鎌倉殿の13人 41話 の感想
鎌倉殿の13人 41話
「義盛、お前に罪はない」の感想です。
見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK
【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK
鎌倉殿の13人
北条義時、最後の御家人同士の戦い
和田合戦
どっと気が重くなる、陰鬱な回でした……
愛する登場人物たちが、望んでいないのに、でもどうしても許せずに、傷つけ合い殺し合い。
北条義時は和田義盛の情けの政治は許せないし、源実朝は情けを利用しての裏切りを許せないし、義盛は実朝への愛情を汚されて、呪って死んだ。
多くの人が死に、愛したものを失って、小四郎は泣いた、実朝は泣いた。
そしてもう戻れない、決して許せない。
和田義盛という男
いやぁ、好人物でした。
武士として達観していながらも、決して情は忘れず、敵となった者の為に愚痴を零し涙を流す。
裏切らず、貶めず、人の情けを知る。
同時に、最高権力者の特別だと公言し、機嫌が良いとついつい放言。
ダメで可愛いおっさんでした。
義時の政治の下、実朝に愛されるのも、他の御家人に支持されるのも、義時と大江広元に絶対許されないのも、納得するしか無いですよ。
殺し合い騙し合いの陰鬱な物語の中、救いをずっと提供し続けてくれた和田義盛殿。
繊細で寂しかった実朝を励まし悪い遊びを教え、何度も救った和田の爺さん。
実朝への篤い忠誠心と愛情を汚され殺された義盛の死に顔が本当に心無くて、辛い……
死体の野に佇むオババの姿は呪いか。
一人生き延びた巴は、救いなのか。
源実朝は強い力を
一人、自分の苦しみに寄り添って人間として笑ってくれた和田殿を、自分の情けを利用し、和田殿の情けを利用して、踏みにじり、殺した。
義時に強い力を持つものが正しいと教えられたならば、強い力を以って義時と戦うと、どうして思わないか。
戦のない、安寧の世を。
でもその世は、誰のものか。
同じ道を進むはずだった主従、叔父と甥の道は、もう交わらない。
でも三善康信さんだけは信じてあげてー!
小四郎の過ち
和田家に付く御家人たちに文を出すのはともかく、戦局が決しての最後の騙し討ちは、失策だったと考えます。
おそらくは、文を出す時の実朝の反抗がまず問題であり、そして実朝が許し、義盛が忠義は我にありと宣したことで、許せなくなった。
上総介広常を見殺しにし、源義経を滅ぼし、畠山重忠を討ち、北条時政を放逐して築いたこの鎌倉で、許す訳にはいかない。
だからと言って、実朝の愛を命令を尊厳を踏みにじるのは、やはり過ちでしょう。
恐怖は人を縛るけど、憎しみは人を狂わせるのですから。
実朝が義時に従い、北条の掲げる将軍で在り続けることは、もはや在り得ない。
小四郎は自身の理想や願望で動いてないからか、頼朝の卑怯さ残忍さを、それだけを過剰に評価し過ぎているのように思えます。
自分が頼朝に惹かれたのは何か、今も後を追う理由は。
それは恐怖では無かった筈なのに。
恐怖だけでなく、頼朝が人の上に立った理由を、共に夢を見て喜ばせる方法を、小四郎は築けないのか、己にはないと目を背けているのか。
義時の騙し討ちでも裏切りでもなかった、からこそ義時はより激しく怒ったのだと思いますが、今まで騙し討ち、裏切り、将軍を利用して奪ってきたのが義時。
だから和田一族が信じられず、この戦となり、この惨劇となった。
裏切ったのも、裏切らせたのも、義時。
今回、自ら地獄への道を舗装してしまった義時。
ですが、本当に、本当にこんなことしたくはなかったのですよね。
大事な友を傷つけ殺したと、小四郎は泣いた。
誰にも知られず、見せないように、泣いた。
そんな孤独で傷だらけの小四郎を、私は見捨てられない。
救いはわずか
和田殿という救いが残酷に損なわれ、救いがどんどん少なっていきますね……。
実衣の「今度こそ死ぬ!」は異様に生命力溢れてて笑っちゃいます。
あと起請文は吐こう!な三浦義村と八田知家の生命力もオカしい(笑
初さん可愛い強い格好良いー!
ファランクス!じゃなかったテストゥド!そりゃ強いよ!(笑
そして今回一番の笑いは大江殿!
小仏を取りに戻る宗時兄に似て死ぬかと思いきや、恋し崇拝する政子に手を取ってもらってからの切った張ったは何だ!(笑
仕事人みたいな音楽を背になんで格好良いんだよ大江殿!
恋はいつでもハリケーン!
今回一番の笑い&救いシーンでしたが、大体の黒幕も君だからね?
鎌倉幕府の行く末は
草莽の時代の熱狂は遥か昔に消え去り。
有力な御家人を廃し、安定した鎌倉のための絶対的な権力を手に入れた北条義時。
悪逆な義時と戦い正しい世にする為に、力を求め朝廷と近づく源実朝。
実朝の手を取り、再び朝廷の世を取り戻そうとする後鳥羽上皇。
そして、誰もが大事なものを失っていく中、若き力を携えていく北条泰時たち。
絶望と理想と、野望と祈りと、呪いと祝福と。
大きな時代のうねりを感じずにいられません。
ただ、やっぱりみんな死なないで欲しいなぁ……