先週の へうげもの 感想 2015年 4月第4週
あらすじ
方広寺鐘銘事件の釈明から、大阪城に戻る片桐且元と大蔵卿局。
決死の覚悟で淀君、豊臣秀頼を説き、豊徳の世を目指そうとする且元だったが…
へうげもの(19) (モーニング KC) [コミック]
山田 芳裕
講談社
2014-11-21
感想
方広寺鐘銘事件から豊徳決裂まで、ここまで早かったのですか…!
怒濤の展開でしたが、戦に一番大事なのは速度。
大阪の陣まで、もう時間は無さそうです。
死地すら失った且元が、悲しいなぁ
病から己の死を悟り最後のご奉公とする気概が、無惨に踏みにじられる様が、痛い。
そして時代の主役となった大野治長。
織田信雄まで追い出すとは。
さらに織田家の華を愛し、織部の策とはいえ徳川家康との戦いを本心では望んでいない淀君の心さえ理解出来ない。
他者を排斥し、同志や主の心さえ理解しない。
特に死を前に他者の為に生きようとした且元との大きな差に、自分のやりたい事しか考えない不遜さと幼さを感じます。
面白いのは、片桐且元が野望、生き方死に方と数寄、美意識が関係無い事です。
且元はへうげも華も愛していますが、今生きる、死ぬ目的は豊臣秀吉への忠義と平和な世への欲求であって、自らの美意識とは関係無いのですよね。
今までの傑物たちはほぼ皆、野望や生きる目的と数寄心が同一、もしくは同じ方向へ帰結していたのに。
あ、家康は「規律だった世の形」に美しさを感じている、としています。
そういう意味で、今自分の数寄だけを基準に動いているのが大野治長で、彼が最も事態を悪くしています。
己の数寄だけに溺れた幼い者がどう生きるのか。
そしてこの時代の激流の中、若き武将二人、織田頼長と古田重継がどう動くのか。
特に重継は織部の決心と言動を前に意味深な視線を向けていますし…
流石に頼長と比べれば徳川家への忠義や一族郎党への責任感は有ると思うのですが。