尾上屋台 2022/06/29 22:31

「薔薇王の葬列」第2クール

・アニメ公式
https://baraou-anime.com/

・1クール目の感想
https://ci-en.dlsite.com/creator/6041/article/618494

 1クール目と同じく、切り口が面白いですよね。
 僕は原案となったシェイクスピアの二作品については未読なんで余計にそう感じるんでしょうけど、大きな史実としての部分は崩さず、それでいて薔薇戦争かじった側からするとここまで変えて来るかってとこが、創作性に溢れてて非常に良かったです。

 いや、性格みたいなものとか、立ち位置みたいなの、僕が知ってる薔薇戦争とはことごとく対極にあって。
 わかりやすく言うと、ベビーフェイスとヒールが全て逆になってるようなね。
 この作品に触れるまで、リチャード三世ってどっちかというとそこまで野心に溢れたタイプじゃなく、兄二人の死によって、王座が転がり込んできたような印象でしたもん。
 
 あと、両性具有にしたことで、登場人物たちとの関係が複雑になってくってのも、面白いなと。
 両ヘンリー(ヘンリー六世、バッキンガム公)との関係も、男女の恋愛と取るか、ホモセクシャルと取るか、見てて色々考えちゃいますしね。
 余談ですけど後半出て来るリッチモンド伯の名前もヘンリーで、これ前回の感想でも書きましたけど、とにかく同じ名前の多いこと多いこと(笑)。
 薔薇戦争は、これがあるからテキストベースで勉強しようとすると苦労するんですよね(汗)。

 2クール前半は、全体の構成から見ても中だるみ感があったのは仕方ないとして、後半ラスト三話くらいの畳み掛けは、見事でしたね。
 母親も含め、そこまでの関係性の伏線を、一気に回収、かつドラマチックに仕上げてて。
 もうただ純粋に、いい作品だよなあって感じました。

 ラスト、リチャード三世って、遺体を丸裸にされて晒されるってのが史実としてはあるんですけど、ここどう描くのかってドキドキしてたんですけど(笑)、いや、さすがにこの辺りは少しぼやかしましたね。
 原作の方だと、どうなんでしょ。
 でもまあ、少なくともアニメではこういった設定にしたリチャード三世をそうしちゃうと、悲劇が過ぎるというか、多少悪趣味になっちゃいますからね。
 まあああいう終わり方でオッケーかなって。

 全体的に見て、リチャード三世を主人公にした薔薇戦争で、よくここまで面白い作品に仕上げたなって。
 僕は映像作品では「ホワイト・クイーン」くらいしか薔薇戦争見たことなかったんで、前半はエリザベス・ウッドヴィル、後半はヘンリー・テューダーが主人公にふさわしい感じで捉えてたんですよ。
 薔薇戦争ってものを。
 その二人をヒールとして仕上げるだけで、リチャード三世でもここまでドラマチックな物語にできるんだなあって、とにかくその辺りに感心しました。
 久々に、歴史を題材とした創作で、いいもの見れたなって。
 そうそう、このくらいいじってこそ、作品にする意味あるよなって。

 ともあれ薔薇王の葬列、先に歴史かじってたから余計にでしょうけど、逆に言えばそういう人間でも楽しめる、良作だったと思いました!

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