WsdHarumaki 2023/05/16 21:18

魔女の過去:出会い【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(42/50)

第九章 魔女の過去
第二話 出会い

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、最後の白の洞窟で出会った封印は女性だった、彼女はミナリアの母親のセレーナ。レオノーアに操られたミナリアが封印の宝石を破壊する。百年前のレオノーアは、宝石への執着を捨てきれずに、母親から別館への旅を言いつけられた。

「レオノーア様、到着です」
 眠っていたのか私は馬車の扉が開くまで気がつかない。御者に起こされる。王宮からの旅は半日も必要が無かった、平城は周囲に高い城壁すらない。危険なモンスターも居ないのか平和な感じだ。

「私が管理をまかされています、執事のブラークです」
 出迎えた男は頭の毛が薄い、五十代だろうか? 見た目は出来る男に感じた。テキパキと荷物を部屋に入れるとメイドが私にお茶を出してくれた。ゆったりとお茶を飲みながら考える。事前に周辺の地形を調べさせていた。古い鉱山があるが今は廃坑で、住民も少ない。廃坑にはモンスターが入り込んでいるため住民は入る事はない。

「あとで散歩に行くわ、従者を用意して」
 馬で廃坑まで探検する予定。執事のブラークが私に近寄ると一枚の手紙を机の上に置く。お母様からの手紙だ。

 内容は、教師からレッスンを受けることなどが箇条書きに書かれていた。私は内容を確認すると、了解したと執事のブラークに告げる。少し驚いたような顔をすると彼は頭を下げて部屋を出る。

 別に私は逆らうつもりはない、逆らえばもっと厳しい監視体制になる。それくらいなら適当に時間を潰して、午後に研究すれば良い。演奏や詩を作るのが下手な貴族は一杯いる、姫が出来なくても実害はない。上達しない事を見せれば、教師も納得する。

 そんな毎日を過ごしながら午前はレッスン、午後は散歩と偽って宝石集めをした。私は潤沢な資金を利用しながら、冒険者を雇うと洞窟を探検する。夜になると私は宝石をカットして威力を増す実験を繰り返す。小さな宝石でもカットすると何十倍の威力になる。

「——お手紙です」
「ありがとう……」
 執事のブラークの息子がお盆に蝋で封印された手紙を持ってくる、名前はエドアルド、ぶっきらぼうな彼は無関心そうに手紙を渡す。いきなり王の姫が来て戸惑っているようだ。黒い巻き毛の彼は、私のような子供には興味が無いように見えた。そんな彼に私は用事を言いつける。

「ねぇエド、手紙を読んで頂戴」
 面倒くさいから、読んで貰う事もよくある。エドは封印の蝋を剥がすと手紙をすらすらと読む。長い前振りは読み飛ばしてもらう。

「あなたの婚約が決まりました……」
 私は体が少しだけ震えた。

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