。

 これ、アナスタシアに限ったことじゃなくて、特にウォーロードに出て来るキャラって、何かしら別のバックポーン持ってることが多いでしょ?
 軍人にしても、別の職業からの成り上がりか、貴族って別の顔を持ってたりする。
 俺が感じるヨーロッパっぽさって、別に職業観だけじゃないけど、そもそも人間って、今やってるひとつの職業だけで語れるものではないしね。
 キャラも、その役割を演じるだけの一体のキャラ、ではなく、一人の人間としてイメージしていきたいと思ってるのよ。

 大体、ひとつの物差ししか持ってないって、狭いじゃない?
 狭さが活きるパターンもあるけど、そういった例外を除いては、きちんとそれぞれの物差しを持った、一人の人間として扱いたいってのは、ある。
 アナスタシアは、そのわかりやすい例として、物語の中で生きてるんだな。

 もうひとつ、アナスタシアが自分の店持つってキャラになったのは、間違いなく俺自身の経験がある。
 ていうか、俺が絵描き以外で一番長くやった職業って、飲食店なんだよ。
 だからアナスタシアも描きやすいそれにした、というわけではないんだけど、なんか自然と、いつか自分の店を持ちたいなんてキャラになった。
 彼女がこれから酒場で働いていく様ってのは、だからそれなりに地に足着いた描写になると思うよ。
 自分と同じような価値観、となった時に、もう自然とそうなってたって感じだよ。


 アナスタシアに関しては、まだまだ語りたいことあるんだけど、長くなってしまったんで、とりあえずここまで。
 またここで書くかもしれないし、後は作中で感じてもらえればってのもある。

 とにもかくにも、今後ともアナスタシアという、ちょっと不器用な娘の生き様、見てやって下さい!


「プリンセスブライト・ウォーロード」
http://bokenfantasy.web.fc2.com/pbw-novel/pbw.html

小説家になろう連載版
https://ncode.syosetu.com/n2885gh/

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