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青天を衝けの記事 (16)

ぶるがり屋 2021/12/26 22:14

青天を衝け 41話 最終回 の感想

青天を衝け 41話 最終回
「青春は続く」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 2021年大河ドラマ、最終回。
栄一が慶喜の背を追ったように、栄一の背を追った敬三の視点の物語でした。
本当に頑固でわがままで、人の話を聞くけど聞かない、強く優しい、一人の老人でした。
うん、まぁ、維新の時代を超えて来たので、暴漢に襲われる可能性くらいで行動変えてられませんよね(笑

 また今回は、篤二が救われる物語でもあって。
女の家で空虚な、倒壊した家で抱きしめられた時の打ち震える、そしてラジオの演説を聞く、満ち足りた、面持ちは表情は笑顔は、どれも胸を打つ、心が溢れ出るものでした。
 栄一も、篤二を大事にしてやれなかったと憂いて、心残りで、やっと親子として思いを伝え合えられて。
ああ、救われたと思えました。
栄一も、篤二も、うたも、みんなみんな笑っていて。
「みんなが嬉しいのが一番なんだで。」
うん、そうですね、そうですよ。

 とっ様の、平岡様の、千代の、慶喜の。
数多くの言葉が栄一を救い、輔け、導いて来ましたが、やっぱり一番の根っこは、かっ様の
「みんなが嬉しいのが一番なんだで。」なのですねぇ。

 偉人だ、偉業だ、それは確かなことだけれど。
一生懸命に励んで、生き抜いて。
理想は折られ、情熱は挫け、同胞は死に、働きは何度も水泡に帰し。
本当に、あまりに多くを失って、何度も何度も奪われ、失敗してきましたからね…

 それでもいくばくかは叶い、絆は固く結ばれ、次へ続いていく、進んでいく。
その道は、そのまま今の我々に続いていて。
江戸から近代、現代へ。
栄一の残したものはそこかしこに有って、ひ孫さんは今も生きていて。
罪も失敗も同じ苦しみも、恥ずかしながら残っていて。
私たちは今も隣人を蔑み憎む日々だけど、憎むだけでなく、繋がりあっている事も知っているから。

 ああ、近代大河ってこんな面白さなんだ。

 話し変わって。
やっぱり脚本や監督まで土方歳三ファンじゃないかな…?
個人的ヒットだった渋沢栄一・井上馨・大隈重信3人コントの再上演は叶いませんでしたが、栄一最後の盟友が大隈さんで、理解し合えてないけど、心が強く繋がっていると伝わって来て、涙が出そうでした。
 みんなみんな、間違うこと諍うことはあっても、本気で励んでいたのですよね。

 清々しい、晴れ晴れとした最終回だった…。
うん、見続けて良かった。
楽しく、幸せな時間でした。
 「よく喋るんです」に笑っちゃい、敬三くんの霊に拍手して、今が昼だったら私も一緒に空を衝いてましたよ!
また、あの血洗島の美しい青い空と緑の畑に。
ありがとう渋沢栄一!
ありがとう『青天を衝け』!!
ありがとうスタッフの皆様!!!

 前作は、燃え尽きてしまった美しいものを愛おしむ最終回でした。
来年は、どんな物語、そして最終回が楽しめるのかな。

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ぶるがり屋 2021/12/19 22:40

青天を衝け 40話 の感想

青天を衝け 40話
「栄一、海を越えて」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 愛しい人物たちの、大往生に大往生。
長く見てきた物語の終わりはすぐそこ。
 寂しいな。

 前作は生き急ぎ死に急ぎ、「もうここで決するしかない!」でしたし、英傑の物語はだいたい志半ば、若くして終わりますから。
こんな大往生と大往生の末の、人生の終わりを感じる物語は初めてな気がします。
 悲しくないし満足だけど、寂しいな。

 篤二くんに「いつも具合が悪くなる、戦と相性が悪い」と言われた栄一が、和親となれば「戦争の匂いがしない」となるのが面白い。
前回、幕末を経て日露戦争時に戦争を推し進めるのは当然ですが、私はとっても日本の左翼なので苦しかったです。
渦巻く民衆の熱気に自らの行き過ぎた熱に気づき、世界戦争に続く恐ろしい時代へ、一人「No War !」と進む姿に惹かれました。
 そうですよね、味方でも敵でもおかしろい、魅力に満ちた人間たちばかりでしたよね。
もっと生きて欲しかった。
一緒に生きて語らい競い、励みたかった。
でもみんな、もう居ない、死んでしまった。

 盟友を失い、異郷の地で友がらの心遣いを得て。
騒乱と絶望の中で、ひとつなぎの優しさを得て。

 喜作もここでお別れですか…
でもこのお別れも、喜作らしい実に爽快で、人の愚かさに寄り添う気持ち良さでした。
篤二は頑張ったし、栄一はムカつくよね。
栄一は家庭人としてはダメですよね!(笑
 ひこばえの木の下で、藍畑の中で、祭りの中で踊りながら。
理想と現実を見たアメリカの荒野も、変わらぬ血洗島の空も、ただ美しく。

 この物語のもう一人の主人公といえば、
…喜作は3人目の主人公ということで、2人目は、やはり徳川慶喜だったでしょう。

 命を賭して死ぬことが悪い訳じゃないけれど。
惇忠が喜作が栄一が生き延びて、多くのものを失って傷ついた各々が救われたように。
慶喜が生き延びて栄一が救われ、栄一が生き延びて、共に生きて、慶喜は幸せに生きて死ねたのですね。
徳川将軍として、誰よりも。
尽未来際、生きてくれてありがとう。

 「ようやく今思うよ。」
今までの「〜のだ。」ではなく、あえての平らな言葉遣い。
ああ、本当にここで、慶喜はたった一粒の人間に、栄一の友人になったのだなぁ。
敗軍の将でも徳川最後の将軍でも、光り輝く英傑でもなく。
たった一人の慶喜に。

 …猪飼さんちょっとだけでたけど、あの方だけはまだ存命なのだろーか。
生きてても死んでても美味しいな(笑

 渋沢栄一と井上馨と大隈重信のコント、もう一回だけでも見たかったけど、見られなかったなぁ。
大隈重信は追い出したけど、きっと誰にも言えなかった泣き言を大声で叫べて、少しは救われたのかな。

 このドラマ唯一の不満は栄一の不老ですが、ここら辺は日本の求められる役者・スター像から仕方ないのかなー、とは思うのですが。
それはそれとして、敬三くんが篤二さんより年嵩にしか見えないのはどーかな!(笑

 子供時代から一緒に生きてきた喜作を失い、青春時代を捧げた慶喜を失い。
栄一の次なる道は、アメリカの次は、中国へ。
孫文との結べなかった手は悲しいなぁ。
 次回、最終回。
『青春はつづく』

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ぶるがり屋 2021/12/12 21:52

青天を衝け 39話 の感想

青天を衝け 39話
「栄一と戦争」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 おお、おお。
「国の為に」
燃え上がる情熱。
その情熱とともに流れる時代を、その激動に死んで行った者と残された者を
ずっと描いてきたこのドラマ。
 幕末の情熱、維新の情熱、日清戦争からの情熱。
流され、動かし、向かう先となった栄一。
そして慶喜はそんな情熱を受け止めきた側、篤二は情熱を遺された側なんだ。
 戦うこと、死ぬこと、逃げること、生きること。
絶望と愛に溢れ、残奥で優しくて、美しいドラマ。

 冒頭。
惇忠兄ぃが報われて、本当に良かった…
勝手ながら、これがドラマGA終わるまでに一番の懸念SIてました(笑
 自分が先導者でありながら、あまりに多くのものを失って、生き残ってきましたからね…
彼らの生も死も人の心に残っているのだと、忘れられず尊きものと認められたのだと。
兄ぃは苦しみを背負ったままでなく、救われて死を迎えたのだと。

 大義、罪、多くの死の果てに。
逃げて、これしかなかった、でも本当に…?
苦しんできた慶喜の口を開いたのは、栄一の強い願い、その願いを破りたくないという情。
そして、自分のように翻弄され逃げようとし、それも出来ずに、その罪に潰されそうな青年の叫び。
生の心が人を動かした。

 自分が戦争のタネにならないように逃げ隠れ、それでも北海道まで戦争は終わらず、日清、日露と戦争は止まらず、時代は熱狂をさらに燃え上がらせ。
徳川慶喜が重い口を開いた理由は、自分の言葉が新たな火種になら泣きなったこと、栄一のため、やっぱりこの2つが主だと思います。
 ただもう一つ、逃げる苦しみと逃げたことの苦しみ、それを篤二にも知って、少しでも安んじて欲しかったから、そんな風に思えました。
 篤二の優しさと聡さが、哀れに愛おしく思えたように。

 尽未来際
人は、誰が何を言おうと戦争をしたくなれば必ずするのだ。
欲望は、道徳や倫理よりずっと強い。
ひとたび敵と思えば、幾らでも憎み、残酷にもなれる。
人には枠割りがある

 このドラマとして、徳川慶喜の言葉として、現代に流れる言葉として、どれもが重く苦く、味わい深い言葉でした。

 そんな各名言もさることながら、青年期の輝き、将軍時の輝きと憂いを帯びた姿、配送後の壮年と老年期の、まさに輝きを消した姿。
そして、今回の篤二の言葉を受ける枯れた一老人、されど涼しげな風貌の奥に苦難が見える重厚さ。
草彅剛さん、本当に、本当に良い役者さんになった。
素晴らしい。

 重々しい時代の積み重ねが語られる中、猪飼様の変わらぬ可愛さもまた素敵!
正直、毎回見たい。


 生き残って、生き延びて、生き抜いてきた栄一。
「死なないでくれ」「生きていてくれたら私(=推し)の本作って良いよ」
生涯の推しにこんなこと言われたら、生き返るしかないよね!
と思っちゃうオタクな私です(笑

 富国強兵、日清日露、戦争で得られたもの、失ったもの。
描写は短いながら、だからこそ濃厚で重いですよ…。
かつて藩や幕府に焼き討ちをしかけた熱意と暴力を、受ける側になった栄一。
正しさも過ちも、強さも醜さも、よくよく分かっていて、身に沁みていて。
 道理に、道義に正しい国とは。
次回、『栄一、海を越えて』
栄一の本当の生きる道が、ここから見られるのかな。

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ぶるがり屋 2021/12/05 22:11

青天を衝け 38話 の感想

青天を衝け 38話
「栄一の嫡男」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 うう… 新しい時代への畝り、その練りもうねりに乗れない繊細で不器用な好青年・篤二くんの未来がうすら寒く不安で …苦しい。

 今回で、
明治という新しい時代は成った、次の時代へ進むのだという流れを強く感じました。
栄一は名も無き百姓の息子ではなく絶大な権力者、渋沢家は地方の一農家ではなく裕福で自分たちを戒める日本の代表的な名士、うたは畑を走り回る幼子ではなくそんな名士の家を取り仕切る代表。
 主人公・渋沢栄一の物語は一つの頂点を迎えたのだなぁ。
そう思える大河ドラマ、最終月のお話でした。

 汚名を負った徳川家と徳川慶喜の名誉の為に声を上げる旧徳川・一橋家の者たちの姿は当山なのですが、痛々しくも映ります。
今では成功しているから良いようなものの、ほとんどが代々の徳川の禄を食んだ一族で有り、一族と自分の半生を怪我したままではいられず。
また多くの仲間も死に汚名を追った状況を許せないのも当然でしょう。
 ただ少しばかり、復習や恨みばらし、昔のことに拘泥する淀みも感じて。

 それでも、平岡様と慶喜様への恩義だけは、捨てることも諦めることも出来ませんよね。
愛妻をも失って枯れゆくだけなど許せず、せめて死ぬ前に汚名を晴らしたい。
…大事な人を生きているうちに、なんとかしたい、そんな気持ちもよく分かるのです。
 ああ、河村様、やすさん、美賀君……

 今回の題名、栄一の嫡男・篤二。
他人の言葉に気が揺れ、厳しい生活に合わず、情に弱く大人しくして、人の熱流に合わず歌を好む。
人がよく大人しく繊細で、内向的。
うん、酒色に溺れる以外はお父さんと正反対だな!(笑
 好ましい人柄ですが、栄一という、国を先導し大企業NO運営、というのには向かないですよ。
 早くに母を亡くし、大好きな姉たちは家庭を作り、嫁ぎ、離れていく。
真面目で聡いから、文句も言えず少しづつ傷ついていって。
そんな半生が寂しかったのかな…

 富国強兵と日清戦争、その賠償。
戦争は嫌だ、ではなく、その戦費で憂うでなく、目指してきた理想の大きな一歩と捉える。
間違いではないものの、現代左翼平和至上の私には辛く、また歴史を知るものとしても気が重くなります。

 古き時代を壊し、新しい時代を作ったその先に、暗澹たる時代が始まりつつ有り。
この時代に生きる繊細な青年、篤二はどう生きていくのか。
慶喜と縁深くなる予感が見えましたが、どうなるのかなー。

 あまりにも大きな時代の流れに、人はどう幸せを掴んでいくのか。
怖くて、楽しみです。

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ぶるがり屋 2021/11/28 22:18

青天を衝け 37話 の感想

青天を衝け 37話
「栄一、あがく」の感想です。

青天を衝け | NHKオンデマンド
大森美香
2021/2/14〜
(C)NHK

青天を衝け

 前回から続く、千代を失った重苦しい空虚。
苛烈な時代でもすっと熱く優しく、ちょっと抜けてて笑顔の絶えない栄一の、
自分が正しいと厳しく寛容も余裕も無い戦い、
代わりにと家格と技能で雇うように妻をこしらえて。
見ていてずっと辛かったです。

 闇の中を脇目も振らず好き進む栄一に、
巨大なる敵だと戦った岩崎弥太郎は死に、
一生のライバルと信じた五代友厚は満足そうに消え。
妻に離縁を請われ、やっと。

 自分の無力と愚かさを知り、妻を人とやっと捉えられ、
多くの人に助けらてきたと知る。

 とっ様かっ様一橋家に守られてきたこと、人の縁に救われてきたことに気づいた時は、
「今更かよ!」「そうだよすごい縁だよ!」
と画面前でツッコまずに入られませんでした(笑
 でも今回立ち直れたのも、栄一自身が正しく生きようと貫き、正しく生きてきた結果なのですよね。
五代は何回も諦めず調停に入り、伊藤博文は行き過ぎた正しさを丁寧に諌め。
 そう、すぐ反省できる柔軟さも、栄一が自ら培った魅力ですね。

 顔を上げ、死んでいった仲間、敵となった弥太郎の遺志も受け継ぎ、新しい日本のために。
金融・運輸も国の政治も福祉も、正しく。
 空室に亡き妻の空虚を見るでなく
遺した営みを見る。

 さぁ生きよう、進もう。

 と思ったら嫡男・篤二くんが成長&グレてる〜!?
…うん、まぁ理由は理解出来る、と言うかグレる理由は今回だけでいくつも出てきたからなー。
生きて老いていくと、喜びも苦しみも絶えないなぁ、辛い。

 今回塞いでいた栄一に代わり、人情深く精力的に動き回る喜作が救いでした。
次回からも、喜作にしごかれ惇忠に鍛えられたら何とかならないかな、救われたら良いな。

 今回心に焼きついたのは、このドラマは本当に…
人の死と残された者を描くドラマ、ですね。
戦った、戦えなかった、生き抜いた、不意に、不慮に、満足して、戦いで、病で、若く、老いて、
人が死ぬ。
残された人は生きる。
寂しさと苦しみと、願いと呪いを背負って、生きる。
 岩崎弥太郎と五代友厚、岩倉具視の生き様死に様は三者三様、心に刻まれました。

 前回栄一の若々しさに不満を述べましたが、今回の栄一に白髪が!
杖をつき、少しづつ老いてきましたね…
 よく見ると、年齢なりの動きの所作に変わってきており、また身分や気品らしい所作も演技されているのに気づいて感心することしきりです。
最後のシーンで左へ消えていく兼子さんは丁寧で美しい所作、くにさんかよしさんさん?は農婦っぽい動きで。
動き一つでも人物を表しているのだなぁ…

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