柱前堂 2021/02/13 00:22

地味子をなめてかかったら

チアキにイカされて脱力したせいで、あれだけ暴れても解けなかった押さえ込みが緩んだ。この機を逃したら次はない。

「せりゃあっ!」
「きゃっ!」

アタシが跳ね起きると、チアキは間抜けな悲鳴を上げて尻もちをついた。どんくさいヤツ。チアキが怯んでいる隙に、マットを蹴って距離を取る。立ち上がる。

そう、どんくさいヤツ。リングの上で向かい合ったときの第一印象は、試合終盤の今になっても変わらない。これなら押さえ込んで一方的にイカせまくれるな、という期待は裏切られたけど。
誤算だったのは、チアキがめちゃくちゃ上手かったこと。少しでも反撃を許せば、簡単にイカされる。急所をずらす防御術も、イくまでの耐久力も、アタシがこれまで相手してきた娘らとは次元が違った。普段どんだけオナニーしてやがるんだ。

チアキはアタシに見下ろされて、見せつけるように指を舐めた。リング真上の照明を浴びててらてらに光る指先には、アタシの愛液がたっぷりとまとわりついている。アタシをイカせた証拠を舐め取ると、チアキは眼鏡を直し左右の三つ編みを背中に戻し、アタシに敵意の視線を向けてゆっくりと立ち上がった。
立ったチアキの脚の間に、透明な糸が垂れる。てこずらせてくれたけど、コイツももう限界だ。アタシの方が責めている時間は長いし、もう何度もイカせている。チアキの責めも序盤の怖いような精度はなくなっている。絶頂の痙攣を何度も繰り返した身体は正常な循環を忘れかけていて、耳障りな浅い呼吸を繰り返している。

もっとも、アタシの方も限界だ。イカされたばかりの股間は熱い愛液でぬるぬるしている。絶頂のたびに伸ばされた脚は底の抜けたバケツみたいで、いくら力を篭めても安定した手応えは返ってこない。
気を抜くと快楽に流されて、このまま太ももをすり合わせていたくなる。固く勃った乳首をいじって、胸を覆って揉みしだきたい。

快楽に負けないだけの闘争心を掘り起こす。あんな野暮ったい女に負けるなんて絶対に嫌だ。チアキだってもう限界のはず。身体能力の差を活かして先手を取れば、アタシの勝ちは揺らがない。

「このぉっ!」
「きゃっ!」

タックルでチアキを押し倒す。ヤるかヤられるかの勝負の場に似つかわしくない悲鳴に苛立ちながら、素早く腹に乗る。チアキの片脚を持ち上げて抱え込み、もう一方の脚はアタシの脚を引っかけて伸ばす。背筋を引いて反り返れば、チアキの両脚はあられもない大開脚となる。
空いた手で、隠すもののなくなったチアキの秘所を責める。この体勢なら、もう勝負はついたも同然だ。
チアキは脚を閉じようと抵抗し、敵わないと悟るとアタシの背中越しに秘所へ手を伸ばして責め始めた。
けれどいくらチアキが上手いといっても、こんな不利な体勢でアタシが責め負けるわけがない。無駄な足掻きだ。




調子に乗ったマキが失策に気付くまで、一分もかからなかった。そのヘタクソな手技が、たかが上に乗った程度のハンデで埋め合わせられるものじゃないってことも分からないのか。
背中しか見えなくても、マキの動揺は私の一番敏感な場所にマキ自身が教えてくれる。私を責める指先が、私の責めに反応して笑っちゃうくらい震えているから。始めにリングで向かい合ったときからいけ好かない女だと思ったけど、顔さえ見えなきゃ案外かわいいかもしれない。
マキの乱れた指先をさらに揺さぶるように、太もも越しの責めのペースを上げる。明らかな劣勢に、敗北しイカされる自分を想像したのか、マキの背筋がピンと伸びる。
重心がずれた瞬間は見逃さない。ブリッジでマキを振り落とす。横倒しになったマキは、連鎖的に悪化する状況についていけていない。その隙に股間に顔を突っ込み、広げた両脚を両腕で抱え上げて拘束する。腰を浮かされたマキは、両手と顔をマットに広げて悶絶する。
こんな体勢は、これまでのマキだったら力づくで振りほどけただろう。だけどもう無理だ。勝負を賭けたタックルで体力を使い果たし、蓄積した快感に蝕まれたマキの脚は、もう私の腕にも勝てないほど脱力している。体勢を変えて私を振り払えただろう腕は、快楽をマットへ逃がそうとするかのようにもがくばかり。
私があとちょっとでイき果てるだなんて、誰が言ったというのか。自分が苦しいからって、勝負を終わらせられる都合のいい憶測に縋った弱い心がこの女の限界だ。

「い、いやっ……はぁああ! いっ、いいっ! そこ、やめぇ……っ!」
「ちゅぷ……ちゅっ……ずろぉぉっ……じゅぷ……っ」

マキの秘所に舌を這わせ、舐め上げ、突き込む。ゆっくりと、マキがこれからイかされる動きを覚え込ませるように一定の動きを繰り返す。
もはや身を捩って暴れるしか抵抗する手がないマキは、このペースがいつ崩れるか戦々恐々だろう。その恐れが、快楽を与える動きに集中させる。その恐れが、目の前の快楽に逃避させてしまう。
もうマキに逃れる術はない。気を失って敗北が決定するまで、何度でも無様なイキ声を上げる羽目になる。




指先に感じる膣の反応からして、マキはまたイッた。けれど私の尻に敷いたマキの脚は、絶頂の痙攣をする体力ももうないようだった。

「あっ……あー……あっあっ……はぁ……ふっ……ふーっ……」

浅い呼吸。口の端から垂れ流されるがままの涎。ばらばらの方向に投げ出された手。体力だけはある女だったけど、そろそろ削り切れたようだ。

まだ勝ちを確定させずにいたぶることもできるけど、もう面白いこともなさそうだ。
私はコーナーに向かい、試合前に畳んだ服を身につける。パンティ、ブラ、ソックス、スカート。セーラー服のリボンまで着込む間、マキは私を妨害しに起き上がることもできない。ただ薄い胸を弾ませて聞き苦しい呼吸を繰り返すばかり。

どこに出ても恥ずかしくない服装で、どこに出しても恥ずかしい有様のマキを踏みつける。機械的なカウントが終わっても、快楽に溺れて息もできないマキは惨敗が決まってしまったことすら認識できないようだった。

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