WsdHarumaki 2023/01/24 21:23

洞窟の主:奇妙な洞窟【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(02/50)

第一章 洞窟の主
第二話 奇妙な洞窟

 あらすじ

 魔女のミナリアは継母から働けと言われて、ギルドに入る。簡単な仕事の筈がゴブリンに襲われてなんとか撃退できたが道に迷うミナリアは洞窟を見つける、そこには、美しい黒い髪の少女がいた。

 レオノーアと名乗る少女は私を見ながら長い髪の毛をいじる。くるくる手で髪を巻き付けている。私は彼女が敵意を解いたと解釈した。ほっと安心する。

「どう殺そうかしら」
 彼女は私を見ないで、ぽつりとつぶやく。彼女は幽霊ではないなら、精霊かもしれないと頭の中を高速回転させる。私はじりじり来た道を戻る。助かる方法があるの ?。

「動くと殺す」
 レオノーアは私を睨むように見つめる、動けない。お父さん助けて、自然に涙が出る。昔から泣き虫と父親に言われた。怒られても泣くけど、感動しても泣いた。涙腺が弱いのかなと思う。自分はしっかりしていると思っているが周囲からは頼りない娘に見えそう。

「どうせ殺すんでしょ!」
 もう涙声。私はボロボロ泣きたいのを必死にこらえる。泣くと目の焦点が合わなくなる。洞窟の地面に座り込むと、涙を流しながら泣いていた。

「あきれた、初心者なの? 冒険者として未熟すぎるわ」
 レオノーアは殺気を収めていた。私に近づいて額に手を当てると体がピリピリする。目をつむって開くとそこは美しい装飾の廊下だ。黒髪の娘は私の手を引っ張ると立たせて、廊下を進み始める。壁の片方は普通なのに、反対側の壁は全面がガラスの壁に見えるが水晶だと判る。外が透けて見えた。その外に私が洞窟の中で座っている。

「え? 」
 冒険者姿の私は目をつむって座っている。じゃあ私は? 、レオノーアはドアを開けると私を中に招き入れた。こじんまりした部屋は女の子らしい装飾で見ているだけで楽しい。壁紙が猫の模様だ。私は嬉しくなる。

「ここはあなたの部屋? かわいいわ」
 くるりと振り向くとレオノーアは生真面目な顔をして立っていた。私は自分の状況を思い出す。

「邪魔なら洞窟から出ていくわ…………」
「はぁ…………とにかく盗掘者じゃないみたいね」
 彼女はティーテーブルの椅子に座るとテーブルの上にある小さな鈴を鳴らした。

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