ビターチョコレート3
いつも温かいご支援ありがとうございます。
おかげさまでマニアックな小説を書き続けることができています。
月曜日が始まりました。
今日は飼い始めた猫様の避妊手術なので、午前中に動物病院に行ってきました。
午後に手術が行われ、夕方にお迎えに行ってきます。
さて、月曜日ということで、同人誌の既刊を更新したいと思います。
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです!
家まであと10分。
不幸中の幸いか、人通りが少ない閑静な住宅街だから、誰かと会う可能性は低いが……だけど、安心はできない。
白タイツは茶色く染め上げられているし、お尻からはヘドロよりも醜悪な香りを漂わせているのだ。
「どうか、誰にも会いませんように」
いつの間にか落としていたカバンを拾い上げて、ピンと背筋を伸ばして歩きはじめる。
ねちゃ、ねちゃ、ねちゃ……。
一歩進むごとに軟便がショーツのなかでネットリと攪拌され、おまたに食い込んでくる。
それでも歩を止めるわけにはいかない。
お尻を包んでいるスカートは、うんちによって一回りほど大きく膨らんでいる。
(お願い……、ばれないで)
人とすれ違うときは、カバンを両手で前に持って白タイツを隠して歩く。
すれ違ったら、後ろ手に持ってお尻を隠す。
だけど茶色い香りまでは隠せるはずもない。
ひなぎくが風上にいるときに、匂いを感じ取ったのだろう。
小学生の男の子たちが顔をしかめると、
『お前、おならしただろ』
『いや、言い出しっぺのお前だろ』
だなんて冷やかしあっている。
まさかひなぎくのお尻から漂ってきているとは夢にも思っていないに違いなかった。
(ごめんなさい、臭いよね……)
心のなかで謝りながら、ひなぎくは何とか家に辿り着く。
ひなぎくの家は、周りの家と比べるとちょっと大きめの洋館だ。
鉄格子でできた扉の上には槍が生えていて、扉の向こうには青々とした噴水を湛えた庭が広がっている。
噴水を中心としたロータリーを迎えるように、白壁の洋館が夕日を受けていた。
「な、なんとか辿り着けた……ふぅ……」
大きな鉄扉の横にあるインターフォンを押して、気が抜けてしまったとでもいうのだろうか?
ビチチチチ!
ショーツの中に熱いものを漏らしてしまう。
これから広い庭を横切らないと、屋敷には辿り着けないというのに。
インターフォンを押して数秒後、メイドがひなぎくの顔を確認したのだろう。
『お帰りなさいませ、お嬢様』
スピーカー越しに聞こえるのは、冷たい感じのする女性の声。
その一言とともに、ゆっくりと鉄扉が自動で開かれていく。
あとは庭を横切るだけ。
もう人とすれ違うこともない。
「ふう……」
深くため息をつくと、
にゅるるるるるるるる!
ショーツの中が重たくなるけど、ひなぎくは心のどこかでホッとしてしまっている。
――もう、ここまでくれば人と会うことはない――。
頭の片隅で、そんなことを考えていた。
「もう……、ちょっとだけ、楽になりたい……」
ブリュリュリュリュリュ!
しゅいいいいいいいいい……。
我慢していたものをショーツのなかに吐き出し、お腹が楽になって……、ひなぎくは、ゆっくりと広々とした庭を歩きはじめた。
☆
ひなぎくの部屋は、2階にある洋間だ。
広さは20畳ほどあって、窓からは噴水のある庭園を見下ろすことができる。
一人で使うには広い部屋だけど、ひなぎくは雑然としたものがあまり好きではないから、必要最低限の机やベッドと華奢なティーテーブルと本棚があるくらい。
だけど本棚は大きなものが3つほど並んでいる。
「やっと辿り着いた……ふぅ」
まずはカバンを置いて、それからトイレに行って、それから汚してしまった下着を洗濯しなければ。
メイドたちにバレずにすべてをこなすことができるだろうか?
そんなことを考えていると。
「……あ」
ひなぎくが使っているダブルサイズのベッドの上に、綺麗に畳まれた下着が置かれているではないか。
どうやら専属のメイドにはすべてお見通しらしい。
ひなぎくは替えの下着を手に取ると、トイレへと急ぐのだった。
ここまで読んでくれてありがとうございました!
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。
この小説は同人誌「ビターチョコレート」に掲載されているものです。
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