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2018年 10月の記事 (4)

KLV Canvas & 性DEC 2018/10/22 23:07

「終電後、カプセルホテルで、上司に微熱伝わる夜。」のAudio sweetening

以前「そのうち記事に書くこと」として挙げていたんですが、制作会社が違うというのはテロップの読み間違えだったらしく、根本的な部分ではそう違いないことがわかりました。


その前に…

Audio sweetening(オーディオスウィートニング、「音響を甘くすること」)とは映像に音を後から当てはめる作業のことです。日本では和製英語のMulti Audio=MA(エムエー)とも呼びます。よくバラエティ番組で「えー」「あははっ」という歓声がねじ込まれているのも、たいていは録画と同時に入る音声とは別で付け足してあるものでして、そういうのもAudio sweeteningの産物です。


というわけで、細かく見ていくことはあきらめ、波形の外観からわかるものをいくつかピックアップしてサクッと記事を書いてしまおうと思います。

最初のポッチは足音です。音響効果の基本ですが、これは全く同じ音でした。エロ利用OKのライブラリを使ったか、自前で録音したかのどちらかでしょう。

上側(全年齢版)に2つ、下側(18禁版)に1つ伸びている囲いは行為が始まってからのBGMです。全年齢版では2曲が「そのカオ、すごくそそる…♂」を挟んで使われ、更に1曲目の出だしがヒロインの服はだけシーンに合わせられているのに対し、18禁版でははだけを指摘された地点から1曲だけ使われています。

全年齢版の1曲目は「そのカオ、すごくそそる…♂」の直前できれいにカットアウト+リバーブ(残響エフェクト)での「飛ばし」ができている(あるいは元からそういう音源だった?)ので、「本来はこれでいきたかったけども18禁版のMAにあたってエロ利用NGのライブラリだったことに気づいた」線が濃厚かなと思います。

あと、全年齢版は2曲目終わり際(ED前)でBGMの音量が上がるのですが、18禁版はED前にヒロインのイキ声がリバーブ付きで響き渡るので、そういった仕掛けも抜きになっています。

微妙な差異ですが、18禁版はテレビ放送に乗せないためか、音量の振れ幅がかなり大きくなっているのが見て取れます。水色で囲った部分が目立ったピーク成分なのですが、ここに限らず全体的に18禁版の方が派手な波形をしているのがわかると思います。いちばんうるさいところはDキスシーンです。えっち!スケベ!

――そうなんです。僕はエロアニメを見ていても一生こういうこと気にしてしまうのでスカッと抜けないことも多いんです。悲しい生き物ですね。

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KLV Canvas & 性DEC 2018/10/22 20:50

ツクールのループの仕込み方

慣れている人には今更だと思うんですけどね。

まずFL Studio (DAWソフト)を入れましょう。

はいカス~~~~~~~~~~~~~~~~~~すぐ金で殴れって言いだす~~~~~~~くらびすたのフォロワー辞めますとおっしゃらず。

そう、入れようとは言ったが買おうとはまだ言っていない。言うんですけどね。だってImage-Lineに儲かってほしいもん。

実はFL Studioの体験版は自分でセーブしたファイルを読み込めない以外ほぼ全機能が使えるシロモノでして、入手にも手間がかからない優れものなのです。英語は我慢してほしい。

起動できたら

[File] - [New]でリセットして、

再生停止ボタンの左隣のSong / pattern modeをクリックしてSONG側を緑に点灯させてください。

楽曲ファイルをPlaylist内にドロップして、

スクロールバー(上記スクショの左側の矢印部分をドラッグ)または小節番号表示エリア(上記スクショの右側の矢印部分でホイール上下; このエリアでクリックすると該当箇所に再生位置を動かせます)で横軸にズームし、だいたいフルHDで4小節表示できるくらいにしましょう。

どこか波形の頭っぽいところを探します。スクショで矢印を付けたあたりがそれっぽいですね。まあ僕は自分の曲なので当然わかるんですが。

とりあえずそこまで聴いてみましょう。1、2、3、4、1、2、3、4、…。この波形の頭っぽいところまでは4拍子の3小節でした。つまり小節番号表示エリアやプレイリストで表示されているグリッドと、本来のテンポが合っていないわけです。これを補正します。

テンポは再生停止ボタン近くにある小箱でbpm単位で指定します。ちなみに右クリックでメニューを開くとよく使われる(とImage-Lineが勝手に想像している)テンポが10bpm刻みでプリセットとして表示されます。この小箱の上でホイールを上下させるか上下にドラッグするかでテンポを変えることができます。小数点以下にカーソルが合わさった状態だと小数点以下での調整になるので注意が必要です。

この曲は130bpmでした。ちゃんと4小節目の頭と波形が合わさっていますね。

探してみたら2周目の先頭が66小節目の頭に重なっていました。メイン部分が8小節1フレーズの8倍+イントロのフィルインの1小節で「65小節演奏しきった後」です。

どのDAWソフトでもできるのですが、導入が簡単といったところでやはりFLをお勧めしております。いいソフトなので気に入ったら買って遊ぼう!下位グレードはお察しだけど、バージョンアップは一生無料!おかげで僕もCubaseはいまだに7.5を使っている(現行は9.5)けどFL Studioは最新版の20を入れているさ。HAHAHA

タグ打ち本番

ツクールのループの仕込みはOGG Vorbisファイルへ打ち込んだLOOPSTARTタグとLOOPLENGTHタグで実現しています。LOOPSTARTとLOOPLENGTHはそれぞれサンプル数で表されるので、サンプル数を測らねばなりません。

音楽CDは44.1kHzサンプリング(1秒に44100サンプル)で制作されており、映像関係では一般的に48kHzサンプリング(1秒に48000サンプル)の音源が使用されているため、自分が使用する音源がどちらのサンプリングレートで書き出されているかを確認する必要があります。だいたいは44.1kHzだと思います。少なくともKLV Canvasでは44.1kHzでした(過去形)

サンプリングレートの確認とタグの打ち込みの両方ができるお勧めのソフトがmp3infpです。オリジナルはWindows 10に対応していないので、Windows 10をお使いの場合はホームページにある分家からUnicode対応版をDLしましょう。

導入するとOGGファイルのプロパティ画面がこんな風に拡張されます。

この曲の場合44100Hzとあるので、LOOPSTART(2周目の先頭位置)は

60(秒) / 130(bpm) * 4(拍) * 65(小節) * 44100(サンプル) = 5292000サンプル

LOOPLENGTH(ループの長さ)は

60(秒) / 130(bpm) * 4(拍) * 64(小節) * 44100(サンプル) = 5210584.615… → 5210584サンプル

です。おお、ちゃんと合っていた。

慣れればなんてことない作業のはずですが、慣れてきても1小節目から数え始めればよかったか、0小節目から数えるんだったかとか迷ってしまって毎回ツクールを立ち上げながら調整していました。さんすうすら怪しい。

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KLV Canvas & 性DEC 2018/10/22 19:00

「音リテラシー」ってなんぞや

うちのOrderページでも発注のヒントとしてお勧めしているのがゲームオーディオ開発などを担う会社「CRIミドルウェア」の川口さんによるコラムです。

この方が旗揚げしたDiscordサーバー「ゲームサウンド制作よろずチャット」に自分も初日から参加しておりまして、楽曲制作/音響効果/発注管理などゲームの音作りのことを勉強させていただいている次第です。

そんな折、川口さんとこんな話に。


川口さん「サウンド系に関してセオリーはあれど正解は無いと思っているので、各自の判断規準を身につけていくための手助けがしたいです。どんな職種の人でも、ユーザーでも。」

川口さん「先生と生徒、みたいな感じになってしまうと正解(答え)を求めてしまう人が多いんじゃないかなーと思っていて、音楽ってそんな事ないじゃないですか。」

くらびすた「これホント大事ですよね。『音リテラシー』がないと、(ユーザーさん)どんなふうに味わえばいいのか、(開発チーム)どんなふうに音屋さんを頼ればいいのかがわからない」

くらびすた「好きな小説を見つけようとなれば普段使いに加えて「もう一声」のボキャブラリーと漢字能力が必要になりますけど、それと似たようなことが音にもいえますね」

川口さん「音リテラシー、わかりやすくて良いですね。キーワードっぽい。


そもそも「リテラシー」(literacy)ってなんだっけといいますと、これは単独で「言葉の読み書き能力」を指します。これに音が付くわけですから、音リテラシーは「音の読み書き能力」のことを指します。とはいえ(念押ししておりますが)これは作曲スキルを意味するわけではなく、「ある音(音演出)がどういう意味を持っているかを読み解くことができ、どういう配置(発注)をすれば意図していることが伝えられるかを考える」チカラのことなのです。

※大前提として音楽用語や楽器名、各種コンピューター用語への理解も必要です。

これは川口さんの受け売りなのですが、「イケていない音はセオリーから外れているものだから、セオリーを学べば回避できるイイ音は業界人、先輩、詳しい人、いい作品と接する中で自分の『好き』を分析していけば作り出せる。こうしているうちに各自の判断規準ができてくる」はずです。

これからしばらくのうちのCi-en記事が、同人/インディーゲーム界隈の音リテラシーの向上の役に立てば幸いです。もっともっと濃い議論の様を覗いてみたい方は冒頭のリンクからサーバーに参加してください。ROM専の方も多いですから、お気軽に。

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KLV Canvas & 性DEC 2018/10/04 04:13

「音リテラシー」というキーワード

ここ1、2か月でふと思いついて使うようになった言葉です。

「自分はどんな小説が好きなんだろう」と探すのには日常会話+αのボキャブラリと漢字能力が必要になるように、「自分はどんな曲が好きなんだろう」「どんな演出で感動したんだろう」「どんな風に感動させよう」と考えるのにあたっては、当然小中学校の音楽の教科書+αの知識が必要になります。

音リテラシーは「ここ半音ズレてるな」「ここ3フレームくらい映像と音ズレてない?」など、何が不味いかを知るためにも重要なものです。これがないと、わからないから適切に配置できない/粗悪な(というのも酷いですが)素材を使う→指摘されてもわからない→なんなら「職業病乙」で済ませてしまう、という望ましからざる渦に飲まれてしまいます。

何も作曲家になるほどの知識は必要ありません。しかし五線譜の読み方や音源フォーマットの種類、いくつかのジャンル名や楽器、機材の名前など、抑えておくべきポイントはやはりあると思います。また、音感だとかセンスだとかも大して重要ではありません。音感は鼻歌が歌える程度にあれば十分ですし、音リテラシーを取り扱う上で大きなウェイトを占めるのはセンスではなくロジックです。

最初の記事はジャンルについてを予定しています。どうぞお楽しみに。

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