フリーセンテンス 2024/02/28 10:37

もっそもっそと書いてます(;´∀`)

こんにちは、フリーセンテンスです。

最近、ちょっと体調を崩してしまい、更新が遅れておりました。申し訳ございません。
どうも、コロナやインフルとは別の風邪が猛威を振るっているようでして、フリーセンテンスもその風邪に捕まってしまったようです。
やっぱり、健康って大事ですねぇ( ;∀;)

さて、いま新作を書いているのですが、ようやく前段階を書き終わりまして、本編の執筆に取り掛かっているところです。毎度毎度、前段階はそんなに書かなくてもいいような気がするのですが、ここを書かないと本編をかけなくなってしまいまして、脳みそを搾りながら書いております。

とりあえず、現在執筆中の本編冒頭を掲載いたしますので、もしよろしければ暇つぶしに読んでください。
今日はそんな感じのご報告でした(*´ω`)


 脳食鬼は、その名が示すとおり動物の脳みそを食する魔物である。かつては「ヤクシ」や「ヤクジャ」などと呼ばれていたが、より具体的にその脅威を強調するために、現在の名前が固着している。
 脳食鬼の姿形は直立したアリクイを彷彿とさせるが、大きさは最大級の羆ほどの巨躯を誇り、痘痕面の容姿は醜悪なことこのうえなく、脳を啜るため、ペストマスクのように長く伸びた口から長い舌を出し入れする有り様は、見る者の全身の毛を総毛立たせるほど不快を極めた。腕力も強く、特に鋭い爪は、振り下ろせばまるで刀剣のような威力を発揮して、鉄の装甲すら一瞬で切り裂いてしまうのだった。この鋭い爪で獲物となる人間の四肢を切断した後、耳から舌を挿入し、ゆっくりと脳を啜るのが彼らの食事光景であった。
 脳食鬼は人間を積極的に襲うが、その理由は単純で、陸上生物のなかでは人間の脳みそが一番栄養価が高く旨いからである。また、脳を啜られる際に人間が見せる反応も彼らの食欲を刺激するものがあり、ゆえに脳食鬼たちは、しばしば人里近くに集団で棲みついて、人間に多大な被害をもたらすこと多かった。
脳食鬼たちがグラの廃城を根城にしている理由も多くの人間たちが行き交う街道が近くにあるからであり、廃城には現在、三〇頭以上の脳食鬼たちが棲みついていた。その脅威はウーゼ行政府が秘密裡におこなった試算によると、完全武装の騎士団を動員しても排除が難しいとのことで、事実、これまでに幾つもの討伐隊が出動しては返り討ちに遭って壊滅していた。
 その脳食鬼たちが、いま――驚くべきことに、全滅していた。廃城の中央にある大広間にて、一匹残らず、その巨体を屍として晒していたのだ。
 息絶えた脳食鬼たちはまるで輪を成すように折り重なって絶命しており、その胸には大きな穴が開いていて、本来、そこにあるはずの臓器が見当たらなかった。すなわち、心臓が抉り取られていたのである。そして不思議なことに、胸の大きな穴からは、一滴の血も滴ってはいないのだった。
 誰が、彼らを殺したのか。
 加害者たちは、すでに出現した大広間から移動しており、廃城の外に向かって動いている最中であった。ズルズルという、粘液めいた音を響かせながら。
 廃城を外に向かって移動しているモノたちは、いずれも醜悪な姿形をしていた。それは陸に揚げられて半ば腐りはじめている海洋性軟体生物に似ていたが、見た目はとにかく酷く、身体はまるで下水油を集めて固めたような色彩と形をしており、身体のいたるところから大小無数の触手器官が生えていて、ゼリーのような大きな目玉がまるでカエルのように飛び出してギョロギョロと周囲を伺っている。一見、腐敗したスライムのようにも見えるが、腐りはじめたアメフラシや溶けかけたタコのようにも見える。とにかく、おぞましい見た目をしており、この異形生物と比べれば、脳食鬼などイケメンの部類に入るであろう。数は三体で、大きさは人間の子どもほど。重さも同じくらいだろうか。彼らの間では、グチャグチャというまるで咀嚼音のような音が響いていたが、それが意思疎通をおこなう「会話」であろうとは、聞いた誰もが気づくことはできないに違いない。ちなみに、彼らの会話を翻訳すると次のようなやりとりが交わされていた。
「イヤァ、シカシ酷イ目ニ遭イマシタナァ。マサカ時空ノ渦ニ巻キコマレルトハ。オカゲデ本隊カラハグレテシマッタ。困ッタ、困ッタ」
「目的トシテイタ時代カラモ遠ク逸レテシマッタヨウデスシネ。シカモ時空間カラ出テ早々ニ変ナ奴ラニ襲ワレルシデ、モウ災難デスナ」
「ソウ言ウナ。助カッタダケマダ幸イトイウモノダ。下手ヲスレバ我々ハ、時空ノ渦ニ捕マッテ、永遠ニ異次元ヲ彷徨ウ羽目ニナッタノカモシレンノダゾ。ソレヲ思エバ不幸中ノ幸イトイウモノダ」
「シカシ、イマハイツノ時代デショウカネェ。破滅的氷河期ハ終ワッテイルヨウデスガ、まなガ薄イ。薄スギマス。身体ヲ動カスノモ億劫ニナルホドノ薄サダ。コレハカナリ異常ナ時代デスナァ」
「確カニ薄イナ。コレデハ時空間魔法ヲ使ウニモ支障ヲキタシテシマウ。モシカシタラ、コノ時代ノ覇権生物ガまなヲ浪費的消費シテイルノカモシレン」
「調ベテミマス。少シ、時間ヲ」
そう言って一体が触手を動かすと、空間に光り輝く紋様が浮かんだ。それを触手を使って操作すると、歪曲的紋様が次々と浮かび上がり、この時代の情報を掲示してゆく。それは魔法であった。それも驚くほど高度で繊細な魔法だったのだ。
「判明シマシタ。イマ、我々ガイルコノ時代ハ、チョウド一〇〇〇万年後ノ未来デスネ。後ニ「旧新星代」ト命名サレルコトニナル時代デス」
彼らは「ゾス」といった。この惑星に出現した最初にして最古の知的生命体であり、その醜悪な見た目からは想像もつかないような高度な知識と技術を有して超高度文明を形成した生物である。破滅的な氷河期の到来を予見して、種を存続させるべく、後に出現するすべての文明が消え去った二〇〇〇万年後の世界に移住すべく、種族をあげて時空間移住をしている最中であったのだが、いま、この時代に現れた三体は、不運にも、時空の渦に巻き込まれ、はからずもこの時代に現れてしまったモノたちだった。
「一〇〇〇万年後ノ世界、カ。半端ガ過ギルナ。セメテ一八〇〇万年後ノ世界ダッタラ、冬眠シテ本隊ノ到着ヲ待ッテモヨカッタノダガナ。一〇〇〇万年ハ、少シ長スギル」
「ソレデ、まなノ濃度ガ薄イ理由ハ判ッタノカ?」
「エエ、判リマシタ。ドウヤラ、コノ時代ノ覇権生物デアル「人間」トイウ種ガ消費シテイルヨウデスネ。ソレモ、ガンガント」
「ガ、ガンガン使ッテイルノカ? まなヲ?」
「ハイ、ソレハモウ、ガンガン使ッテマスネ。ガンガント。コノママ使イ続ケマスト、一五〇〇年後ニハ世界ノ環境ガ悪化シテ大変ナコトニナルッテれべるデ使ッテマス。イヤ、本当ニ酷イ消費ノ仕方デスヨ」
「・・・・・・ドウヤラ愚カナ生物ガ覇権ヲ取ッテシマッタヨウダナ。嘆カワシイコトダ」
「トハ言イマシテモ、我々モまなヲ使イ過ギタセイデ破滅的氷河期ヲ招イテシマイマシタカラネェ。他人ノコトハトヤカク言エマセンヨォ」
「ソレハ言ウナ」
マナは無尽蔵に存在していると思われがちだが、その実、量には限りがあって、減少すれば世界の環境に大きな影響を及ぼす。超高度文明を築いていたゾスたちはそのことを知っていたが、それでも「便利な生活」を止めることができず、破滅的氷河期を招いてしまったのだった。
「ソレデ、コノ時代ノ覇権生物「人間」トハ、ドノヨウナ生キ物ナノダ?」
「エエートデスネェ、ア、チョウドイマシタ。アレデス、アレ。アレガ「人間」デス」
そう言って触手で指し示した方向に、「人間」がいた。名を、スカーレット・バインスターという人間の女が。

・・・・・・文字の変換がとっても大変です( ;∀;)

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