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へうげものの記事 (142)

ぶるがり屋 2016/10/27 01:24

先週の へうげもの 感想 2016年 10月第3週

あらすじ

 古田織部と重嗣の謀反の疑い、そして捕縛の報が徳川陣営に走る。
渦中の息子重嗣と再会する織部だが…


へうげもの(23) (モーニング KC)

山田 芳裕
講談社
2016-12-22

感想

 本多正信の顔が懐かしい。
謀反の疑いに、徳川秀忠も、今の家康が決して許さないと。
時代を変える総仕上げの今、何者にも容赦なく、自分の言葉も聞かないと分かっているのですね。
 秀忠と同じぐらいに物事の大きさを理解し、また無念に感じている柳生宗矩も良いカット。

 重嗣の切腹、タイミング的に板倉勝重へのパフォーマンスっぽい?
企ては全部自分がしたこと、父織部の助命を考えていたのじゃないかな。
同じように、織部が重嗣に締めを与えて追い出した理由は、息子に生きて欲しかったから。
そんな気がします。
 弓矢を教えていた時から数十年、やっとまた父親らしい織部を見られた気がします。
これもまた久しぶりに登場のおせんと共に、今回の彼は父で夫の家庭人でした。

 そんな息子を逃し、自ら罪を増やす織部でしたが、飄々としていて驚きました。
考えてみれば、時の為政者である家康に刺客を送られたと気付いた時には、もう覚悟できていたのでしょうね。
とうの昔に立身名声に溺れていた時は終わり、戦国時代を生き抜いた老獪になったのだなぁ…
織田信長、千利休、豊臣秀吉の死を経、鼻の時代の息吹を秀忠に託した織部の心に、やり残したものはもう少ないのかな。
感慨深いですよ。

 前回理解できなかった酒徳利の中の笄。
タイミング、そして今や唯一の豊臣親族武将なことから、多分織部の推理通りなのだと思います。
同時に、酒の賭け事で日本号を手渡した過去から、この企みが失敗することも示唆していると。

 織部、重嗣、大阪城。
歴史を知る自分が、この先の未来を、ただ眺めるしかないのが痛いです。

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ぶるがり屋 2016/10/11 04:25

先週の へうげもの 感想 2016年 10月第1週

あらすじ

 息子重嗣の陰謀も、その失敗も露見も知らない古田織部。
今も豊臣の色が徳川の世に残るよう奔走するが、そこに訪れる板倉勝重。


へうげもの(22) (モーニング KC)

山田芳裕
講談社
2016-06-23

感想

 福島正則の酒徳利の笄、意味が分からなくてモヤモヤします。
織部捕縛を伝えるのは地理的時系列的にも無理ですし、織部の反応的にもないでしょう。
豊臣を守る、豊臣の数寄を守ると言う意味かなぁ?
この頃にはもう最後の豊臣系大名だったと思うので、徳川の世での豊臣を継ぐような意味合いだと思うのですが…

 沢庵和尚の名は宮本武蔵と柳生十兵衛の物語で聞いていましたが、たくあんの語源の人も全員、同名の別人だと思ってました(笑
一応あり得なくは無いけど、宮本武蔵と知人なのは創作ですが、すべて同一人物だったのですね。
沢庵和尚 Wikipedia調べ!

 板倉勝重も高齢、かなりの重鎮の筈ですが、やはり戦国大名の雄、古田織部は大物です。
危険な空気を察知し、謀反の一報にも眉ひとつ動かさず、現状を問いただす。
数寄だけでなく、謀でもここまでの大人物になっていたのですね。
 徳川家康に伝えた、たとえ裏切られても裏切らない、誠は通じるのかな。
僅かながらの友情と、正義のために天下を治めようとする信念への信頼が、織部の想いなのだと。

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ぶるがり屋 2016/09/16 22:00

先週の へうげもの 感想 2016年 9月第1週

あらすじ

 塙直之との死闘の中で上田宗箇は己の数寄を見つめ、
徳川家康は、明智光秀が死の前に残したものに、己の理想を疑う。


へうげもの(22) (モーニング KC)

山田芳裕
講談社
2016-06-23

感想

 死に様は、生き様。
一瞬人生が交差した相手に男惚れし、その人生が揺らされた2人の男、上田宗箇と徳川家康。
だけど、その差はあまりにも悲しくて。

 上田さんはここにきてやっと自分の数寄が無骨だと気付きましたか(笑
岩の庭も悩んだそのままの心持ちで、これで良しと決めたものではなかったですものね。
師匠・古田織部が大き過ぎて自分を見極められなかった上田ですが、武を諦め数寄を極めると決めた師匠と違い、武と数寄、ともに貫いたが故の、上田らしい境地だと感じます。
その織部で言えば、床の花の下の板が不要と感じたあたりでしょうか。

 そして、今更ながら明智光秀の生前の姿を知る徳川家康。
 ここで、家康の挫折が来るとは。
上田が塙の死に様に斬られたように。
過去、千利休が光秀の句に斬られたように。
今、家康は光秀の遺品に、斬られたのですね。
 いやー、まさかあの醍醐の器が再登場するとは思いませんでした(笑
翻ってみれば、あの会食が古田織部と徳川家康、そしいぇ明智光秀の邂逅だったのですね。

 明智光秀は民を数寄を愛し、為政者が清く正しく生きることで民が学び、国を変えようとしましたが、
家康は愛を捨て、自分も民にも清く正しく生きること以外を禁じる国を作ろうと。
結局の話、家康は国造りに対して光秀と深く話すこともなく、その死に様に共感してきただけ、
勝手に神聖視してきてしまたのですね。
 もしかしたら、光秀の思想を一番受け継いでいるのは「白い安土城」を見た小堀遠州なのかも。
家康が白い安土城を見ていれば違ったのかな、とも思いますが。
そう思うと、やっぱり利休の業は深いな!(笑

 作品は変わりますが、NHK大河ドラマ『真田丸』で登場人物が父や恩ある死者に縛られる中、ただ一人徳川家康だけが何者にも縛られることのなく自分らしい天下取りを進めますが、

 そして、勝手ながらも裏切られたと迷う今の家康は。
利休を失った豊臣秀吉のように、自ら誰も信じない、信じられない孤独へ立ちすくんでしまった。
理想の為に、すがった「光秀の虚像」を守るために、息子秀忠も盟友天海も追いやり。
この孤独を溶かすのが、最後の織部の役目だと良いな。

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ぶるがり屋 2016/08/30 01:07

先週の へうげもの 感想 2016年 8月第4週

あらすじ

 古田重嗣の暗殺計画が露見。
大坂夏の陣、そして古田織部の最後へ時代は真っ逆さまに動き始める…


へうげもの(22) (モーニング KC)

山田芳裕
講談社
2016-06-23

感想

 豊臣秀頼、力仕事してるー!?
巨漢を初めて生かしてるのじゃないかな(笑
武将たちの心を完全に惹きつけてて、時が秀吉存命中なら、相手が徳川家康でなければ、良き君主になったのでしょうね。
 古田重嗣の徳川家康奇襲計画を、秀頼がある程度知ってようで驚きました。
 
秀頼の指示でなくとも、部下がそういう指示外の暗躍をしていることを知っていたのか、それとも大器で事実を受け止めたのか。
どっちかなー?

 そしてついに襲撃計画が、徳川家康と秀忠伝わってしまいましたか…
板倉勝重の慎重さのおかげで断定はされてないものの、傾奇者頭目の弟も確保され、この時点でほぼ古田家お取り潰しは確定なのですよね…
 
逃れる手は、思いつくところでは家康の処断の前に重嗣の首を差し出す、または大阪豊臣側について勝つ。
でもそれも、織部重嗣2人とも気付いていなくては…

 息子の行動で、主であり友である豊臣秀吉の家と数寄を生かす為の策が潰えた織部。
どうなってしまうのか、真綿で首を絞められるようです。
 家康はその心を見せませんが、何を思っているのかな。

 古田織部の危機を知る、上田宗箇。
友であり、数寄という意味では彼が愛息子なのでしょうね。
不思議ではなく納得、なのですが、おせんでないことはちょっと意外。
そう言えば大阪の陣編から登場してないような…?

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ぶるがり屋 2016/08/08 10:37

先週の へうげもの 感想 2016年 8月第1週

あらすじ

 大坂夏の陣寸前、和睦のため、決戦のために奮闘する諸将、時代。
ついに、古田重嗣の暗殺計画が露見する…


へうげもの(22) (モーニング KC)

山田芳裕
講談社
2016-06-23

感想

 古田織部、豊臣存続最後の策も届かず。
島津家が勤王なのは折々に描かれてきたので、もしかしたら通じるかもしれませんが…
 これで豊臣秀頼と徳川家康の会談だけが、唯一残った和平の道、そして豊臣が生き残る道なのでしょう。
豊臣勢では大人のように成長した秀頼が、徳川勢ではねねや秀忠の願いが家康に届き。
今まで織部が積み上げてきた人脈、策がやっと実を結びつつあるのですね。
成るか否か、そのギリギリの時に。

 そんな時に、重嗣の徳川家康奇襲計画が徳川勢に届く。
ついに、ついにこの時が来てしまいましたか…
今まで読んできた長い物語としても、華の時代、織部がずっと奔走してきた豊徳合体策の終焉としても、来るところまで来てしまったのですね。
 ただ傾奇者頭目の弟ではなく、大阪城からの流出なのは意外でした。
それともこれから「確かな証拠」として確保されるのか。

 今までほとんどメインキャラと関わらなかったのに描かれてきた京都所司代板倉勝重と、その性。
細やかで徹底した仕置きと、織部への尊敬の念。
織部への思いはその影響力を恐れただけかもしれませんが、この板倉勝重の性質がどのように、このへうげもの最大の事件を導き出すのか。

 次回が怖く、楽しみです。

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