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へうげものの記事 (142)

ぶるがり屋 2015/04/30 21:05

先週の へうげもの 感想 2015年 4月第4週

あらすじ

 方広寺鐘銘事件の釈明から、大阪城に戻る片桐且元と大蔵卿局。
決死の覚悟で淀君、豊臣秀頼を説き、豊徳の世を目指そうとする且元だったが…


へうげもの(19) (モーニング KC) [コミック]
山田 芳裕
講談社
2014-11-21

感想

 方広寺鐘銘事件から豊徳決裂まで、ここまで早かったのですか…!
怒濤の展開でしたが、戦に一番大事なのは速度。
大阪の陣まで、もう時間は無さそうです。

 死地すら失った且元が、悲しいなぁ
病から己の死を悟り最後のご奉公とする気概が、無惨に踏みにじられる様が、痛い。

 そして時代の主役となった大野治長。
織田信雄まで追い出すとは。
さらに織田家の華を愛し、織部の策とはいえ徳川家康との戦いを本心では望んでいない淀君の心さえ理解出来ない。
他者を排斥し、同志や主の心さえ理解しない。
特に死を前に他者の為に生きようとした且元との大きな差に、自分のやりたい事しか考えない不遜さと幼さを感じます。

 面白いのは、片桐且元が野望、生き方死に方と数寄、美意識が関係無い事です。
且元はへうげも華も愛していますが、今生きる、死ぬ目的は豊臣秀吉への忠義と平和な世への欲求であって、自らの美意識とは関係無いのですよね。
今までの傑物たちはほぼ皆、野望や生きる目的と数寄心が同一、もしくは同じ方向へ帰結していたのに。
あ、家康は「規律だった世の形」に美しさを感じている、としています。
 そういう意味で、今自分の数寄だけを基準に動いているのが大野治長で、彼が最も事態を悪くしています。

 己の数寄だけに溺れた幼い者がどう生きるのか。
そしてこの時代の激流の中、若き武将二人、織田頼長と古田重継がどう動くのか。
特に重継は織部の決心と言動を前に意味深な視線を向けていますし…
流石に頼長と比べれば徳川家への忠義や一族郎党への責任感は有ると思うのですが。

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ぶるがり屋 2015/04/13 21:50

先週の へうげもの 感想 2015年 4月第2週

あらすじ

 方広寺鐘銘事件の釈明で徳川家康の許に訪れる二人の使者、片桐且元と大蔵卿局。
だが徳川家康はその二人の考え、立場の違いを利用し、豊臣勢の離間策を進める。


へうげもの(19) (モーニング KC) [コミック]
山田 芳裕
講談社
2014-11-21

感想

 方広寺鐘銘事件の第二段階へ。
これからこそが、徳川家康の作戦なのでしょうね。
大蔵卿局は今回で始めて知りましたが、いやはやかなりの女傑ですね。
キャラデの元ネタは金美齢さんでしょうか?
現実の政治的意図は無いと思いますが、それにしても怖いトコいきますねー。
絶対NHKアニメ化出来ないじゃないですか(笑

 加藤景延さんお久しぶり!
この竃で出来た新しい器は、大野兄弟に渡る云々よりも、織部自身が見られるのかドキドキですよ。
この後の片桐且元との会談も含めて、もう完全に家康の戦争する気満々なのは確定路線なのですか。
跳ねっ返りが一人ぐらい居た方が世の中が面白い、という理由で豊臣家を守ろうとしている織部が「らしく」、また思いっきり謀反な意見を喋って大丈夫かという気もします(笑
 あの家康以上に堅物だった秀忠に、へうげの世を願うまでになるとは。
時の力は強く、人は変わるものだなぁ。

 家康の3提案を最善の策として、持ち帰ろうとする片桐且元。
戦争の火種と理解した上で利用し、そして最後のご奉公として大阪城へ帰ろうとする且元の、晴れ晴れしくも悲しい笑顔か。
その前の織部の笑顔が凄過ぎてちょっとインパクトが弱過ぎますが(笑
史実を知っているだけに、この笑顔が重く切ないですよ…

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ぶるがり屋 2015/03/29 23:28

今週の へうげもの 感想 2015年 3月第4週

あらすじ

 方広寺鐘銘事件で広がる処罰。
豊臣と徳川の間に入る亀裂に、古田織部は徳川家康の心に太平の世を望む意思を信じるが…


へうげもの(19) (モーニング KC) [コミック]
山田 芳裕
講談社
2014-11-21

感想

 方広寺鐘銘事件は、当時の常識からするとおかしくはないそうですが、やっぱりもにゃもにゃするなぁ。
これと関ヶ原前の上杉家討伐辺りは、本当に徳川家康が悪辣に思えるのですよねぇ。

 「髭継」固定しちゃってる(笑
その悪辣さ、豊臣家の転覆を狙う家康の意図に気付く古田織部。
豊臣首脳が大阪城の中だけで世を見ている中、息子も自分も動き回って直接得る人の想い、考え。
泰平の世を不要な血でもって築こうとしている家康を見限る、織部の顔が怖い。

 でももっと、今回怖いのは…
諜報の武将・織部らしいのですが、これ程の大転換に、数寄が介在せずに織部が判断したなら、ちょっと「らしくない」んじゃないかなー。
このまま直接会わず、数寄や道具も関係無しに反家康の策を進めるなら、これからの展開が怖い気がします。

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ぶるがり屋 2015/03/01 21:54

今週の へうげもの 感想 2015年 2月第4週

あらすじ

 完成する方広寺の鐘。
徳川家康に対抗できる最後の雄、前田利長も死に、追いつめられる豊臣陣営。
その重臣である大野治長と片桐且元の仲違いに、ついに徳川家康は豊臣討伐を決心する…


へうげもの(19) (モーニング KC) [コミック]
山田 芳裕
講談社
2014-11-21

感想

 史実で方広寺鐘銘事件に古田織部が関与していたかは知りませんが、京都大阪での文化人としての名声、将軍の茶頭でもある立場から有り得なくはないのでしょうね。
その自分が参加した案件が豊徳決裂の名分にされるなんて、辛く悔しいだろうなぁ。
 家康似の大仏気持ち悪いし趣味悪いよ!(笑

 今回の主役は大野治長と片桐且元。
二人とも生真面目なようで、だからこそ折り合いを付けるのが下手そうだなぁ(笑
このへうげものでは、人が大義や忠義以上に、自分の嗜好趣味数寄、人の好悪で生きているのが生々しくて面白い所。
豊臣の時代の「楽」の美を愛し、面白くもない、正に「野暮」な美を押しつけ広める徳川の政策に、我慢ならないのだろうなぁ。
石田三成に見たような、真っ直ぐで脆い、そんなおかしさと愛らしさを感じます。
織部もそう感じたのかな?
でもそれは個人としてで、国の運命を左右する大軍の将として、為政者としては落第でしょう。
且元ときちんと相談出来てもいない辺りでどうしても小物ですよ。
 織部は大野兄弟に名物を贈るようですが、これが徳川への利敵行動に取られないか、心配になります。

 ついに大阪攻めを決心する徳川家康。
たしかに豊臣家を代表する二人の使者がこんな有様では、内部の分裂と指揮系統の混乱は見て取れますよね…
自分の寿命と、誰も信じられなくなった焦燥感が、今の家康を進めているような。
史実を知っていますが、家康の心だけは報われて欲しいなぁ。

 前回の話になりますが、高山右近は今まで郎党や領地や男としての野望を捨ててでもずっと選んできましたが、その二つの理由、「南蛮数寄」と「キリスト教への信仰」をついにどちらかを選ぶか迫るような織部の茶席に、ついに一つを選んだのですね。
もちろん他にも色々な要素は絡んでいましたが、恐らくは最後の最期まで数寄を選ぶ織部との、その意味での本当の別れだったのかもしれません。

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ぶるがり屋 2015/02/14 02:23

今週の へうげもの 感想 2015年 2月第2週

あらすじ

 異国に追放される高山右近の前に、最後の茶会を行う古田織部。
へうげな笑いに包まれるが、右近は…


へうげもの(19) (モーニング KC) [コミック]
山田 芳裕
講談社
2014-11-21

感想

 右近と織部、そして織田有楽斎の最後の別れ。
全員が分かっていて、覚悟していて。
それでも織部は、右近に日本に残って欲しかったのかなぁ…
思いが通じはしませんでしたが、それでも右近がついに零せなかった祖国への愛を、妻に話せたのは、きっと右近の救いになったでしょう。
 右近が織部を追い返したのは、織部へ累が及ぶのを恐れたからかと思いましたが、いえ多分、それも有ったのでしょうけど。
あれ程ひょうげた、身分の差などなく、笑いに満ちた空間がどれだけ心を満たすものであったでしょう。
どれだけ嬉しい贈り物だったでしょう。
だから、あれほど激しく抗い拒否しなければいけなかったのでしょう。

 酸いも甘いも噛み分けて来た織部と有楽斎の、右近への思いを馳せる語らいが楽しくも切ないですよ。
きっと出来た事は無いのだろうけど、もっと何か出来たのではないか。
笑っちゃうのに、切ない。
そんなお話でした。

 玉ぶりぶり命名がこんな理由とは(笑
名前だけ読んだことが有ったのですが、今回の茶杓がこれだとは気付きませんでした。
右近の男根茶室も実在したんじゃないかなぁ(笑

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