どうする家康 4話 の感想
見逃し配信 - どうする家康 - NHK
【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK
どうする家康
いやー、隆慶一郎や本宮ひろ志作品を読んでる気持ちですな!
悲劇!怒り!主人公立つ!
外連味たっぷり、狼となって殺すか兎のまま踏みにじられるかの乱世の中で一人、元康だけが優しいまま刀を振るう。
覇者と覇者の境で傷つき苦しみながら、王道を進む。
紫禁城、清洲
岡崎の土と藁と木で作った城から、広大な紫禁城へ。
道も装束も建物も兵も、川も街も全てが違う。
分かり易い!(笑
笑っちゃうくらい、頭に刻まれるくらい、画面の力が強いですよ。
内情も織田信長の独裁恐怖政治ですし、暴力が当たり前の構造で怖い!
水野信元叔父さんも逃げてんじゃ無いよ!
いや気持ち分かるけれども!(笑
市、藤吉郎、勝家
「織田信長」という絶対覇者の下に集う傑物たち。
元康配下と違って、意見が違っても物も言えず、ただし従うのみ、といった空気が重い。
お市の方が女信長というのも新鮮で惹かれるキャラ造形ですが、ゆえに下に付き従うしかないお市の方が痛々しく、そして最後に兄信長にチクリと返すのが晴れ晴れしくもあり。
信長に近い知略と胆力を持ち、魅力あふれ武芸に通じ、でも女で。
ただ一人優しくあった元康に恋し、だからこそ元康の苦しみを理解し、兄と元康のために最良の、哀しい道を選び取る。
美しく哀しい、女性でした。
だからこそ元康との「絶対守る」の約束と、信長に従い藤吉郎に振り回される勝家を見るに、遠い未来の悲劇がより深く見えるのですよね……。
そう、その悲劇を深める藤吉郎、その闇。
おそらく唯一信長の深謀遠慮、戦略の深さを完全に理解し、かつ人の心が欠けた巨怪。
にこやかにへりくだりながら憎しみを溜め込み嘲笑い。
これは笑顔で虐殺する魔王豊臣秀吉ですわ。
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康、若き戦国三傑が揃うシーンも魅力たっぷりでした。
格好良い〜!
残された瀬名、裏切られた氏真
共に暮らした岡崎配下の者たちが殺され、今川に通じる一族なのに裏切り者扱い、側室にすら扱われない。
今はまだ瀬名の愛に疑いはありませんが、それでも元康との間に亀裂が出来そうで、時代があまりにも残酷で、誰も悪くないのに2人が苦しんでいて、辛いですよ。
親族を痛めつけ、幼馴染を手篭めにし、元康を脅迫する今川氏真。
その哀れなほどに鬼気迫った顔は、幼い頃から恋した瀬名と、弟のように愛し信じ劣等感を抱いた元康に、裏切られた苦しみからだとしか思えないのです。
強大な一族が綻び偉大な父を失い、自分一人で支えなければ滅びる。
その重圧の中、元康と瀬名が心の支えだったからこそ、許せず憎い。
…あれ、ちょっとみんな、
元康に重い感情抱き過ぎじゃない?
下手すると幼馴染の正妻・瀬名が3番目くらいじゃない?
魔王・織田信長の弟
最後、お市の言葉を聞いてみれば、確かに破格の扱いなのですよね。
ほぼ対等の約定、境界は松平任せ、妹を嫁に出す。
それは元康を仲間に、弟にしたいということ。
ああ、これは「信長殿を我が兄と存じてます」で実は最高に喜んでて、相撲でも調停でも抗ってきたのが嬉しくて、信じたい相手なのだろうなぁ。
踏みにじるか踏みにじられるか、どちらかしか選べない戦国乱世で、優しさに涙を流しながら抗う元康を、瀬名が氏真が、市が信長が、信じたいんだ。
どうする家康
妻を子を愛している。
国を郎党を民を守らなければいけない、忠義を尽くしたい、愛した人を傷つけたくない。
でもそれには、力がいる。
力を得なければ、何も出来ない、守れない。
だから元康は、決めた。
涙を流し血を流し、力で守ると奪うと決めた。
そう、今回は珍しく45分が終わる前に腹を決めた家康=元康なのに、今川にも織田も勝てないから今まで苦労してきたわけで、やっぱりこの先も「どうする!?」の連続なのですよね。
一安心も浄土も見えないまま……
とりあえず来週は本多正信と服部半蔵、不足している知略と搦め手ですか。
戦略SLGの仲間集めみたいで、ちょっとワクワクしています(笑