ゆう探 2021/10/02 10:00

【小説】魔花の森〜アルラウネに捕食されるハンター〜

最近神秘の森には凶悪な魔物が棲みついたらしく行方不明者が増えている。
ハンターのアールは調査を行うため森の中に踏み入ったが・・・。

登場淫魔:アルラウネ

魔花の森

街の北には神秘の森と呼ばれる場所があった。精霊たちが住む神聖な森であり近隣住民からは信仰の対象にもなっている。
かつては弱い魔物のみが住む比較的安全な森だった。しかし、最近は凶悪な魔物が棲みついたらしく行方不明者が増えている。
魔物ハンターであるアールは被害の拡大を防ぐために魔物の討伐に来ていた。
森は非常に静かでたまに遠くで鳥の声や獣の遠吠えが聞こえるくらいだ。出てくる魔物も弱いものばかり。とても危険な魔物が棲んでいるようには見えないが。

かなり森の奥まで来た。やはり森は静寂そのもの。
いやーー。
アールは足を止めた。
静か過ぎる。この辺りだけ魔物や動物の気配は一切ない。鳥の声も非常に遠くから聞こえるのみ。
こういった場合考えられるのは魔物のテリトリーに入った場合だ。
魔物や動物達は人間達よりも感覚に優れている。だから強い魔物がいればそこには近づこうとしない。そしてここのように魔物のテリトリーは静寂に包まれる。
アールは警戒しながら再び歩き始める。静寂な以外は特に異変はない。魔物の気配も特に感じない。
パキッ。
不意に木の枝が折れる音。踏んだのはアールではない。とすれば・・・。
アールは振り返る。いつの間にかアールの10メートルほど後ろに女の子が一人立っていた。緑色のワンピースを着て頭に赤い花飾りをつけた可愛らしい少女。
少女はアールを見てにっこりと笑う。
こんなところに普通の女の子がいるはずがない。しかも近づくまで気配を全く感じなかった。というよりも今も気配を感じない。
植物系の魔物かーー。
植物系の魔物は厄介だった。周りの植物の気配に紛れてしまうため、近づかれても気づきにくい。
アールは警戒を解かずに少女から距離を取ったまま少女に話しかけた。
「君は?」
「アルラウネのエメラだよ」
あっさりと答える少女エメラ。警戒をしているアールを見て正体を隠すのは無駄だと感じたのだろう。
「この姿で近づいても警戒を解かないんだね。でもーー」
不意に後ろから何かがしがみついてきた。見るとエメラそっくりの少女がアールに抱きついていた。
「前ばかり見てたらダメだよー」
「クソっ」
抱きついていたエメラそっくりの少女を振り払う。そして剣を抜いて切り裂いた。切られたエメラは緑色の光となって消えた。
気配を感じない相手はかなり厄介だ。
しかもーー。
彼女に抱きつかれた瞬間毒針を刺されたようだ。左手が痺れてうまく動かせない。バンダナを左腕に巻き付けきつく縛る。これで少しは全身に毒が回るのを遅らせることができるだろうが、このままだと回るのは時間の問題だ。
あまり無駄遣いはできないが、出し惜しみをしている場合ではない。毒消しを飲む。
痺れは消えた。しかし、厳しい状況は変わっていない。一人を倒しても無駄だ。
エメラの後ろからまた新しいエメラがわらわらと何人も現れる。前ばかりも警戒していられない。また後ろや上からの不意打ちもあるだろう。油断したら一瞬で毒針の餌食だ。
あの少女達は餌を誘き寄せるための擬似餌だろう。エメラ本体はこの森のどこかにいるはずだ。
アールは剣を抜いてエメラ達に切りかかる。全員を相手にしたらジリ貧だ。道を切り開きながら本体を探すしかない。
これだけの数で守るということは近くに本体がいるはず。
そのアールの予想は当たっていた。
切り抜けた先にいたのは緑色の肌をした全裸のエメラ。擬似餌のエメラ達と違い脚は花と一体化している。
植物系の凶悪な魔物アルラウネだ。
エメラ本体はアールと目が合うとにいっと笑い、花から生えている棘付きの蔦を振り上げた。
アールは蔦による攻撃を掻い潜りエメラ本体を切り裂く。
「ああああああーー」
エメラは悲鳴をあげ苦痛に顔を歪める。
アールは勝利を確信した。しかし、苦痛に顔を歪めていたエメラがにいっと笑う。
エメラの体が緑色の光になって消える。
「しまった!、こいつも擬態か」
「当たり!」
草陰から棘付きの蔦が伸びてくる。そしてアールの体を絡め取った。蔦の棘が全身に刺さる。一瞬で全身が麻痺してしまう。
アールは蔦に引きずられ、茂みの奥に引っ張れていく。体が痺れ、全く抵抗できない。
蔦に引っ張られて辿り着いたのは今度こそ本物のエメラの前。彼女の周りには動物や人間・魔物の骨が散乱していた。恐らくあの骨は彼女の餌食になったもの達だろう。
エメラは蔦を使ってアールを自分の目の前で引きずる。そして目の前まで来たところで蔦を解き、彼を抱き上げた。
「はあい。捕まえた❤︎」
彼女の体はヌルヌルの粘液のようなもので包まれていた。抱き締められた瞬間粘液に包まれ、ぬるま湯に浸かったような恍惚感が全身に走る。
「この粘液は消化液でもあるんだよ。私に抱かれたままゆっくりと溶かしてあげる❤︎大丈夫。痛覚も麻痺しているから感じるのは快感だけ」
「ふわあああああ」
もうすぐ捕食されてしまうというのにアールは快感に当てられ恍惚としていた。食べられる恐怖すら快感に染められてしまう。
「私の花弁に入れてあげる❤︎人間なんかよりずっと気持ちいいよ❤︎」
エメラの下半身の花の部分…人間で言うと女性の陰部の部分が開く。そしてアールの服を脱がし、彼のペニスを挿入した。
「あああああああああ!」
強烈な快感がアールのペニスに走る。中も粘液でヌメヌメしていた。快感のあまり意識が飛んでしまいそうになった。
ドピュッ、ドピュッ。
体が痺れているため全く快感に耐えられない。すぐに射精してしまう。
「どんどん養分を吸ってあげるね❤︎」
ドピュッ、ドピュッ。
射精が止まらずどんどん吸い出される。
「ああああ」
ずっと続く射精の恍惚感。
「さあ、恍惚に浸ったまま、溶けちゃいなさい。私と一つになるの」


街の北には魔花の森と呼ばれている場所があった。凶悪な魔物アルラウネが棲みつく森であり近隣住民からは恐怖の対象となっている。

森全体がアルラウネのテリトリーであり、森に入ることは死を意味していた。

終わり

あとがき

こんにちは、みやろくです。
この頃サキュバスネタが多かったのでたまには違うモンスターということでアルラウネ。

書いていて思ったんですが、生きたまま溶かされるのってなかなかグロい(笑)。

擬似餌で誘って食わせる遊戯王の蟲惑魔的なやつにしたかったけど普通に物理で倒して食う展開になってしまった。

まあ、それはまた別の機会に。

ところで私は作品を読む時はあまりバッドエンドが好きな訳ではないのですが、自分で書くときは割とバッドエンドが多くなります。

これは一体どういうことなのか(笑)。


では、今日はこの辺りで。


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よろしくお願い致します。

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