フリーセンテンス 2023/04/22 11:07

新作はこんな感じです。

こんにちは、フリーセンテンスです。
前回お報せしましたとおり、現在執筆している新作の冒頭部分を掲載したいと思います。

全体的に掛け合いなども含めて調整する予定ですが、もしよろしければ読んでください。
それではどうぞ(;´∀`)


     Ⅰ

 ・・・・・・テンガイ山脈は大陸を南北に分かつ形で東西に長く伸びている。その距離は一八〇〇リーグ(一リーグ、一・二キロメートル)にも及び、数千と連なる山々の標高は平均で七〇〇〇ガズ(一ガズ、一・二メートル)であり、もっとも高いララトラ山は一一〇〇〇ガズもの高さがある。
テンガイ山脈は大陸の北央部に位置しているにも関わらず、山々の各所からは古代海洋生物の化石が大量に見つかっていることから、太古の昔、もともとはふたつだった大陸が地殻の変動によって衝突した結果、長大な山脈を形成したと考えられている。実際、大陸はテンガイ山脈を隔てて南北で異なる様相を見せており、万年雪と永久凍土の冷たい大地が広がっている北側とは対照的に、南側には生命が富んだ温暖で肥沃な大地が拡がっているのだった。
 この南側の大地では、エルフやドワーフなど、高い知能を持つ高等知的生物種によって文明が開花されるよりも前に、もっと優れた存在によって高度な文明が形成されていたと言われているが、遺跡や遺物など、文明の痕跡が存在しないため、その詳細は不明とされている。そして現在は、幾度かの大規模な人種間戦争を経て、高い知能に加えて旺盛な繁殖力を持った「人間」が文明を築いて支配者として君臨しているのだった。その統治の歴史はすでに八〇〇年を超えており、その過程にて、エルフやドワーフといったいわゆる亜人種は人間の文明に取り込まれ、時おり敵対しながらも、経済の統合と文化の融合を果たし、共存共栄の世界を形成するにいたったのだった。
そしてその頃から、世界の各地では、まことしやかに不吉な噂が囁かれはじめたのである。
 それは曰く、次のような話であった。「テンガイ山脈の麓にある「深淵の洞窟」には、旧世界を滅ぼした神格者が深い眠りについている。そのモノの名は「触邪ノ王」。そのモノは、やがて目を覚まし、咆哮と共に高らかに復活を宣言するだろう。この世界をもう一度、滅ぼすために。それを阻止するためには生け贄を捧げなければならない。美しき女の生け贄を・・・・・・」この話がいつ頃から語られるようになったのか、それは定かではない。しかし、この話は、やがて伝承となり、真実の様相を帯びながら、世界にゆっくりと浸透していったのであった・・・・・・。

     Ⅱ

 ・・・・・・テンガイ山脈の麓にある「深淵の洞窟」に、旧世界を滅ぼした神格者が潜んでいるという話について、多角的な観点から真偽のほどを検証する動きが幾度もあったのは周知の事実である。話が発生した経緯や時代背景、場所の特定など、幾人もの民話学者や古代史研究者が様々な資料や文献を漁って検証してきた。ただしそれらの行動は、主に金銭的な事情から大規模におこなわれたことは一度もなく、個人単位や小規模な集団によって細々とおこなわれてきたことであった。ゆえに何年、何十年という長い時間のかかった作業であったが、それでも一定の成果はあった。
 話は大陸暦(これは人間の時代と共に使用されるようになった暦である)が制定される以前から囁かれていた話であって、始まりはテンガイ山脈の麓にあるドワーフの集落で発生し、その近くには「深淵の洞窟」のモチーフになったと思われる巨大な洞窟も発見された。そして、この洞窟に潜った者たちの話や記録を精査していくと、中で恐ろしい唸り声や呪詛のような声を聞いたという記録や証言がごろごろ出てきたのだった。
 そして大陸暦八五〇年、話の真偽を確かめるべく、デレシア出身の貴族ユリラーグ伯爵によって大規模な探検隊が組織され、洞窟の最深部を目指しての降下が開始された。それは地質学者や研究者、魔術師や技術師、さらには冒険家や探窟家など、総勢八十五名で構成された精鋭部隊であって、彼らは三カ月という時間をかけてルートを開拓すると、ついに洞窟の最深部に到達したのだった。
 そして、彼らはそこで「見た」のだった。
 洞窟の奥に潜み棲んでいた「モノ」を。
 その時のことを、帰還したユリラーグは、作成した報告書の中で次のように回想している。
「・・・・・・深い洞窟の最深部にいたった我々は、そこに居た「モノ」を見た。確かにこの目で確認したのだ。それは巨大でおぞましい化け物だった。醜悪な色彩をした肉塊と数えきれないほどたくさんの触手で構成された生命体がそこにいたのだ。我々がその化け物を見つけた時、その生物は目を閉じていた。生えている触手は気持ちの悪い蛇のようにわずかに動いてはいたものの、伝説通り深い眠りについているに違いなかった。しかし・・・・・・しかし、おお、神よ! 許したまえ。その化け物は、我々があげた悲鳴で目を覚ましてしまったのだ。巨大な瞳を開け放ち、そして、充血した瞳で、我々を見たのだ。まるで睨みつけるように、ギロリと。・・・・・・そこから先は覚えていない。どのようにして戻ったのか、気づいた時、我々はすでに地上にいたからだ。地上に戻った我々に、もう一度、地下に潜る勇気はなかった。しかし、これだけは断言できる。伝説は、真実だったのだ。ゆえに、神格者が目覚めたいま、早急に対処しなければならない。世界滅亡を阻止するために、生け贄を捧げなければならない。美しき女の生け贄を用意しなければならないのだ!」
この報告書は極秘とされた。世間に公開して混乱を引き起こさせないようにするために。しかし、その水面下では、神格者「触邪ノ王」の復活を阻止するべく、様々な形で準備が進められることとなった。その一環として、伝説にある通り、生け贄として捧げる美女の選定も始まったのだった。
そしてこの時、生け贄として選ばれたのが、「美しき聖巫女」の異名を持つセレナ・ハイウェイスであった。
 ただし、彼女は無理強いされて生け贄になったのではなかった。むしろその逆で、全てを承知したうえで、自らの意思で生け贄になることを志願したのだった。
それは彼女が内に秘めた想いによる行動であったのだが、それはまた別の話である。

     Ⅲ

 ・・・・・・すでに異名でも指摘されているように、セレナ・ハイウェイスは類稀なる美女であって、それは彼女を知る万人が認めるところであった。
 その容姿に非の打ち所は一切なく、顔立ちは端整にして美麗そのもの。豪奢な金髪は長く腰のあたりまで伸びており、左右異なる色をした瞳は淡いルビーとサファイアそのもので、鼻は小さく形よく、潤った唇はそれだけで芸術品のようであった。また容姿だけでなく、肉体の方にも非の打ち所はまるでなく、背丈はすらりと高く細身であって、その身体に無駄な脂肪というものは一切付着していなかった。手足も華奢でしなやかであり、手指はまるで象牙細工そのもの、水気に富んだ肌は処女雪のように白かった。美の現身ともいうべき彼女を目にした者は、その美しさに見惚れてしまい、同性異性を問わず感嘆の吐息を漏らさずにはいられないと言われていた。それもそのはずである。彼女の身体には薄くではあるがエルフ族の高貴な血が流れており、それが幻想的なまでの美を創りだしているのである。耳が少しだけ長いのも、エルフの血の名残りであった。
 すでにこの時点で、彼女が美の女神の寵愛を受けた存在であることは疑う余地もないのだが、神とは依怙贔屓が好きなようで、彼女は美だけではなく、豊穣の女神からも祝福も受けていること間違いなかった。その証拠に、彼女の胸には人の頭よりも大きな乳房が重々しく実っており、お尻の肉付きも熟れた桃を彷彿とさせるほど大きくでっぷりと存在を主張しているからだ。その豊満な恵体といったら、目にした者は老若を問わず、万人の男たちが垂涎して本能的に勃起してしまうに違いない。これはエルフの血によるものではなく、彼女の半身に流れている人間の血によるものであった。
 セレナ・ハイウェイスの母親は、成長するに従ってどんどんと魅力的になってゆく娘の身を案じて、彼女が物心つくよりも前に、彼女を尼僧院へと入れてその身を匿ってもらった。そこは徳の高い老いた尼僧たちによって運営されている施設であった。そこでセレナ・ハイウエィスは、厳しい禁欲的な生活を送りながらも、非凡なる才能を発揮して次々と学問を収めていき、ついには一五歳という若さで神聖魔法をも習得したのであった。
 神聖魔法を習得したセレナは、一八歳で尼僧院を出て各地を巡る旅に出た。旅の目的は人々を襲う魔物や害獣たちの退治であり、彼女は各地で危険な魔物たちを次々と倒していき、やがて「美しき聖巫女」の異名で呼ばれるようになった。
 そんな彼女が「深淵の洞窟」に潜む「触邪ノ王」にまつわる話を聞いたのは、旅先で訪れたデレシアであった。ユリラーグ探窟隊の話を聞いたセレナは、国が秘密裡に生け贄を探していると聞いて、自ら進んで志願したのだった。
「どうか、このわたくしめを、生け贄として触邪ノ王に捧げてください。必ずや生け贄としての務めを果たし、世界を救ってみせますので」
セレナの申し出に人々は驚き、彼女に考えを改めるよう説得したが、彼女は説得には応じなかった。
「半端な覚悟で触邪ノ王のもとへと赴いても、かえってお怒りを買うことになるだけです。それでは本末転倒。わたくしは、たとえこの身を千の骨片と万の肉片に変えられても、生け贄としての務めを果たす覚悟がございます。ですから、どうかわたくしを地の底へと赴かせてください。この身ひとつで世界を救えるのであれば本望でございますから」
かくしてセレナは「深淵の洞窟」へと向かい、ひとりで地の底へと降りていったのだった。
 そして、彼女はそこで、触邪ノ王と相対することになる・・・・・・。

     Ⅳ

 ・・・・・・かなりの時間がかかったものの、地の底までの行程は、すでにルートが確立されていたことと、彼女が得意とする神聖魔法の駆使によって困難ではなかった。それでも七日という時間がかかったのは、それだけ洞窟内の環境が厳しかったからである。そして、暗く深い地の底に辿り着いたセレナ・ハイウェイスは、そこにいた巨大な触邪ノ王と相対してその姿に圧倒されたのだった。
「こ、これが、触邪ノ王・・・・・・」
セレナはごくりと喉を鳴らして固唾を飲み込んだ。
 触邪ノ王は話に聞いていた姿よりも遥かにおぞましく、そして常軌を逸するほど恐ろしい姿形をしていた。本体であろう巨大な肉塊は、醜悪としか表現できない色合いの肉によって構成されており、そして既存のどの生物(それこそ巨人やクジラなど)よりも遥かに大きく、セレナの身長の何十倍もの大きさがあった。また、そこから生えている触手は膨大そのもので、何千、何万本という数の触手が辺りを埋め尽くさんとするかのように伸びていた。単眼の瞳もその巨体に相応しい大きさを誇っており、その眼力は、ただそれだけで他者を圧倒し、目力だけで意識を奪うことができそうなほどの力を漲らせているかのようであった。セレナがまた、無意識のうちに固唾を飲み込んだ。
「す、凄い・・・・・・あぁ、なんて凄い存在なの、触邪ノ王とは。この御姿、まさに原初の神そのもの。あぁ、あぁぁ・・・・・・」
吐息のような言葉を口にしながら、セレナは大きな乳房のうえで拳をぎゅっと握りしめた。心なしか、頬が紅色に上気している。目の当たりにした触邪ノ王の御姿に、セレナは圧倒されると同時に、心を奪われて魅了されてしまっていたからだ。
触邪ノ王は確かにおぞましく、そして恐ろしい姿をしていたが、その醜悪な外見にはどこか神秘的な神々しさを湛えており、それは言葉では表現できない魅力となってセレナの心の隙間に入り込んでしまっていたのだ。
「あぁ・・・・・・、わたくしは、この存在によってめちゃくちゃにされるのね。生け贄として、筆舌に尽くし難い責め苦の果てに、永劫の恐怖と苦痛を与えられることになるのだわ。あぁ、あぁぁ・・・・・・」
その光景は、容易に想像できた。それは悲惨で、そして凄惨な末路であったが、しかしセレナは勇敢だった。生け贄としての覚悟を決めている彼女は、意を決して岩陰から現れると、自分に敵意がないことを証明するため両手を大きく広げながら触邪ノ王に向かって語りかけた。
「触邪ノ王よ、触邪ノ王よっ!」
触邪ノ王の巨大な瞳がぎょろりと動いた。
そして、その瞳がセレナを捕らえた。
「誰ダ、オ前ハ?」
「わたくしはセレナ・ハイウェイス。まだ未熟ながらも聖巫女を務めさせていただいている者です」
「ホウ。シテ、イマノ呼ビカケハ我ニ対シテノモノナノカ?」
「はい、その通りです」
「フム。シテ、我ニナンノ用ダ?」
「はい。わたくしは、生け贄としてあなた様にこの身を捧げるために参りました」
「ナニ?」
触邪ノ王が巨大な瞳をしかめるよりも前に、セレナは象牙細工のような手指を動かして薄着のような巫女装束を脱ぎ捨てた。するるっ、ぱさっ。瞬く間に、美の女神を彷彿とさせるような裸体が露になった。人の頭よりも大きな乳房も、ツンと高く尖っている薄桃色の綺麗な乳首も、まだ薄っすらとしか金色の陰毛が生えていないアソコも、なにもかも露になって、セレナは産まれたままの姿になった。
 そして、セレナはその芸術的なまでの裸体を一切隠すことなく曝け出すと、再び両手を大きく広げて、触邪ノ王に向かって甘い声で申し出たのだった。
「生け贄として、この身の全てをお捧げします。さぁ、触邪ノ王よ、その雄々しき触手でわたくしの身体を堪能してください。この身が無惨な肉片に成り果てるまで、責めて責めて責め苛めて筆舌に尽くし難い暴虐の限りを尽くしてくださいませ。さぁっ」
「エ? ア? エ、ア、ンン?」
セレナの突然の申し出に、触邪ノ王は明らかに困惑しているようだった。
 その様子を見て、セレナは自分が精神的優位に立ったと思ったようだった。さらに一歩、大きな乳房を揺らしながら前に進み出て、誘惑するような声を蠱惑の糸として紡ぎだしたのだった。
「遠慮はいりません。わたくしはもう、生け贄としての覚悟ができておりますゆえ、あなた様のお好きなように暴虐非道の限りを尽くしてくださいませ。その何千、何万という触手で穴という穴を犯し尽くされて、お腹の中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜられたとしても、決してお恨みすることはございません。ですから、どうかわたくしの犠牲と引き換えに、世界をこのままそっとしておいてくださいませ。どうか、どうか――」
ここでようやく、触邪ノ王が口を挟んだ。
「チョッ、チョット待テ、チョォット待テ。トリアエズ、チヨォォット待テ!」
それは困惑の声だった。
触邪ノ王は明らかに混乱しているようだった。
「オ主ハイッタイゼンタイナンノ話ヲシテイルノダ? 生ケ贄? 世界? イッタイナニヲ言ッテイルノダ?」
「え?」
触邪ノ王に問われて、セレナは戸惑いながらも、自分がここにきた経緯を説明した。事細か詳細に。それを聞いて触邪ノ王はますます混乱したようだった。
「イヤイヤイヤイヤイヤ、求メテオラン、求メテオランヨ、ソンナモノハ! 生ケ贄ナド求メテオランシ、世界ノ滅亡ナドモット求メテオラン。ソノ話ハ完全ニ「デマ」ダ」
「え、へ? で、デマ、ですか・・・・・・?」
話を聞いて今度はセレナが驚く番だった。
 触邪ノ王が触手を振りながら言葉を続ける。
「ウム。第一、我ガココデ眠リニツイテイタノハ、力ヲ蓄エルタメデハナク惰眠ヲ貪ッテイタダケダシナ。我ハ「怠惰」ヲ司ル神格ナノデ。ソレニ世界ナンテ滅ボシテドウスルノ? ソンナコトシテナニガ愉シイノ? 意味ガ分カランヨ、マッタク」
憤っているのか、目を細めながら、まるで腕を組むように束ねた触手を絡ませる触邪ノ王。その姿に威厳というモノはなく、完全に拍子抜けしてしまったのか、セレナは唖然としながら聞いてしまった。
「そ、その・・・・・・ひ、人々の恐怖や絶望を糧になさっている、とかではなくて・・・・・・ですか?」
「喰ワンヨ、ソンナモノ。第一、我ハ菜食主義ダシ」
触邪ノ王は聞いてもいないことを口にし始めた。その話によると、身体からたくさんの触手が生えているのは、獲物を襲うためではなく、地面から野菜や野草を食べるためであり、やたらと長いのは、落ち着くこの場所から離れずに食事をするためだという。「怠惰」を司る存在として、誠に相応しい行いといえるだろう。
「え、あ、で、では・・・・・・あなた様に世界を滅ぼすつもりがないのなら、どうしてこのような話が世の中に広まったのでしょうか・・・・・・?」
「サァ、知ランヨ、ソンナコト。マァ、大方、ナニカノ拍子ニ我ヲ見タ者ガ、勝手ニ豊カナ想像力ヲ発揮シテ、アリモシナイコトヲ吹イテマワッタンジャナイカナ。ホレ、人間ッテ、作話ガ好キダトイウシ」
「え、ええっ!」
「マ、ソウイウワケダカラ、君ハモウ帰リナサイ。コンナトコニ居タッテナニモナイヨ。ソレニ、ソロソロ服ヲ着ナサイ、服ヲ。風邪ヒクカラ。デ、地上ニ戻ッタラ、イマノ話ヲ他ノ人タチニ伝エテクレタマエ。ソシテ人々ヲ安心サセテヤルトイイ。ジャ、ソウイウコトデ」
そう言って触邪ノ王は触手を振った。まるで「さよなら」と言っているかのように。
 ここで突然、セレナが大きな声をだした。
「そ、そ、それでは困るのです!」
「エ?」
驚く触邪ノ王。そんな彼に向かって、セレナはまくしたてるように一気に吠え叫ぶのだった。まるで子どもが駄々をこねるように。
「わ、わたくしはっ、あなた様に犯されるためにこの場所に来たのです! ですから、犯してもらわないと困るのですうぅぅぅぅっっ!」
「ハ? ハァ? エ? ハアァァ?」
突然の衝撃的な告白に、触邪ノ王は明らかに動揺しているようだった。若干、巨体が後退しているようにも見える。
 そんな彼に向かって、セレナ・ハイウェイスは、自らの内に秘めていた密やかな想いを、まるで堰を切ったように吠えて叫んで伝えたのだった。感情に任せるようにして。
「わたくしは、小さな頃から誰にも言えない想いを内に秘めてまいりました。それは屈強な魔物にこの身を蹂躙されて、無慈悲に強○されるだけでなく、ボロ布のように扱われ、最後は苗床にされてたくさんの魔物たちを孕み産みながら、無惨で悲惨な末路を遂げるという夢を抱いてきたのです! その夢を叶えるために、わたくしはこんなジメジメした暗い陰鬱な場所までやって来たのです! そして、その夢が、ようやく叶うと思ったのに・・・・・・!」
「エ、エェ、エエエェェ・・・・・・」
その見た目からは想像もつかないような衝撃的な告白に、触邪ノ王は明らかに引いていた。ドン引いていたと言っていいかもしれない。しかし、相手のそんな様子などお構いないといった様子で、セレナは、これまで決して誰にも言えなかった秘め事を、まくし立てるように叫び続けたのだった。
「わたくしは昔から思っておりました。強く、強く、強く願っていたのです! 屈強な魔物に犯されたい! 力づくでねじ伏せられて、大きなペニスでアソコを、お尻をっ、そしてお口をっ、おっぱいをっっ、犯されて、犯されて、ただひたすら犯されて、許しを乞うても決して聞き入れられないまま、力づくで犯され続けたいと願っていたのです!」
 言葉の意味としての重複や、前後の文脈がめちゃくちゃなのは、それだけ感情的にまくし立てているからに他ならない。
セレナはさらに続けた。その想いは肉体が熟れていくにつれ、どんどん強く、そして肥大化していき、ついにはその願いを叶えるため、魔物討伐という名目で諸国放浪の旅に出たのだという。
「でも、ダメでした! 遭遇する魔物はカスばかり! 信じられないほど弱くて、魔法一発で消し飛ぶようなザコばかりでした! 一度、なにもせず、見た目が屈強なオーガに身を委ねてみたこともありましたが、わたくしの肌に触れた瞬間、そのオーガはなんと、わたくしの神聖な「氣」によって瞬く間に浄化されてしまったのです! ああ、なんという悲劇!」
「・・・・・・」
先ほどまでの気品あふれる清純な様子とうって変わって世俗的な欲望をまくし立てるセレナに、触邪ノ王は呆れ果て、どうすればいいのか戸惑っている様子だった。
 そんな彼に向かって、セレナ・ハイウェイスは構うことなく言ったのだ。
「わたくしは絶望のあまり、自ら命を断とうとも考えました。死んで、あの世に逝き、地獄の亡者たちに魂を委ねることで願いを叶えようと思ったからです。しかし、そんな時でした。あなた様の話を耳にしたのはっ! 世界を滅ぼすほど邪悪でおぞましい存在、そして、なんと、都合よく美女の生け贄を求めているというではありませんか! わたくしは狂喜しました! 神はわたくしをお見捨てになっていなかったのだと! ついに願いが叶う刻がきたのだと!」
触邪ノ王は思った。
(コイツ、ヤバイ・・・・・・)
と。
しかし、そんな相手の気持ちなどお構いなしと言った様子で、セレナ・ハイウェイスは訴えるのだった。
「ですからわたくしめを犯してくださいませ、触邪ノ王よ! そのたくさんの触手でもって、わたくしのアソコをっ、お尻をっ、お口をっ、犯して犯して犯しまくってっ、めちゃくちゃのぐちゃぐちゃにしてくださいませぇぇっっっっっ!」


・・・・・・この後に、ヒロインが望む「されたいこと」が続く予定となっております。
で、その話を聞いた結末を、無料プランの方にて掲載しますので、もしよろしければそちらの方もご覧になってください(;´∀`)

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