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2021年 12月の記事 (17)

有坂総一郎 2021/12/06 18:00

新型陸軍戦闘機の仕様が決まる

この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》

どこに落とし所を持ってこようかと思っていた陸軍の新型戦闘機だけれど、自分の中で満足出来る部分がこの辺だろうというところで手を打つことが出来た。

陸軍機の場合、基本的に三菱の発動機を使うことがそもそも少なく、その殆どが中島製の発動機。

一〇〇式司偵の瑞星と金星
五式戦の金星
四式重爆のハ42
二式複戦の瑞星
九七式重爆の火星

この辺だろうか有名なのは。細かく見ればまだあるけれど、生産機数上位から見ていくとそんなものだ。

で、キ27:九七式戦闘機の史実原型機の数値から最適解を出すと金星になるんだよね。これは発動機サイズという制約が第一の理由。

ハ1(寿):610馬力
ボア×ストローク:146×160
排気量:24.1リッター
直径:1280mm
重量:350kg

ハ5:950馬力
ボア×ストローク:146×160
排気量:37.5リッター
直径:1255mm
重量:625kg

金星:1100馬力
ボア×ストローク:140×150
排気量:32.3リッター
直径:1218mm
重量:560kg

瑞星:1000馬力
ボア×ストローク:140×130
排気量:28リッター
直径:1118mm
重量:565kg

作中の35年当時で使える三菱及び中島の発動機は上記4つ。

直径だけ言えば、どれをとっても元のハ1よりも小さくなるから、それは良いけれども。問題は馬力と重量と排気量だ。

設計段階で速度重視が打ち出されていることで、馬力が重視されることは明白。そうなるとハ5か金星が候補に挙がる。でも、問題は重量。ハ5の方が60kg重く、150馬力も小さい。瑞星は重量面では金星と大差ないが、排気量の小ささから馬力アップの可能性は低い。

そうなると今後の機体改修などの影響を考える限り、排気量で余裕のあるハ5にするか、原稿で十分に馬力もあり排気量もそこそこある金星かという話になる。

ハ5の発展型であるハ34-1:1250馬力、ハ34-11:1500馬力が登場していれば、多少の重量もハンディのウチに入らないが、この時点では開発出来ていない為、重量はそのまま性能低下の要因になる。

となると、150馬力優勢の金星を当面は採用し、ハ34-1が登場した時点でそちらに転換、もしくは金星改良型である50型:1300馬力が出た時点で換装するというのはアリだろう。

だが、ここで金星50型とハ34-1で逆転現象が起きる。

金星50型は重量642kg:1300馬力に対してハ34-1は630kg:1250馬力となるのだ。

架空機の速度を計算してみよう! ~ 『飛行機の主要諸元を決定する一簡易法』を利用した最高速度の計算

ここの計算式を用いて(一部加減を施している)計算したところ、以下のような数値が出て来た。

ハ1→ハ5:470km→515km
ハ5→ハ341-1:515km→560km

ハ1→金星40型:470km→547km
金星40型→金星50型:547km→567km

となると、より小さく軽い金星を使う方が当面は有利になると判明しているわけだから金星を選択し、また、生産初期であるという按分をして金星を1000馬力と算定、推力排気として多少の性能アップと仮定した。

そうすると金星40型搭載で530km、ロケット効果でプラス10kmの合計540kmと算定した。

やべぇな、それでも零戦21型の533kmを超えてしまった。なんだろう、恐ろしい怪物を生み出してしまった気がする。これでも7%の重量増という下駄を履かせたんだぜ?

スピットファイアの初期型とも互角の速度性能で、ハリケーン相手にも優速である。

36年当時でこの性能なら十分すぎるだろう。なんせ、格闘戦性能一切削ぎ落としていないのに速度が60km以上上がっているんだからね。

ビックリしたよ。

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有坂総一郎 2021/12/02 19:30

DC-4E購入というメリット

この身は露と消えても……とある転生者たちの戦争準備《ノスタルジー》

DC-4Eという存在は深山とともに欠陥機、駄作機という扱いを受けることが多い。

だが、そうではないことを大戦末期の新鋭機は示している。

例えば、四式戦疾風などは1年間という短期間でありながら、3500機も生産されている。これは44年1月から45年8月に中島飛行機で生産された零戦五二型系統の総数である3385機、二一型520機(44年1~4月)と比べても分かる通りで非常に生産能力を引き上げていることを示している。

この数字の大きさは零戦の生産総数が10430機という数字から考えてもどれだけ大きいかよく分かることだろう。

最後の1年8ヶ月間に零戦だけで中島で3800機以上、三菱を含めると5000機以上生産されたこと、その上で中島単独で四式戦を3500機も生産出来た理由をどこに持っていくかと言えば、全ての原点がDC-4Eにあると言える。

確かにDC-4Eは商業ベースの旅客機として不合格な高コスト体質であったし、深山はDC-4E譲りのオーバーテクノロジーと開発技術の稚拙さ未熟さによって失敗しているが、導入そのものについてはむしろ別の部分で大きな効果を生んでいたのだ。

厚板構造とその生産技術、新型鋲打ち設備、これらによって大きく航空機生産が効率的になったのである。また、生産技術の進歩によって機体設計に余裕が生じたのである。

厚板構造は強度の確保、鋲打ちの削減をもたらし、軽量化に大きく貢献し、また機体の平滑度を高めることで速度性能を高めるという効果を生み出したのである。また鋲打ちの削減は工数の削減に寄与し、生産性を向上させている。

それこそが四式戦の生産数の増大、委託生産の零戦を本家の三菱よりも量産出来た理由であった。

ちなみに零戦脳各月の生産数を見る限り、三菱は空襲や地震の影響を受けていることがよく分かるが、中島は意外なことにそれほど44年と45年の数字が大きく変わっていない。空襲が激化しつつあった45年4~6月を見ても44年の夏の数字とそれほどの違いがない。流石に45年6月以後は激減してはいるけれど、もうここに来ると空襲なのか資源不足なのか原因がどっちか判別のしようがない気がする。

それでも同じ45年8月の半月の生産数を比較すると三菱6機に対して、中島87機と考えれば、8月の総生産は200機近く行ったのではないかと思うから、中島の生産力はDC-4Eからの技術導入の成果であると考えるべきなのだろう。

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