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2023年 01月の記事 (17)

ぶるがり屋 2023/01/29 22:26

どうする家康 4話 の感想

どうする家康 4話
「清洲でどうする!」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 いやー、隆慶一郎や本宮ひろ志作品を読んでる気持ちですな!
悲劇!怒り!主人公立つ!
外連味たっぷり、狼となって殺すか兎のまま踏みにじられるかの乱世の中で一人、元康だけが優しいまま刀を振るう。
覇者と覇者の境で傷つき苦しみながら、王道を進む。

紫禁城、清洲

 岡崎の土と藁と木で作った城から、広大な紫禁城へ。
道も装束も建物も兵も、川も街も全てが違う。
分かり易い!(笑
笑っちゃうくらい、頭に刻まれるくらい、画面の力が強いですよ。

 内情も織田信長の独裁恐怖政治ですし、暴力が当たり前の構造で怖い!
水野信元叔父さんも逃げてんじゃ無いよ!
いや気持ち分かるけれども!(笑

市、藤吉郎、勝家

 「織田信長」という絶対覇者の下に集う傑物たち。
元康配下と違って、意見が違っても物も言えず、ただし従うのみ、といった空気が重い。

 お市の方が女信長というのも新鮮で惹かれるキャラ造形ですが、ゆえに下に付き従うしかないお市の方が痛々しく、そして最後に兄信長にチクリと返すのが晴れ晴れしくもあり。
 信長に近い知略と胆力を持ち、魅力あふれ武芸に通じ、でも女で。
ただ一人優しくあった元康に恋し、だからこそ元康の苦しみを理解し、兄と元康のために最良の、哀しい道を選び取る。
 美しく哀しい、女性でした。

 だからこそ元康との「絶対守る」の約束と、信長に従い藤吉郎に振り回される勝家を見るに、遠い未来の悲劇がより深く見えるのですよね……。

 そう、その悲劇を深める藤吉郎、その闇。
おそらく唯一信長の深謀遠慮、戦略の深さを完全に理解し、かつ人の心が欠けた巨怪。
にこやかにへりくだりながら憎しみを溜め込み嘲笑い。
 これは笑顔で虐殺する魔王豊臣秀吉ですわ。

 織田信長・豊臣秀吉・徳川家康、若き戦国三傑が揃うシーンも魅力たっぷりでした。
格好良い〜!

残された瀬名、裏切られた氏真

 共に暮らした岡崎配下の者たちが殺され、今川に通じる一族なのに裏切り者扱い、側室にすら扱われない。
今はまだ瀬名の愛に疑いはありませんが、それでも元康との間に亀裂が出来そうで、時代があまりにも残酷で、誰も悪くないのに2人が苦しんでいて、辛いですよ。

 親族を痛めつけ、幼馴染を手篭めにし、元康を脅迫する今川氏真。
その哀れなほどに鬼気迫った顔は、幼い頃から恋した瀬名と、弟のように愛し信じ劣等感を抱いた元康に、裏切られた苦しみからだとしか思えないのです。
 強大な一族が綻び偉大な父を失い、自分一人で支えなければ滅びる。
その重圧の中、元康と瀬名が心の支えだったからこそ、許せず憎い。

 …あれ、ちょっとみんな、
元康に重い感情抱き過ぎじゃない?
下手すると幼馴染の正妻・瀬名が3番目くらいじゃない?

魔王・織田信長の弟

 最後、お市の言葉を聞いてみれば、確かに破格の扱いなのですよね。
ほぼ対等の約定、境界は松平任せ、妹を嫁に出す。
それは元康を仲間に、弟にしたいということ。

 ああ、これは「信長殿を我が兄と存じてます」で実は最高に喜んでて、相撲でも調停でも抗ってきたのが嬉しくて、信じたい相手なのだろうなぁ。

 踏みにじるか踏みにじられるか、どちらかしか選べない戦国乱世で、優しさに涙を流しながら抗う元康を、瀬名が氏真が、市が信長が、信じたいんだ。

どうする家康

 妻を子を愛している。
国を郎党を民を守らなければいけない、忠義を尽くしたい、愛した人を傷つけたくない。
でもそれには、力がいる。
力を得なければ、何も出来ない、守れない。
だから元康は、決めた。
涙を流し血を流し、力で守ると奪うと決めた。

 そう、今回は珍しく45分が終わる前に腹を決めた家康=元康なのに、今川にも織田も勝てないから今まで苦労してきたわけで、やっぱりこの先も「どうする!?」の連続なのですよね。
一安心も浄土も見えないまま……

 とりあえず来週は本多正信と服部半蔵、不足している知略と搦め手ですか。
戦略SLGの仲間集めみたいで、ちょっとワクワクしています(笑

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ぶるがり屋 2023/01/26 23:58

機動戦士ガンダム 水星の魔女 12話 の感想

機動戦士ガンダム 水星の魔女 12話
「逃げ出すよりも進むことを」の感想です。


各種動画配信サービスにて配信中

【監督】⼩林 寛
【シリーズ構成・脚本】⼤河内⼀楼
【原作】矢立 肇、富野由悠季
【出演】市ノ瀬加那、内田直哉 ほか
(C)創通・サンライズ・MBS

機動戦士ガンダム 水星の魔女

 癒しを殺すなーッ!(涙
期待し怖がっていた1クール最終回。
人が多く死ぬのでは、世界情勢が大きく変わるのでは…と危惧していました。
 ネームドキャラの死亡そのものはまー予測してましたし、世界情勢が変わるかは未確定ですが、
子供の無垢さを、視聴者の甘い期待を挫き心を折りにくる大河内脚本……!
これはこれで確かに面白いけど、辛いよ!

 おお、グエル、ニカ&マルタン、スレッタ&ミオリネ、どうなっちゃうんだ〜〜〜!!??

グエルはスレッタに進む… どころか

 グエルパパ、思ったより強くて、暴力で人生を成功に導いていて。
今までの言動が理解出来て。
 グエルは負けん気と勇気、スレッタへの憧れと愛、そして生き延びる強さが輝いて。
それがどーしてこんな結果になっちゃうかなぁ!(涙
 4号と呼ばれた少年と戦う時も、今回も、「恋する少女を守るために戦う」という英雄的なスタートなのに、スレッタには届かず、悪い結果に繋がるのが… なんでなんだ……

 2人が向き合って戦い始めてから、TVに向かって「あっ」「やめて」と言葉が漏れました。
そして戦いの決着、悲劇の結末。

 グエルパパの最期の言葉が本当に優しくて、父の愛に満ちていて。
横暴な家父長であると同時に、愛深い父だったのだと、だからこそグエルの苦しみが深く刻まれるのだと、痛いほどに伝わってきて。

 グルはスレッタに進めず、何処へ行ってしまうのか。
ああ、ああ。

ニカは友人を愛した、から

 ニカが不穏な動きをしていたのも、シャディクと関係性を持っていたのも、今回の動きが明らかに敵と通じていたのも、全部理解してしま宇野が、マルタンなのですよね。
賢いから理解し、優しいから殺せず、弱いから口をつぐむとも思い切れない。
ニカもマルタンも苦しむ未来しか見えないですよ。

地球の魔女たち

 ソフィとノレア。
死と破壊を撒き散らす残酷な兵士でもあり、地球と宇宙の戦争の被害者でもあり、ガンドアームに蝕まれる道具であり……
まだ彼女2人のバックボーンは描かれていませんが、どう考えても不幸な過去と未来が見えますし、彼女たちを助けるような、助けられる存在がいるような世界に思えないのです。
本ッ当に救えない世界ですよ。

 「お姉ちゃん」は、スレッタが研究対象で、その成果が2人に用いられてるってことなのかな。

デリングパパはツンデレ

 今回ミオリネを大事に思う言動しかしてねー!
通じてねー!
やっと通じたけど死にそー!!

 プロローグの虐殺事件の真相はまだ不明ですが、ミオリネに対してのダブスタクソ親父っぷりは、不器用な愛ゆえだったのだと、呆れながらも愛おしい気持ちです。
今回周りの家族関係が不幸にも程があることになったので、この親子だけは、本当に幸せになって欲しいです。
 2人でツンツン煮込まれ口言い合いながら、
団欒を過ごして… 欲しい……!

プロスペラママは毒親… どころか

 死の恐怖に動けず、自分を守った母の凶弾に怯えた、優しいスレッタが。
「逃げたら1つ。進めば2つ」
「あなたとエアリアルなら、お母さんもスレッタもミオリネさんもみんな救われる」

なんて優しい、甘いささやき。
今まで希望に聞こえた言葉が、呪いの貌を見せる時。

呪いと祝福

 瞳に光が宿り、影から光へ歩み出す。
もう一度母娘で唱える呪いと祝福の言葉、
「「逃げたら1つ。進めば2つ!」」
なんて荘厳な戦慄か。
親子の心が、想いが言葉が一つがなった、なんて普通は感動シーンじゃないですか。

 スコア4のガンダムをものともせず、巨大な衛星の状況を命令もせずに把握し、

 その結果のCパート。
ぶちまけられた赤いモノ、人だったもの。
カラカラといつもより明るい笑顔、ドロドロに染まった手。

 ああ、スレッタの大事な人への愛と生き死にの経験、思いっきりの良さが、
プロスペラに囚われたスレッタの母への信頼と幼さが、
こんな答えに結びつくとは。

これが、ガンダム!

 学園物の新しい、ガンダムでした。
強化され敵に無双する1期最終回でした。
ずっと見たかったこの世界の本当のビーム兵器でした。
吹っ飛んだわ!

 憎しみとすれ違いから戦いにつながり悲劇へと。
そんな筈じゃなかったのに、戦いの中では死が溢れて。
ああ、ガンダムだなぁ、ガンダムですよ。

ここで終わり~~!?

 そしてここで1期終わりですよ初期予定ではクリスマスでしたよ!
twitterでは「血染めのユフィ」がホットワードにのるのも納得の阿鼻叫喚です。
やってくれたな大河内一楼先生!(泣笑

 よく考えればグエルが動いてパパ殺さなければグエルが元の船員ごと死んでたでしょうし、スレッタが「やめなさい!」しなければミオリネもデリングも死んでいたでしょう。
総体としては良い結果な筈なのに、あまりにも悲しく、禍々しい。

 他にもベルメリアさんたちがどうなったのか、シャディクの本当の目的は成功したっぽいなども地味に不安です。
 いやもう本当に、3か月後の2期がワクワクするほど楽しみで、ゾクゾクするほど怖いですよ。
早く見たい!怖い!!

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ぶるがり屋 2023/01/25 02:54

チェンソーマン 12話 の感想

チェンソーマン 12話
「日本刀VSチェンソー」の感想です。
一番下はネタバレ感想です!


チェンソーマン Vol.1 Blu-ray

【原作】藤本タツキ(集英社「少年ジャンプ+」連載)
【監督】中山 竜
【脚本】瀬古浩司
【悪魔デザイン】押山清高
【出演】戸谷菊之介、井澤詩織、楠木ともり、坂田将吾、ファイルーズあい ほか
【制作】MAPPA
【発売日】2023/1/26

チェンソーマン

 期待していたバトルにアキの苦しみと救い、そして続編への誘い。
最高の1期最終回だぜー!!

あの日の約束は果たされて

 Easy revege!
姫野先輩の遺した煙草、願い、想い。
ああ、もう死んでも良いと思っていた姫野先輩は。
アキくんに恋して、自分が死んだら泣いて欲しくて。
それだけで良かったんだ。
 アキくんが苦しむのも、自分と一緒に死んでしまうのも、そんなのは嫌だったんだ。
アキくんがただただ、好きだったんだ、幸せになって欲しかったんだ。

 本誌連載当時は、幽霊の悪魔が姫野先輩とアキくんに優しくしてくれたように思いましたが、今は違う気がします。
煙草に文字を書いたのも、悪魔が渡してくれたのも、きっと姫野先輩が幽霊の悪魔の特性を知り抜いた上で利用し、遺したものなのだと思うのです。
 幽霊の悪魔に書かせ、預からせ、出会った時に渡し、アキくんが冷静に戦え、生き残るように。

コベニちゃん強い

 死にかけて、同僚も自分を守ろうとして死んで、辞めようと笑い。
残った理由は
もうすぐボーナスが出るので…
いやーこれは頭のネジがぶっ飛ん出ますわ(笑

 沢渡を倒すのがコベニとは思いませんでしたよ!
蛇の悪魔の攻撃を避け切り、気配なく沢渡の背後を取る。
戦闘能力もピカイチですね。
岸辺隊長に預けて評を聞いてみたいけど、金が出ないと逃げそうだなぁ(笑

VS.サムライソード 2戦目!

 戦闘前の問答は、ヤクザ孫がストレス溜まってたんでグチぶちまけたかったんじゃないかな(笑
「心がもう人じゃない」はただの悪口ですが、こういう言葉の積み重ねが、少しづつデンジの心を傷つけているじゃないかな。

 盛り盛りMAXバトル!
期待していた電車戦、盛り盛りヌルヌル動きに瞬速攻撃、最高ですわ〜♪
ビルを突き破り街を跳び回り、武器人間の超人っぷりを見せ、孫のお爺ちゃんへの愛の強さ、デンジの人間大のらしさがが覗き、そして決着へ。
 言動がチンピラでも頭悪そーでも、決して人を傷つけず、守れるなら傷ついても守るのですよね。
デンジはやっぱりヒーローで、少年漫画の主人公で、優しい少年ですよ。

気楽に復讐を!

 これはヒドい鎮魂歌(笑
音も絵面もサイテーでサイコーでした。

 でも、これはデンジが姫野先輩はじめ、自分を受け入れてくれた仲間たちが死んだことに傷つき、だから怒り、また数々の言葉で苦しんできた証であり。
 アキくんが姫の先輩を失い、彼生来の真面目さから自分の中に押し込んでいた憎しみ怨み苦しみを、解放できた悪ふざけでもあり儀式でもあり。

 幽霊の悪魔を倒したアキが「もうすぐ俺も行きます」と呟いて、そんなこと姫野は望んでないよ、死ぬなよと思いましたが、この最低な鎮魂歌が、アキくんを救ってくれたように思えます。

 デンジとアキが同じ苦しみと悪い遊びを共有した、大事な時間だったのだと思うのです。
これで2人は友達に、家族になった。
いややっぱり汚い絵面ですが(笑、それが良いんだ。

今回のED『ファイトソング』

https://youtu.be/7jM0fUAR2xg

 早川家ED!待ってた!イイ……!
幼子のように動き回り遊び買い物かごに投げ入れまくり(笑
ちょっとだけお兄ちゃんのデンジと、しっかりお兄さんなアキが最高。

 これが見たかったんだ、そしてもっと新規の方々に味わって欲しい。
公安編は、アキとデンジとパワーの疑似家族がいいんだよ、彼らを大好きになるから、イイんだよ……!!

復讐のあとで

 賑やかな疑似家族の団欒の後、約束のタバコの一服。
静かで、ゆっくり、一人だけの時間。
「何かに寄りかかりたくなったら返してあげる。」
今寄りかかっているのか、あの時寄りかかりたかったのか、それとも、今は寄りかかれる場所が出来たのか。
 
 寄りかかる約束をした煩わしくて優しい女性は、もう居ない。
ただ、デンジのおかげで"気楽に復讐を"を果たせた。
きっとそれだけは確か。

デンジの記憶の扉、そして…

 銃の悪魔との戦いの示唆、デンジの記憶の閉ざされた扉、そして…
レゼ、上田麗奈さんかー!
また少女の幼さと人外の神/魔性を持つ女性の役がキましたね。
早く見たい聴きたーい!

 全くもう!
ゾクゾク期待させてくれますよ。
残念ながらアナウンスありませんでしたが、これで2期無かったら泣いちゃいますよ!

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ぶるがり屋 2023/01/22 22:32

どうする家康 3話 の感想

どうする家康 3話
「三河平定戦」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 1話2話も十分地獄だったのに、本当の地獄を見せてくれました。
これが戦国時代の習い……

本多平八郎忠勝討死!

 前回死ぬか死なないかドキドキした鳥居忠吉はどんどん元気になるし、平八郎は疲れて倒れてただけだし(笑
ちょっと三河勢の武士、丈夫過ぎですよ!

 戦国の世に周りは敵だらけ。
それでも武士は武士は意気盛ん、農民も生き生きと参戦。
三河・岡崎の和やかで元気な様。
そして駿府の瀬名ひめと子ら、郎党たちの妻子たちとの仲睦まじい日々。

 これが最後の、現世の地獄に繋がるとは……

敗戦また敗戦

 そんな化け物三河武士を除けば、負ければ当然人は死に。
ギャグ的描写だった「忠勝討死」も、多く人が死に、忠勝が死んで当然の戦いだったということでしょう。
もう慣れたはずでしたが、流石に首桶中身描写はキツかったです。

 今川勢は本領立て直しで精一杯。
三河勢は化け物が何人かいるけど、忠誠心と武力がそれなり、軍略ギリギリなんとか、外交政略はからっきしと見せてくれますねー。
国衆だけで織田と戦わされて痛い痛い。
 まぁ今までは有っても今川支配下で若領主が人質では使ったらまずいぐらいでしたが。

 徳川勢の知略担当というと(検索して)本多正信かぁ、遠いなぁ。

叔父・水野信元と母・於大の方

 家は滅亡寸前、妻子とも会えず。
その中で敵対してきた叔父と、ずっと会えなかった母との再会。
信じられないような顔からおずおずと差し出された手を拝むように掴む元康、そして涙の抱擁。
見ているこちらも涙が出そうでした。

 でも、ここは戦国乱世。
家を守るために、家臣と民を守る為に、父はなぜ子を捨てたか、母はなぜ追われたか。
ずっと会いたかった、愛しい母を追い返すしかなかった元康。
田畑を渡り、泥に塗れて懇願する酒井忠次と石川数正。
きっと2人にも駿府に親しい人が居て、それを元康も分かっていて。
愛する家族の文を、子らの手形を泥に塗れさせて、泣く元康が、
同胞を裏切り泣く元康が、哀しい。

 叔父も母も悪人では無い。
いや水野信元はちょっと悪人な気がするけど(笑、
悪意で元康を苦しめているのではなく、本当に元康の為に動いていて。
戦国の世では、本当にこれが唯一の最善で。

厭離穢土欣求浄土

 過程で郎党と民が死に大怪我をし、
結果で妻子を捨て、主君と同胞を裏切り殺し、配下の家族が殺される。
元康は、涙を流して生き抜いていく。

 コミカルな演出に、情け深い三河勢ばかりなのに、新たな味方はヤクザ、状況は地獄ばかり……!
水野信元とか織田信長とか、絶対自分から頭を下げたく無いけれど、状況がそれを許してくれず、地獄は深まるばかり。
麒麟は来ず、厭離穢土欣求浄土ははるかに遠い……

尾張ってどんな国?

 『どうする家康』
ライトな雰囲気かと思ってたら、コテンパンにやられました。
 と思ったら次回予告
尾張が、信長と元康の再会がトンデモなさそーな!?
家康の苦労も少年漫画世界観も、目が離せないなぁ(笑

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ぶるがり屋 2023/01/22 15:26

どうする家康 2話 の感想

どうする家康 2話
「兎と狼」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 これは辛い……!
若き小君主の苦難、その連続。
 『おんな城主直虎』でも描かれた通り、強大な勢力に挟まれた小領主の苦難は知っていましたが、徳川家康の人生は、本当に苦難と存亡を賭けた選択の連続ですね……
一つ間違えたら、自分も死ぬし一族郎党滅部かもしれない。
確かに『どうする家康!?』ですよ。
これが毎週かーそりゃ腹も弱くなるなぁ(笑

父・松平広忠、母・於大の方

 パパママ登場!
広忠パパは苦労性の真面目な領主、於大の方は戦国の世の強い女ですねぇ。
目を見開いた顔の圧が強い(笑

 寅の年寅の日寅の刻に生まれた武神の化身、
今回はナレからのオチが遠かったなぁ(笑

 広忠パパとは誘拐されてから、於大の方は2、3歳の頃に離縁と考えると、家康は両親とほぼあってないのですよね。
哀しいですし、そりゃ今川義元を父に、氏真を家族と思うよなぁ。

信長と竹千代

 さて今作のメインコンテンツ(笑
どんな関係かと思って注視しましたが、これはもう
出会いから鮮烈が過ぎる(笑
側使い皆殺し→拉致監禁→躾(いじめ)→殺害未遂→躾(かわいがり)
これほとんど織田信長のせいですからね。
信長からすると寵愛も寵愛ですが、家康からすると疫病神にも程がある(笑

 可愛い可愛い白兎で、いじめ抜けば虎となって牙を剥く。
最後まで見ると、信長は大高城封鎖で家康の品定めをして、「追い詰められてるけど、まだ豹変してないな」と見切りをつけて去ったのでしょう。
 そしてラストの岡崎平定を聞期「あ、俺が一番好きな状態になったな」と感じて悦んだ、と。
うん、疫病神だ(笑

織田信長、戦国の魔王?

 今作でも恐ろしい暴虐キャラですが、うつけやら魔王というより、暴走族族長にしか見えません(笑
父・織田信秀の凄みと筋と暴力性も合わせて、ヤクザ組長と息子にしか見えないよ!(笑
いやホント藤岡弘、と岡田准一親子は面白いし絵が強いよ!

若様と宿老

 ふん、とそっぽを向く若様元安も可愛いし、ふん〜!で返す爺様も可愛いですよ。
主従なのも過去を引き継いでいるだけの、まだ浅い絆。
でも同じ苦しみを味わい、苦しみも喜びも一緒に過ごして、今、絆が育まれている時なのですよね。

 道が違う時、配下の言葉に反して楽な道を選んだ時。
うわぁ爺様がー!!
鳥居忠吉の人生をよく知らないので、ここで死ぬか死なないか、ドキドキです(笑
矢衾は死と悲劇の象徴だなぁ。

 この深い失敗、だからこそこれで元康の生き方が決まったように思えます。
臆病者で岡崎に愛着がなくても、自分のせいで犠牲を出してしまった。
責任感が強く優しい元康だからこそ思い悩み苦しんできた訳で、もう岡崎の皆を見捨てられないでしょう。
 平八郎との魂の言葉と穢土の本当の意味が、その辛く険しい道への背中を押したのだと、思います。

 仲違いしても、ついつい楽な道を選んで失敗しても、まだ本物の主従でないからこそ、人と人として理解して歩み寄っていく様が、愛おしいですよ。

本多家の誇り、忠勝の夢

 ぐおおお平八郎も可愛い〜!!
一族の死に様を誇りにして、理想の主従と自分の死に方夢見て。
夢叶えられなくてaツンツンしちゃう本多平八郎忠勝。
もう最高に可愛いですよ。
哀しい生き方で夢ではあるのですが、この時代この身分では、夢見て当然の死に様なのがまた美しい。
 その夢が叶わないとのも、また美しい(笑

厭離穢土欣求浄土

 仕事ひとつ、家族の元に戻るのも命がけで、頼るものさえおぼろげで。
自分の選択で多くの命が消えていく。
せめてとすがった言葉は、
厭離穢土欣求浄土

 その意味は地獄のような現世を捨てて浄土で幸せになれ、ではなく。
地獄のような現世を、浄土のように幸せに成せ、の意味だと。

 この地獄のような現世で生きるには、恐怖を捨てて挑むしかない。
瞳に光が戻った元康への、最高の道しるべだったでしょう。

 穢土、転じて江戸につながるのかな。
皆を幸せにする百年太平の世の都。

 そして世を捻て見る賢しい青年の名は、
弱い心を持ちながら地獄に立ち向かう家康の背中に惚れた者の名は、
後の徳川四天王、榊原泰政。
くぅーっ格好良い!

どうする家康!?

 織田信長など蹴散らしてくれようぞー!!
邪魔な親族を打ちはらい、本拠・岡崎に岩船する元康。
嘘も真も士気に変え、でも襖の向こうで一人、またどうすると悩む。

 あーもーこんな可愛い家康初めて!
基本は軟弱で乙女で、徹底的に追い詰められると豹変するのですね。
家康個人の幸せは甘い平穏。だけど、時代と郎党の為には、毎度虎・武神にならなければいけないのか。
あと信長を前に生き延びるには(笑

違いと重ね

 今回、対比と重複が丁寧に描かれたように感じました。
元康は配下と親族のようで、意見を聞かされまくって統率もおぼろげ、絆もまだ弱く。
信長はカリスマと恐怖で支配し、一挙一投足が命令になる。
 普段は頼りないが、最後の最後で英雄となる。
頭の風貌があり、常に統率する。
父も母も知らず。
父と同じ生き方を進む。
 地盤が弱く振り回されるばかりの子兎・松平元康と、大国を脅かすほどの武力で振り回す大狼・織田信長。

 それでも見栄張って威を底上げして郎党をまとめる広忠・於大の方と、己の弱さも恐怖も押し込めて虚勢で新たに郎等をまとめ上げる元康の、両親を知らずとも受け継いだ魂が、儚げな踏ん張りが、愛しいのです。

次回、「本多平八郎忠勝討死!」

 そんな……
絶対何かの間違いじゃないですか!(笑
おじさん死亡の誤報ぐらいしか思いつかないなぁ。

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