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R18の記事 (79)

時 自若 2023/01/29 21:25

今生のローダンセ 第41話 どっちもエッチなんですね。

「お母さん、この花なんの花?」
どこかのご家庭の娘さんがお母さんに聞きました。
「これはローダンセよ、お父さんとしばらくぶりに会ったときに、冷蔵庫も空っぽで、じゃあご飯食べて、買い物しましょうになったのよ」

「ちょっと待っててくれ」
トイレかな?と思って、気にせずに待っていたら。
花を一輪携えてきた。
「あの…だな」


「それでお母さん、受け取ったの?」
「どうしようか、迷ったんだけども」
「それはお父さんが可哀想」
「お花屋さんも大変だろうし」
「そこ?」
「経済って重要よね」
父親に似ている娘は、困った顔は似てないようだ。
「もう結婚していると思ったのよ」
「ありえないでしょ」
「そう?立場的にお見合いの話は結構来てたよ、優しいし、真面目だし、きちんと立場もあったし」
「お母さんの方はどうだったの?」
「元々結婚なんて縁遠かったからね、たまたま相性のいい魔法とかあったから、覚えていってっていう子供の頃よ」
「魔法が規制されている土地柄に生まれると、魔法は簡単には使えないんでしょ?」
「そうよ、でも本を読めると魔法には出会うものなのよ」
「えっ?そうなの?」
「魔法が魔法ではないと隠れているの、だから魔法を見つけるといいわ、そのぐらい魔法はどこにでもあって、上手に隠れているのよ」


「話を聞いたんだが、その…花の話したのか?」
「聞かれたからね」
「そっか」
「嫌だった?」
「複雑だが、自分の子供ならばいいかなと、さすがにあちこちに言うのは少し嫌だな」
「言いふらすような子じゃないでしょ」
「そうか?ならいいが、なんというか、そういうのは二人だけの話にしたいと言うか」
「照れてるの?」
「照れてるよ」
「お花屋さんに、何て言ったんだっけ?」
「…彼女に贈るとしたら何がいいんですか?って」
「それで?」
「花束だと邪魔になるから一輪」
「後で言葉を調べたら変わらぬ思いだったんだけども、終わりのない友情でもよろしくない?」
「お前に友情を抱いたことはない」
「へぇそうなんだ」
「そうだよ、あの目はとても素敵だった、こうクッ!って言いたくもなるし、言わせたくなるような緊張感は、俺の人生に初めてだった」
「お見合いで奥さんもらっちゃえば良かったのに」
「またその話か」
「そうよ、結婚してから、色々あるよりは、最初からそっちの方が楽だし」
スッ
そこで夫が取り出したのはこの薬。
「ちょっと過去とか平行世界に二人で行こうか?」
「えっ?」


スリスリ
頬擦りする感触がある。
目を開けると、彼である。
若い、ということは自分も若い。
(幼馴染みって感じ)
当たり。
本来は大人になってから出会っているのだが。
「もっと早くに出会いたかった」
写真を見てそんなことを言う彼に困惑する。
「いいじゃないか、あの年齢だと修行しまくってて、俺全然遊んでないんだからさ、後最近忙しかったから、無責任に恋をしたい」
「確かに最近は忙しかったからはわかるけども」
「夜食美味しかった」
シチューよりも少し軽めのとろみのある野菜な汁物とご飯。
「それはここで言うこと?」
「さすがに娘や息子やらがいる前では無理だ」
「無理にお父さんやらなくていいのに」
「お父さんはお父さんらしくあるべきだよ、子供たちが困るから」
「ちゃんとお父さんはやれてますよ」
「そうか?」
「ええ、だからこそ、なんでこの人見合いで結婚しなかったんだろうなはありますよ」
「嫌だよ、きちんと、その…この穴がお嫁さんだって見つけたんだから」
「いい話が台無しですね」
「中身はそんなもんよ」
「じゃあなんで私には?」
「平手打ちくらうのもいいかなって」
「変態」
「あっ」
ぞくぞくっと来てる。
「ちゃんと立場があるのに、変態さんでどうするのかな?」
「でも、これだけは譲れなくて、抱いた後に、お嫁さん見つけちゃったねって自然と口にしちゃったし」
何故か彼女は一目で気に入ってしまった。
目がとても良かったのはあったのだが。
「その勘は間違いではなかった」
愛撫で、こぼれてしまった声。
優しくするための理性はここで飛んだ。
「己の見せにくい部分を見せて受け入れてもらった嬉しさよ」
マゾバレにも対応しております。
「後は…もう愛するのみじゃない?」
「そのためにここまでするの?」
逆行した時間、幼馴染みの世界線。
「するよ、修行が厳しくなっても、夜は二人で一緒にいることで取れる幸せがあるんですぅぅ」
「まあ、そこは否定はしないけどもさ」
「じゃあ、同意ってことでいいですね」
修行の辛さは知ってる、それこそ真面目にやったものが心身が折れるほど痛め付けられる。
(あの頃は生きていくためだからしょうがないと思っていたのだけども)
今日はそういうプレイで、設定でしましょうまでになると、ああもうそういう苦しみは終わったのか、ため息吐こうかのところを。
「ウサギ年だから、二人でバニーしない」
「なに言ったんだよ、バーカ」
「せっかくオスバニーという可能性もあるわけだし」
「話聞いてないでしょ」
そんなこと言いながらも、おやおや一時間もしないうちに、何やらバニーなのが二人いますね。
メスの方は網タイツで、オスはそのお尻を喜んでいるじゃありませんか、全くなんだかんだいいながら、どっちもエッチなんですね。

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時 自若 2022/12/18 08:07

今生のローダンセ 第35話 お姉さまとラブラブハッピー共和国

すごく寒くて…
(生きるの死ぬのを思い出しちゃうね)
その時と違うのは、おそらく死ぬことはないということだ。
ぬくぬくとした格好をした彼女は、用事を済ませて帰り道を歩いていく。
彼の禊は無事に終わり、送ってもらうという話なので、もうついている頃だろう。
メロディが鳴る。
噂をすればなんとやらだ。

「今、帰ってきた」
「お帰り、もうちょっとで戻るよ」
「待ってる」
「無理しないで、ゴロゴロしてなさいよ」

メッセージはいつの間にか自然な言葉で綴られるようになった。
(何故だろう)
不思議だ。
というか、あの人は私の社交辞令を見抜いてしまうから…本音で話すしかない。
本音は人にとって耳に痛いものである。
だからこそ、上手く言葉を使う。
あの人はその奥まで見えてしまうようだ。
それは修行のせいともいう。
「そこまで見えて、ようやく一人前かな…」
などと話してくれたが、それは秘伝という奴なのではないだろうか?
(私に話していいのだろうか?)
責任は取れないぞ。
私からすると、ちょっと寝過ぎたかな?という感じなのだが、時は驚くほどに変えてしまうということを実感した。
自分の感覚は当てになるものではない。
それでも少しだけ様子を見よう、これでまあ、あの人が妻子がいて幸せならば、そのまま帰るつもりであったが。
出会ったときとまるで変わらずに、いつものように稽古をしてた。
「…」
「お久しぶり」
索敵もできる人間の前に、下手に気配を消すなんてバカな真似はできない。
向こうはもちろん気づいたが、目は驚き、唇は止まった。
だから声はこちらからかけた。
「再び会うまでもっとかかると思ってた」
「それは何前提?」
「お前のプライドのために、俺は見守るという選択をしたが、あの時、失ったと聞かされたときに、眠るお前の顔を見たときに、失敗だと思ったんだ」
「それで良かったですよ、私はそのお陰で、プライドをきちんと守ることができたんです」
「でもいなくなったじゃないか」
「…あれ?奥さんと子供は?結婚しているんじゃないんですか?」
「するわけないだろう、確かにお前と別れてからの時間は長いが、そんな時間で失ったものが取り戻せるとは思うなよ」
「失ったんですか?」
「失ったよ、もう、本当に…さ」
「すいません、そんなに、そんな顔されるとは思わなくて」
「しかしどうなったるんだ?本物はわかるが」
「神仙みたいなものですから、魔法使いの修行しすぎたら、この世のルールから違う世界のルールが適応されたんですね」
「それであの時のままか」
「そちらは少し年を重ねましたか」
「少しじゃないよ、年が離れてしまった」
「私は気にしませんよ」
「このまま寿命とかどうなるの?」
「食事とかちゃんとこちらのもの食べたいると、こちらの時が流れるみたいですが」
「じゃあ、これからは一緒にいてくれよ」
「どうしようかな」
「どうしようかなって…んじゃなんで、ここに来たんだよ」
「顔だけ見ようかと思って、幸せならばそれでいいでしょうし」
「んで今の俺は?」
「どっちなんですか?」
「ずっと一人だったんだが…」
「えっ?見合いとか勧められるでしょう?」
「断りました」
「どうして」
「好きな相手がいるのに、違う人と結婚するのか?」
「立場があれば、そこは別物では?」
「嫌だよ、それ」
「そんな食わず嫌いして、会ってみたら実際にいい人だったりするかもしれませんよ」
「一番お前からそれ聞きたくないんだけど、んじゃ逆に、俺がいなくなったら立場のためにお見合いはするの?」
「しませんよ」
「なんで?」
「合わない人間と話すのが時間の無駄だから、それをするぐらいなら立場捨てますし」
「そ、それじゃあ、そこに俺がお見合い相手として来たら?」
「来ないでしょ?」
「絶対にねじ込むから」
「きちんと家守るタイプの、良家のお嬢さんがあなたを待ってますよ」
「俺はなんでもサクサクやっちゃう娘さんの方がいいのぉ、後努力とかで目標を達成したり、苦労を克服するとかに対して、理解がないとダメ」
「いるのでは?」
「いないって、いたら…まあ、こんなこと自信を持っては言わないよ。というか、修行とか泥臭いことが必要な生き方をしているとね、思った以上にモテないのよ」
「そういうのってモテるためにやめるわけにもいかないですもんね」
「そうさ、これが生き方だから、そこで変える…変えるのもいるよ、やめちゃうやつとか、女の子と遊びたいんでっていうのも多いよ」
「遊びたくならないんですか?」
「話し合うとおもう?」
「あなたは話、上手いでしょ?」
「じゃあ、俺とお話ししましょう?お嬢さん」
手をそこで握られて、目を見てそう言われた。
「あの…これって」
「俺は何度でもお前に会いたいと思う、そして会うために邪魔をするものみんな切りたいと、お前と会えなくなってから決めたんだ」
「物騒ですね」
「基本的に切れるか、切れないかで考える人間だよ」
「そうは見えませんが」
「そりゃあ、怖い顔見せたくないもの」
「そういって他でも口説いているんじゃないですか?」
「かもな」
「もう…」
「なんだ嫉妬はしてくれないのか」
「嫉妬してほしいんですか?」
「ちょっとだけな、それでもう帰るのか?それとも」
「どうしようかな」
「なんだ?帰る気失せちゃったかな?」
「うるせーよ」
「お帰り」
「すぐ帰るつもりだったのに」
「ダメだ、もう離さん」
「うううう」
「心がぐらついたら、お前の負けだよ」
「なんで…すぐに忘れなかったのよ」
「思い出あれば生きていけるかもなって、思い出して、それで楽しくて、お前はいないのにな、すごく不思議だった、自分でもビックリだ、一緒にこれからも生きるつもりだったから、生きたかったんだよ、だからケリだけはつけようかと思ってたんだ」
そこから彼女の方がごめんさない、ごめんさないと泣きながら謝った。
(私の方も思い出に囚われているよね)
たぶん彼を失ったら、思い出すであろう。
きっと…おそらく…いや、絶対。
「ただいま」
彼が待つ家に帰ってきた。
「お帰り」
暖かい家の中。
「今日は寒かっただろう、しばらく暖房の前で暖まってくれよ」
「体の方どうなの?」
「体力もあるから思ったよりも早くなんとかなったみたいだ」
「無理しちゃダメよ」
「しないって、今は生涯現役(いろいろな意味で)が目標だし」
彼女にはおそらく()の中身が正確に見えたのだろう、表情が強ばってる。
「お姉さまとラブラブハッピー共和国のためですから」
おおっと、そういったら、滾るものを感じました。
隙を見て、手を出したいと思いますので、この辺で!
ええっといつもの定宿は…相変わらず余裕で予約取れるな…

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時 自若 2022/12/16 08:03

今生のローダンセ 第34話 ストッキングをご褒美にもらいたいと思います

今、彼はお仕事が終わってはいるのだが、家にまだ何日かは帰れない状態。
原因はこれだ。

右腕の一ヶ所だけ捕まれたような赤いアザがある。

彼女と喧嘩した?

それならばモグモグと食べている朝食のおかずに、一品彼女が作ってくれた肉じゃがならぬ、「肉さつま」はないだろう。

仕事をセーブしても呼ばれるような仕事、厄介な案件で昨日招集があり。

「××××」

呪いの言葉を辺りに撒き散らす相手と向き合い、それを切り伏せた。

もらってはないとは思っていたが。

「あっ、これ呪いが肌に出ちゃってますね」

そういった類いの呪いは言葉通り水に流せる、霊泉の世話になることになった。

じゅるり

この音は霊泉に呪いが辺り、反応している音だ。

昨日からこれを何回か聞いている。

呪いはかけられた本人よりも弱いものならばそちらに移るという、とんてもない仕様があるため、それこそ目に見えなくなるまではこちらに居なければならない。

ごくっ

食後も機を見ては水を飲む。

早く家に帰りたい。
ちょうど気になることがあった。
家を出る直前、彼女が鍛えている男大きな雄尻に目が行ってたの。
(ちょっと今の何、前も大きな雄っぱい見たことあったけども)
「やっぱり女子は大きいのが好きなの!大きいだけが雄尻のいいところじゃないんだからね!」
と自分としては見てほしくはない訴えをしていたが。
「素振りするか」
彼としては大きな雄っぱいと雄尻がほしいらしく、ちょっと毎日の練習メニューの内容を変更しようとしていた。

もし彼女が自分の雄っぱいと雄尻に、視線向けたらどうしますか?
「ストッキングをご褒美にもらいたいと思います」
そこでクンクン、スーハースーハーして、ゲンキニナッチャウまで行きたいそうです。

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時 自若 2022/12/12 15:09

今生のローダンセ第33話健康の秘訣は彼女に優しく苛めてもらうことです。

それが観測されたのは、233年前とされる。

今を生きている人で、始まりを知るものはいないが…
都市の上空、空との間に蓋のようなものができた。
理由は不明。
このせいで、大気は淀みがちで、呼吸器疾患が増えたとされる。

数年前、こちらからは異世界である都市において、魔女っ娘くノ一ミチルちゃんが現れ、都市の犯罪抑制の立役者となったが、一年もせずにその活躍は聞こえなくなった。

「その都市と空の真ん中にあるレンズみたいなの、今日割る手伝いをして来ますから、夕方には帰ってきます」
「終わったら連絡してくれ、迎えに行く」
こちらはいつもの二人。

今日ほとんどの人が何も知らず、レンズが割れて、青空を見ることになる。
「殿、大変です」
自分はもう殿じゃないと心の中で突っ込みながら。
「なんだ?」
「外をご覧ください、私も何が起きたのか聞いて参ります」
そういって家主はどたばたと居候を残して出掛けてしまった。
(なんで割れた?いや、割ったのは誰だ?)
このレンズのせいで、跡継ぎに生まれはしたが呼吸器に難がある男は、数年前に健康な甥に家督を譲り渡した。
(あのレンズがある限り、この都市に生まれる子供の一割は、呼吸器の病気となる、その話をまともに聞いたやつでなければ、もう当たり前すぎて何とかしようともしない…割ったのは誰だ?…)
しかしもうその話をまともに受け答えする者は彼の周囲にはいないのだ。
どうでもいいこと、そういって窓を閉めようとしたとき。
「殿、殿、お体の方はいかがでしょうか?」
「…俺の元から黙っていなくなった不忠義ものの声がするな」
「その節は申し訳ありません」
ミチルは姿を現した。
「それにもう俺は殿じゃない」
「いえ、私にはずっと殿であります」
「殿ではないから、お前を口説いて嫁にすることもできるのだぞ」
「しますか?」
「…あの空はお前の仕業か?」
「ああ、やはりバレましたか」
「どうやってやった、まっ、上手くやったのだから、それは追求しないで置こうか」
「他の世界のものと出奔前に知り合うことが出来ました、そこで色々と話をしたさいに、殿のレンズに関する推測をしましまところ」
うちの殿は頭脳明晰なんだぞ自慢も兼ねてました。
「それなら早いうちに割った方がいいと教えてもらいました、あれは竜の鱗だそうで、割っても別にどうってことはないと、ただ割るのならば、あそこまででかいと人手がいるからなだそうで、そうなると金がかかりますゆえに、どうすればいいか相談したところ」
割るために必要な人たちというのは学者肌の人間が多いから、護衛とかそういうのを引き受けてくれれば力を貸してくれるだろう。
「とのことで、こうしてはいられないと」
「それでいなくなったのか、俺の元から」
「先方の話にすぐに返事をするようでなければこちらの本気も伝わらぬもの、本懐はあのように遂げさせてもらいましたので、どうか殿、私に処分を」
「もう殿じゃない、お前に下すも何もないさ」
「どうして家督をお譲りに」
「あの後すぐに道島が亡くなった」
「道島殿が」
殿の教育係である。
「続けて起きれば心も荒れるし、折れるものだ」
少しばかり酒に溺れた。
「これで死んだら道島にも怒られるだろうしな」
「…」
「お前はもう自由だ、どこへなりとも、その学者とやらの元で仕事をするがよい」
「せっかく帰ってきたのに」
「せっかくだ?なら、さっきも言った通り、俺の妻となり、子を生んでくれるか?」
「悪くない話でござるな」
「お前な…」


帰る支度が出来たので帰りますと伝えに来たら、部屋の中で盛り上がっている場合、何をすればいいのか答えよ。
異世界の言葉でもミチルが見ればわかるので書き置きしてから帰ってきた。


「そういうときは、声をかけてやると男の方は盛り上がって、もっと触るのに」
「それ確実に向こうのやってるところ見ちゃうからイヤ!」
「?女性の方は温泉とか入ってなかったっけ」
「なんで知らない男の裸まで見なきゃダメなのさ」
「ええ、それは俺のはいいってこと?それとも俺のだけはいいってこと?ああ、俺の亀さんがむずむずと」
「躾のなってない亀ですね」
ああ、その目ゾクゾクする。
男の健康の秘訣はなんですか?彼女に優しく苛めてもらうことです。

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時 自若 2022/11/23 06:51

今生のローダンセ第29話 浄霊で町おこし

「ようこそ、おいでくださいました、私はこの屋敷を任されたものでございます」
美しい女性だ、主人は彼女をマリと呼んでいた。
「あらあら、行けませんわ、お客様、恨み辛みで撒き散らかしたままではありませんか」
するとどうだろうか、屋敷の内部が上下左右が歪んでいく。
「ご主人様が長らく訪れず、来訪してくださったお客様はとても良いかたでした、そのお方を追ってこちらにやってこられたのですね」
ふっふっと彼女は笑った。
「お仕事しなくてはいけません、招かれざるもののお相手をするのは久しぶりではありますが、根競べと参りましょうか」

「えっ?マリちゃんが、そんなことしてるの」
「はい、マリお姉さまからの連絡で、あとはこちらで何とかすると」
「…」
「どうかなさいましたか?」
「こんな方法で長年のものが解決するとは思わなかったんだけども」
「喜ばしいことでは」
「それはそうなんだけどもさ」
観光、彼氏がゾンビ退治のお仕事の後にデートしたいと行ったので、観光地にいきましたら、歴史ある建物に足を踏み込んだところ、その建物を守るマリという女性に出会う。
彼女はその屋敷の紫陽花、そのマリをマリお姉さまと呼ぶのは、株分けされ、彼氏の屋敷に植えられた紫陽花の「うらく」である。
「どうしよう、これ」
「招かれざる客を排除するのは、屋敷のものとして当然です」
「それはそうなんだけどもさ」
「ただいま」
「ああ、お帰りなさい」
「お帰りなさいませ、旦那様」
「うらくちゃん、いつも手伝ってくれてありがとう」
そういってお菓子をくれた。
「ありがとうございます、あの奥さまの業なのですが、マリお姉さまが今お屋敷で相手にされておりまして」
「ん?それは」
「これで頭を悩ませることはありませんね」
「えっ?えっ?それでいいのか?なんとかなるのか?」
「なんとかなればいいんだけども」
「なりますよ、絶対」
「こういうのは勝負がつくまでわからんからな」
「確かにそうなのですが、あの地の、地脈からも力を借りてますから」
「そうなるとどうなるんだ?」
「地脈だと、それこそ業の人霊は相手にするのは向こうの土地ってことになるわね」
簡単に図にしてみる。
「人霊由来ともなると、神格持ってない場合は、地脈相手では分が悪いな」
「逆に飲み込んで大蛇になるとか、悪い例もあるんだけども」
「水蛇となった場合は、矢で頭を射抜くそうです」
「射抜くのもマリちゃん?」
「いえ、あそこには神社があります、二手の社が、神事として弓の名手が毎年選ばれます、お祭りでは水蛇に見立てたものを撃ち抜いて、毎年盛り上がりますね」
「これ、本当にどうしたらいいんだろう」
「結果はいつわかるんだ」
「人間の感覚では計れないと思います、明日かもしれませんし、100年後かもしれません」
「マリちゃんが負けるとは思わないけども、怖いかな」
「何がだ?」
「負けたときにどうなっているのか、さらに恨みを重ねて、その時私は飲まれてしまうのか」
「それは考えすぎでは」
「ああ、ごめん」
「いや、こいつはそれだけ苦しんだから、怖いんだよ」
「怖いですか…」
「それはあるわね、とても怖いわ、自分の人生をめちゃくちゃにしてくれたものが、一旦は離れているのでしょうけども、もしもの場合がとても怖い」
「だから人を寄せ付けず、一人で死んでしまえばいいとか思ってるんだぞ」
「それは…どうしましょう、決着をつける、マリお姉さまじゃなくてもいいから、誰かが討ち取った方が安心するのですかね」
「安心はする、安心はするんだけどもね、怖いね」
「同じ言葉繰り返すときは、本当に怖い、不安なんだ、あれは何をするかわからない怖さと力がある」
「それは何としても吊し上げなければ…」
「吊し上げれるのならば、吊し上げてたさ、それが私ではできなかったから、苦しんだ、あれはそんなんだ」
「あの地域の他に暇しているものもみな、手伝ってはくれてはいるのですが」
「本当に嫌なのは、私が不安だと思えばそれも喜び力を増す、あなたたちが負けるのは嫌なんだけども、一番の敵は己の心にあるんだが」
「そこも俺の愛の力で大分ましになったぞ」
「さすがです、旦那様」
「自己嫌悪、後悔、そこら辺は本当に辛いものがある」
「昔ご主人様もそれらを抱えておりました、酒を浴びるほど飲んでおりましたし、それに比べると奥さまは健康的だと思います」
「そうなの?」
「酒に溺れるというのは大いな、理不尽さに耐えられないのだ」
「理不尽さは、確かに世の中にあるでしょうが、そこまで絶望することはないとは思う」
「強いですね、奥さまは」
「そうなの?そこは感心しちゃうの?それぐらいも出来なければダメだよねじゃないの」
「それは誰が言ってたんだ」
「えっ?うちの…あれ?あれ?」
「なるほど大分根っこは深いようだ」
「これはいけませんね、家族のことになるとどんなに悪でも慈悲深く接してしまうのは奥さまの悪いところどはないでしょうか」
「それは…あるな、ただこの辺は難しいんだ、俺は家族とはそうじゃないからかもしれないが」
「ああ、うちの主人は骨肉の争いの唯一の癒しがあの庵でしたから」
「そういえばそういう説明はパンフレットに載っていたな、そこから連休などではお茶会が開かれていたりするとかも」
「お抹茶お菓子がついて500円ですよ」
色んな流派のかたが持ち回りで開催してくれます。
「とりあえずゆっくり休ませて、いきなり業の相手をしてるから、私のところに向かってこなくなりましたって言われても、話についていけないから」
「それじゃあ、ゆっくりするか」
「旦那様も奥さまもご休憩ですね、後はこちらで片付けておきますからごゆっくり」
その観光地で手が空いてるものが、順繰りに当番と称して相手をしているというのだが。
「不安か?」
「まあね」
男に体を預けた後でも心の暗雲は消えず。
「じゃあ、そうだな…こういうときは、勝てるように勝ちに続くようなことをすればいい」
「後方支援ですか」
「そうだ、まあ、あそこの地域はそれこそ酔っぱらいのあしらいが上手いような地域だし、それこそ戦闘になってもいいというのならば容赦ないと思うぞ」

人霊と聞きましたが、これはこれはなかなかに面白い。
ここは湯が出る中の島、確かに歴史は浅いですが、人の汚れを流してた地であります。

「なんで浄化、清霊が町おこしになるんじゃねえから、頑張るかみたいになってるんだろ」
需要があると見たので、主人もお客もいない人を守るための善意を持つ種族が、彼女の業の相手をし始めた。
「これは…奉らないと、まずは義実家に報告かな」
彼女の想像もしない方向へ事は進んでいるようです。

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