洞窟の主:過去の話【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(03/50)
第一章 洞窟の主
第三話 過去の話
あらすじ
魔女のミナリアは継母から働けと言われて、ギルドに入る。簡単な仕事の筈がゴブリンに襲われてなんとか撃退した。道に迷うミナリアは洞窟の中に入ると巨大なクリスタルに住む管理者のレオノーアから侵入者を殺すと告げられた。
鈴を鳴らしてドアから入ってきたのは骸骨。青白い骸骨が、お茶を運んできた。呆然と見ていると黒い髪の少女にお茶を出している。
「あなたも飲みなさい」
骸骨は恐ろしく感じるが私を害する気なら、もう殺されている。私が近づくと骸骨執事は頭を下げた。
「ここはどこなの? 」
「水晶の中よ」
水晶? 私が洞窟で見た大水晶に居る?でもさっき見た洞窟の中で座っている私は誰? 疑問が一杯で目が? になる。私は混乱していた。それを見かねてレオノーアが説明してくれる。
「私は呪いで閉じ込められているの」
彼女は語り始めた。
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ずっと昔よ、百年は超えている筈。私は公女として生きてきたの、深窓の令嬢ね。子供だった私は禁忌に触れてしまった。とてもきれいな指輪を落として壊した…………
指輪は魔女を封印していたの…………魔女は解放され私に呪いを使う。魔女を閉じ込めていた外の洞窟の封印を解く方法は難しいけれど、私は鍵になる封印を壊した事で魔女は自由になったわ。封印が壊した私が閉じ込められた。入れ替わりで魔女は外に出たわ。
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「呪いで閉じ込められるとかかわいそう」
また涙が出てくる。スンスンと泣いていると彼女がうんざりした様子でハンカチを出す。
「涙ふいて」
「ありがとう、私も呪われたの? 」
私は水晶の中に居る。封印の入れ替えでレオノーアが外に出られるならば、私をここに置き去りにすれば…………
「あ…………あの私はまだ家に帰ってしなければいけない事が」
もにゃもにゃと話をしていると、笑っている彼女は私に提案してきた。
「私は封印を解きたいの、呪いが消えれば元の時代に戻れる筈よ、あなたが試練に挑戦して」
「…………何すればいいの? 」
彼女は封印を解く複雑な方法の中で一番簡単なのは、外の封印の魔物を倒す事だと教えてくれる。
「私はまだ見習いで…………」
「知っているわ、私もここに来た何人かをスカウトしたけど、無理ね。みんな死んでしまった」
そんな恐ろしい話を聞かされて封印を解く人が居るのだろうか? 私は彼女を見ながら怯(おび)えていた。逃げる方法も判らない、彼女はニヤニヤしているだけ。私は覚悟を決めた逃げよう。
「判りました、ただ私は魔法を使うための宝石を買うお金がありません。まず修行して…………」
「宝石は渡す、いくらでもあるから」
レオノーアは合図すると、青白い骸骨が入ってくる。山盛りの宝石を料理用のワゴンに乗せて持ってくる。大量の宝石に私は眼がくらむ。
続く