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緊縛の視姦室 2021/07/15 00:00

【新規】淫悦に堕した兄嫁~憧れていた義姉が牝隷になるまで#01

兄嫁の淫らな裏の素顔

#01 画面の向こうの義姉の痴態

 画面のなかの女性は、極度に緊張しているように見えた。自らの肩を抱き、何度も不安げに、周囲に視線を送っている。
「あ、あの……本当に、撮るんですか」

 その声を聞いて、通隆(みちたか)は目を見開いた。
 ——そんな……。
 信じられなかった。DVDに添えられていた紙面を読んだ時も、まさかとは思っていた。
 これが悪質な悪戯で、それを否定したい一心で、通隆はDVDを再生してみたのだが、聞き覚えのある声を耳にして、にわかに心がざわめきはじめていた。

 いや——声もそうだが、女性の唇のすぐ右隣にある黒子(ほくろ)と、首の鎖骨のくぼみのところにある古い傷痕を目にした瞬間、心臓がありえないほどに激しく、鼓動を刻み始めるのを、道隆は自分の躰(からだ)ではないかのように、意識させられていた。
 黒子も傷痕も、兄嫁の肉体の特徴であり、特に鎖骨の傷は道隆が自分の過ちで与えてしまったものなので、見誤ることはないと思われた。

 画面の女性はかなり、エロティックな恰好をしていた。四月には大学の入学が決まってはいるが、まだ身分上は高校生である通隆には、刺激的すぎると言えた。
 通隆も、今日びの若者であり、アダルトチャンネルの配信サイトや動画のダウンロード、インターネットで流布されているライブチャットなどで、18禁コンテンツは目にしてきているが——どのような人物であれ、知り合いかもしれない女性の、そういうシーンを前にして、とても平静でいられるはずがなかった。

 女性は下着を身に着けていたが、布地の部分が少なく、とても下着の役を果たしていなかった。
 豊かとは言えないが、さりとて貧乳でもない胸が剝き出しになっており、褐色のシースルーのレース地が、お腹の部分をわずかに覆っていた。それも前が開いており、へそとその周辺の、日焼けなどいっさいしていない白い肌がのぞいていた。ハイレグのパンティーも幅が狭く、陰唇をわずかに隠しているだけだった。
 腰にはガーターベルトを巻いており、黒のストッキングをむっちりとした太腿まで、吊り上げていた。さらに顔には、幅のあるアイマスクをしており、それが素顔をさらすのを防いでくれていた。

「もう、忘れたのか、さつき。今日のことは全部、撮影すると、言っていたはずだが」
 画面の向こう——映像に映し出されてはいないが、男の声がした。その声には聞き覚えがなかったが、女性をさつき、と呼んだことに、通隆はショックを受けていた。
 さつき——紗月。声では字面がわからないが、それは義姉と同じ名前だった。
 男が現れ、女性の背後に立った。さつきの胸を掴んだ。

 男はパンツを穿いているだけの、半裸だった。背がかなり高く、胸板も厚かった。特に腹筋が割れているのが、印象的だった。
 その男が、つんと上を向いたさつきの乳首を、指先で探り当てると、弄(いじ)ってきた。
 ——そんな汚い指で、紗月さんに触れるな!
 道隆の怒りの言葉はしかし、実際に声に出されることはなかった。そのさつきという女性が義姉であるとは、通隆はいまだに認めることはできなかった。
 道隆は唇を噛みしめると、じっと画面を睨みつけた。

 さつきの胸は形がよく、立っていても釣り鐘型を維持し続けていた。童貞である道隆には、胸の形から年齢を当てることはできそうにないが、垂れてはいなかった。手で包み込めば、片手でも余すことなく隠れてしまうほどだが、じっとその胸を見つめていると、美麗さにため息が出てきそうだった。

 さつきが男の愛撫から逃れようと、身をよじらせた。が、背後の男は反対側の肩をつかむと、上体を反らさせた。乳首を摘んだ。
「やめて——乳首に、爪をたてないで下さい」
「そうかな? 本当は、レ○プ同然の荒々しいセックスが好きなんだろう。違うか」
「ち……違い、ますぅ」
「違いないさ。……さつき、お前はおれの、何だ」

 さつきは、口を開きかけ、それから唇を真一文字に結んだ。
「いいのか。調教をここで、止めてもいいんだぞ。お前以外にも、性奴○になりたい奴は、いくらだっているんだからな」
「い、言います。だから、調教を止めるなんて、言わないでください」
 さつきは顔をあげ、懇願するように言った。
「わたしは――」
「わたし、じゃないだろう」
「……さつきは、快楽を得るためなら、夫や弟を裏切る――裏切っても構わないと思っている、淫らな牝犬です」

「夫や弟と、おれとでは、どっちを愛しているんだ」
「それは――」
 さつきが言い淀んでいると、男に顔をつかまれた。振り向かせられると、舌がさつきの唇を割って入っていった。
「ん……んフン、は、あぁッ!」
 さつきは嫌がる素振りを見せながらも、キスには積極的に応じた。舌先を合わせると、にちゃにちゃと画面から直接、音が聞こえるような、濃厚なキスをはじめた。
 唾液が垂れるのも構わず、舌が空中で絡み合い、唾を啜り、男の舌を朱唇で挟んだり、舌と舌で粘膜を擦り合わせたりしていた。

 まるで、恋人のようなそのキスに、通隆は頭を殴られたようなショックを受けた。
 強引に迫られるのなら、まだいい。が、これではまるで、愛し合っているふたりが、キスをしているみたいではないか。
 男は、キスを中断させると、耳もとで何事かを囁いた。
 道隆は思わず、DVDを再生させているパソコンのスピーカーに耳を寄せたが、相手が何と言ったか、聞き取ることはできなかった。
 さつきが、顔をあげた。

 アイマスクをしているが、向こうからはピンホール越しに周囲が見えているのだろう。こちらをじっと見つめてきたので、通隆は目が合ったような気になり、どきりとさせられた。
「はい。わたし、さ、さつきは、ご主人様である宗治(むねはる)さまを、あ、愛しております」
「夫や弟よりもか」
「はい。夫も弟も、もう愛してはおりません。さつきに快楽を与え、調教してくださる宗治さまだけを、心より、あ、愛しております」
 男――宗治は、さつきの言葉を聞いて、満足したようだった。嗤ったのが、画面に映り込んだ。

「では、告白をするんだ。弟くんを裏切って、明後日から何をすることになっている」
「それは――」
 さつきが、義姉と同じ首筋のところできれいに切りそろえた黒髪をまとわりつかせながら、首を横に振った。
 アイマスクの下から涙の筋が流れ出していることに、道隆は気づいた。それはまるで、さつきがこれから語ることは本心からのものではなく、仕方なく宗治に言わされているのだと、伝えようとしているように感じられた。

「明後日から三泊三日の間、ホテルで種付けセックスをしてもらうことになっております」
 道隆は目を見開いたまま、さつきの言葉を聞いていた。普段はお淑やかな、その義姉とかなり似ている声での、『種付けセックス』というどぎつい表現に、どきどきとさせられたが、確かに紗月は今日から友達と、温泉旅行に出掛けると、聞かされてはいた。

 種付けセックス——その言葉から、通隆の頭の中に、紗月が正常位や側位、抱き合っての対面座位、淫語を口走りながらの後背位、恋人つなぎをしながらの騎乗位など、様々な体位で犯されているところが、閃いた。
 これまで、通隆も年頃ではあるので、義姉のそういうシーンを思い浮かべては自慰に耽(ふけ)ったことはあった。が、実際に姉がそういう目に遭わされると考えただけで、胸を締めつけられるような痛みが走った。

 しかし、それ以上に、ペニスがズボンを窮屈に感じさせるほど、エレクトしてしまっていることが——義姉が自分以外の男とセックスをし、淫らな声をあげている姿を想像し、それに興奮してしまっている自分が、ただ、腹立たしかった。
「くそッ!」
 通隆はパソコンの前から離れると、自分の部屋を飛び出していった。

     ★   ◆   ■

 洗面所で頭から水をかぶり、文字通り頭を冷やした通隆は、滴が目に入るのも構わず、正面の鏡を見つめた。

 鏡の中の自分と、目が合った。怒りを心に留め、絶望に抗しようと足掻いている顔。
 ——今の自分の表情を言葉で表すと、そうなるだろうか。
 シンクに両手をつき、顔を俯かせると、先刻から続く邪念を振り払うように、激しく首を横に振った。
 深呼吸をすると、だんだんと頭の中が澄み渡って来るような気がした。股間のペニスも、興奮状態から半勃ちになりつつあった。

 洗面所から出ると、道隆はリビングの中を歩いていった。普段は義姉とふたり暮らしで、たったひとりがいないだけなのに、家の中はがらんとしているように感じられた。見慣れたリビングのテーブルやテレビ、ソファーやチェストなどが別の家のもののように思える。部屋の中の空気までが、淀んでいるようだった。

 ――道隆くん、どうしたの。そんな顔をして。何か悩んでいることがあれば、お姉さんに話してみたら?

 もし今、ここに紗月がいればきっと、そんな風に話しかけてくるにちがいなかった。
 ——ん……んフン、は、あぁッ!
 不意に、先程のさつきの喘ぎ声が耳もとによみがえり、道隆はTシャツの上から、心臓のあたりをぎゅっと握った。
 と――まるで、道隆のその仕草をきっかけにしたように、ジーンズのポケットに入れていたスマートフォンがぶるぶると振動した。

 びっくりしつつも、スマートフォンを取り出して画面を見ると、紗月からの着信を告げる画面が表示されていた。
 反射的に道隆は通話ボタンを押してしまい、それから、しまった、と思ったが、もう手遅れだった。仕方なく、通隆はスマートフォンを、耳に当てた。
『道隆くん、今、大丈夫?』
 聞き慣れた、紗月の声が聞こえてきた。

『大丈夫じゃなかったら、後でもいいんだけど』
「あー、う、うん。大丈夫だけど。どうしたの」
 どうして、このタイミングで紗月は電話してきたのだろう。それを考えると、先刻見たDVDの『さつき』の痴態が目に浮かび、どす黒いものが道隆の胸を満たしていった。スマートフォンを握る手が小刻みに震え、心臓がどきどきと早鐘を打ち始めた。

 道隆は落ち着きを取り戻そうと、紗月に気づかれないように、そっと深呼吸をした。
『う、うん。別にどうってことはないんだけど、今日って予備校も休みでしょ? 無事にこっちに着いたことを、通隆くんに報告したくって』
「無事に着いたって、そんなこと、わざわざ、電話して来なくったっていいじゃない」
『そッそうな——んだけど、みッ道隆くんに――』

 紗月の声が急に、途切れがちになった。
「え? どうしたの。よく、聞こえないんだけど」
『で、電波状態がよく——ないのか、あッ、な……そこ、そこは、だ、だめッ』
「紗月さん?」
『だ、大丈夫だから。なッなんでもないから』
「紗月さん。もしかして、体調が悪いの」
 再び、道隆のなかでどす黒いものが渦巻きはじめた。
『う、うん。ちょっと……ね。疲れが出ちゃったのかな。ねぇ、通隆くん』
「なに?」

『あ、あぁッ!』
 急に、紗月の声が大きくなった。それと同時に、電話の向こうからぱちんぱちん、と何か柔らかいものを打ちつけているような音が聞こえてきた。
『そこは——駄目。来る、来ちゃう。も、もう、いく……あぁ』

 電話の声を聞きながら、道隆は口のなかがからからに乾いていることに、気づいた。今すぐ、喉を潤したいと思ったが、足がどうしてもその場に貼りついたように、動かすことができなかった。
 不意に種付けセックスという、DVDのなかで話されていた言葉が、頭のなかに浮かび上がってきた。スマートフォンを無意識に、握りしめてしまう。
 再び、心臓が痛いほど鼓動を刻み、視界が暗くなった。立っていることができなくなり、道隆はその場にうずくまった。息が苦しい。

「さ、紗月さん――」
『通隆く……くん。ごめんなさい。こんな姉で――本当に、ごめんなさい』
 電話の向こうの紗月の声は、泣いているようだった。泣いているのを堪えながら、紗月は言葉を続けた。
『ごめんなさい。でも、通隆くん。あ、あなたがどう思おうと、わ、わたしが愛しているのは……』
 突然、紗月の声が聞こえなくなった。
「紗月さん?」

 返事はなかった。スマートフォンの画面を見ると、通話は一方的に終了されていた。
 通隆はもう一度、電話をかけ直そうとしたが、ボタンを押すことはできなかった。かけ直したところで、どうなるだろう。紗月に迷惑がられるかもしれないし、温泉地より遠く離れたここからではもう、どうすることもできないのだから。

 叶うのならば——今すぐにでも紗月のもとに駆けつけ、彼女を自宅まで連れ戻したかった。
 が、その決断を、通隆は下すことができなかった。
 まず、先立つものがないし、紗月がどこの温泉宿に宿泊しているのかも、わからないのだ。
 紗月の交友関係にしても、さっぱり心当たりがないし、それに——彼女が本当に友達と温泉旅行に行っているのかも、今となっては信じることはできそうになかった。

 いや——たとえ、温泉宿にたどり着き、万に一つの奇跡が起こって、紗月を見つけ出すことができたとしても、彼女が道隆に従ってくれるのかどうかも、わからなかった。
 紗月も、夫と死別して一年近くが経過しているのだし、そういう相手がいたとしても、何ら不思議ではない。先刻の電話のことだって、考えたくはないが、もしかすると、ふたりの同意の上で、そういうプレイをしていた、とも考えられる。
 紗月が今も、通隆の見知らぬ男に抱かれているのかもしれない——そう思うだけで、嫉妬で狂いそうだった。

 が、まだ学生である通隆には、どうすることもできなかった。両親と兄の遺産があるとはいえ、自立することもできない通隆を、紗月が振り向いてくれるとは、とても思えなかった。そういう意味ではまだ、通隆は紗月の庇護下に置かれていると言えた。

 通隆はリビングの床から立ち上がると、スマートフォンをポケットにしまった。ため息をつくと、自分の部屋へと歩いていった。

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緊縛の視姦室 2021/05/29 19:01

【新規】寝取らせ日記~妻の女壺に注がれる他人の淫汁#01

#01 寝盗らせる夫側の視点、その1~托卵の寝床

 寝室のドアを開ける瞬間、情けないことだが、脚が震えた。
 いや——脚だけでない。ドアレバーに向けて伸ばした指先が痺れ、それが手首、腕、それから肩へと伝わり、全身に広がっていくかのようだった。

 ごくり、と口中の唾を飲み込んだ。
 今ならばまだ、引き返すことができる。
 くるりとドアを背中にして振り返り、
「いや、悪かった、若松くん。実はこれまでのことはすべて、冗談だったんだよ」
 と、そう告げれば、いいことだ。

 寝室で待機している妻の瑞葉(みずは)には、瞬一(しゅんいち)くんに断られた、と言えばいい。
 もともと、今回の件について、瑞葉はそれほど、乗り気ではなかったのだ。
 とは言え——瑞葉も三十路を間近に迎え、熟れた躯を持て余していることは、司(つかさ)もよく、知り尽くしてはいた。
 男性経験のほとんどなかった瑞葉の肉体を開発し、セックス好きにしたのは他ならぬ、司自身なのだから、責任はある。

 それに——瑞葉を説得し、部下の瞬一と三人で会話の場を設け、それなりに段取りは踏んできているのだ。
 もはや、冗談でした、で済まされないことになっているのは司自身、わきまえていた。
 寝室のドアを開ければ、その瞬間、運命は決まる。
 司も、妻の瑞葉も、それに、部下の瞬一も、この瞬間より以前の自分に、戻ることはできないのだ。

 ドアを細めに、開けた。
 いや——まだ、望みはある。
 寝室に、妻がいなければ、いいのだ。
 瑞葉が尻込みをして、ここにいなければ、瞬一も妻の躯を抱くことはできなくなる。
 瑞葉が逃げ出したことで、司の面目は丸つぶれとなるが、それはその時だ。
 これから、どうするかは、また、考えればいい。

 ドアを開け、司は夫婦の寝室に脚を踏み入れた。
 寝室はカーテンがかけられ、薄暗かった。
 天井の照明は点けられておらず、ベッドの脇のサイドテーブルのランプがわずかに、足元を照らしている。
 シングルサイズのベッドがふたつに、ドレッサー、それに奥にクローゼットがあるだけの、シンプルな寝室だった。オーディオセットやテレビといった、映像や音が流れるものはいっさい、置いていない。

 司は自分が使っているベッドのそばまで行って、脚を止めた。
 ベッドのどちらにも、妻の姿はなかった。
 しかし……。

 暗がりの向こうから、ぶーんという音が聞こえてきた。
 スマートフォンをマナーモードにしている時の音に似ている。
 それを耳にした途端、司は絶望感に満たされた。

 ——あぁ、やはり……瑞葉は部下の瞬一と、セックスをしたがっているのだ。

 望みを絶たれ、しかし、司は長らく項垂(うなだ)れていた男根が回春し、隆起する感覚に、悦びを隠せないでいた。

 司はベッドと反対側の壁際に、目をやった。そこから、音は響いてきていた。
 近づくまでもなく、司は暗がりの向こうに、一脚の椅子がそこに置かれていることを、知っていた。
「若松くん」
 司は振り返らず、部下を呼んだ。
「こちらへ、来てくれ」

 そう言うと、寝室の空気が動いた。ぱたり、と寝室のドアが閉ざされ、暗がりが増した。
 これで——もう、誰ひとりとして、戻ることはできないのだ。
 司は無言で、ぶーんという音のもとへと歩いていった。

「あッ……あぁ……あぁン……い……これ以上は、もう……」
 暗がりの向こうから、女性のよがり声が聞こえてきていた。
 が、その声はアダルトビデオやその類のものから聞こえてきているのではなかった。
 寝室の空気がねっとりと澱み、そこから直接、響いてきているのだ。

 何度、この声を寝室で聴いてきたことだろう。
 ベッドの上で繰り返し、繰り返し、耳にし、もっと、聞きたい、喘がせたいと思い、奮い立ったものだった。
 が——それももう、過去の話だ。
 久しぶりに耳にする艶めいた声に、しかし、司は逆に、心が鎮まっていくのを感じた。
 自分がこれから、この寝室で起こるであろうことに期待し、昂ってはいるのだが、妻の喘ぎ声を聞いた途端、ペニスは早くも、平常状態となっていた。

「部長……」
 司のすぐ後ろに、瞬一が立った。
 ——若松瞬一……。
 司の勤める水波(みなみ)総合商社の社員で、商品開発部門に配属された直属の部下である。
 年齢も若く、仕事で大きなミスをしたことは一度もない。
 月一度の社内会議でも積極的に改善案を進言し、司も時にライバルとまではいかないが、若手では一番の出世頭と思っていた。

 背は司よりも、頭ひとつ分、高いだろうか。
 会社のある潮町の出身ではないようだが中学、高校、大学とバスケット部で活動しており、もう躯は鍛えていないのであろうが、体格は維持していた。
 今日はラフな恰好でいいと告げていたのだが、ビジネスマンらしく、スーツ姿で久保寺家を訪れていた。

 その瞬一に、司は自分の妻を抱かせようとしているのだ。
 別に、若手のなかで一番だからでも、司の将来、邪魔になりそうだから、懐柔しようとしているのでもない。
 血液型も同じで、司の知っている若い男のなかで一番、健康で性欲も強そうで、瑞葉がセックスをするのを嫌がらない相手、ということで選んだのだった。

「あぁ……あ、あなた……そこに、い、いるの……」
 ぶーん、という音が一際大きく、響き渡り、同時に瑞葉の喘ぎ声が聞こえてきた。
 司は今すぐにでも、瑞葉のもとに掛けより、きつく抱きしめ、キスをしたい誘惑に駆られた。
 が、それをどうにか堪えると、拳をぎゅっと握りしめた。

「あぁ。若松くんも、いっしょだ」
 そう答えると、司はベッド脇のサイドテーブルへと近づき、リモコンを手にした。
 スイッチを操作する。
 天井の照明が点いた。
 寝室をなぞるように、光が移動し、それからベッドの反対側の壁際を照らした。
 照明に浮かび上がったものを見て、司は深く吐息をついた。

 瑞葉が椅子に座っていた。
 ただし——両脚を椅子に縛りつけられ、さらに手首も腰の後ろに回して、縄で拘束された上で、目隠しもされていた。
 ベビードールと言うのだろうか。瑞葉はシースルーの黒のセクシーな下着だけを、身につけていた。
 ブラジャーはなく、見慣れているというのに、その豊かな胸の谷間に視線を向けてしまう。
 乳首の尖端には、クリップが——O型で、乳首そのものはあまり締めつけず、クリップと繋がった小さなバイブレーターが刺激を与えるものが、取り付けられていた。
 パンティーは穿いていたが、クロッチのない網状の紐のみのもので、股間も陰毛も、丸見えとなっていた。

 ——瑞葉……。
 司は妻の艶やかな姿を目にし、唇を噛んだ。
 美しい——もともと、瑞葉は顔立ちも整っており、すらりと長身で、二十代後半とはいえ、無駄な肉などまったく、付いていなかった。
 プロポーションもよく、ちょっと露出の大きい服などを着ていると、おとこたちの視線を集めてしまうことも、しばしばだ。
 本人は胸だけでなく、お尻もむっちりと大きいことを気にしているのだが、司は前戯の際に撫で、両手で包み込もうとしても余るほどのお尻の肉が、お気に入りだった。

 その妻が緊縛され、目隠しをされながら、ベビードールを身につけて、乳首クリップの与える悦楽に、悶えているのだ。
 熟れた女体に年齢相応の色香が加わり、噎(む)せ返るようなフェロモンに、司は頭のなかがくらくらとしそうだった。

 瑞葉は時折、顔を上向かせ、苦悶しているかのように、眉を撓(たわ)めさせていた。
 しかし、その一方で口の端から涎を垂らしているのだ。
 それを見つめながら、夫の司は何もできないでいた。
 過去には、妻の裸身を——いや、彼女がシャワーを浴び、そういう雰囲気になっただけで、股間のものはへそにくっつきそうなほど猛り、瑞葉を悦ばせたものだった。

 だが、今はどうだろう。
 身を焦がすほどの昂ぶりは覚えるものの、司のペニスはずっと、項垂れたままだった。
 先程、ペニスは久方ぶりに硬くなりはしたものに、今はもう、柔らかくなってしまっていた。
 短い間でも、ペニスが硬くなった、ということは、司が現在こういう状態になってしまったのは、物理的な理由によるものではない。
 何か、精神にショックを与えるようなことがあれば、以前のように妻を抱くことができる、ということだ。

 それがわかっているだけに、司にはもどかしかった。
 が、司が抱えている問題は、それだけでなかった。
 司のペニスがこういう状態になる前から、妻とは子作りをしていたのだが、長らく、妊娠のきざしも見えないことに、疑問を感じていた。
 司も瑞葉も、子供は望んでおり、妊娠がしやすい時期に有給を取り、集中してセックスをしていたこともあった。
 司も瑞葉も、子供は好きだったが、それ以上にセックスが好きで、これ幸いと、女体に負担をかけない程度に、ヘンタイ的なプレイをすることもあった。

 が、子作りをはじめてから半年、一年と経過しても、やはり、瑞葉が妊娠するようなことはまったく、なかった。
 思い切って、ふたりとも産婦人科で精密検査をしてみてもらったところ、瑞葉には異常がなかった。
 瑞葉なら、いつでも子宮に精子を注ぎ込まれれば、妊娠ができるとのことだった。
 問題があったのは——ふたりの家族計画を阻害していたのは、司のほうだったのだ。
 精子無力症というのが、司が煩っている不妊の原因だった。
 医者から、ひと通りの説明は受けたが、要するに精巣に元気な精子が少なく、女性を妊娠させづらいのだと言う。

 薬物治療は続けていたが、司の年齢と勃起障害も加わった現在、ふたりに残された時間は残り少なかった。
 さんざん、話し合った結果、ふたりが選んだのが托卵という行為だった。
 本来、托卵は女性が他の男と不倫をし、その結果、妊娠した子供を夫には告げず、育てることを言うが、今回は司が同意の上で、部下に瑞穂を孕ませるのだ。

 瞬一には、既に久保寺家の事情を説明し、生まれた子供は司と瑞穂の子供として育てること、このことは口外せず、子供についてのいっさいの権利を放棄する、という契約を取り交わしていた。
 正直、血の繋がらない子供と家庭を作るということに、司はあまり現実的に考えることができずにいた。
 が、司はどんなに努力をしたとしても、自分の子を成すことはできないのだ。

 司ひとりきりで、愛する妻も、子供もおらず、残りの人生を燃え滓のように過ごす——。
 将来は、それが本当のことになるのかもしれないのだ。
 それならば、子供と血が繋がっていないなど、些末な問題でしかない。
 そうは思うのだが……。

「あ、あなた……いいのね。本当に、いいのね。わたしと……瞬一くんが、セックスして……ん、子供を授かったとしても……」
 唇を震わせながら、瑞葉が言った。
 目隠しをしているので、表情はわからない。
 が、躯をびくん、とさせる度に上半身をぐらつかせ、それと共に重たげに双乳が揺れるのが、何とも艶めかしかった。

「……あぁ」
 そう言うと、司は自分のベッドへと歩いていった。
 シーツの上に座る。

 ——瑞葉のすぐそばにいて、彼女と瞬一のセックスを見守ること。
 それが、瑞葉が瞬一とセックスをするにあたって出した条件のひとつだった。
 瑞葉と瞬一がセックスをするのは、今日がはじめてだった。
 司も交えて、三人で家の外で会い、ふたりだけでデートもしてもらい、そして今日——司の目の前で、ふたりはセックスをするのだ。

 セックスをする時、夫も同席してもらう——。
 最初、その条件を瑞葉から伝えられた時、驚きはしたが、妻ならば、そんなことを言い出してくるのかもしれない、と思った。
 瑞葉は男性経験が少なく、司が二人目の男らしい。
 しかし、その一人目の男というのが、素行がかなり悪かったらしく、瑞葉の処女を強引に奪った挙げ句、ストーカーまがいのことをしていたらしい。

 男性恐怖症、とまではいかないものの、瑞葉とはじめて出会い、それから結婚までこぎつけるには、相当な努力が必要だった。
 当時のことは、司もあまり、思い出したくないくらいだった。
 清楚な佇まいで、美人の瑞葉が晩婚だったのも、そんな理由があったからだ。

 その彼女が、司以外の男とセックスをする——。
 瑞葉からすると、かなりのストレスであり、すぐ近くで見守って欲しい、というのも頷くことができた。
 瞬一とは、一回だけとはいえ、ふたりきりでデートをしており、恐怖感のようなものは抱いていないようだ。

 意外だったのは、瞬一が上司である司の目の前で瑞葉とセックスをすることに、同意してくれたことだった。
 瑞葉の事情を話した上で、『久保寺さんも、奥さんの躯が心配でしょうから、おれもOKですよ』と、そんんなことを言ってきたのだ。
 司としては、どう瞬一を説得すべきか、考えていたところなので、ほっとしたのと同時に、瞬一の思惑が理解できず、戸惑っていた。

 どんな条件を出されようと、早く瑞葉とセックスをしたい、ということなのだろうか。
 しかし、瞬一ほどの男であれば、女に不自由しないのであろうし、それに、手っ取り早くセックスをしたいのであれば、瑞葉から事前にふたりきりでデートをしたい、という申し出も受けないのではないか。

 瞬一自身、上司の奥さんを妊娠させることに、興奮しているのかもしれないし、三人の話し合いがだんだんと煮詰まってきていて、もう、逃げることはできない、と覚悟を決めているのかもしれない。

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すみません。<(_ _)>
PDFファイルの添付の仕方がわからず、一度、削除してしまいました。もう一度、勉強しなおします。

この小説はFANBOX&Fantiaにて公開した小説です。

夫視点のパートは無料公開(最終話を除く)し、妻視点のパートを流星プランにて限定公開します。
さらに、夫視点、妻視点に新章を加筆修正したものを商品としてDL販売する予定です。
因みに今回、夫視点の第1部分はほぼ、エロシーンがありません。ご了承下さい。

あらすじ……司と瑞葉の夫婦は子作りを続けていたが、夫の躯に問題があることが発覚してしまう。悩んだ末、夫婦は夫の部下である瞬一とセックスをし、妻を妊娠させてもらうことを決断する。

【 【菱縄縛り】プラン(プランC-05) 】プラン以上限定 月額:500円

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緊縛の視姦室 2021/05/29 16:09

【新規】覗かれて~人妻は緊縛プレイに墜ちる#01

#01 被虐の徒花

 目覚めた時、リビングには誰もいなかった。
 天井の照明も消されている。
「あ……あれ?」

 一樹(かずき)は目を瞬かせ、肩にかけられていた毛布をめくった。
 ソファから立ち上がろうとする。
 途端、めまいがした。頭の芯がずきずきとし、再び、ソファに座り込んでしまう。
 ゆっくりと、深呼吸をしていると、痛みとともに、めまいも去っていった。

 ——ここは……。
 記憶を辿ろうとすると、暗がりのなかで、目の前のテーブルに置かれた飲みかけのグラスやおつまみが載せられた皿や小鉢、灰皿にスマートフォンなどが視野に入ってきた。
 ゆっくりと立ち上がると、今度はめまいも頭痛もしなかった。
 吐息をつき、ソファを離れた。
 リビングを横切り、照明のスイッチを入れる。

 天井の蛍光灯が瞬いた。
 一樹は顔を俯かせ、光に慣れてから、周囲を見渡した。
 やはり、人の気配はなかった。
 リビングの反対側にはアイランドキッチンと、廊下へと続くドアが見えている。

 キッチンとリビングの丁度、境目あたりに立つと、一樹は頭に手をやった。
 ——おかしいな。
 今日は、学生時代から親しくしていた友人たちが集まり、家で呑んでいたはずだった。
 呑み会は月一回の恒例で、だいたい、終電前の十一時頃にお開きとなり、見送った後は一樹もそのまま寝床につく、というのがいつものことだった。

 妻の茉里奈(まりな)も人をもてなすのが好きで、新しいレシピをどこからか見つけてきては、一樹たちに振る舞う、というのを楽しみにしていた。
 呑み会のメンバーは一樹の他には琢己(たくみ)、健吾(けんご)、それに晃(あきら)に固定されており、都合があって来られない、ということはあっても、新しい顔ぶれが加わるということは、なかった。
 いずれも、年齢は四十歳前後で、晃以外は既婚者だった。会社の上司の愚痴や妻の悪口といった日々の不満を互いにぶつけ、ストレスの解消としているのだった。

 一樹は仲間でも一番、アルコールに強く、眠くなりはしても、つぶれたり、気分が悪くなったりすることは、一度もなかった。
 それが、友人たちが帰ってしまったことにも気づかない程、寝入ったりしてしまうとは。

 リビングの壁にかけられている時計を、見上げた。アナログ表示の大きな電子時計は、今が真夜中をすぎた一時を示している。
 ということは、寝入ってしまった一樹に構わず、友人たちは帰ってしまったのだろう。

 友人たちには済まないことをした、と思いながら、茉里奈はどこにいるのだろう、と首を傾げた。
 いつまでも、目を覚まさない一樹に腹をたて、さっさと寝てしまったのか、それとも、今だけ席を外しているのだろうか。

 一樹はソファに戻ると、座り直した。飲みかけのビールを飲み干すと、再び、頭痛がした。
 頭を振り、束の間、目を閉ざした。
 やはり、呑みすぎなのだろうか。スパイス風味の豆菓子を口のなかでかみ砕くと、眠る準備をするために、立ち上がった。

 と——テーブルの上に置いていた一樹のスマートフォンが一瞬、画面を点灯させた。
 一樹はスマートフォンを手にすると、着信ではなく、新着のメールが届いたようだった。
 いつもなら、メールは朝に起床してから、まとめてチェックすることにしているのに、一樹は心当たりがあり、画面をスワイプさせ、メールアプリを開いていた。

 アドレスは覚えのないもので、件名は『賭けに勝ったぞ』とあった。
 それを目にした途端、一樹は心臓を鷲づかみにされたような衝撃を受けた。
「——うッ!」
 声にならないうめき声をあげ、激しいめまいに襲われた。
 三度、頭痛に見舞われる。
 立っていられなくなり、その場に踞った。

 スマートフォンを取り落としそうになったが、何とか、掌に収めた。
 床に片手と両膝をついた姿勢のまま、周囲に視線を向けた。

 誰かに見られている——。
 そう思ったが、それは一樹の勘違いだった。
 依然、リビングにいるのは、一樹のみだった。

「茉里奈! 茉里奈、どこにいる。返事を……いるなら、返事をしてくれ」
 少し、呂律のまわらない声で、一樹は呼びかけた。
 めまいに苦悶の表情を浮かべながら、リビングとキッチンのなかを歩き回った。
 廊下へと続くドアを開け、向こうを覗き込む。

 廊下の向こうは玄関と二階に続く階段、それに客間や寝室へと続いているはずだった。
 玄関へ行き、靴を見れば、晃がまだ、家に残っているかどうか、確かめることができる。
 そう思ったが、突然、吐き気がして、一樹は黙ってドアを閉ざした。
 しばらくの間、壁に背中を預け、吐き気が収まるのを待った。

 それから、一樹は躯をふらつかせながら、ソファまで歩くと、倒れ込むようにして座った。
 スマートフォンを見る。ホームボタンを長く押して、スリープを解除した。
 スワイプをして画面を切り替え、それからメールアプリのアイコンを、じっと眺めた。

 ふと、一樹は自分の指が震えていることに、気づいた。
 スマートフォンを膝に置き、手首を掴むのだが、それでも、指先の震えは止まることはなかった。

 このまま、メールを見なかったことにして、眠りに就く、という選択肢もまだ、一樹には残されていた。
 いや、むしろ、そうすべきなのではないか。
 心の声はしきりに、一樹に向かってそう、訴えてきていた。
 しかし、一樹自身、そうしないであろうことは、よくわかっていた。

 深呼吸を二度、三度としてみる。
 落ち着かせようとするが、何も変わりはなかった。
 ため息をつくと、一樹は覚悟を決めた。
 アイコンを押し、メールを開いた。

 例の見知らぬアドレスのメールを開いてみる。
 この時ほど、このメールが悪戯か何かで、開いた途端、一樹をがっかりさせて欲しいと願ったことはないだろう。
 しかし——メールは悪戯でも、ウイルスでもなかった。
 件名はさっき、確認した時と同じ、『賭けに勝ったぞ』だった。
 目を閉ざし、一樹は一ヶ月前、晃と話したことを、思い出していた。

     ★   ◆   ■

「……んで、もうどのくらい、茉里奈ちゃんとセックスしていないんだよ」
 居酒屋のカウンター席で、それなりに酔っ払い、出来上がった頃に、晃は切り出してきた。
「どのくらいって……えーと」
 答えに詰まった一樹を見て、晃がにんまりと笑った。肩をばしばしと叩いてくる。

「つまり、いつもの悪癖が出てきてしまったってことだ」
「そんなこと……」
「あるだろう。だったら、どのくらい、茉里奈ちゃんを放っておいているんだ。一年か、二年……いや、それよりもっと、か」
「二年以上も、抱いていないわけじゃない」
「それじゃ、一年近くは、セックスをしていないってことだな」

 一樹と晃は、同じ学生からの友人同士でも、少し毛色が異なる。
 つきあいとしては、中学生時代からだから、三十年以上に渡っている。
 高校を卒業してから、一樹は専門学校へ、晃は一般大学へ通っているから、途切れているのだが、偶然ながら家も会社も近く、いつの間にか、こうして居酒屋などで飲むようなこともしていた。

 が、一樹は晃に対して、苦い思い出を抱いていることがあった。
 晃に数回、彼女を取られているのだ。
 それは、一樹の奇妙な性癖も関わってきている。

 一樹は長い間、女の子とつき合っていると、どうしても性的な興味を抱けなくなってしまうのだ。
 つまり、ペニスが勃たなくなり、相手とセックスができなくなってしまう、という性癖を背負い込んでしまっているのだ。
 そのせいで、どんないい娘とつきあっていても、関係が短いままで終ってしまうのが常だった。

 あれは——高校三年生の時だっただろうか。一樹の性癖のせいで、破局寸前だった恋人が、晃とセックスをしているのを、見てしまうという事件があった。
 もう、別れる寸前だったとはいえ、放課後の図書室で、晃と対面立位でキスをしながら、絶頂に達する恋人の姿を、まともに目撃してしまったのだ。

 恋人のはじめての浮気場面を、しかも、その相手が、一樹と一番、仲のいい友人というショッキングなシーンを目にして、しかし、これ以上はないという程、興奮もしていた。
 寝盗らせ気質——そういう性癖があると知ったのは、かなり後のことになるのだが、その時の興奮を忘れられはしなかった。

 その一件以来、晃とは距離を設け、その後、数人の女の子と恋人関係にはなったが、一樹の性癖のせいで、うまくいかなくなった。
 悩んだ末、一樹は思いきって、自分の性癖のことを晃と恋人に、打ち明けてみた。

 結果的に見れば、寝盗らせをしてみても、うまくはいかなかった。
 打ち明けた途端、罵声を浴びせかけられて、すぐに別れてしまったこともあったし、同意してもやはり、長続きはしなかった。
 その際、一樹の恋人を晃に奪われてしまうということもあった。

 晃のセックスが一樹よりずっと、上手いからなのか。寝盗らせの性癖にうんざりしてしまったのか。それとも、その両方なのか。
 確かめたことはない。ただ、晃のほうが一樹よりも社交的で躯つきなども男らしく、人間的な器も大きい、というのは、思い当たることではあった。

 社会人となってから、一樹はマッチングアプリを介して今の妻である茉里奈と結婚し、一方の晃は四十代を迎えても一度も結婚せず、独身を貫いていた。
 茉里奈は——一樹にとって、不釣り合いに思えるほど、できた女性だった。
 決して美人ではないが、一度も灼いたことがないのではないか、と思えるほどの白い肌に、スレンダーな躯つき、脚はほっそりと長く、ぽってりとした唇がセクシーで、柳眉をきゅうと撓めると、もっと悩ましげな表情を浮かべさせてあげたいと、そう思ってしまう。

 その茉里奈と、一樹はかなり長いこと、セックスをしていなかった。
 原因はもちろん、一樹の寝盗らせ気質が頭をもたげかけているからだ。
 自分では、そんなことはない、と声を大にして否定したかった。

 茉里奈の女体に決して、興味を失ったわけではない。
 今でも——いや、三十路となり、羞じらいの表情を浮かべながら、熟れた肉体をなよなよとくねらせ、悦びの声をあげながら、抱きつかれたりすると征服欲が頭をもたげ、茉里奈のすべてをしゃぶり尽くしたいと、そう思うのだ。

 が、それを逆に負担に感じてしまうのか、茉里奈に迫られても、ペニスは項垂れたまま、求めに応じてくれなかった。
 清楚な佇まいながら、茉里奈はセックスが好きで、一樹を昂らせるためならば、とアダルトビデオまがいの淫らなことも試みてくれたりもした。
 茉里奈の精一杯の献身がわかっているだけに、できるものならば、彼女に悦楽を味あわせて、絶頂の極めを経験させてあげたい——そう思うのだが、一樹にはどうすることもできないのだった。

 もしかすると、一樹は茉里奈と結婚するべきではなかったのかもしれない。
 一樹以外の男と結婚していれば、こんな苦労を茉里奈に味あわせることはなかったに違いない。
 そう考えれば考えるほど、一樹は気分を落ち込ませてしまうのだった。

 晃はそんな一樹が抱えている悩みに気がつき、何度も声をかけてきていた。
 が、過去に寝盗らせでひどい目にあってきた一樹は、晃の誘いに、首を頷かせはしなかった。
 肉体でつながることはできなくても、茉里奈と一樹の間に揺るがしようのない絆はしっかりと存在すると、確信を抱いていた。

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