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2022年 10月の記事 (11)

ぐらしゅぴMk-Ⅱ 2022/10/31 08:00

映画「いのちの停車場」

映画「いのちの停車場」

キャストが豪華すぎたのでキャスト頼みで内容が薄いだろうと軽い気持ちで観てしまっていた日本映画なんですが、気が付けば2時間画面に釘付けになっていた映画です。

物語は、
いろんな理由で実家の父の所の診察所に東京から転勤になった定年前の凄腕医師のヒロイン。
そこで"命をただ延ばすだけが医療ではない"という新しい価値観に気付く。
それだけで1本映画が成立しそうな物語です。本編だけでも凄く泣けます。

しかし、伏線として実家の父との物語がまた重たすぎるんです。
「妻は意識もないまま点滴に繋がれて死んだ。俺はあんなのは嫌だ」
つまりは"この物語のラストは主役が親を毒殺しますよ"とわかりやすい伏線を提示しているんですね。

ここでお茶の間ドラマならヒロインの演技力に頼り切って死んだシーンで泣きながら父の名前を叫ぶのがお約束だな思ったんです。

しかし、最後のカットでお父さんと朝日を眺めるシーンがあった後にヒロインの女性が朝日を見ながら泣き崩れます。

てっきり"父親に注射をしてしまった罪悪感から"だと思ったんですが、
よく巻き戻して見るとケースの中には注射針に満タンに入った何かの薬品があります。
その隣にはお父さんがあれほど嫌と言っていた"点滴"が立て掛けてあります。

綺麗な朝日を"命の輝き"という最高の皮肉にして、
優秀すぎる医者だからこそ苦しむ親を殺してあげる事すら出来ないBADENDという実際に見るとなかなか衝撃のラストです。

たぶん普通の観客は実の親を毒殺してしまった罪悪感で泣いてると見えるんでしょうけど、それよりも本人にとっては地獄ですね。

さらに良いのが凄く丁寧な作りの映画なのに大切なシーンの説明はあえて全部ないんですね。
役者の演技、セリフではなく画面の中に人間の残酷さを描いているのが素晴らしい作品だと思いました。

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ぐらしゅぴMk-Ⅱ 2022/10/28 08:00

米国ヒーローの一途さ

米国ヒーローの一途さ

最近の日本のアニメのヒーロー像は主人公がイケメンで、
なぜかヒロインに気が付けばモテて白馬の王子様のように助けるのが主流です。クールな主人公が多い印象ですね。

意外なことにマーベル系などの米国ヒーローは内気で好きな女の子をデートに誘う勇気すらないのがスーパーヒーローだったりするんです。

対してヒロインの方が自分から危険に突っ込んで行って、仕方ないから主人公が助け出すパターンが多いと感じます。

スパイダーマンやバットマンは"たかが恋愛のため"だけにヒーローを引退しようと何度も迷います。
個人的にむしろそれが人間らしくて僕は好きなんです。

大勢を救う義務があるヒーローならばトロッコ問題で迷わずに大勢を選ばないといけないのに、
人間として"大切な人を守りたい"という一途な想いこそヒーローが1番大切なものだったりするとも思うんですね。

大勢を犠牲にして大切な人を選んだ主人公がカッコいい筈がないんです。
本当に大切だと思うからこそ隣にはいれないという甘酸っぱさ、苦さが最近の日本アニメに決定的に足りてない要素だとは思います。

大勢を救いたい。大切な人も救いたい。
いくらフィクションだからって、あまりにも嘘っぽい物語は人を感動させる事は出来ないです。
とはいえ、バッドエンドも世間では評価して貰えないのが難しい所ですね。

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ぐらしゅぴMk-Ⅱ 2022/10/25 08:00

映画「アメイジングスパイダーマン2」

映画「アメイジングスパイダーマン2」

次回作も続きそうな終わり方をしたんですがアメイジングは2作で完結します。
きっと日本のみではなく世界的にヒロインが死んだ事が評価されず酷評だったのだと思います。

続編ではなく3代目に夢の共演でアメイジングが登場します。そこで意味ありげにヒロインを救うシーンがそれを語っています。

ただ、僕はあれはハッピーエンドだと思うんです。
終わりがあるから美しい。
映画序盤でヒロインが語るセリフですね。

ヒロインは死にたかった訳ではないが、それを決めたのはヒロイン自身だ。
そんな彼女だからこそ主人公のピーターが好きになった。
素敵なことだと思います。

音楽も素晴らしく、挿入歌の
「君のためなら何でもする」(和訳)
YouTubeに字幕翻訳版があるので聴いてみて欲しいです。

変な意味に取られるだろうし、
だからこそ、この映画は失敗したのだと思うんですが、
"あれほど人が感動する死に方をする映画"は珍しいと僕は思います。

死は悪いものだと決めつける人が多いし普通なのかも知れませんが"儚いものの美しさ"も芸術だとは思うんです。

映画最後の時がスローになる瞬間から、
息も忘れるほどの緊張感を作ってスパイダーマンの無音の中の悲痛な叫びを表現しつつ、
最後にヒロインの「ビタン」というわずかな激突音。
たったそれだけの音でも人は死ぬんです。

きっと監督はこれを創りたかったんだろうなと思わせてくれる。
バッドエンドなのに拍手したくなる芸術性があると僕は感じたんですね。

1.2どちらも何回観たかわかりませんが監督のメッセージがこもった素晴らしい映画だと思います。

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ぐらしゅぴMk-Ⅱ 2022/10/22 08:00

映画「アメイジングスパイダーマン」

映画「アメイジングスパイダーマン」

スパイダーマンを知らない人はいないでしょう。近年でも劇場版が公開されました。

ただ、劇場版スパイダーマン3代の中で1番人気がなくておそらく知名度が低いのが"アメイジング"です。
3代の中で唯一、2作品だけで終わったタイトルです。

その理由は明白でスパイダーマンの中で内容が1番重たくて、スパイダーマンの中で1番弱い主人公だからです。
手から糸は出ませんし高性能メカも持っていません。
よくピンチになって誰かに助けて貰います。彼女に泣き付きます。

全然アメイジング(素晴らしい)ではありませんね。
ただ、僕は初代も好きですがこのアメイジングが1番大好きなんです。


まずはキャラが本当に魅力的です。
初代と同じ名前の"ベンおじさん"が本当に理想的な育ての親で内気な主人公を必死に支えてくれます。

彼女は主人公よりも正義感が強くヒーローに向かって「逃げなさい、隠れないと」と必死に心配してくれるのに、
自分の決めた正義は貫く芯の強い女性です。

メイおばさんは2で出番が増えるのですが、主人公との洗濯物の取り合いだけで口喧嘩するシーンは微笑ましいです。
監督が撮りたかったシーンだろうし僕も大好きなシーンです。

だからこそ彼らを守りたいと共感できるし、
亡くした時のショックも大きいです。

精神も弱く、助けて貰うばかりの非力なヒーローだからこそ視聴者は共感できて頑張れと応援したくなる。
そんな等身大の未熟な若者だからこそアメイジング(素晴らしい)なのだと思います。

なにも完璧で最強だけが素晴らしい訳ではないのだという近年の日本アニメの最強主人公に言ってあげたいのですが、
残念ながらアメイジングスパイダーマンは2作目で終わる事になってしまいます。

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ぐらしゅぴMk-Ⅱ 2022/10/19 08:00

嫌いなものほど笑う

嫌いなものほど笑う

前回の記事で僕が嫌いな人のネガティブ気味な記事を書きました。
ただ、創作者にとって己自身の嫌いな物やトラウマは知っておくべきだと僕は考えているんです。
言い訳がましく聞こえたならごめんなさい。


日本のお笑い芸人のネタ作りの大道といえば社会への不満だったりするんです。
「この前こんな事がありましてん〜」
という漫才の語り出しは結構お馴染みではないでしょうか。

そうです、漫才では自分の憎しみや弱さを客観的にみてツッコミを入れる。
一種の自己犠牲や自分イジメみたいな物です。別にその瞬間に相方がパッと思い付いたツッコミではないんです。

これは創作にも応用ができて、
笑いではなく感動にしたのが漫画やドラマ映画で、憎しみやネガティブ面を全面に出したのが18禁作品なわけです。相手を屈服した先の笑いですね。

その点、悪い意味で僕には"他人への怒り"が圧倒的に他の人よりも足りていない事が創作者としての欠陥だと思っています。

普通の人間であれば嫌いな相手の事なんて、知りたくもない思い出したくない。
もしくは誰かに悲しみを共感してほしいのが普通な筈です。

ただ、自分はその気持ちは理解できて多少は共感も出来てしまうからこそ腹が立つんです。

でも、"弱者のフリをして他人を支配したがる人"って漫画でいえば結局は"ヤンデレ"に近いと思います。

それを怒りでも憎しみでもなく"笑い"にしてよく言えば克服…、
悪く言えば屈服させる快感に変えれるのが創作者の醍醐味でもありますね。

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