黒の洞窟:偶然の出会い【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(27/50)
第六章 黒の洞窟
第ニ話 偶然の出会い
あらすじ
魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む。ギルドの案内人のマリアからシーフの娘の様子を見てくれと頼まれる。
「洞窟? 何しに行くんだい、あそこは何もないよ」
転送ゲートから町のギルドへ行くとギルドに居たおじいさんはシーフだと名乗り私の話を聞いてくれた。この町の近くにやたらと高い山がある。その山頂に洞窟があるが洞窟は暗く誰も探索できない、魔法のせいか洞窟内を明るくする事ができない。
「昇るのは大変そうですか? 」
「大人なら二時間程度かな」
軽い山登りのように感じるが地理に不案内なのと、今はいつも一緒に居たレオノーアが居ない。指輪で呼び出してもかまわないけど、今回はギルドの案内人のマリアさんからの依頼なので、呼び出すのに躊躇していた。
「お!ラミラ、この娘さんを案内してあげてくれよ」
おじいさんはギルドのドアから入ってきた赤毛の少女に声をかける。短い髪の毛は赤毛で男子のような風貌だ。かわいいと言うよりもハンサムに近い。
「なに? 依頼なら受けるわ」
大きな体の彼女は私より頭一つは大きい。ラミラと言う名前を聞いてマリアさんの娘さんだと判る。私は洞窟に案内して貰いながら事情を聞くことにした、幸い前回のサファイアを少し売る事で資金的には潤沢だ。私は彼女を道案内として雇うことにした。
ギルドを出ると──ライアンと出会う、金髪の彼は私を見つけると嬉しそうに歩いてくる、ハンサムでニコヤカな顔は、女性受けするのは判る。親切で華やかで女性を大切にしそう。
「ミナリアさん──────偶然です、商用で町に来ていました。」
「お仕事ですか、大変ですね、頑張ってください」
私はこれから山に登ると伝えると、一緒に行きたいと言う。
「洞窟なので面白くありませんよ? 」
「いやいや女性だけで危険な場所へ行かせるわけにはいきません」
彼の身なりを見ると冒険者風なので遠出しても平気そうに見える、私はマリアさんの娘のラミラと相談して水筒や食料を用意した、軽いハイキングでも準備は必要に感じる。
「ライアンさんは、お仕事は大丈夫ですか? 」
「平気ですよ、父から資料を預かっているだけですから」
ライアンが仕事熱心で誠実そうに見える、私は彼の婚約者で良いのだろうか? と疑問にも思う。もっと素敵で彼を支えてくれる女性は居ないのかしら?