フリーセンテンス 2022/09/05 09:10

顔面凌○というコンセプトで書いていたのですが・・・・・・

こんにちは、フリーセンテンスです。
新作を「顔面凌○」というコンセプトで書いていたのですが、書いている途中でなんとなぁ〜く考えていた内容と違うなぁと思いまして、書くのを止めてしまいました。
後で加筆修正する予定だったので内容的にはちょっと物足りない感じもするのですが、供養ということで、もしよろしければ読んでいただけると幸いです。


以下、本編をどうぞ!
 ・・・・・・暗い影が、この国を覆っていた。
 時は戦乱の時代。幾つもの勢力が台頭し、天下統一を掲げて兵を挙げ、各地で戦い、殺し、殺され、血を流す。戦場は累々とした死屍で覆われて、鳥獣たちが食み喰らう。人間たちの愚かさを嘲笑うかのように、高らかに鳴きながら。
 幾千、幾万、いや、いったいどれほどの命が無駄に奪われたのか見当もつかぬ。それほど多くの者たちが戦いで死んだのだ。流血の戦場には、死体以外のモノも残った。恨み、憎しみ、哀しみ、怒り、そして同胞であるはずの同じ人間に対する「悪意」などである。それら負の怨念を餌にして、人の世の暗い片隅で生きる魑魅魍魎たちが蠢きはじめた。
彼ら悪鬼妖魔の魔物どもにとって、かつての人間たちは、ただの「餌」に過ぎなかった。力の弱い「生餌」でしかなかったのだ。それが、いつの間にか立場が逆転してしまった。魔物たちは台頭を続ける人間たちとの争いに敗れ、追いやられてしまい、暗い世界の片隅にひっそりと潜むしかできなくなってしまった。それが、何百年、何千年と続いていた。
 ゆえに、魑魅魍魎の悪鬼妖魔たちは、人間たちの負の怨念が世に満ちたこの時を好機として捕らえ、活発な行動を開始したのだった。
 各地で魑魅魍魎の悪鬼妖魔たちが人々を襲いはじめた。子どもをさらい、生きたままその瑞々しい肉を喰らう。女を犯し、犯し尽くして、最後は自らの「種」を植えつける。老人は戯れに殺されて、旅人は永遠に行方を絶った。後日、筆舌に尽くし難い傷を負った死体が発見されることがあったが、その死体は、どれも眼球が抉られており、舌が引き抜かれていた。人間たちが震えあがったのは言うまでもない。
 だが、むろん、人間たちもただやられているばかりではなかった。魑魅魍魎の悪鬼妖魔たちと戦う者がいたのだ。むろん、それは諸国大名の軍勢たちではない。法力僧や陰陽師、式神使い、霊刀を携えた剣豪、そして退魔巫女といった特殊な力を持つ者たちである。その中に、秋宮結月という強い霊力を持った退魔巫女がいた。
 結月はとても美しい女性だ。黒い瞳は大きく、鼻も高く、容姿は端麗でそこには強い意思が浮かんでおり、それがより一層の美しさを際立たせている。年齢は、まだ二十歳になったばかり。肌は白磁か新雪のような白さを誇り、束ねられた長くて黒い髪はまるで絹のようである。だが、美貌以上に人目を惹きつけるのは、やはりその豊満な肉体であった。
結月の乳房は人の頭より重く、ずしりとたわわに実っていて、巫女装束からいまにも零れ落ちてしまいそうなほどの豊満さを誇っていた。臀部の肉付きもよく、布地が厚い袴をはいていても尻の割れ目がくっきりとわかってしまうほどであり、歩くとそれらがゆさゆさと揺れるのだ。まだ若いが、全体的に熟れた印象を他者に与え、女としての肉体的な魅力は完璧といってよかった。事実、好意や欲望の眼差しを向ける男の数は多く、それを言葉や態度で表す者も決して少なくなかった。
 しかし、彼女の眼中に男どもの姿はなかった。黒曜石のような輝きを放つその瞳にあるのは魑魅魍魎の悪鬼妖魔たちに対する強い敵意と憎しみだけであって、それは烈火のごとく燃えあがっていた。
 結月は幼い頃、悪鬼に両親を殺された。父親は殺されてから喰われ、母親は犯されてから食い殺された。結月はひとり、声を殺して藁の中に隠れることで難を逃れ、生き延びた。
 孤児となった結月は、旅の巫女に拾われた。退魔巫女である彼女の下で修行した結月は、すぐに退魔巫女としての頭角を現して、わずか一二歳で悪鬼を討つことに成功する。それは彼女の両親を殺した悪鬼であった。
 一五歳の時、育ての親の元を離れた結月は、退魔巫女として諸国放浪の旅にでた。魑魅魍魎の悪鬼妖魔に苦しめられている人々は数多い。彼らを救うべく、結月は一歩を踏み出したのだった。
「もう二度と、わたしのような人をうまないために・・・・・・」
強い決意の下、結月は各地で魔物たちと戦った。戦い、戦い、戦い抜いて、そして勝ち、多くの人を救って、多くの魑魅魍魎の悪鬼妖魔たちを葬り去ってきた。その数は、おそらく数百匹にも昇るであろう。
 そうやって人々を救いながら、彼女は諸国放浪を続け、この深い東奥の地に辿り着いたのだった。そして、人里離れた山奥に潜むという、魔物を信仰する邪教の者たちに関する噂を耳にしたのである。
 その者たちがいつの頃から山に棲みついていたかは定かではない。もしかしたらずっと昔から棲んでいたのかもしれないが、それもわからない。
だが、彼らはそこにいた。そこにいて、潜むように棲み、なにか得体の知れないモノを信奉していたという。そして、つい最近、彼らは近隣の村や集落に襲いかかってきたのだ。
 近くで目撃することになった邪教の信徒たちは、それは身の毛もよだつようなおぞましい姿をしていた。彼らは原始の人類のように獣の皮をまとっており、石器で武装していた。動物の血で顔に化粧を施し、人の骨や獣の牙で作った様々な装飾品を身につけ、身体にはびっしりと触手模様の入れ墨を彫っていた。異相であり、異形であった。
彼らは襲撃に際して、目を血走らせ、狂ったように吠え叫びながら、何事かを一心不乱に叫び続けていたという。
「アアー、アアアー、イア、イア、アアアアアー! ムングル、ムングル、ルグルリト、フタグン!」
村や集落を襲う彼ら邪教徒たちの目的は女だった。若くて美しい女たちだけを執拗に襲って、そして次々にさらっていったのである。後にはさらわれた女たちの哀れな悲鳴だけが残された。
 むろん、村人たちも手をこまねいているばかりではない。男たちは各々、武器になる得物を手にして、襲ってきた邪教徒たちと戦った。
 だが、邪教徒たちは強かった。とてつもなく、強かったのだ。腕力だけではない。彼らは恐れも痛みも感じていない様子で、たとえ深手を負っても、怯むことなく、血を流しながら石斧を振るってくるのだ。彼らが崇めし邪悪なる王に対する祈りの言葉を繰り返し唱えながら。
 かくして現在にいたるまで、近隣の村や集落から何十人という女たちがさらわれて、いまもなおその被害は続いているという。結月が話を聞いたその村でも、八人もの娘がさらわれたまま、その消息を絶ったそうだ。
「・・・・・・わかりました」
話を聞き終えた結月は、顔に強い決意の色を浮かべて大きく頷いた。
「わたしが、その者たちを退治してまいりましょう。そして、さらわれた娘たちを取り返してまいります」
かくして結月は単身、深い山の奥へと入っていった。そして、そのまま行方を絶ったのである。永遠に。

          *

「ぐっ、あ・・・・・・ぐぅ・・・・・・!」
小さな呻き声が漏れて響いた。退魔巫女、結月の口から発せられた声である。場所は、薄暗い洞窟の中。湿った冷たい石の壁を背にして、結月はその場に崩れるようにして座り込んでしまっている。身に着けている巫女装束はボロボロになっており、所々が破け、白い肌が痛んだ状態で露出し、大きな乳房の片方がぼろっとこぼれてしまっている。だが、いまの彼女にはそんなことに気を向けているゆとりはないようで、手で乳首を隠すことさえしていない。露になったままだ。
「ぐっ、くぅ・・・・・・ぐっ!」
身体の所々が痛むのか、結月はぐっと顔をしかめた。そして、しかめながら、苦しげに周囲を見渡した。ぎりっと歯を噛みしめる。その顔は、相も変わらず美しさを保っていたが、巫女装束が破れて露出している肌同様に、血と泥で薄く汚れていた。
 彼女はもう一度、呻くように言葉を漏らした。苦々しく、重々しく。
「こ、こんな・・・・・・こんな、ことって・・・・・・! こんな・・・・・・!」
繰り返し「こんな」という言葉を用いた背景には、「信じられない」という想いが入り混じっていたからに違いない。その証拠に、しかめられたその美貌には、驚きと戸惑いの色が濃く浮かんでいて、前に向けられたままの視線は驚きのあまり固着したまま動かせない状態にあった。
ずるっ、ずるるるっ、ずるるるるるる・・・・・・。
ずるるっ、ずるっ、ずるずるずるるるる・・・・・・。
歪な音が辺りに響く。それは蛇が地を這う音に似ていたが、もっと重々しく、そして音の数も多かった。万匹を超える蛇の大群が、一か所で蠢いたとしたならば、そんな音が生じるのかもしれない。
 結月がまた、同じ言葉を繰り返した。
「こんな・・・・・・こんな、こんなことって・・・・・・!」
 彼女の視界には、目一杯、驚くべき光景が広がっていた。
ずるっ、ずるっ、ずるるるっ、ずるる・・・・・・。
ずるるるっ、ずるるるるっ、ずるるるる・・・・・・。
相も変わらず歪な音が辺りに木霊す。触手だ。おぞましい色合いと、生理的な嫌悪感を掻きたてる触手の群れが、身を重ね合わせるようにして、結月の目の前で動いている。蠢いているのだ。気色の悪い音を立てながら、ずるずると。
ずるるっ、ずるるるっ、ずるっ、ずるるるる・・・・・・。
ずるるっ、ずるるるるっ、ずるずるずるるるる・・・・・・。
蠢く。蠢く。蠢いている。大「量」の触手が、結月の目の前でおぞましく動いているのだ。形と色合いは、どれもこれも同じモノばかり。しかし、太さや大きさは様々で、大木のように太い触手から、生まれたばかりの蛇のように細かい触手にいたるまで様々だ。そして、その数は、半端な量ではなくて、それこそ結月の頭髪と同じ数だけの触手がいるかもしれなかった。
「な、なんて、ことなの・・・・・・こ、この世に、こんなっ、こんな化け物がいるなんて・・・・・・!」
結月はこれまで、諸国を放浪して各地で多くの魑魅魍魎の悪鬼妖魔たちと戦ってきた。その中には強大な力を持った鬼や、年月を経て狡猾になった老獪な獣などもいた。しかし、このような触手まみれで、しかも一個の生命体としてこれほどの「量」を誇る化け物と対峙したのはこれが初めてのことであった。
 いまからほんの少し前、結月は、この深い山の奥で、邪教徒たちの集落を発見し、彼ら邪教徒たちとの戦いに臨んだ。石器で武装した邪教徒の数は、それこそ百に近い人数だったが、誰も彼も結月の敵ではなかった。邪教徒たちは、ナニカ「人ならざるモノ」に操られており、そのため結月の霊術が抜群の効果を発揮したからだ。
「これならッ、いけるッ!」
たちまち半数近くの邪教徒たちを倒し、勝利を確信した結月だったが、ここで思わぬ事態が発生する。邪教徒たちが、まるで祈るよるに(あるいは縋るように)異口同音に同じ言葉を発しはじめたのだ。
「アアー、アアー、アアアアアーッ! ウア、ウア、ウアルト、ルグルリト、ウアルタ、アルタアアアァァァッ!」
その、直後だった。
ざざ、ざざざざざ・・・・・・!
突然、森の木々が激しく動いたかと思うと、いきなり四方八方から、数えるのも億劫になるほどたくさんの触手の群れが襲いかかってきたのだ。
「な、な――っ!」
あまりにも突然の襲来に、結月は完全に不意を突かれてしまった。とっさに防御を試みたが、間に合わなかった。反応が遅かった。一瞬の隙を突かれ、顔面と腹部にそれぞれ重なるような殴打を浴びてしまい、不覚にも気を失ってしまったのだった。
 そして、気がついたからここにいた。この、洞窟の中にいたのだ。想像を絶するほど大量の触手が蠢いているこの洞窟の中にいたのだ。巫女装束がボロボロになっているのは、おそらく、ここへ引きずられるようにして連れてこられたからに違いない。
 かくして現在にいたる。
 結月は、自分の目の前で蠢いている大量の触手たちを前にして、呻くような声を発した。
「こ、この――この化け物は、いったい・・・・・・!」
そう独白するように疑問形の言葉を発した直後、反応があった。
「アア、アアア、アハハ、アハアァァァッ! 贄、贄ダァ、新シイ肉贄ガ――玩具ガ、手ニ入ッタアァアァァァ。アア、アアア、嬉シイ、嬉シイ、嬉シイイィィイィィィ・・・・・・」
「・・・・・・!」
それはおぞましい声だった。思わず背筋が寒くなるような、本能に生理的嫌悪感を与える声だった。心臓をワシ掴みにされるような声だった。
 結月の身体が本能的にぶるっと震えた。
 それでも彼女は、勇気を振り絞って、凍結しかけた唇を動かした。
「だ、誰だ・・・・・・お、おまえは、誰だッ! 姿をみせろ・・・・・・!」
 返答は、すぐにあった。
「アア、アアア、アハハハハハー。オカシナコトヲ言ウ、贄。目ノ前ニイルノニ、見エテナイ、見エテナイ。盲目カァ? 盲目カァ? アハハハハー、アハハハハー、アア、アアアア・・・・・・」
「な、え・・・・・・?」
思わず首を傾げて、そしてハッと気づいた。そのおぞましい声は、目の前にいる大量の触手から発せられたものだと気づいたからだ。
「な、なッ、ま、まさか――」
「アア、アアア、アハハハハー。気ヅイタ? 気ヅイタァ? ソウ、ソウ、ソウゥウゥゥウゥゥ・・・・・・ッ!」
洞窟内に反響するように、生理的嫌悪感を掻き立てる声が響いた直後だった。
ずずッ、ずずずずずぅうぅうぅぅッ!
蠢く大量の触手たちの合間から、数え切れないほどたくさんの目玉が現れた。現れ出でた全ての目玉が、結月の方へと視線を向けた。そして、目玉たちは、眼球と瞼の動きだけで嗤ったのだ。一斉に、ニタリと。
「ひっ・・・・・・!」
そのあまりにも奇怪な光景に、結月の口から小さな悲鳴が漏れて響いた。思わず口に手を当てる。
その様子を、触手の化け物は面白がった。
「アア、アアア、アハハハハハー。怯エテル。怯エテル。怯エテルゥゥウゥ。反応、面白イ、面白イ、アハハ、アハ、アハ、アハハハハハー・・・・・・」
どっとした笑いが洞窟内に木霊した。
その侮辱するような嘲笑に、結月は思わずカッとなった。
「! だ、誰が怖いものか! だ、だいたいッ、おまえは誰だ! 何モノだ!? 笑ってないで答えよッ!」
ほとんど絶叫するように、続けざまに詰問する結月。咆哮した反動で、身体が前へと動き、露出している片方の乳房がたわわに揺れた。ぶるん、と。
 問い詰めるような結月の質問に、触手の化け物は困惑したようだった。
「アア、アア、アアアア・・・・・・アタシ、何モノ・・・・・・? 知ラナイ。判ラナイ」
「え・・・・・・」
「デモ、名前ダケハ知ッテル。ダカラ名前ハ、教エテアゲル。アタシノ名前ハ――触邪ノ王」
「しょくじゃの、王?」
「ソウ、ソウ。アタシ、元ハ人間。醜女ダッタ。醜クテ、醜クテ、醜カッタカラ、生贄ニサレタ。アイツラニ、アノ、男タチニ。ソシテ「コノ」魔物ニ、生キタママ、喰ワレタ・・・・・・」
「・・・・・・!」
 予想もしていなかった戦慄の告白に、結月の顔から血の気が引いた。音を立てて。
 触手の化け物の告白は、なおも続いている。
「痛カッタ。苦シカッタ。意識アルママ、咀嚼サレタ。何度モ、何度モ、噛ミ砕カレタ・・・・・・デモ、デモ、アタシ、タダデハ死ナカッタ」
 目玉だけでニタリと哂う。
 そして、言葉を続けた。
「喰ワレタ後、乗ッ取ッタ。魔物ノ身体、乗ッ取ッテヤッタ。乗ッ取ッタ魔物、名前ハ「触邪ノ王」。ダカラアタシ、名前ハ触邪ノ王。アハハ、アハハハハハ・・・・・・」
嗤う。哂う。触手の化け物が、奇怪に嗤う。
哂いながら、言葉を続ける。
「乗ッ取ッテカラ、アタシ、アイツラニ復讐シテヤッタ。アイツラ、コノ化ケ物ヲ崇メテタ。ダカラアイツラノ、妻タチヲ、娘タチヲ、生贄ニサセテ、差シ出サセテ、殺シテヤッタ。嬲リ殺シテヤッタ。アハハ、アハハ。面白カッタ。面白カッタ。面白カッタカラ、モット愉シムタメニ、アイツノ頭ヲ壊シテ、操ッテヤッタ。肉贄ヲ、運バセルタメニ。アタシノ玩具、持ッテコサセルタメニ。アハハ、アハハハ、アハハハハー・・・・・・」
「・・・・・・・・・!」
結月は思わず言葉を失った。絶句した。自らを「触邪の王」と名乗ったモノの口から発せられた言葉を聞いて、おぼろげながら全体図を把握したからだ。
(な、なんてこと。なんて、酷い・・・・・・!)
おそらく、あの原始の人類を彷彿とさせる邪教の男たちは、ずっと昔からこの地でこの触手の化け物を崇拝していたのだろう。そして、生贄として、長きに渡って身内の者を捧げてきたのだ。その行為が畏怖によるものか、あるいは畏敬によるものかについては、もはや知る術はないが、とにかく、この生贄の風習は、何世代、あるいは何十世代にも渡って続いてきたに違いない。
(だが、予想外のことが起きた・・・・・・)
捧げられた生贄が、触手の化け物の意識を乗っ取ってしまったのだ。
おそらく、生贄にされた者は、もともと強い霊力を持っていたに違いない。自分は醜女だと、乗っ取った者は言っていた。古来より、容姿の醜美が人とは異なる者には強い力が宿るとされている。それは神に近い存在だからだそうだ。だからこそ、古代の世界では、人為的に顔の形を崩したり、頭の形を変えたりといった行為がおこなわれてきたのだ。ゆえに、この生贄にされた者は、死してなお、自我を失わずに抗うことができたに違いない。
(恐るべきこと・・・・・・でも――いえ、だからこそ、鎮めることができるかもしれない。このモノの、魂を・・・・・・)
人と化け物では、思考の形態がまるで異なる。生命体として根本から違うからだ。だが、かつて人であり、人と同じ思考の持ち主であれば、たとえ身体が化け物になったとしても、血を流さずとも諭すことができるかもしれないのだ。「満たす」ことができれば。
 言動から読み取れる。いま、この化け物を操っている「者」は、強い怒りと憎しみ、そして深い哀しみによって支配されている。そして、そのやり場のない感情を、生贄にぶつけているのだ。八つ当たりのように。生贄を「玩具」と呼んだことが、そのなによりの証拠だ。
 ゆえに、その感情を鎮めることができれば、成仏させることができるかもしれない。
 結月は意を決した。
「・・・・・・ねぇ、教えて」
「アア、アアア?」
「あなたの目的は、なに? なにがしたいの? どうすれば、あなたのその気持ちを静めることができる? 教えて。どうか、わたしに・・・・・・」
落ち着いた口調で、そしてできる限り優しい言葉で、結月は尋ねた。
 その優しさが、癪に障ったのかもしれない。触手の化け物の哄笑が、洞窟の中に木霊すように響き渡った。
「アハ、アハハ、アハハハハハハー! コノ肉贄、面白イコトイウ。アハハ、アハハハハー。アタシノ気持チ、鎮メタイダッテェ。アハハ、アハハ。デキナイ、デキナイ、デキッコナイ! ダッテ、アタシノ目的ハ、オマエミタイナ美シイ女ヲ、グチャグチャニシテヤルコトナンダカラアァァアァァアァァァアッッッ! アハハ、アハハ、アハアハアハハハハハー!」
強い怒りのこもった声で告げる「触邪の王」。宙空を漂う無数の目玉が結月を見つめる。睨みつけるように。それは美しい者に対する怒りと憎しみの眼差しであった。
醜女として生を受け、蔑まされながら生きてきて、最後は生贄として苦痛にまみれながら生涯を終えた。その強い憎しみは、決して消えることの無い炎となって、いまもなお燃え盛っているに違いなかった。
「そう。いいわ・・・・・・」
結月がすくっと立ち上がった。
そして、半ば破けてボロボロになっている巫女装束を、彼女は微塵の躊躇もなく脱いだ。脱ぎ捨てた。
するるっ、ぱさっ。
 帯をほどき、袴を脱いで、裸体を白日に晒す結月。人の顔よりも大きく、柔らかそうにたわわに実っている乳房も、まだ陰毛が茂っていない秘部も、瑞々しいほど熟れた肉付きのよいでっぷりとしたお尻も、なにもかもすべてをさらけ出した丸裸の状態で、結月は触手の化け物に言葉を告げた。
「それがあなたの願いであるのなら、わたしの身体を好きに弄びなさい。たとえそれで殺されたとしても、わたしは決して、あなたを恨みはしないわ。でも、だからこそ約束してほしいの。わたしの身体を好きなだけ弄び、気が済んだら、もうこれ以上、人を恨まないと。憎しみを捨てると。どうか」
そう言って結月は両手を拡げた。それは全てを受け入れるという姿勢であり、意志の表明でもあった。
 直後、ひと際甲高い哄笑がおこった。
「アハハー、アハハー、アハハハハハーッ! 面白イ、面白イ、コノ肉贄、面白イコトヲ言ウ! イイワ、イイワ、望ミ通リ、ソノ身体ヲグチャグチャニシテアゲル! 穴トイウ穴、壊シ尽クシテ、ボロボロニシテアゲルゥゥウゥゥウゥッッ! アハハッ、アハハッ、アハアハアハハハハアァァアァアァァーーーッッッ!」
嗤いながら、「触邪の王」が触手を動かした。
ずぞぞ、ずぞぞぞ、ずぞぞぞぞぞぞーッ!
 無数の触手が一斉に襲いかかってきた。
 そして、結月の裸体に巻きついた。
しゅるるっ、しゅるっ、しゅるるるるるるるっ!
「う、くぅっ!」
 ヌメヌメとしたおぞましい触手の群れが、結月の腕に、足に、首筋に、そして人の頭よりも大きな豊満な乳房の根元に巻きついて、結月から自由を奪う。まるで玩具の人形で遊ぶかのように。力を込めて、身体の姿勢を無理やり変える。
ぐぐッ、ぐッ、ぎぐぐ・・・・・・ッ!
「がッ、うぐぁッ、ぐうぅうぅぅ・・・・・・ッッッ!」
 思わず顔をしかめる結月。関節が軋み、骨が捻じれる音がして、手や足がおかしな方向に折れ曲がる。足が地面から離れて宙に浮きあがり、そのまま左右に無理やり脚を拡げられた。開脚させられたのだ。股間が強調されるように天に向かって突きあがる。貝のように閉じていた秘裂が、くぱぁっと開け拡がって、ピンク色の綺麗な淫ら肉を空気に晒された。そこはまだ、薄っすらと膜に覆われていた。
 また、哄笑がおこった。
「アハハ、アハハーッ、キレイ、キレイ、綺麗ナ、穴ッ! 壊シガイガアルウゥウゥゥゥッッ!」
嗤い声がおこると同時に、太い触手が現れた。
 ずっ、ぬううぅうぅぅ・・・・・・っ。
現れた触手の形状は、まさに男性器そのもの。ただし、太さと長さは、人のそれとは異なって、しいていうならば、馬の生殖器を彷彿とさせるものがあった。そしてその表面には、無数のイボのような突起が生えていたのだ。それは柔肉を抉る有り様が容易に想像できる代物だった。
 結月がごくりと固唾を飲み込んだ。
「そ、それで、○すつもりなのね・・・・・・わたしの、アソコを・・・・・・」
すでに覚悟を決めているため、結月が大きな声をだすことはなかった。取り乱すようなことも、もちろんなかった。だが、それでも、やはり緊張は隠せない様子で、その表情は強張っていて硬かった。
 その様子が「触邪の王」には面白かったようである。
彼女はまた嗤った。
「アハハハハー、アハハハハハー、怯エテルッ、怯エテルッ、コノ肉贄、強ガッテイルケド怯エテルッッ! 面白イ、面白イ、面白イィィイィィィィイィッッッ!」
 嗤う。哂う。哂いころげる「触邪の王」。
 笑いながら他の無数の触手を動かして、結月の裸体を撫でまわす。
 ぬじゅるるるうぅううぅぅうぅ・・・・・・っ。
 ぐにぃいいぃっ、ぐにぐにっ、むにぃいぃぃいぃ・・・・・・。
「・・・・・・!」
 ヌルヌルとした気色の悪い触手が結月の白くてすべすべした肌の上を這いずりまわり、人の頭よりも大きな乳房を揉みしだく。尻も同様に、揉みしだかれて、形を変える。結月の裸体が、粘液で濡れる。塗れてゆく。不快でおぞましい感触が、皮膚の上から神経に向かって浸透してきた。
「くぅっ、うっ、くぅぅうぅ・・・・・・!」
 顔をしかめる結月。
 それを見て、「触邪ノ王」が嘲笑った。
「アハハ、アハハ、コノ肉贄、強ガッテル! 怖イノニ、気持チ悪イノニ、我慢シテルッ! アハハッ、アハハッ、アハッハアハハー!」
「・・・・・・ッッッ!」
嗤われても、結月は抗弁しなかった。もちろん、抵抗も。沈黙でもってその嗤い声に応じてみせたのだ。
 ぬるるっ、ぬじゅるるるるる・・・・・・。
 むににっ、ぐにぐにっ、むにむにぐにににいぃいぃぃ・・・・・・。
肉体は、相も変わらず触手たちによって蹂躙されている。揉みしだかれて、舐められて、乳首を摘ままれ、おっぱいを引っ張られ、尻肉に触手が食い込むほど強く揉まれる。肉付きのよい太腿にも、ヌメヌメとした触手が巻きつく。そのつど、触手たちから分泌されている粘液物質が、ぬらぬらと肌を穢してゆく。
「ぐっ、くぅ。うぐぅううぅぅ・・・・・・ッ!」
不快であり、おぞましい。気色が悪く、気持ち悪い。それでも、結月は悲鳴をあげなかった。頬を若干、赤らめながらではあるが、歯を食いしばり、耐えてみせたのだ。
先にも述べたように、覚悟はもう、できている。できているからこそ、侮辱されても、凌○されても、落ち着きを払っていられることができたのだ。
結月は小さく息を吐きだした。
 彼女の目の前で、馬の生殖器を彷彿とさせるようなイボイボの太い触手が、ゆらゆらと、まるで独り舞踊でもしているかのように揺れている。相も変わらず、見せつけるように。
 その触手に向かって、結月は言った。
「さぁ、来なさい・・・・・・そして、気が済むまでわたしを○すといい。さぁ・・・・・・」
その、直後だった。
 ず、ずずっ、ずずずずず・・・・・・。
動いた。馬の生殖器のように太くて長い――まるで凶器のような触手が、獲物に襲いかかる蛇のような動きで、結月の「穴」に襲いかかったのだ。そして、その先端を、「穴」の中に捩じり込むようにして、強引に捩じり込んできたのである。
 触手が肉に潜り込む音が響いた。
ズブッ、ズブブッ、ズズズブブブゥウゥウゥウゥゥゥッッッ!
結月の口から咆哮がほとばしったのは、その直後だった。
「うぎッ!? いぎぎぎぃぎゃああぁあぁぁあぁああぁぁぁぁあぁああぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁあぁあぁぁあぁあぁぁぁあぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁッッッ!」
瞳がカッと大きく見開かれた。
驚愕が、その美しい顔に大きく翼を広げる。困惑の色が、若干、入り混じった形相だ。
その表情のまま、結月はさらに大きく口を開け拡げ、強く、より強く咆え叫び、さらに歯を食いしばって顔を右に左に狂ったように振り乱した。
「ぐぎぃぃいぃぃいぃいぃぃぃいいいいぃぃぃいぃいいぃぃいぃぃぃいぃぃいぃぃぃぃッッ、ぎぎぎッッ、んぐぎぃぐぎぎぎぐぎぃぃいぃいぃいいぃいいぃぃぃぃぃいぃぃぃいぃいいいぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃいぃぃいぃぃぃぃぃぃぃッッッッ!」
歯茎を剥きだしにしながら、強い苦悶の声を辺りに響かせる結月。声質から容易に判る。痛いということが。苦しいということが。挿入の衝撃があまりにも巨大で凄まじかったため、叫び声以外の声が出てこないといった様子だ。
 それもそのはずだろう。なにせ、馬の生殖器のように太くて長い凶悪触手が挿入されたのは、犯される覚悟をしていた秘穴の方ではなく、本来は「出す」ための専用の穴だったからだ。
そう、あのイボイボした馬並極太凶悪触手が挿入されたのは、処女の穴の方ではなく、小指よりも小さな穴――尿道口の方だったのだ。
この予想もしていなかった事態に、結月は目を剥いて絶叫した。
「うぐがあぁぁあぁあぁぁああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあああぁぁぁッッッ! ち、違ッ、そ、ぞごはッッ、お、おじっごのッッ、あ、あ、穴―――」
その、直後だった。
ズブズブッ、ズブブブブブウウゥゥゥゥッ!
 イボ状の馬並極太触手が、さらに深く、より奥へと、尿道の中へと身を潜り込ませる音が響いた。それと同時に、尿道の筋が千切れる音と、尿管に亀裂が生じる音、そして肉に無数のイボたちが食い込む生々しい音が木霊し響いた。
ブヂッ、ブヂヂッ、ブヂブヂズブブブウゥゥウゥゥッッッ!
さらに強い絶叫が、結月の口からほとばしった。
「ぐがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ! ぐがッ、うがッッ、んぐがあぁあぁぁあぁあぁあぁあぁぁぁあぁぁああぁぁあぁぁあぁぁぁあぁあぁあぁああぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁッッッッ! がああああぁぁぁぁああぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁッッッッッ!」
その叫び声だけで理解することができるだろう。痛いのだ。猛烈に、苦しいのだ。それもそのはずだ。小指よりも小さな穴の中で、太くて長いイボイボした凶悪な触手が、その身をくねらせながら奥へと進んでいるのである。
筋を、ブチブチと千切りながら。尿道を裂き、拡げ、無数のイボで尿管を引っ掻くように拡張しながら、中へ中へと侵入しているのである。奥へ奥へと入っていっているのだ。そのつど、肉が抉れるような生々しい音が木霊し響く。
 ズブズブズブッ、ズブブッ、ズブブブッッッ!
ズブズブズブブブズズズズゥゥウゥゥッッッ!
「ぎぎががうががあがあぁああぁぁぁあああぁぁあぁあぁぁあああぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁあぁあぁぁぁあぁぁぁッッッ! おおおおじっごッッッ、おおおおおじっごのッッ、あッ、あッッ、穴があぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあッッッ!」
歯茎を剥きだしにして、この世のモノとは思えない形相で吠え叫ぶ結月。
その下腹部が、侵入を続ける触手の形に膨らんでいる。はっきりと、そしてくっきりと。無数のイボの形まで判るほど、下腹部が刺々しく膨らんでいるのだ。
ズブズブズブッ、ズブズブズブ・・・・・・ッッッ!
ズブブッ、ズブズブズブブブブ・・・・・・ッッッ!
進んでゆく。進んでゆく。下腹部の刺々しい膨らみが、奥へ向かって進んでゆく。遡上するウナギのように、さかのぼってゆく。
そして、侵入した極太凶悪触手の先端が、膀胱にまで達した直後だった。
 ズ、ズズ、ズルルルルヌルゥウゥウゥ・・・・・・。
今度はその膨らみが後退をはじめた。侵入したイボ状凶悪極太触手が、外に向かって退去をはじめたのだ。
ズルズルッ、ズルルッ、ズヌルルズルルルゥゥウゥゥゥッッッ!
 先ほどまでとは次元の異なる激痛が、結月の痛覚神経を掻き毟った。
「あぎいぃいぃぃいいぃいいいぃぃぃぃぃいぃぃぃいぃぃぃいぃぃぃぃいいぃぃぃいぃぃいぃぃぃいぃぃぃいぃいぃいぃぃいぃッ、ぎぎいぃぃぃいぃッ、あぎぎぎぐぎぎがぎゃがががががあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁぁッッッッ!」
出てくる。出てくる。尿道に、深々と突き刺さっていた極太凶悪触手が、痛々しい音を響かせながら、結月のしょんべん穴から身を引き、出てきた。無数のイボに薄い皮のような肉を絡ませ、尿道肉を外に引きずりだすようにしながら、イボ状の馬並極太触手が外に出てきた。
凄まじい痛みと苦しみが結月を襲う。
「ぎげえぇえぇぇぇえぇえぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇええぇえぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇえぇえぇッッッ! えげげげッ、んぐぐうげげえぇえぇえぇえええぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇえぇぇぇぇぇぇぇぇええぇええぇぇぇえぇぇぇえぇえぇぇッッッッッ!」
狂ったように首を振り、涙や涎、鼻水を辺りに撒き散らしながら、この世のモノとは思えない声で吠え叫ぶ結月。全身に力がこもり、手や足が、本人の意思とは関係なく動こうとする。が、触手に巻きつかれているため身動きが取れない。
 膀胱まで挿入されていたイボ状極太凶悪触手が、半ばまで外に出てきた。
 悪夢は、次の瞬間に訪れた。
 ズブッ、ズブブッ、ズブズブズブブブブゥゥウゥウゥッッッ!
 半ばまで引き抜かれたイボ状極太凶悪触手が、膀胱に向かって再侵攻を開始したのだ。
 凄まじい激痛が結月を襲う。
「うがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!」
吠える。咆える。狂ったように吼え叫び、苦悶の形相を浮かべながら絶叫する結月。
 その身を触手の化け物に弄ばせると決意を固めた時、結月は凶悪な触手で処女を散らされて、刺突するように何度も何度も犯されることは覚悟していた。そして、たとえどんなに激しく犯されたとしても、心が折れて屈することは決してないと思っていた。
しかし、まさか尿道を強○されるとは、想像もしていなかった。ゆえに、その覚悟もできておらず、それは容易に心をへし折る事態となってしまったのだ。
「うがあぁあぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁぁぁッッッ! おじっごッッ、おじっご穴ッッ、おじっご穴があぁぁあぁあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあああぁぁぁあぁあッッッ! いッ、痛ッ、痛いッッ、いだぃぃいぃいぃぃぃぃいぃぃぃいぃぃいぃぃぃいぃいぃぃぃぃいぃッッッ! 痛だあぁあぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁッッッッ! がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッ!」
 全力で痛がる結月。
 そんな彼女を嘲笑うかのように、生々しく、そして恐ろしいほど痛々しい音が、下腹部より響いてくる。
ズルルルッ、ズルルッ、ヌズルルルルルル・・・・・・ッ!
ズブブブッ、ズブズブッ、ズブブブウウゥゥゥゥゥ・・・・・・ッ!
イボ状の極太凶悪触手が、結月の尿道の中で、出たり入ったりを繰り返す音だ。鋭いイボで尿道を傷つけ引っ掻きながら、何度も何度も繰り返し繰り返し出し入れする音である。この世のモノとは思えない強○音だ。
それは当事者に耐え難い苦痛をもたらして、ついに白目を剥きながら、口から泡を噴くにまでいたってしまった。
「あががが、あが、ががが、うがががが・・・・・・!」
 身体が強張ったままびくんびくんと痙攣している。瀕死の状態、と言っていいだろう。
 その様子を見て、「触邪の王」は嬉しそうな声で嗤った。
「アハハ、アハハ、アハアハアハハハハー! 面白イ、面白イ、泡ヲ噴イタ、面白イ! ネェネェ、痛イ? 苦シィィ? アハハ、アハハ、アハアハアハハハハー!」
嗤う。哂う。哂い転げる「触邪の王」。嗤いながら、さらに激しく尿姦を繰り返す。
ズブズブズブズブブブブゥゥウゥゥ・・・・・・ッッッ!
ズルズルズルルルゥゥウゥウウゥゥ・・・・・・ッッッ!
ズブズブズブブブブゥゥウゥウゥゥ・・・・・・ッッッ!
ズルズルズルルルゥゥウゥゥウゥゥ・・・・・・ッッッ!
尿道を、抉る音が辺りに響く。肉を裂き、引き千切り、ズタズタにして、排泄機能を使い物にならなくする音が辺りに木霊し響くのだ。血の混じった尿を、びちゃびちゃと辺りに飛び散らせながら。
 そして、その音が響くつど、結月の口から壊れたからくり人形のような音が漏れて響いた。涎や泡と一緒に。
「がががッ、あがッ、ががあがあぁぁッ、がががあぁぁ・・・・・・ッッッ!」
その肺を絞るような声は、おそらく脊髄反射のように、無意識のうちに発しているモノに違いない。その証拠に、結月の瞳は相も変わらず白目を剥いたままの状態となっており、手足の痙攣も小刻みに震えているだけだ。
 もし、普通の魔物であったなら、凌○相手がこの状態にいたった段階で、「ふん、口ほどにも無い」と侮蔑してトドメを刺したかもしれないが、「触邪の王」はそうではなかった。
彼女は、結月の反応を見て、まるで手を叩くようにして面白がったのだ。
「面白イ、面白イ、コノ肉贄、マダ死ナナイ、、マダ死ナナイィィィィッッ! モットモット、モットモット、モットモットオオォオォォォッッッ!」
ずっ、ぬううぅぅうぅぅぅうぅうぅぅっ!
ずぬるるるるるぅぅううぅうぅぅぅぅぅっ!
新たな触手が現れた。尿道を犯しているイボ状極太凶悪触手とは形状が異なる先端がイソギンチャク状に無数に枝分かれしている触手だ。それが、二本。
その触手が、うねうねと無数の触手を漂わせながら、結月の大きな乳房に狙いを定めた。そして、乳首穴の拡張を、強引に開始したのだ。
ブチィッ、ブヂブヂブヂヂヂブヂィィイィィイィッッッ!
ブヂヂッ、ブヂブヂブヂヂヂヂイィィイィイィィッッッ!
「ぎゃばあああああああああああああぁあぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!」
 尿道を抉られる激痛とは異なる衝撃に襲われて、喪失しかけていた結月の意識は文字通り飛び起きるようにして覚醒した。
 そして、彼女が見ている目の前で、無数のイソギンチャク状の触手が、こじ開けた乳首穴より、乳房の中へ向かって侵入を開始したのである。
「待ッッ、まってッッ、そ、そごはッッ、おおおおおっぱい―――」
ズブズブズブブブブゥゥウウゥゥゥゥウゥゥッッッ!
ズブズブズブブブズブブゥゥウゥゥゥウゥッッッッ!
「ぎえぇええええぇえええぇぇぇぇえぇぇえぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇええぇぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇッッッッ!」
頭を大きく仰け反らせ、怪鳥のような声をあげながら悶絶する結月。無数のイソギンチャク状の触手が、おっぱいの中に入ってしまっている。そして、乳房の中に張り巡らされている乳腺の一本一本の中へと、奥へ奥へと、どんどんと入ってゆく。侵入してゆくのだ。乳腺を、拡張しながら、ずぶずぶと。
ズブニュルルルルルゥゥゥウゥウゥゥウゥゥウゥゥゥッッッ!
ズブズブズニュルルニブニュルルルルゥウゥゥゥッッッ!
入る。入る。入ってゆく。侵入してゆく。細い触手の群勢が、乳腺の奥へ奥へと入ってゆくのだ。むりやり、こじ開けるように拡張しながら。掻きわけながら。
 そして、ずしりと重い大きな乳房の中で、縦横無尽に暴れ狂った。
 グニュルルルルルルルルルルルルルルルッッッ!
 ズニュルヌニュルルルルルルルルルルルッッッ!
 グヂュルヂュルニュルルルルルルルルルッッッ!
「あばばばあばあばあばばばあばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッ!」
 暴れる。暴れる。無数のイソギンチャク状の触手の群れが、結月のたわわに実った乳房の内部で、その中に張り巡らされている乳腺の奥深くで、まるで酸に晒された寄生線虫を彷彿とする激しい動作で、狂ったように暴れている。暴れまわっている。湿り気を帯びた音を響かせながら。
 ズブニュルルゥゥウゥウウゥウゥゥゥウッッッ!
 ブヂュルヂュルルルルゥウゥゥウゥゥゥッッッ!
 グニュルルニュヂュルルゥウゥゥウゥゥッッッ!
 この世のモノとは思えない音が、結月の乳房から響いてくる。聞こえてくる。そしてその音が木霊し響くつど、結月の豊満乳房全体が、恐ろしいほどの衝動に苛まれて、結月の感覚神経を極彩色の悪意で染め上げた。
「ほげえぇえぇえぇええぇぇえぇぇええぇえぇぇぇええぇぇえぇぇぇえぇえぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇッッッ! へげえぇぇえぇえぇぇぇえぇえぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇッッ、ぐげえぇえぇぇえぇぇえぇぇえぇぇえぇぇぇぇぇッッッッ、ふんぐげえぇええぇぇえぇえぇぇえぇぇぇぇえぇえぇぇえぇぇぇぇえぇえぇぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇぇえぇえぇぇぇぇぇぇぇッッッ!」
豊満乳房を抉り散らかされる感覚に、狂った豚のような声で啼き叫ぶ結月。
その目と鼻の先では、イソギンチャク状の触手に乳姦されている乳房が、まるで無数の寄生線虫に蹂躙されているかのごとく、ぐにゅるぐにゅると蠢くように変形している。
そして乳穴を犯されているこの間も、尿道口に対する強○行為は続いているのだ。
ズブズブズブブブゥゥウゥゥゥウゥゥッッッ!
ズヌルズルルルルウゥウゥゥウゥゥゥッッッ!
イボ状の極太馬並凶悪触手が、結月のおしっこ穴を出たり入ったりしている。それを繰り返している。何度も、何度も。それも、まるで乳穴を○すイソギンチャク触手に負けまいとしているかのように、先ほどよりも、より一層、激しく。
 それはこの世のモノとは思えない凄まじい激痛を結月にもたらして、彼女を苦悶の極へと容易に導くにいたった。
「ぐがああぁあぁああぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁあぁぁぁあぁあぁあああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッッッ! おがじぐッッ、おがじぐなるッッ、あああ頭ッッ、ぐるっぢゃうぅぅうぅうぅぅうぅうぅうぅぅううぅううぅぅぅぅッッッ! うがああぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁああぁぁあぁあぁぁあああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁッッッ! がああぁあぁぁぁあぁああぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁああああぁぁぁあぁぁあぁぁぁッッッ! ぎゃぎゃぐがぎゃはががぐがががぐばがぎゃがはあぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁッッッッ!」
尿道にせよ、乳穴にせよ、本来であれば異物を挿入するような場所ではない。どちらも「出す」こと専用の穴だ。
そこを、猛烈な勢いで強○されているのだ。犯されているのである。その衝撃、衝動、激痛、苦痛、苦悶、苦悦、その他さまざまな感覚は、もはや次元を超越した「業」となって結月に襲いかかり、その神経の全てをズタズタのボロボロにして、彼女を苦悶の極へと誘わんとしていた。
 その様子を見て、「触邪の王」は声を大きくして笑った。心の底から愉しそうに、愉快そうに。
「アハハハハハッ、アハハハハハハッッ! 面白イッ、面白イッッ、コノ肉贄ッッ、トッテモ面白イイィイィィィイィィィィィイィッッッ! アハハッ、アハハッッ、アハッハアハハハハーッッ! モット、モットモット、モット啼ケ! 喚ケ! 悶エロ! 苦シメッッッ! アハハハハハハハハッッッッ!」
悪意に満ちた嗤い声を上げながら、また新たな触手を動かす「触邪の王」。
ずるっ、ずるるっ、ずるるるるる・・・・・・っ。
 ずるるるるっ、ずるるっ、ずるるるるる・・・・・・っ。
新たに現れた触手は細い触手たちだった。どれもこれも太さは人の指ほどの大きさで、どれもこれも形が似ていた。先端がやや丸みを帯びており、小さなイボが無数に生えている。そして、それがそれぞれ、無数の群れを成して蠢いているのだ。
その細い触手の群れたちが、それぞれの方向から、結月に向かって近づいてきた。
結月の――泣き叫んでいるその顔に。
 強い戦慄が、結月の心臓をワシ掴みにした。
「な、な、なッッ、なにを――」
恐ろしい予感が結月の脳裏をかすめた。両方の乳房と、しょんべん穴を犯されている状況を忘れ、一瞬、素の状態になった。
その、直後だった。
 細い触手の群れたちが、ほとんど同時に、一気に、結月の顔面に向かって襲いかかってきたのは。
グヂュルルブヂュルルルルゥゥウゥゥゥッッッ!
ブヂュルルルルルルゥウゥゥゥゥゥウゥッッッ!
ヌヂュルヂュルルルルルゥウゥゥゥゥゥッッッ!
ヂュルルルルルゥウゥゥゥウゥゥゥッッッ!
「ぶごろろおぼろろッ、ぐごごごッ、おごッ、ごごッッ、ぶぼろぼろろろぶぼおごおごごごほぼぼぶごおぶぐごおぉおぉおぉおぉぉぉおぉおぉおぉおぉおおぉぉおぉぉおぉぉおぉぉぉおぉぉぉおぉぉ・・・・・・ッッッ!」
触手たちが、結月の「顔」に入ってきた。侵入してきたのだ。無理やり、強引に、ほとんど強○的に。鼻の穴から、耳の穴から、そして眼球の隙間や涙腺穴から、ずぶずぶと入ってきたのである。壊れた音が、結月の口から漏れて響いた。
「おごごごッ、ごぉッッ、ぶごおおぉぉぉッッ、ふごごッッ、ぐごっごッッ、おぼろぼぼろぶぼろろろぉぉぉおぉぉおぉぉおぉぉおぉぉぉおぉおぉぉおぉおぉぉおぉぉおおぉぉおぉぉぉおぉおぉおぉぉ・・・・・・ッッッ!」
結月の顔面が、酷い有り様になっている。
それはもう、正視に耐えないような無惨な状態だ。
鼻の穴が無数の触手によって大きく拡張されており、粘液の入り混じった鼻水がずるずると留めなく溢れて漏れている。涙腺に触手が侵入したことにより、片方の眼球は圧力によって半ば外に飛び出して、もう片方の眼鏡はほとんど裏返った状態で白目を晒している。両方の耳穴に潜り込んだ触手たちは、鼓膜を突き破り、内耳を破壊して、さらに奥へ奥へと進んでいる。その身を激しくくねらせながら。
 そう、顔面を強○する全ての触手は、結月の頭の中を目指して突き進んでいるのである。脳を、○すために。脳を輪○して、結月をより滑稽な反応へと導くために。それがいま、まさに結月の身に起こっていた。
ズブニュルズブニュルズブブブヅブブニュブリュルルルルルゥゥウゥゥウゥゥゥウゥゥゥ・・・・・・ッッッッ!
「ごあッ、あッ、ごがあぁぁッッ、あがががッッ、がッッ、ぼがあぁあぁあぁあぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁ・・・・・・ッッッッ!」
頭の中で、無数の触手が縦横無尽に蠢き動く。脳の表面を這いずりながら、あるいはその隙間に身を潜らせ、左脳と右脳をそれぞれ異なる方法で強○する。脳に、痛覚はない。しかし、無数の異物が大量に侵入すれば、結月の身体に様々な反応が生じるのは自明の理だ。
 身体がびくんびくんと仰け反り震え、手や足の指がめちゃくちゃに動き、股間や乳から汁が溢れる。強○されている顔面も、様々な分泌液でぐちゃぐちゃになってしまっており、それはもう、筆舌に尽くし難い惨状を呈していた。
 その様子を見て、「触邪の王」は愉快に嗤った。
「アハハ、アハハ、アハハハアアアァアァァァッッッ! 凄イッ、凄イッッ、面白イッッ! 愉シイッッ! コノ肉贄ッッ、イイッッ、イイイィッッ、凄クイィィイィィイィィッッッ! モットモット、モットモットモットッッ、弄ビタイィィイィィィイィィッッッッッ!」
かくして結月を苛む惨禍は続く。
 その身を、完全に壊し尽くすまで、ずっと、ずっと・・・・・・。


これからももっそもっそと頑張って書いていく予定なので、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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