めかぶ亭 2019/01/21 01:24

「Magical Girl Bad End A2α」先行サンプル

鋭意製作中の新作CG集「Magical Girl Bad End A2α」(仮)から、冒頭部分とショコラの敗北シーンの先行サンプルを公開です!

タイトルはA2αとなっておりますが、Magical Girl Bad End A1の続編ではありません。
「A」自体が長編タイトルにつける汎用コードであり、本作はコミケ向けの「C」にも該当しない長編タイトルとして「A2」のコードと、後編の作成が既に決定しているため「α」の区分をつけて、「A2α」としております。
ただ、A1の存在から勘違いを招く可能性もあるため販売時には別のコードにする可能性もあります。

さてさて、内容についてです。

全体公開の区分ではショコラの勝利シーンと、相思相愛なハルカさんとの甘い看病シーンをご覧いただけます!

並盛りプランではショコラさんの敗北シーンを作成中のイラスト2枚と共にご覧いただけます!

尚、計3枚のイラストは全て作成中であり、背景やエフェクト、差分はまだ準備できておりません.....
発売前に公開する正式なサンプルでは完成データを投入する予定です。

フェレスティア・ハルカを返り討ちにした淫魔を駆逐すべく、夜の町で華麗に舞うフェレスティア・ショコラ。
その優れた戦闘力で淫魔を駆逐し、ハルカの仇討ちに繋がる情報を手にすることに成功する。
『次こそはハルカの仇を取ったるからな!!』
そう意気込むショコラであったが、一方のハルカは言い知れぬ不安と胸騒ぎを覚える。
ショコラの実力を疑うわけではない、でも……
そんなハルカの胸騒ぎをよそに、ショコラの携帯が駆逐指令の着信を告げる。
意気揚々とハルカの仇討ちに向かうショコラの運命は……

以下、サンプル本編

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「なんや、厄介な淫魔が二匹っていうから来てみたら、随分ちっこいのがおるんやなぁ。期待はずれもええとこやで」
 腕組みをして大きく溜息をつくフェレスティア・ショコラの眼前には、長身で筋肉質な大柄の淫魔と、その影に隠れる小柄な淫魔の姿があった。
 町の中心部にある公営の広場、その一角でショコラと淫魔は対峙していた。入園時間はとっくに過ぎて人気がないとはいえ、市街地に淫魔が潜んでいるということは実に由々しき事態である。
「な、なんだこのクソガキ!! メスネコ風情のクセに生意気だぞ!!」
「まぁまぁ……、それよりいいのよね、コイツはアタシが貰っても?」
「うん!! そのかわり、徹底的にけちょんけちょんにして、それから私に土下座で謝らせてよね!!」
 がなるチビ淫魔とそれを宥める大柄の淫魔、随分と対照的な組み合わせでありどんな連携をとってくるのかとショコラも興味を抱いていたが、どうやら戦うのは大柄のほうの一匹だけらしい。
 とはいえ、その鍛えられた肉体とフェレスティアに捕捉されているというのに物怖じする様子もない態度は、淫魔の実力とそれに裏打ちされた自信が如実に物語っていた。
「ほーん、フェレスティアを倒した淫魔ってのはアンタの事なんか?」
「フェレスティア……? ああ、あの子ね。そうよ、アタシがやったのよ。それで、ショコラっていたかしら、あなたは仇討ちでもしたくて一人でのこのこやってきたわけ?」
 威圧的な巨体がゆっくりとショコラに近づいてくる。
「仇討ちかぁ……、確かにそれもあるけど、ウチはただ手応えのありそうな相手と戦うのが好きなんや。弱っちぃのとやってても戦った気がせぇへんからなぁ」
「手応え、ね。大物ぶるのはいいけど、敵が目の前にいるのに身構えようともしないなんて、戦いってものをナメてるのね……」
「そんなことあらへんで。ウチがナメてるのは戦いじゃなくてアンタの事や。淫魔如きが相手なら、この間合いで身構える必要はあらへんからなぁ」
 ショコラと淫魔の間合いはおよそ20m余り、確かに、攻撃魔法を使わない淫魔が相手であれば十分な間合いではあるものの、肉弾戦に特化した淫魔の瞬発力は決して侮れるものではない。
「……まあいいわ。そんなに手応えが欲しいならたっぷりと味合わせてあげる。……後悔するほどねぇ!!」
 殺気立った淫魔が襲い掛かり、戦いの火蓋が切られた。
 踏み込みからの一歩で一気に加速した淫魔は一瞬にして間合いを詰め、ショコラの顔面狙いでストレートの一撃を繰り出した。
 その強烈な一撃はバックステップで身を引いたショコラの前髪を掠めて空振りする。淫魔を挑発するように余裕を曝け出していたショコラであるが、その実、全身のバネをいつでも利かせられるように備えていたのだ。
 しなやかな全身をバネのように弾ませ、軽いステップを踏みながら、淫魔の強烈な拳を寸でのところでかわすショコラ。
 一方で淫魔も屈強な肉体から次々と拳を繰り出し、木々の連なる茂みのほうへとショコラを追い詰めてゆく。
「いいぞいいぞー!! そのままどんどん追い詰めちゃえー!!」
 小柄の淫魔は本当に戦う気がないのだろう、離れた所から観客のように歓声を飛ばすばかりだった。
 尤も、互いが格闘戦を得意とする両者の熾烈な戦いの間に、このちっぽけな淫魔に介入できる術があるのかは甚だ疑問である。
 素早い身のこなしで隙を窺うショコラと、重い一撃の連発で隙を与えない淫魔……、戦局は後者がやや優勢だろうか、回避による防戦に徹するショコラはじわじわと茂みのほうへ追い込まれてゆく。
 そして遂に、後ろ跳びで拳を避けたショコラの背中が、広場を囲むように生い茂る高木の幹と接触した。
「よーし追い込んだ!! トドメさしちゃえーー!!」
 興奮した幼声が辺りに響いた直後、ズドンと重い音と共に、高木の一本が大きく折れ曲がった。
 硬い木の幹を大きく陥没させた淫魔の一撃……、その破壊力を紙一重でいなしたショコラは、幹にのめり込む淫魔の拳を横目に余裕を感じさせる微笑を浮かべているではないか。
「大した破壊力やなぁ。でもあれや『馬鹿力』っていうんか、ホンマに力だけやな」
 余裕を見せるショコラとは対照的に、ここまで追い詰めた淫魔のほうは微かに吐息を荒げながら、実に不快そうな表情を見せていた。
「本当に小癪なクソガキね……。反撃のひとつでもしたらどうなの? アタシが疲れるのを狙ってるのかもしれないけど、この程度の拳なら何時間でも振るってられるのよ」
 その気になればショコラが攻撃する機会は何度もあった事に淫魔は気づいていた。それなのにまるで挑発するかの如く回避に徹するショコラの戦いに、力自慢の淫魔は苛立ちを抑えられないようだ。
「疲れるのを狙って? はん、誰が淫魔如きにそんな卑怯なことするんや。ウチはただ様子見してただけやで、アンタがホンマにフェレスティアを倒せるだけの器かどうかをなぁ」
「ふん、この力が何よりの証拠よ。それで、大物気取りの逃げ腰フェレスティアはいつのなったら本気を出すつもり?」
「……せやな。まあ大体察しもついたことだし、後はアンタを地面に転がしてから話を聞かせてもらうわ」
 その言葉にようやく満足げな様子を見せた淫魔は、陥没した木の幹から拳を引き抜いて半歩ほどの間合いを取り直す。
「いいじゃない、その意気よ。あなたのその軟弱そうな身体からどれだけの攻撃ができるのか、せいぜい期待し……、ぐへッッ!!?」

 拳を振りやすい間合いをとった淫魔が体勢を整えようとしたその刹那であった。青白い光が帯を引き、目にも留まらぬ速さで夜闇を切り裂いた。
 ショコラの繰り出した俊足のハイキックには寸分の狂いも存在せず、魔力を纏った神聖なるロングブーツは淫魔の側頭部を見事に捕らえていた。
「あー、もう!! なにやってるんだよそんなクソガキ相手に……、ってぇ!?? えぇえっっ!!?」
 その一部始終を見ていたチビ淫魔が頓狂な声を上げたのも無理はない。ショコラの一撃を喰らった淫魔は、崩れるようにしてその場に倒れこんでしまったのである。
「力があればいいってモンでもなくってなぁ。それにしても、アンタみたいな雑魚がフェレスティアを倒すなんて……、ん、なんや、ホンマにねんねしてしもうたんか」
 仰向けに倒れ白目を剥いている淫魔は、ショコラが足でつついても踏みつけても一切の反応を見せることはなかった。

***

「どうや遥、だいぶ調子も良くなってきたか?」
「うん……、ありがとう、ユイ……」
 翌日の放課後、学園の地下にある遥の秘密部屋を訪れた結衣は、療養中の遥にお手製のお粥を振舞っていた。
 療養中といっても風邪をひいたわけではない。三日前の夜、フェレスティアとして駆逐任務にあたっていたハルカはその最中に淫魔に敗北し、深刻な傷を負わされたのだ。
 当然、ハルカは一方的に負けたわけではない。スピードで優位に立ち翻弄してくる淫魔を相手に、雷撃の魔法と冷静な判断力を駆使して善戦を見せた。
 一方の淫魔は優位と踏んだ相手に予想以上の苦戦を強いられたこと、そして冷静で物怖じしない態度が余程に気に食わなかったのだろう、スタミナが尽きて倒れたハルカを徹底的に痛めつけたのである。
 その後、もう動けないだろうと油断して背中を見せた淫魔に最後の力を振り絞って雷撃を食らわせ、ハルカは辛うじて脱出することができた。
 ……しかしハルカの負った傷はあまりに酷く、全身に複数個所の骨折に加えて、冷静沈着で凛々しい美貌までもが潰されてしまっていた。
 不幸中の幸いだったのは臓器の損傷が殆どなかったことである。そのままハルカを連れ去り慰み者にしようと考えていた淫魔がある程度の手加減をしていたのだろう。
 すぐさま天界から派遣された治療専門の天使が丸一日かけて治癒魔法を施し、遥はなんとか回復へと至った。
 尤も、腕や肋骨、顎、頬、鼻など全身合わせて十箇所にも及んだ骨折を急速に接合する治癒には遥自信の魔力も大量に必要で、特殊な回復薬により強○的な魔力の回復と治癒を繰り返された遥の身体は、少なくとも一週間は変身はおろか日常生活も満足にできないだろうとの事だ。
 淫魔に敗北しながらも陵○されずに生還できたことは奇跡と言うべきだが、それでもトイレに行くにも這って行かないといけない有様になってしまった遥の身体を、結衣は献身的に介護していた。
「ほら、まだいけそうか?」
「だ、大丈夫だけど……、ん……、あん……、むぐむぐ……」
「いい加減お粥だけやと飽きてまうもんなぁ……、ふっふっふ、そんなこともあろうかと、今日はちょっとジャンキーなモノも容易したんや。じゃじゃーん!!」
 そう言って結衣が取り出したのは、遥の好物のひとつである鶏のから揚げであった。
「あ、ありがとう……、でも……」
「ええんやって、風邪じゃあるまいし元気でるものも食べなきゃアカンやろ? ほら、あーんして……」
「そ、そうじゃなくて……」
「ん……、なんや遥、もしかしてウチに変身姿であーんしてほしいんか? まったくこんな時まで、遥は物好きさんやなぁー」
「ち、ちが……、あっ……」
 遥が拒否する間もなく、から揚げの刺さった爪楊枝を持った手を胸元にあてた結衣は、フェレスティア・ショコラの姿に変身してしまった。
「ほーら、お望みどおりショコラちゃんがあーんしてあげるでー」
「ユ、ユイ……!! その……、自分で……、自分で食べれるから……」
「ん……、なんや遥、そんなこと気にしてたんかー。ほら、ええから口あけてみ?」
「うぅ……、んあ……、あむ……、むぐむぐ……」
「どうや、ショコラちゃんにあーんしてもらったから揚げの味は?」
「お……、おいしい……」
 自分で食べれると言いながらも、いざショコラにから揚げを食べさせてもらうとついつい胸の内を隠しきれずに口元を緩ませてしまう遥であった。
 食事も終わり食器を洗う結衣の背中に、遥が小さく声をかける。
「ユイ……、昨日の任務、どうだった……?」
「ああ、あれな。やっぱり遥の戦った淫魔とは違うヤツだったみたいや」
 結衣……、いや、フェレスティア・ショコラが昨晩駆逐した淫魔は、その後天界に引き渡されて尋問にかけられた。
 その結果、人間界でフェレスティア狩りをしようと数日前に魔界から出てきたばかりで、その手引きをしたのが一緒にいたチビ淫魔だったようである。
 チビ淫魔からハルカの話を聞いており、昨晩ショコラに問われた時には威勢を張ってそれっぽく答えたものの、実際にはハルカの敗北とは全く関係のない淫魔であった。
「そっか……、ユイの言ってた通り……、だね……」
「ああ、戦ってる時からな、この程度の相手に遥が負けるわけあらへんなって思ってたんや。でもごめんな、肝心なチビのほう取り逃がしてもうたの、まだ見つかってないんや」
「ううん……、二兎を追う者は一兎をも得ず……、一匹でも捕まえて……、事情を探れたなら……、それでも十分……」
 食器洗いを終えた結衣は、遥が横になるベッドにそっと腰を掛ける。そして治癒の後遺症で小刻みな震えが未だ止まらない遥の手をそっと握り、決意を込めて口を開く。
「あのチビ淫魔も、遥を倒した淫魔ってのも、必ずウチが倒したるからな」
「ありがとう、ユイ……、でも、アイツはきっと手強いから……、本当に、気をつけて……」
「なんや、心配せんでも、こう見えてケッコウ成長しとるんやでウチ。昨日の戦いだってな、自分でも惚れ惚れするくらいクールやったんや。遥にも見せたかったなぁ……」
「……そ、そう……、だよね……。私なんて、負けたのに……、注意する資格……、なんて……」
「んなー、遥はホンマに極端やなぁ。そんな卑屈になることもあらへんって。ウチが成長できたのも、遥と一緒に戦ってたからや。ウチの苦手を遥がフォローしてくれてなかったら、ウチだってとっくに負けてたかもしれへんしなぁ」
「で、でも……、実際私は……、アイツに遅れを取って……」
「遥の苦手なタイプやったんやろ? そればっかりはしょうがあらへんって。殴り合いの 相手はウチの十八番やから、今回はウチに任せといてな。その代わり、本調子に戻ったらまたウチの苦手をしっかりフォローしたってな」
 結衣の優しい笑顔を見ながら、遥は思い出した。
 そう、ふたりで幾度と駆逐任務にあたってきた中で、結衣は遥の雷撃魔法によるフォローを絶対的に信頼していた。遥がたてた作戦をいつでも信頼し、疑うことなく協力してきてくれた。
 そして遥もまた結衣の能力を熟知し、それを信頼していたからこそ、幾度の修羅場も潜り抜けることができた。
 結衣は遥の戦い方を吸収し、それを自分の戦いにも取り入れている。もう最初の頃のような、突っ込むだけの戦い方をする結衣ではない。
 一緒に戦い、一緒に成長しているはずなのに、今になってショコラの実力を疑ってしまったことを、遥は猛烈に後悔した。
「私……、ユイのこと、信じてるから……!! アイツのこと……、ボコボコにして懲らしめて……!!」
「ああ、まかせとき! しっかり懲らしめてから、遥の前で土下座させたるからな!!」
 そんなやり取りをしている最中、結衣の携帯が着信を告げる。
 ブレザーのポケットから携帯を取り出し、着信を確認した結衣は、声を弾ませて歓喜した。
「町外れの自然公園で淫魔の反応……!! これもしかしてもしかするんやないか!?」
「………!!」
 遥かの心中にも緊張が走る。痛みを堪えて腕を伸ばそうとすると、それに気づいた結衣のほうから液晶が見やすいように携帯を遥に近づけた。
"自然公園、淫魔と思しき微弱な反応、対象は二匹の可能性あり"
 ……確かに、指令に記されている情報は遥の件と酷似している。末尾には『交戦は慎重に判断する事』と注意書きが添えてあった。遥の敗戦を意識してのものだろう。
「自然公園……、場所まで同じなんて……」
「まあ、探す手間が省けてラッキーってところやな」
 一度攻撃を受けた魔族が、再び同じ場所に現れるというのはかなり珍しい。
 何か目的があるのかもしれない。もしかすると、遥に勝利した淫魔がそれに味を占め、再び誘き出そうとしている可能性もある。
 そんな憶測を巡らせる遥とは対照的に、結衣はいつもながら自信に満ち溢れた様子で、早速身支度を始めていた。
「遥が戦ったデカブツがいるかわからんけど、あのクソチビは絶対におるやろな。今度こそ捕まえて、洗いざらい全部吐かせたるわ」
「ユ、ユイ……」
「うん? どないしたんや遥」
「……ううん、なんでもない……。私も……、応援しかできないけど……、ユイの事、信じてる……!!」
 変身すらままならない遥に今できることは、結衣を信じ、応援しながら、しっかりと療養して一日も早くフェレスティアとして任務に復帰することだ。
「ああ、任せとき!! 帰りに今度はたこ焼き買ってきたるからな、楽しみに待っててな」
「……うん!!」
 溌剌とした笑みを見せてから、結衣は部屋の出口に向かってゆく。
 その背中を見送る遥の心には一抹の不安が残っていた。
 結衣は……、いや、ショコラは魔族との戦いを経験していくなかで、確かに成長していた。それは誰よりも、遥が一番知っている。
 それなのに、嫌な胸騒ぎがして仕方がなかった。できることなら、今すぐ結衣に抱き着いて、行かないでと懇願したかった。
 しかし、結衣の成長を信じようとする健気な少女は、『気を付けて』という一言の忠告すら、口にすることができなかったのである……

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