「吃音同期がVtuber」監督インタビュー（前編）

F：私、Vtuberさんの配信を日常的に観てるんですね。それこそ作品を作ってる最中、音声編集以外の時間はよくASMR配信とかを聴いていたりします。すると必然、Vtuberをテーマにした作品を作りたくなってきますよね。

―――当然の流れだと思います(笑)

F：で、主人公がイヤホン型マイクで配信に協力し、こっそりとエッチをするというのはすぐに決まりました。これはシナリオ完成後に軽く調べて分かったことなんですが、そういう作品ってあんまり無いようなんです。ライブ配信をテーマにした作品って大体、アダルト配信をしているんですね。

―――本作のように、配信自体は健全なものは確かに見かけないですね。

F：そしてヒロイン設定なんですが、はじめは会社の上司だったんです。つまり、職場では厳しい上司がVtuberになると萌え声で配信をしているという。

―――その設定も面白そうですが。

F：ですがわりとありきたりなシチュエーションで、しかも厳しい上司は過去作の五藤主任がいるのでナシだな、と。そしてヒロインネタ帳の中から温めていた、吃音症キャラを採用しました。ちなみにモデルはTVアニメ『アクエリオンロゴス』の綺声神心音です。また、厳しい上司は話の展開に必要なためモブキャラとしてトラック02と11に残っています。

―――秋山はるるさんの役柄ですね。試聴版では姿を見せないようですが。

F：それが、めちゃくちゃ恐いんですよ。秋山さんには「ヒロイン達を虐める嫌な上司」「愛らしい演技も不要」とお願いしたんですが、正にその通りの、こんな上司は絶対嫌だってキャラに仕上げていただけました。モブなのに物凄い存在感です。こういった役に関しては右に出るものはいないんじゃないですかね。今回の試聴版では入れていませんが、今後アプデするとなったらチラ見せするかもしれません。

―――メインヒロインの遊佐ミコトさんに関しては如何ですか。

F：こちらも以前から注目していた声優さんで、庇護欲をくすぐられるお声がピッタリだと思いお願いしました。遊佐さんは間の取り方が素晴らしいですね。私はセリフとセリフの間にかなりこだわりがある方で、編集の際はその調整に多くの時間をかけているのですが、今作はその必要がほとんどありませんでした。かなり楽でしたね。また、耳ふ〜がとてもお上手なんです。息の出し方が一定でクリアに聴こえる。すごく心地良い耳ふ〜をしていただけたので、本編要素としては地味な部分ですがトラック03は安眠にかなりオススメです。

―――その遊佐さんのキャラについて詳しく教えてください。

F：普段は新名真依葉（しんなまいは）という同期社員、そして八梨まいん（はなしまいん）という名でVtuber活動をしています。名前の由来はどちらも“生配信（なまはいしん）”のアナグラムですね。先ほど綺声神心音がモデルだと言いましたが、最終的にはかなり違うキャラクターになっています。吃りに関してもさまざまな吃音症の方の動画を見て勉強したのですが、台本に落とし込む際にどこまで吃音させるか、バランスにとても時間がかかりました。とはいえ、自然な吃りが欲しかったので遊佐さんには台本の文字にとらわれなくてOKとお伝えし、なかなかいい感じに吃っていただけたので良かったです。

―――吃音症のキャラというのは演じる側からしたら難しそうですね。

F：収録はリモートで立ち会ったのですが、ディレクションはほとんど必要なかったですね。「ひひひ…ｗ」という独特な笑い方が特徴のキャラなんですが、そこを気持ち悪いオタクっぽくという指示をしたくらいです。

―――それでは本作の聴きどころを教えてください。

F：以前複数キャストの作品を出した際、一方のキャラに状況説明をさせられる事が強みだとお話しました。今回はリスナーのコメントでその役割を果たしています。つまり配信中に例えば「いま上半身裸ってこと？」とコメントをさせて、まいんがそれに答えるという形を取っています。作中のリスナーが色々センシティブな質問をしてくれるので、まいんがどう答えてくれるのかお楽しみください。その他、新名さんが主人公の頭を太ももで挟みながら、股にかかる鼻息で興奮してこっそりオナニーをするトラック08が個人的に好きなシーンです。そして最後に、今作はハッピーエンドで締めくくられるのでご安心ください！

喜ばしい宣言が出たところで今回はここまで。インタビュー後半はネタバレありでさらに深掘りしていくぞ！

2022年10月某日　F. PRODUCTIONS脳内にて

↓作品ページはこちら！
https://www.dlsite.com/maniax/announce/=/product_id/RJ427284.html