「錆喰いビスコ」
・アニメ公式
https://sabikuibisco.jp/
今作はアニメ化の前から文庫の宣伝してましたから、作品名だけは知ってて。
でもまあ、そういうのって大抵アニメ化されますから、いよいよ来たなって。
物語そのものに「うわ、これはすごい!」みたいのは特に感じることはできず、されど戦闘シーンとかの必死感、決死感みたいなものから、原作の地の文はかなりのものなんじゃないかなって想像はできて。
ですが、これある意味アニメ向きなんじゃないかって思ったのが、とにかく世界観が独特で。
砂漠で魚の群れや鯨が飛びまくってるOPなんか、その最たるものじゃないですか。
矢を放つとキノコが生えてくるってだけでも思い切ってるなって思うのに、さらにそれ使ってアクションが行われたり。
で、世界観のギミックってある程度突き抜けちゃうと現実感がなくなっちゃって、そこに生きる人々に共感しづらくなるって部分があると思うんですけど、今作はここまではっちゃけてるのに、そういう部分がまったくないんですよね。
生活感、汗の、血の匂いを感じさせてくれる。
派手なギミックほど戦闘シーンに痛みを感じさせなくなってくものですけど、今作はそういう部分もまったくなくて。
痛いを痛いとして描くのって、漫画的、非現実的になればなるほど難しくなってくのに、ホント、この作品はその点で希有だなあと。
なんなんでしょうね、これは原作の文章にかなり興味持ちましたね。
キノコが生えてきて飛ぶ、って、文章にしたら全然現実感ないじゃないですか(笑)。
それが成立してるんですもんね。
何気にこれは、ただ事じゃないですよ(笑)。
キノコ弾力ありそうとか、急に生えてくるからその衝撃で、みたいに頭で理解できないこともないんですけど、いやいや、この描写に説得力持たせるのって、どういうことなんだよって。
まずギミックの発想がぶっ飛んでるのに、それを地に足つけた描写にまとめあげるって、ホント凄いことだと思いますよ。
大体やり過ぎて非現実的になったり、そこを避けてリアリティを持たせたりとか、まあほとんどの作品ってのはそうやって折り合いつけるもので。
全然折り合いついてないのに、繰り返しになりますが、ここまで説得力ある描写の作品って、そうそうないですし、アニメでは初めてかもですね。
ちょっとこう、自分にはまったくない要素が満載で、良い刺激になりました。
物語としてもよくまとまった、良作だったと思います。