時 自若 2021/06/25 10:51

浜薔薇の耳掃除「第52話」

浜薔薇の駐車場を挟んだ隣はアパートであり、そこはKCJが借りている部屋が二部屋ある。
最近はお風呂の貸し出しはこちらではしてないために、配布する食料の倉庫も兼ねていた。
「お風呂はいえば貸し出すけども、今は提携しているところが、シャワールームを解放日行ってくれているから、立地はそっちが便利だから、みんなそっちに行く感じだね」
男女それぞれ四つのシャワールームがある第三セクターの施設があり、週に一回解放されることになりました。
「正確にはシャワールーム貸し切りというか、そういう形でお金出したところがあるんだよ」
そのシャワールームには洗面台と鏡があるので、ボランティアのヘアカット等も行われています。
「呼ばれたら蘆根さんも行きたいかと思いますが、蘆根さんは蘆根さんでやってもらいたいことがありますから」
KCJの人も、蘆根の扱いをわかってきた。
「しかし、人間って改めて必要な物資って多いんだな」
「そうですね、うちの支援物資って基本的に災害対策も兼ねてますから、特に」
水とか、ウェットシートとかタオルとかもありますよ。
「そういえば貸し出しているシャワールーム、タオルとかはどうしているんだ?」
「そこはクリーニング業者に」
仕事が来たぞ!と引き受けてくれます。
「地震などの災害ともまた違うんですけども、基本はそれですね、その対策のために用意していたものをこちらの地域は行政が一部解放しているので、金銭的な負担は他より少ないところはあります」
「食べ物とか用意してもあっという間に無くなるとかも聞くようになりましたし」
「そうなんですよね、そこまでなるとその先は混乱状態とかになったりするから、ある程度以上の対策はいるとは思いますよ」
KCJの職員とは支援の関係でこうしてミーティングは重ねている。
「しかし、浜薔薇のご近所さんって、災害あると地域で炊き出しとかやるんですね」
「ああ、電気だと止まったりするから、ガスでご飯炊いたり、農家も多いから、そこは野外炊飯とか炊けているな」
最近はアウトドア趣味の人たちも参加するようになりました。
「いろんな料理が出てくるから、楽しい!って子供達はいってましたね」
この間ちょっと長く揺れた地震の次の日、炊き出しやるよとみんなでわらわらご飯炊いて、カレー作ったり、汁もの作ったりの定番を調理するものもいれば。
「チャーシュー作ろうぜ!とかこだわり派もいたな」
「干物やっている人いましたね」
魚を買ってきて、開いて、干すものと薫製にするものを分ける。
「あっ、公園の方は火は使えないけども、手前の町内で管理しているところの敷地は火が使えるから」
スモークチップはワイン樽である。
「これは大人の味になる」
「だろ?」
「今ちょっとスモークチップにこだわっててさ、果樹園やっているところから枝とかもらって乾燥させてさ、果樹園の持ち主に美味しいのできたら持っていこうと思って試しているのさ」
なかなか自宅ではできない薫製をこの機会に試す派もいたりする。
「定番だけども、卵はもらった、食べるとかおりがすごかった」
「ああ、それは思いましたね」
「干物か、これもなんか使えませんかね?」
「使えるんじゃないの?それこそ冷蔵庫がない時代ってみんなそうだろうし」
タモツに聞くと。
「寒い時期はみんな家で干してたな、今じゃ柿ぐらいか、見かけるにしても」
「なるほど、確かにこの辺は使えそうな気配がしますね」
「食べ慣れていないと調理できないかもしれません」
「まあ、バリエーションは少ないだろうな、それだと」
「でしょうね」
「魚だと茶漬けとか?肴としてあぶってマヨネーズとかなんだろうが」
「あっ、私あれやりますよ、ドライフルーツなんですけども」
職員はドライフルーツをヨーグルトに入れて柔らかくして食べるそうだ。
「前にすんごい安かったからって言われて、果物、バナナとかたくさん来ちゃったけども、食べきれないからってことで」
みんなしてドライフルーツを作って、各自持ち帰る。
「そういえばグラノーラって、ヨーグルト入れて食べたりするから、じゃあ、ドライフルーツもって感じですかね、忙しいと、準備なかなかできないから、入れておくだけで食べれる状態になるのはいいですよね」
KCJの職員さんは意外と食に対してこだわりはないようである。
「こちらの生活はあんまり長くないんで、美味しいもの買えるなら、それで揃えた方が仕事で疲れた時は本当に思います」
「それは休んだ方が」
「ん~まあ、KCJにいるならそこは割りきってますね、公益のためな団体ですから、そのために志願したので」
考え方がソルジャーである。
「私が来たときってまだKCJの知名度全然なくて」
(今でも知っている人の方が少ないのではないかな、それって僕だけかな)
「KCJの活動が根付かせるための人員ですからね、私も彼も」
この浜薔薇KCJ出張所、キャンピングカーにいるのは、この目の前にいる波里(はざと)さんと、彼と言われた金緑(きんりょく)さんである。
「まあ、本名よりもハリーやジョーって呼ばれることの方が多いです」
おそらく名字の漢字からハリー。
「ジョーは?」
「下の名前が浄なんで」
「ああ、なるほど」
浜薔薇の二人には説明はしなかったが、よく呼ばれる名前は、波里の能力にも由来する。
その人物が信用に値するかどうか、彼の目は浄玻璃の鏡のような働きをするからだ。
もちろんそれは浜薔薇の人間もイツモも知らない。
ピョイ!
そこにイツモがやってきて、波里飛び乗り背中からかけ上がってきた。
「イタタタタタ、イツモ様!勘弁してくださいよ」
まっ、そんな能力があったとしてもイツモは我が道をいく。

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