【プロレスラーが縮小ミックスファイトで小さくされて少女のディルドにされる話】サンプル
2021年10月10日に販売した作品のサンプルです。
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男女混合プロレスもしくは男女混合総合格闘術と言うと、大抵の人は『男が女を力でねじ伏せて見せ物にするもの』だと認識しているだろう。そう言った風評を覆すべく、最新技術を用いて“それ”は開発された。
長い正式名称を省いて、関係者からは『縮小リング』と呼ばれている。一定条件を満たしたと認識すると、自動で装着者の体躯を段階的に縮小させる。他にも特殊ルール用の機能が盛り込まれたこれは、退屈な戦いを盛り上げることに大きく貢献していた。
生物の縮小など、ミックスファイトでのみ使うには明らかに度が越している技術の使い方である。本来は別の目的で使われるための技術であることは、少し考えれば誰にでもわかるだろう。
しかし、このリングに立つ二人のレスラーにとって、そのような裏事情など知ったことではなかった。
互いに互いの思惑と私欲があってこの場で対峙した二人、試合に挑んだ理由もそれぞれ違うが、どちらも勝利で得られる報酬を欲して参加してきた。
若い男女が四メートルほど離れた位置で向かい合い、試合開始の合図を待つ。
青年、丹精な顔立ちに無駄な筋肉のないスマートな身体を持つタクマは、身長百七十センチとレスラーにしては小柄だったが、タフさと根性は先輩レスラーからも一目置かれるほどの定評があった。
一方、彼と向き合っている女性は、タクマの目には少女に見えるくらい若く映った。童顔な顔立をしているのもあったし、タクマの推測からして彼女の身長は精々百六十センチと見て取れるのもあった。
女性としては並くらいだが、やはりレスラーとしては小柄な部類に入る。
両者ともに同業者からは小柄と言われる共通点はあるが、そこにはやはり男女差からくる体格差があった。その上、
(……最低限しか鍛えていないのか?)
タクマも筋肉の塊とは呼べない体型をしているが、彼女はもっとらしくない。体の二箇所以外に無駄な贅肉はついていないが、同時に力を発揮するための筋肉も少ない。
(なら、柔術や寝技、投げ技が中心か)
「ねぇ、そんなにじろじろ見ないでくれる?」
冷静に分析していたタクマに、対戦相手が声をかけてきた。見た目よりも若く聞こえる高い声だったので、タクマは二十台前半だと思っていた予想を、下手をすると十台後半かもしれないと下げた。
「すまない、分析癖があってな」
「ふーん、私の体に見惚れてたんじゃないんだ」
「それもあるかもしれないな」
苦笑と冗談混じりで応じるタクマに、少女はくすりと笑い返した。
「あんた、これまで見た相手の中だと一番好みかも、筋肉ダルマじゃないし、下品な目しないし、イケメンだし……欲しくなっちゃうな」
「欲しくなるというのはよくわからないが、気に入ってもらえたようで幸いだ」
気障に返すタクマの相貌は、平均的な男性よりもかなり整っている。この業界にいなければアイドルでもしていたかもしれない。対する少女も美人と言って差し支えない。
ぱっちりした強気そうな瞳に鮮やかなセミショートの黒髪、そしてレスラーと思えないほど白い肌を持つ体躯に似合わないサイズの胸と尻を持ち、それらがぴっちりとしたレスラー服で強調されている。
(問答から読み取れるのは、小細工を使ってくる手合いに見えることか)
この会話の最中もタクマは相手の行動を予測していた。相手が可憐な少女でも油断はしないし、彼女のグラマラスな肢体よりもどう戦いを挑んでくるかに注意を向けている。
「まだ時間あるし、ルールの確認しとこっか?」
「……そうだな、互いにすれ違いがあると困る」
「じゃ、私が話すね」
彼女の口から語られた今回の試合ルールは次の通り。
・選手は首に縮小リングを装着する。これは試合中には絶対に外せない。
・気絶やタップによる解放要求の旨を感知されると、身体の質量が減り縮小される。
・身体が約十分の一以下まで縮小されたら敗北となる。
・試合外周のロープを掴んだ上でギブアップを宣言した場合も敗北となる。
・勝者は主催者が叶えられる範囲での要求をする権利が与えられる。
・蹴り技と凶器の使用以外の一切が認められる。
タクマにとっては報酬の内容が重要であった。彼にはどうしてもまとまった資金が必要であった。
(妹の治療費のためにも、ここは勝たせてもらう)
これは難病に侵されている妹を救うための戦いであった。そのために対戦相手に大怪我をさせるつもりはないが、手心を加える気もない。相手が何か仕掛けてくる前にケリをつける。これが最善策だと試合運びの方針が定まった。
「ねえ、あなたの名前を聞いても良い?」
「タクマだ」
「いい名前ね、私はミキって言うの」
「良い名だな」
「……これが合コンとかなら嬉しいんだけどなぁ、そんな敵意剥き出しの顔で言われても、ちょっと困るよ」
ミキの言う通り、表面上は紳士的な態度をしているタクマだが、その眼は対戦相手をどう叩き伏せるかしか考えていないことが読めるほど鋭い。
そんな視線を受けてもなお、ミキは余裕たっぷりの笑みを浮かべたまま、胸を抱くように腕を組む。タクマの顔と同じくらいはありそうなほど膨らんだ二つの球体が、淫らに潰れる。
「名前を聞いておいたのは、これからゲットする玩具をなんて呼ぶか知っておきたかったからなんだけど」
「意味がよくわからないが、聞いても?」
「文字通りだよ、まぁあんたみたいなタイプにはピンとこないかもしれないけど」
意図が読めない問答をしている内に小さいブザーが鳴り始める。試合開始のカウントダウンだ。五回鳴れば試合が始まる。
二回目、タクマは相手の四肢に注目する。緩い構えだ。
三回目、想定できる攻撃を考える。打撃を使う可能性は低く見た。
四回目、対応策を考える。下手な打撃で腕を取られたら致命的、投げ技で応じる。
五回目が鳴る直前、ミキの口がにぃぃと笑い歪んだのを視認して、
「じゃあこっちからね!」
一際大きなブザー音と共に少女が突っ込んできた。僅かに前へ出ている手の狙いは読めている。
「しっ!」
肩に伸びてきた少女の華奢な手を避け手首を掴み、前後を入れ替えるように後ろへ振るように投げて応じる。一瞬宙に浮いたミキの背へ追撃のジャブを繰り出す。
ばしっと肌に拳が当たるヒット音。浅い。即座にバックステップを行い、振り向きざまに伸ばしてきたミキの腕の射程外へ逃れる。
二メートルの距離が空いて、両者は睨み合う。
「いいね、すごくいいよあんた」
「お褒めに預かり光栄だ」
「私の身体目当てじゃないってだけでも高得点だし、油断しないで丹念に私をぶっ潰そうとしてくるのも最っ高に好き」
「負けるわけにはいかないのでな、悪いが手加減はしない」
自分には絶対に負けられない理由がある。口にして己の決意を再確認して構えを取る。それに対して、ミキは「ああ、そういえば」と世間話をするように話し始めた。
「あんたの妹さんだっけ? なんとか病ってやばい奴で大変なのは」
「……どこでそれを?」
「まぁコネってやつだよ、私ってばそういうのに弱くてさぁ」
「なら話は早い、そこにあるロープに手をかけてギブアップしてくれないか」
言いながらもタクマは構えを解かない。口先による誘いには応じないという意思表示だ。
「いやいやそれはダメだって、私だって欲しい物があるから来たんだし……だけど、そうだなぁ」
逆に構えを見せないミキは、また頬を吊り上げてタクマの目を見据える。
「私の家ってお金持ちだから、そっちがギブアップしてくれたら妹さん助けてあげるかもね。ついでにあんたを貰うけど」
「だから貰うとはなんの」
こと、と言い切る前にタクマの視界が真っ白に潰れた。同時に眼球に刺激が入る。うっと呻いて反射的に目を守ろうと構えを解いてしまってから気付く。
(外周のライトだと?!)
リングを照らす照明の一つが動き、タクマの顔面を狙い撃ちにしたのだ。遠くからリングを明るく照らすほどの光を不意打ちで浴びてはひとたまりもない。
「くっ!」
突っ込んでくるであろうミキを迎撃しようと振った腕に、柔らかいものが絡みつく感触がした。
「しまっ」
「言ったじゃん、コネがあるって!」
焼き潰れた視界ではどう転がされるかも判断できず、タクマの身体は呆気なくマットへ転がされてしまう。急いで起き上げようとした上体を肉感の強い足が抑え込んできて、右腕の付け根が更に柔らかい部位で強く挟み込まれた。
(腕ひしぎ──)
「よいしょっと!」
かけられている技を認識したと同時に手首を掴まれ引き倒され、負荷が加わった腕に激痛が走った。
「ぐっ?!」
肘付近から骨が軋む幻聴がするほどの痛みにタクマの顔が歪む。その中でも状況を覆す術を瞬時に模索する。しかし、ミキの腕ひしぎ十字固めは理想的な形できまっていた。