フリーセンテンス 2023/12/08 20:56

な、なんとか、完成いたしました(;´∀`)

こんばんわ、フリーセンテンスです。

冬なのに小春日和の今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

当方は新作をちまちま書いておりまして、ようやく、よぉ~やく完成させることができました。遅くなって申し訳ございません(;'∀')

ただ、加筆修正と調整が必要なため、販売まではもう少し、お時間をいただくことになると思います。一応、現段階の文字数は、五万五千文字ほどですが、加筆修正と調整によって、もう少し増えるかもしれません。

とりあえず、今日はこちらの方では新作の冒頭を、無料プランの方でエピローグの方をサンプルとして公開したいと思いますので、もしよろしければ読んでください。
そして、新作の販売が成った暁には、購入をどうぞよろしくお願いいたします(;´∀`)

今日はそんな感じの報告でした!
それでは、新作のサンプルをお愉しみください(*´ω`)


 ・・・・・・季節は夏から秋へと移行した。
 この年の夏は暑かった。四〇度を超す気温が世界各地で当たり前のように観測され、熱波による死者の続出や深刻な水不足、広範囲に及ぶ永久凍土の融解、海水温上昇によるサンゴの大量死滅、超大型ハリケーンの襲来など、急激な気温の上昇にともなう自然災害の頻発は、地球環境が悪化の一途を辿っていることを人類に見せつけてやまなかった。地球が一個の「生命体」であるならば、この状況は明らかに異常であり、今後のことを考えれば早急の治療が必要なはずだが、人類が地球の悲鳴に耳を傾けることはなかった。人類は、環境問題を口にしつつも、引き続き豊かな生活を享受するためエネルギーの大量消費をやめなかったし、資源の究極の無駄遣いである戦争を止めようともしなかった。いや、環境活動家がエネルギーの無駄遣いを訴えて名画にピーナッツバターを投げつけたり、二酸化炭素を出すなと叫んで道路を封鎖した挙げ句に射殺されたり、環境悪化に貢献している国を無視して日本に嫌がらせで不名誉な賞を与えたりしたことはあったが、それら活動が地球環境の改善につながることはなかった。結果、現在の状況がある。自分の表面を病原体のように蠢く人間に対して、はたして地球はなにを思うのだろうか。
 夏の異常な暑さは日本でも同様だったが、それでも日本では、季節が秋に移行すれば少しは暑さが和らぐと思われていた。それは例年の状況を世襲した希望的な観測であったが、蓋を開けてみれば一〇月下旬から一一月上旬にかけて全国各地では季節外れの夏日が続き、暦の上では冬になっても高温がぶり返すという惨状は、人々の背筋に寒いモノをもたらすには充分すぎるほどだった。
 さて、一〇月下旬から一一月上旬という期間は、上場企業の四半期毎の決算発表と刻を同じくする。大企業から中小規模の企業にいたるまで、上場している四〇〇〇を超える企業が成績を公表する一大イベントだ。過去最高の売り上げ高、最高益の更新、増益・減益、増配・減配・無配転落、黒字化、赤字転落などの言葉がニュースや新聞を彩り、ネット上では悲喜こもごもの叫喚が木霊し響く。そのなかで、自他共に阿鼻叫喚の決算発表となったのが、大手製薬会社である「ゾーゼイ製薬」の業績報告であった。
 一一月一〇日におこなわれた決算発表で、ゾーゼイ製薬は、フェーズ二まで到達していた糖尿病新薬が治験で重大な欠陥があったことを公表し、治験を中止したことを告げた。さらに今年度の決算は、一〇〇〇億円の黒字予想から一転して二〇〇〇億円を超す大幅な赤字に転落する見通しだと発表したのだ。それだけではない。ゾーゼイ製薬は決算発表の場で一株あたり三〇〇円近くあった配当金を今年度は無配とし、さらに二〇パーセントに及ぶ大規模な増資の決定、そして有望とされていた抗がん剤の開発も行き詰って遅延していることを同時に発表したのである。まさに一度に膿を出し切る処置であったのだが、それによる害は凄まじかった。
 ゾーゼイ製薬の株価は、翌日から連日のストップ安を記録。四営業日後にようやく値が付いてからもじりじりと下げ続け、気がつけば五〇〇〇円を超えていた株価は五〇〇円まで下落して、ネット上では「逆テンバガー」と馬鹿にされる始末。大損した個人投資家の怨嗟の声は凄まじく、株価の掲示板には億単位の損失や破産を報告する書き込みが相次いだ。
「経営陣は詐欺師だ! 殺してやる! 家族もろとも絶対に殺してやるからな! 絶対にぶっ殺してやるからなッッッ!」
とネットに書き込んだのは、自称「学生投資家」として活動していた四〇歳の男で、この書き込みが原因で逮捕されると、彼は実名と年齢と顔写真と経歴が公表されてしまった。その結果、彼はネット上で「詐欺師」呼ばわりされて玩具にされてしまったが、彼がゾーゼイ製薬の信用取引で五億円を超える損失を被ったことが判明すると、一転して深い同情が集まったのだった。
 だが、このような混乱が生じても、ゾーゼイ製薬の経営陣は焦ってはいないようだった。彼らは、会社を訪れた大株主の投資家に対して、自信たっぷりに告げたのである。
「大丈夫です。すでに贄は捧げられています。来年にも状況はよくなりますよ。もう少しです。もう少しの辛抱ですよ。ふふふふ・・・・・・」
 と。


・・・・・・無料プランにエピローグをご用意しておりますので、もしよろしければそちらの方も読んでください(*´ω`)

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