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ooo 2024/05/22 18:54

巨女モンスターの臭い責めで旅芸人の少年が虜に堕とされちゃった後の幸せな日々の話

 本作は『ギルティギア』シリーズ(ゲーム)の登場キャラクターである”ブリジット”と、『ファイナルファンタジー・エクスプローラーズ(ゲーム)』の登場キャラクターである”ドリュアス”が主役の二次創作作品です。

 また、拙作(二次創作)である『巨女モンスターの臭い責めで旅芸人の少年が虜に堕とされちゃう話』の続編ifに当たる作品です。
 よろしければ下記リンクから、作品サンプルだけでも先にお読みください。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14767944



 次章より本編です。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 ジュブ、ジュブ……
 ニチャ、ニチャ……


 人の生存権の外側、モンスター達が支配する領域であるフォスタ大森林の奥地には、神樹とも呼ぶべき巨木と、その周囲に溢れるマナが凝固したたくさんのクリスタルに彩られた幻想的な空間が存在する、と噂されている。

 しかし、マナによって凶悪に変異した動植物がモンスターとなって跋扈するその大森林には、そもそも自らの命を賭け金としてベットする事ができる冒険者しか足を踏み入れる事はない。

 ベチョ、ベチョォ……
 ブチュウウウ……

「んぁっ、はぁっ、くっ、うぅん……♥♥」

 その人外魔境にいつしか、どこか卑猥なネットリとした水音と、それに合わせて艶めかしい嬌声が響くようになった。
 それは少女のもののようにも聞こえるが、実際には声変わりを経てもその容姿と同じ可憐さを損なわなかった少年の声である。

 元大道芸人、元冒険者であり、この"異界”へと迷い込んで囚われ、そして虜になった少年――ブリジットがその華奢な体を震わせて快感に悶える。
 少女のような彼の体は、その身の丈を優に超える巨大な"花”に――毒々しい緑と紫の花弁に挟み込まれているかのような状態だった。

 
 ジュブッ! ブヂュルルルルルルルルッッ!!

「ん゛ひッ!!?♥♥♥ あぁあああああああああんッ!!!♥♥♥♥」

 キョオオオオオオ……ウフフ、ウフフフフフ……♥♥

 
 ビクビクッ、と汗ばんだブリジットの体が波打つように痙攣すると同時に、彼の小ぶりのペニスからは大量の精子が放出された。
 そして、彼の股間部を覆っていた巨大な花の一部がゆっくりと持ち上がったかと思えば、それはベロリと美味そうに舌なめずりをする巨大な女の顔であった。
 草木のような緑色で縁取られたその醜悪な顔の目元や唇は、自然由来の毒々しい紫色のメイクでドぎつく飾られている。
 花の模様の見間違いなどではない――そしてもちろん、”彼女”は人間でもない。

 幻獣"ドリュアス”――大森林の奥部に生息する肉食植物達の女王であり、少年ブリジットを永遠の虜に墜としてしまった罪深きモンスターである。


「はぁっ、はあっ、はぁっ……おはようございます……おばさまぁ……♥♥」


 見るからに若いその少年の精を貪っている"彼女”の姿は、高い知性によってか辛うじて人の形を保っているものの、お世辞にも美しいとは言えない。
 ブクブクに太った豊満な緑色の体に紫のまだら模様の花弁を纏っている様は貴婦人のドレス姿というより、やはり彼女の異名である"森の貴腐人”が表すような、熟れきって腐り始めた醜い熟女というほか無い。

 更に、その酷く醜い"彼女”の体から常に放たれている臭気は見た目に違わぬ凄まじさで、実際に小動物はおろか、人間ですら気絶や眩暈、吐き気を催すような確かな毒性を備えている。

「今日も、んっ♥ 素敵ですぅ……ちゅっ♥」

 キョアアッ、ウフフフフフフ……♥♥

 しかし、彼女の巨大で豊満な体に横抱きにされているブリジットは恋する少女のように頬を赤くさせて微笑み、ぬらぬらとした粘性の光沢を放っている貴腐人の巨大な唇に自らの小さな唇を捧げた。
 "あの日”からドリュアスの虜になってしまったブリジットにとっては、常人ならば決して耐えられないはずの彼女のニオイが、感触が、味が、その姿を含めての全てが愛おしくて仕方なかった。

 ブヂュッ♥♥

「ん゛むっ!?♥♥」

 ヂュルルルルルルルゥゥ~~~~……♥♥♥♥♥♥

「む゛ぅぅうう~~~~~~~~~ッッ♥♥♥♥♥♥」

 長い長い吸引の後、ジュポンッと栓が抜けるような音と共に離された巨大な唇から、濁ったガスが漏れる。
 本来ならば哀れな獲物の肌を腐らせ、目を潰し、精神を錯乱させる様々な致命的な作用を持つはずの緑色のガスはしかし、ブリジットに出会ったドリュアス自身の心境の変化によってかピンク色に変じ、ただただ心と脳を蕩けさせる甘さだけを帯びていた。

 無論、今の彼の様子を見れば、そのガスが無害などとんでもなく、致命的な依存性を帯びている事は明白であるが。

「ぶはっ! はぁっ、はぁっ、はぁっ……はぁ、んぅ…………♥♥」

 ふにゃふにゃに蕩けた様子のブリジットの顔からは何本もの粘液――恐らくは花の蜜にあたる物であろう――が目の前の巨大な唇に繋がっており、その全身の至る所には唇と同じ毒々しい紫色のキスマークが残っていた。
 
「あぅ……はふぅ……♥ よい、しょっと」

 キョォオオオ…………

「ふふっ、すぐに戻りますからね」

 名残惜し気に一つ小さな口づけをすると、ブリジットはドリュアスの胸の中から抜け出して地面にひらりと降り立つ。
 そしてそのままふらふらとした足取りで、森の中をいつもと同じ場所へ向かって歩いていく。

「あっ、モルくん。 えへへ、巡回ごくろーさまです」

 ジュルルルルル……
 ゴァァアア……

 道中では、無数の太い蔦をぐちゃぐちゃに絡ませ、中心部に巨大な口を無理やり取り付けたような、巨大で異様な植物の怪物とすれ違う。
 まだ頭が蕩けたままなのか、にへらと力の抜けた笑みを向けたブリジットは、そのまま後ろからドリュアスの眷属たる異形の怪物――”モルボル”の巨体に抱きついた。

 ゴァアアアア……
 ボシュウウウウウ……

「ん~~…………え゛ほッ!? ごほっけほっ……うーん、やっぱりくさい……」

 そのままモルボルの体から触手のように伸びた蔦の先から漏れ出るガスを吸い込んだブリジットは、涙目で咳き込んだ後に残念そうな表情を浮かべた。
 知性によってブリジットと接する際にはガスの成分を変えているドリュアスと違い、単なる眷属の魔物であるモルボルが垂れ流すのはまさしく毒ガスともいえる凄まじい臭気のガスである。

 本来、ブリジット程度のサイズの生物がこれほどの至近距離で嗅げば、即座に卒倒するか、何からの重篤な状態異常に陥るほどに危険なガスであるが……ブリジットの日々の健気な努力(?)によって、今では顔をしかめて咳き込む程度で済むようになっていた。
 彼の体には確かに抗体が生まれていたのである。

 ゴァアアア……
 ジュル、ジュル、ジュル、ジュル……

 背後から感じた衝撃に一瞬動きを止めたモルボルは、ガスの噴出孔と同じように触手の先端にあるたくさんの眼球のうち一つをギョロリと向け、すぐにすぐに興味を失ったようにグネグネと蔦をうねらせて地面を這い始めた。
 動く物には何でも襲い掛かる単純な知能しか持たない彼らとて、女王の番(つがい)と見做されたブリジットには鋭い歯を立てる事も強靭な蔦も伸ばす事もない。

「う~~ん、もうちょっとで仲良くなれそうな気がするんですけどねぇ……ウチももっと頑張らなきゃっ」
 
 ふんすと鼻息を荒げ、決意を新たにしたブリジットがグッと両手を握り込む。
 遠ざかっていく異形の巨体にバイバイと手を振り、ブリジットは危険な森の中をてくてくと歩いていった。

「あっ、キレイなお花っ! すぅ……う~ん、良い匂い~……だけど、えへへ、持って帰ったらまた怒られちゃいますね」

 一面を濃い緑色に支配された薄暗い森にの木漏れ日を受けて輝く一輪の花を手に取って一嗅ぎした後、ブリジットは名残惜しそうにしながらもそれを摘み取ろうとはしなかった。
 以前、女性に花を贈るような感覚でいくつかの綺麗な花を摘んでドリュアスに渡したところ、なぜか激昂した様子の彼女に長時間に渡ってコッテリと"搾られ”てしまったのだ。
 既にして彼女の虜になっているブリジットにとって彼女に搾り殺されるのであれば本望ではあるが、さりとて大好きな彼女を怒らせる事は避けたかった。

「おばさまはたぶん、植物だから……? あんなちっちゃいお花でも摘んだら怒るんだろうなぁ……ふふっ、カワイイなぁ……あっ!」

 ほわほわと能天気な頭にドリュアスの顔を思い浮かべて歩いていると、やがて木々が開け、ブリジットは小さな湖に辿り着いた。

「ん、しょっ……っ! つめたぁいっ!」

 既に元々の服は無く、申し訳程度に体に纏っていた蔦と葉を脱ぎ捨てると、ブリジットはチャプンと水面に体を沈め、その体を清め始めた。

「ん~♪ んん~♪」

 透き通るように白く、そこらの女子よりも遥かに美しかった彼の肌はもはや、今では見る影もない。
 全身にくまなく張り付いた毒々しい紫色のキスマークは二度と取れる事はなく、いくら水をかけてもヌルついたその部分からは鼻が曲がる程の異臭が常に醸されている。
 健康的な瑞々しさを帯びていた体つきはどこかやつれたようで、完全に紫色に変色している股間部だけが以前より成長している様子は明らかな異常と言える。
 
「ん~…………ふふ……♥」

 しかし、湖面に映る自身の変わり果てた姿を見たブリジットは、それぞれの"紫色”に優しく手を這わせ、うっとりとした表情を浮かべていた。
 この"紫色”こそが、彼女が彼に向けた愛の証であり、二度と解けないであろう二者の粘着質な絆を象徴しているのだ。

「ふっ……くっ…んっ……んあっ……♥♥ っとと……あぶないあぶない」

 平常時でも常に腫れ上がっているように膨張し、ローションのようなヌメりけに覆われているペニスを洗っていると、いつもそのまま射精してしまいそうになる。
 しかし、そこから放たれる精の全ては"彼女”のモノであり、一滴たりとも無駄にする事は許されないのだ。

 今日もまた一時の快楽の誘惑に打ち勝ち、平静を取り戻したブリジットは、緑で編まれた服を纏い、来た道を小走りで戻っていった。



「戻りましたよ、おばさま――――きゃんっ♥♥」

 キョオオオオオオオ……
 ジュルルルルルルル……

「んっ、もぉ……せっかちですねぇ。 もうちょっとだけ待ってくださいねっ」

 ブリジットが戻るなり、涎を滴らせながら蔦を絡ませてきたドリュアスをやんわりと制し、ブリジットは木の板の上に無造作に並べられた食料に手を伸ばす。
 森林に満ちるマナと、獲物からドレインした生気を糧とするドリュアス達とは違い、人間であるブリジットには人間の食べ物が必要だ。
 その事を理解してもらうまでの間に何度も干からびて餓死しそうになったブリジットであったが、今ではこうして眷属のモルボル達がどこかから食料を運んできてくれる。

 時おり明らかに人間の手が入った加工品がそこに並ぶ背景には、不幸にもモルボルの群れに襲撃された隊商や村落があるのだろうが……既に身も心もドリュアスという魔物に捧げたブリジットには関係のない事だった。

「んっ、むっ……ごくっ、ごくっ……ぷはっ! ごちそうさまですっ!」

 森に囚われる前に比べて明らかに増した食欲を満たしたブリジットは、労いとばかりにモルボル達に礼を言い、そのゴワゴワとした蔦の体を撫でる。
 しかし、女王の命令にただ従うだけの本能しか持ち合わせていないモルボル達は全くの無反応で、やがてズルズルと新たな獲物を探しに広場の外へ這い出していった。

「むぅぅ……モルくん達ともいつか仲良くなれたら良いのになぁ」

 キョォアアアアアッ!!

「うわっとと! ごめんなさぁい! それじゃ今日も始めますねっ……」

 太い蔦でビタンビタンと地面を叩き、急かすようなドリュアスの鳴き声を受けたブリジットが、おもむろに一礼し、背筋をピンと伸ばして構えを取った。
 その両手には、このような状態になっても手入れは欠かされず、クリスタルの輝きをキラキラと反射するYOYOが握られていた。

 キョオオッ! キョアアアアアッ!!

「ふふふっ……まずは~、このトリックからっ!」

 キョオオオオオオオッ!!

 ブリジットの掛け声と共に両手からYOYOが打ち出され、反射光の軌跡を残しながら目にも止まらぬ速さで振り回される。
 ワイヤーで繋がれたYOYOを操りながら、時に力強く、時に軽やかに、そして時に艶めかしく、マナクリスタルの光に照らされたブリジットの肢体が舞い踊る。
 それを見つめながらビタビタと太い蔦を打ち鳴らし、しきりに騒ぎ立てるドリュアスの顔にはしかし、先ほどとは違う喜色の表情が浮かんでいた。
 
 二者が最初に敵として出会った時からずっと、戦いの中で披露したブリジットのYOYOを用いたトリックの数々に、ドリュアスは心を魅せられていた。
 もちろん、抜群の身体能力に裏打ちされた超絶的なテクニックに加えて、男子として稀有な美貌をも兼ね備えているブリジットに熱狂的なファンが現れるのはよくある事だ。

 しかし、魔物ゆえか小難しい理屈や打算に拠らず、全身全霊の興味を傾ける彼女の姿は、ブリジットにもまた心地良いものだった。

「最後に~~~~……ほいっと! お粗末さまで――――わぶッ!?」

 キョオオオアアアアアアア♥♥♥♥
 ブジュルルルルルルルルルルルッ♥♥♥♥

「んむッ!!♥♥ ちょっ、待っ♥♥ お、おばさま――――あぅううううんッッ♥♥♥♥」


 そして今日もまた、食事の後の運動も終えたブリジットには素早く蔦が巻き付き、その華奢な体は一瞬のうちに巨大な女体に埋もれてしまった。
 湖水で清めたばかりの体に瞬く間に新しいキスマークと唾液の跡が付けられていき、その言葉とは裏腹に"準備万端”とばかりに身体相応の小ぶりなペニスには精力が充填されていく。

 そして巨大なナメクジのような唇が股間に吸い付くと、その内部の舌状の器官によって股間が激しくねぶり上げられる。
 幅広で分厚く、力強い舌がまるで睾丸から裏筋を搾り上げるように舌から上へ動けば、その動きに押し出されるようにして大量の精液がペニスの先端からほとばしる。

 ジュブルルルルルルルルルッ♥♥♥
 ブヂュウウウウウウウッ♥♥ ヂュルルルルルルルルッッ♥♥♥♥

「ん、あぁッ!!♥♥♥♥ はうぅううううううううううううんッッ!!!!♥♥♥♥♥♥」

 キョホホホホォ…………キョアッ!?

 つま先から頭の上まで突き抜けるような激しい快感に、ブリジットは手足をピンと伸ばした状態から更に仰け反るように全身を強張らせる。

「はぁっ♥♥ はぁっ♥♥ はぁ、あっ……♥♥ あふ…………ッ!!??」

 何度も何度も往復するように快感の波が駆け巡り、全身をぶるぶると震わせて絶頂の余韻に浸っていたブリジットの真っ赤に火照った顔に、大きな影が差す。
 次の瞬間、彼の視界の全ては毒々しい紫色の闇に包み込まれた。

 ブッヂュウウウウウウウウウウウウッッ!!!!
 ヂュルルルルルルルルッ!! ブピッ!! ブヂュウウオオオオオオオオッッ!!!

「ん゛んんんんんんんーーーーーーッッ!!!!!♥♥♥♥♥♥」

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ooo 2024/04/13 21:12

【二次創作】プロレス部ショタくんがサキュバスの女王のくっさい口と長舌に完敗しちゃう話

※本作は同人サークル「スカンクス」様の『ばとるふぁっか~ず』と、「とろとろレジスタンス」様の『もんむす・くえすと!』の二次創作です。


※基本設定は前作SSか本家様のゲームをご参照ください。

『ばとるふぁっか~ず』 ※世界観・主要キャラ
https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ251542.html

『もんむす・くえすと!』 ※今作の敵メインキャラ「アルマエルマ」
https://mon110.sakura.ne.jp/mong/top.html


【拙作】
『ばとるふぁっか~ず(スカンクス)』二次創作 ~憧れのおクチ~
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17625044



※本作には本家作品における若干のネタバレがあります。
 先に本家作品のクリアをオススメします。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「道場破り……ですか?」
「うん、道場っていうか、ウチみたいな団体なんだけどね。 今どき珍しいよね~」

 アンダーグラウンド興行団体、"ナイトオリンピア”の選手用ロビーにて。
 少年バトルファッカーの"東雲ユウ”は、先輩女性の"桜花”からとある噂話を聞かされた。

 何やらここ最近、プロレス団体やバトルファッカー団体を標的とした道場破りを行なっている者がいるという。
 その者は圧倒的な強さで全戦全勝を重ねており、驚くべきことにその人物"悪魔”のようなコスプレをしたとんでもなく美しい女性であるらしい。

「私の知ってるところもいくつかヤられちゃったみたいだし、いずれウチにも来るんじゃないかな。 っていうか、絶対来るよねっ? どれくらい強いんだろっ! 早く戦ってみたいよねっ!!」
「せ、先輩……」

 バトルファッカーとしての血が騒ぐのか、いきなり闘志を燃やし始めた桜花の姿に苦笑しつつ、ユウは心の中で思案していた。
 突然現れた、圧倒的な強さを持つ美女――それだけでも凄い事だが、その格好が"悪魔”のコスプレ姿というのが、ユウの心に引っかかっていた。

(悪魔って……もしかして、前みたいな……いや、考えすぎかな……?)

「あっ、そろそろ私の出番みたい。 それじゃ、いってくるね! って、ユウくん?」 
「…………え? あっ、はい! 頑張ってください!」
「なぁに~? ユウくんってば、カワイイ悪魔ちゃんの事で頭いっぱいで、先輩の事はもう眼中にないって感じ? 傷ついちゃうな~……」
「い、いやいやいやっ! そんな事ないですよ! 今のはちょっと、前の、えっと……」
「ふーんだっ! 確かに最近ユウくんには連敗中だけど、次こそは私が勝つからねっ! 首を……じゃなくて、鼻を洗って待ってなさーい! にひひっ♪ じゃーねっ!」
「あっ、うっ……えと、き、気を付けて、ください……」

 ユウの方を向いた桜花は何かを舐めまわすように舌をベロベロと動かした。
 たちまちユウが顔を赤面させると、桜花はいたずら気に微笑みながらリングの方へと走り去っていった。
 戦績で勝ち越したとしても未だに憧れの先輩である桜花の長い舌の感触とニオイを思い出し、ユウは自身の体格に見合った小ぶりなペニスを慌ててタオルで覆い隠した。

 嵐のように過ぎ去っていった桜花によって浮ついてしまった心を何とか鎮めつつ、ユウも自身の次の試合の準備をする事にした。
 しかし、この時は杞憂である事を願った予想が、数日後には現実になってユウの身に降りかかる事となったのであった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「うっ……!? なにが……こ、ここは……!?」

 まばゆい光が収まり、目をしばたたかせながらユウが辺りを見渡すと、そこには異様な光景が広がっていた。
 自身が立っている白いリングはあちこちからスポットライトが当てられており、リングの外は辺り一面、黒とも紫ともつかない得体の知れない闇に覆われている。
 まるで、ユウの立つこのプロレスリングだけが空間ごと切り離されてしまったような、明らかな異常事態である。

 自身のプロレス部が例のコスプレレスラーに襲撃された。
 その報を聞いたユウはすぐに現場に向かい、自分の後輩である部員達からその精を搾り取った犯人を追った。
 道場破りが部員達に残した手紙の通りの場所に向かうと……ユウは突如としてこの謎の空間に転送されてしまったのだ。


「いらっしゃぁい♥」
「――誰だッ!?」

 突如として背後から響いた甘ったるい声にユウが振り向くと、闇の中から一人の女性が浮かび上がった。
 ふわりと重力を感じさせない動きでリングの上に降り立ったその女性の姿は、この状況に相応しい異様さを持ち合わせていた。

「ウフフ……やっと見つけたわよ。 キミがユウくんね? 聞いてた通り……すっごくカワイイわぁ♥♥」
「っ……!? お、お前はフロマージュさん達と同じ……魔族だなっ!」
「あら、やっぱり分かるかしら? そうよ、私の名前は"アルマエルマ”……クイーン……まぁ、サキュバスって言ったら分かるかしら? フロマージュちゃん達とは……そう、お友達ってところかしらね♪」

 紫色の艶やかな髪を腰まで靡かせながら、アルマエルマと名乗った女魔族は妖艶な笑みを浮かべた。
 
 その背はユウよりも高く、スレンダーな腕や腰とは対照的に、胸や尻、太ももにはこれでもかと女性的な肉感を盛り尽くした、まさしく男の欲望の具現とも思える体である。

 それだけであれば単なる卑猥な女性であるが、その頭部には一対の曲がった角が、その背はコウモリを思わせる巨大な羽が。
 そしてヒモのような黒の衣装が辛うじて秘部だけを隠している下半身に目をやれば、太く長い尻尾の先端でまるで花弁ような器官がパクパクと開閉を繰り返している。

 そのどれもがコスプレやCGでは到底及びつかない程の生々しいリアリティを感じさせている様は、まさしく彼女が人外の存在である事を声高に主張していた。

「アルマエルマ……! お前が、プロレス部の皆を……!!」
「フフ、ごめんなさいね? 本当はユウくんとだけ闘えれば良かったんだけど、お腹空いてたし、あんまりにも皆がカワイイから……つまみ食いしちゃった♥」
「皆はバトルファッカーじゃなくて普通のプロレス部員なのに……許さないぞ! 皆の仇はボクが取る!!」
「フフッ♥ 最初から闘志マンマンって感じね♪ 良いわぁ……さぁ、お姉さんと遊びましょう……んれぇ~~ろ♥♥」
「……ッ!!??」

 突き刺さるようなユウの闘志をゆるりと受け流すようにして、少し体を前に倒したアルマエルマは、ユウに見せつけるようにして何もない中空を舐め上げた。
 ニチャリと水音が聞こえそうなくらいにネバついた唾液の糸を引きながら彼女の舌が動かされると、ユウは思わず体を硬直させてしまう。
 
 ユウの視線はアルマエルマの組まれた腕の隙間から今にもこぼれ落ちそうな巨乳ではなく、スポットライトを浴びてテラテラと輝くピンク色の舌先にクギ付けになってしまっている。

「あらあら、いきなり固まっちゃってどうしたのぉ? もしかして、"こういうの”が好きなのかしらぁ……? 他にも例えば……んっ……んれぇ~~~♥♥」
「――――ぅ、わっ……!!?」

 ニヤニヤといたずら気な笑みを浮かべたアルマエルマが一度舌を戻し、再び口の中からベロンとこぼれさせた時、ユウは堪らずに声を上げてしまった。
 何と、先ほどまで綺麗なピンク色だった彼女の舌の表面が、真っ白に染まっていたのであった。

 ずるずる、ずるずると唾液を滴らせながら顎の下まで垂れ下がっていく長舌の色は、決して塗料のような美しい白さではない――――大量の舌苔に覆いつくされた、もわりと臭い立つような汚らしい白さである。
 そしてまさしくそれは、度重なる桜花との試合によって歪められたユウの性癖に真正面から直撃するような光景だったのである。
 

「あ、あっ……うぅぅっ!!?」
「そうよねぇ……キミは"こういうの”がだぁい好きだもんね? カワイイおちんちんの方も闘志ビンビンになっちゃって……♥ 嬉しいわぁ……私も高まってきちゃう♥♥」
「なっ……なん、で……!?」
「”なんで舌が急に汚れたんだろう”って? ”なんでボクの好みがバレちゃってるんだろう”って? ウフフ……どっちも答えは簡単……”私がすごぉいサキュバスだから”よ♥」
「……っ!!??」

 舌、唾、そして口臭にフェチを感じるようになってしまったユウの性癖は、今のところその元凶である桜花にしか知られていないはずだった。
 しかし、アルマエルマはサキュバスの特性をもってその性癖をユウの心から読み取り、自身の身体機能を操作する事でユウが最も好む舌の状態を再現して見せた。

 あまりの衝撃的な光景に狼狽えるユウの股間が、触られてもいない内にドクドクと脈動し始める。
 これからバトルファックの試合に臨む相手に性癖の全てを把握されているというのは、ユウにとって最悪の状況と言っても過言ではない。

「ウフフ、それじゃあ、気を取り直して…………」
「……ッ!!」

 アルマエルマがおもむろに光る指先を掲げると、見知った甲高い金属音が鳴り響く。
 観客もレフェリーも無い異空間に、どこからともなく打ち鳴らされたゴングの音を耳にしたユウは、反射的に正気を取り戻した。

「さぁ…………お姉さんと、遊びましょう……♥」
「来るなら……来いッ!!」

 再び闘志のこもった目を向け、手足を開いてファイティングポーズを取るユウの方へ、アルマエルマが地面を滑るようにして近づいていく。

「…………やぁッ!!」
「フフッ♥」

 無防備に射程圏内へと侵入したアルマエルマに向けて、ユウが鋭いサイドキックを放つ。
 小柄な体格から放たれる足技ながら、試合の中で先輩選手達の技を学んだユウが放つ蹴りは、牽制技として十分な威力を持っていた――――そのはずであった。

「……ッ!? はぁッ!! たぁあッ!!」
「ふぅん……重さは全然だけど、速さとキレはまぁまぁってところかしらね♪」
「なッ…………!?」

 二度、三度と連続して放たれたユウの蹴りは、アルマエルマの女性的で華奢な手によっていとも簡単に止められてしまった。
 ユウはその事実よりも、自身の蹴り足に返ってくる衝撃の小ささに驚愕した。

 "避けられた”のでも、”当たったが耐えられた”のでもない。
 ふわりと添えるように当てられたアルマエルマの掌によって、ユウの蹴り足が伸び切る頃にはその威力は完全に吸収されてしまっているのだ。
 あるいはユウがただの素人であれば、アルマエルマが魔族よろしく何らかの魔法を用いたと考えたかもしれない。

 しかし、ナイトオリンピアで数々の強敵と戦い抜いてきたユウには、それが彼女の凄まじい技量によって成されている事が分かってしまったのだ。

 あまりの技量差に肝を冷やしたユウの額から冷や汗が流れる。
 しかし、技量で負けているからといってここで諦めるわけにはいかない。

「くッ……うぉおおおおおッッ!!」

「あっ、そうそう、忘れてたわ……」

 ユウは蹴り技での牽制を止め、一度距離を取った後に素早いステップで攪乱し、渾身のタックルを放った。
 未だ成長期で小柄なユウに足りていない体の重さは、彼が日々のトレーニングで培ってきたスピードによって十分に補われている。

 ナイトオリンピアの強豪達もロープ際に追いやる事ができる、ユウの死角を突いたタックルは――――

「……んっ♥」
「ッ!!?」

 ――――ズドン、と鈍い音を立てつつも、少し足を開いて踏ん張ったアルマエルマに完全に受け止められてしまった。
 今度こそは技量だけでなく、圧倒的な反応速度と単純な力によって受け止められている。
 長身かつムッチリと女性的な肉を蓄えた彼女の体のどこにそのような力があるというのか。
 驚愕した次の瞬間には、ユウの背中にアルマエルマの腕がしっかりと回される。

 気を抜けばこのまま沈み込んでしまいそうな程に柔らかく、熱く、ムワリと匂い立つような抗いがたいフェロモンを放っている女肉に、ユウは完全に捕らえられてしまった。

「たしか、プロレスって相手の技をちゃんと受けないとダメなのよね? これでぇ、ちゃんとできているかしらぁ♥」
「む、ぐッ……んんんッ!!」
「ねぇ~♥ どうなのぉ~♥♥」
「ぐっ……さっ……! あぅ、うぅぅ……♥」

 ハグによる拘束を何とか振りほどこうともがくユウに向けて、アルマエルマが挑発的な言葉を投げかける。
 それも、額が触れ合う程の距離に顔を寄せ、わざとユウの鼻先で口を開けて囁くものだから、ユウの鼻先がモワリと生暖かいアルマエルマの吐息に包まれてしまう。

 酸っぱいような、生臭いような、重苦しいような……とても美女の口から醸されているとは思えない程の悪臭であるが、それはもちろんユウの好み100%にチューニングされたニオイである。

 身動きが取れず、顔を背ける事もできない状態でそのニオイを嗅がされたユウの体から力が抜けていく。

「…………う、うぉおおおおおッ!!!」
「おっとっと……フフッ、頑張るわね。 そうこなくっちゃ♪」
「ぜぇっ、はぁっ、はぁっ……まける、もんかぁ……!!」

 あわや完全に脱力してしまうというところで、再び気合を入れなおしたユウがアルマエルマの拘束を脱した。
 牽制の蹴りを繰り出しながら距離を取ったユウだが、またもアルマエルマが流れるように距離を詰めていく。

「ウフフフ……今度はこっちからいくわよぉ……ふッ!」
「……うぐッ!!?」

 くねくねと挑発的に尻を揺らしながら歩み寄ったアルマエルマがおもむろに腰を捻る。
 すると、ユウの脇腹にまるで鞭で打たれたかのような鋭い衝撃が走った。
 衝撃の後にやってきた痛みに慌てて脇腹を押さえたユウが目にしたのは、いつの間にか伸ばされていたアルマエルマの右足がゆっくりと元の位置に戻っていく様子だった。

 性の権化のような見た目に反して、まるで武の達人かのような動きを繰り返すアルマエルマが放った蹴りは、まさしく目にもとまらぬ速さだったのだ。

「ウフフッ、どんどんいくわよ♪」
「い゛ッ!! うぐッ!? ぐぅううッ!!?」
「ほらほら、頑張ってぇ♥」

 アルマエルマの下半身がブレたと思った瞬間、ユウの体に鋭い蹴りが次々と突き刺さっていく。
 そしてその蹴りは速いだけでなく、ユウが防御しようとした腕や膝を的確に避けて無防備なボディに突き刺さる。
 しなる脚が空中で軌道を変えながら襲い来る様は、まるで鞭で体を打たれているかのようであった。

「うッ、ぐッ! ぐぐぐッ…………!」
「ほぉら……つんつんっ♥」
「――――ひゃううっ!!? うわわっ!!?」

 せめてハイキックで頭だけは打たれまいと、力を込めた腕で顔を覆っていたユウの股間に、突如として痺れるような快感が広がる。
 脇腹に向かっていたはずのアルマエルマのつま先が、倒れないように必死に踏ん張っていたユウの股間を優しくノックしたのだ。

 金的を恐れ、慌てて股間に手をやったユウの視界いっぱいに、アルマエルマの妖艶な笑顔が映り込む。

「んれぇろぉ~~~~~っ♥♥」
「わぶッッ!!?? ん゛んッ!!?♥♥ むぐぅうううううッッ♥♥♥」

 ユウの顔のガードが解けた瞬間を見計らい、アルマエルマ白く汚れた長舌でユウの口元から眉間までをネットリと舐め上げた。
 不意を突いたぬらぬらとした舌の感触にユウの体は硬直し、その舐め跡に残された大量の唾液が放つ濃厚な唾臭に、ユウは鼻先を押さえて悶絶した。

 部員達の、仲間達の仇を前にしていると分かっているのに、ユウの股間はどうしようもなく熱を持って昂ってしまう。

「うぁああっ……ん゛ぐぅううッ!!?♥♥ ぐ、しゃ……くしゃいぃいいい……♥♥♥」
「あらあらぁ~♥ ヘロヘロになっちゃったわねぇ~♥♥」

 鼻先にベットリと張り付いた唾を慌てて手で拭おうとすれば、半渇き状態で更に濃厚さを増した強烈なニオイがユウの鼻腔を貫き、ユウの全身から力が抜けてしまう。
 ガクガクと膝を震えさせながら逃げようとするユウを優しく抱きしめるようにして、アルマエルマがユウをそのまま仰向けに押し倒した。

「うぐ、うぅううう……♥♥ やめ、ろぉ……はな、れ――――ひゃああうううッッ!!??♥♥♥♥」
「ウフフ♥♥ ホントに反応がカワイイわねぇ……今度はどうしちゃったのかしら~?」

 抱きしめるような姿勢で覆い被さっているアルマエルマを跳ねのけようと力を込めた次の瞬間、ユウの股間にまたも強烈な快感が与えられた。
 視界を埋め尽くすアルマエルマの顔と巨乳によって、ユウは自身の股間がどうなっているかを見る事ができない。

 しかし、トロトロと唾液を垂らしながら舌なめずりをするアルマエルマの背後では彼女の長大な尻尾が、ユウの股間に走る快楽に合わせてグネグネと蠢いていた。

「ひゃっ、ひゃめっ!! うひぃいっ!!?♥♥♥ やめてぇえええええ!!!♥♥♥♥」
「あっはぁああ……♥♥ やっぱりキミみたいな小さくて元気な男の子のおちんちんが一番おいしいわぁ……♥♥♥」

 まるで食中花のようになっているアルマエルマの尻尾の先端が、いつのまにかパンツを脱がされていたユウの小さなペニスにむしゃぶりついていた。
 アルマエルマの尻尾はその先端からゴボゴボと淫液をローションのように垂らしながら、ユウのペニスを呑み込み、吸い付き、回転し、ねぶり回していく。
 それはまるで巨大な口のようでいて、決して人間の口では真似できないような、抗い難い快感をユウの股間に与え続けた。

「やッ♥♥ あッ♥♥ うあぁあああッ――――むぶッッ!!?♥♥♥♥」
「ウフフ……だぁ~~めっ♥」

 必死に身をよじり、快楽の拘束から逃れようとするユウの顔をアルマエルマの両手が挟み込む。

「逃がさないわよぉ…………んれぇぇ~~~♥♥♥」
「むぐッ!! むぅうッッ!! ん゛んんんん~~~ッ!!!??♥♥♥♥」

 そしてそのまま、ユウの鼻先はまたしてもアルマエルマの臭い立つ口内に呑み込まれてしまった。
 敏感な鼻先がプルプルとした瑞々しい唇の感触に包み込まれ、その直後には僅かにザラついた舌の感触が鼻の穴周辺をナメクジのように這いまわる。

「んれぇ~~るれるれる♥♥ んふふふ~~♥♥ ちゅるるるるぅ♥♥♥♥」
「んぶぐぐッッ!!♥♥ じゅるるッッ!!??♥♥♥♥ げほッッ!! ん゛むぅうううううッッ!!!!♥♥♥♥」
(は、鼻にッ!!? 入って……ニオイが!! 唾が!! 頭ッ!! おかしくなるぅううう!!!)

 サキュバスであるアルマエルマは舌先すらも変幻自在であるのか。
 ユウの小さな鼻の穴にいとも容易く入り込んだ舌先は渦を描くようにして内部をことごとく蹂躙し、やけにネバついた唾塊や舌苔の欠片を置き土産のようにこびり付かせ残していく。
 左右両方の穴に舌先がジュボジュボと乱暴に出し入れされる様はまるで舌先を使ったレ○プかのようだ。
 体全体をガッチリと組み敷かれた状態で股間を尻尾に吸い上げられ、鼻先を舌で女子のように犯され……ユウはもはや正常な思考ができなくなっていた。

「んフフ……そろそろかしらね? んゲェェ~~~~ップ♥♥♥」
「むぐぎゅッッ!!??♥♥♥♥ ゲホッ!! ゴホゴホッッ!!♥♥♥♥」

 ちゅるん、と舌が抜きされたかと思えば、間髪入れずに下品な音と共にアルマエルマの胃の中の空気が吐きかけられる、
 鼻の奥が火傷しそうな程の刺激的なニオイにユウの体がビクンと大きく跳ねる。
 鼻の奥から脳みそまで突き上げるような激臭と、ふがいないこの状況に対する屈辱感に、股間部から全身に電気的に広がる暴力的な快楽が混ぜ合わさり、ユウの我慢は既に限界だった。

「ウフフ……我慢しないで……♥ お姉さんの中にいっぱい出しちゃいなさぁい……はむっ♥♥」
「むぐッ!!?」

 アルマエルマの唇が再びユウの鼻を咥え込む。
 先ほどまでと明らかに違い、鼻を本当に呑み込んでしまうかのように、反対に舌をズルズルと引き出し、ユウの鼻が舌の奥の奥へ密着するように……。
 
「んっ、いくわよぉ……んぇぇぇぇ…………♥♥♥」
「ぶッ、ぐぅぅ……!!?」


べちょっ。


「ん゛んんんんんぅうううううううううううッッ!!!!♥♥♥♥♥♥」

 ビクビクビクビクビクビクッ!!
 ドピュルルルルルッッ!!!

 ヂュルルルルルルルルルルルルル♥♥♥♥

 アルマエルマの長すぎる舌の最奥の、最も濃厚で、最も強烈なニオイを放つ部分にユウの鼻先が押し当てられた瞬間、ユウの脳内に真っ白なスパークが弾け、ユウは全身を震わせながら盛大に絶頂してしまった。
 アルマエルマの尻尾は年相応の小さなペニスから噴き上がる精子を一息に飲み干し、更に根こそぎ奪おうとするように強烈に吸引する。

「まっ、待っ――――あひぃいいいいいいいいっ!!!♥♥♥♥」
「んちゅっ、ちゅぶぶっ……ぷはっ♥ フフッ、まだまだ終わらないわよぉ……♥」

 射精直後の敏感なペニスを強烈に吸引され、ユウは体をのけ反らせて悲鳴混じりの喘ぎ声を上げる。
 通常のバトルファックであれば既に勝敗が決していてもおかしくはない状況だが、この戦いには観客もレフェリーも存在しない。

 アルマエルマはどこからともなく小瓶を取り出し、中の怪しげな液体を口に含んだ。
 
「んくっ、んくっ……ほぉら、んれぇぇぇ~~~~~……♥♥」
「はぁっ、ひぃっ、はぁっ――――あぶッ!!? んぐぐッ!!!??」
「ウフフフ……ダメよぉ、ちゃぁんと飲みなさぁい♥」
「んッ…ぐぐッ…………ごく…………ッッ!!?」

 そしてアルマエルマはユウの顔を固定して口を開けさせ、ネットリとした唾液と共に口の中のピンク色の液体をユウの口内に垂らした。
 快楽に喘いでいたユウは突然の行為に目を白黒とさせるが、すぐにアルマエルマの手によって鼻と口を塞がれてしまった。

 窒息を避けるため、やむを得ず口内の甘苦い液体をアルマエルマの唾液と共に飲み込んだユウの体内が、にわかに熱を持ち始める。

「ん゛んんッ!!? んッッ!!! むぅうううううッッ!!??」
「あはぁ♪ どう、すごく効くでしょ? サキュバス特製のび・や・く♪」
「んぅううッッ!!?? んんんんんんッッ!!!」
「ウフフッ♥ カラダがアツ~~くなってきたでしょ? それで、おちんちんはもぉ~~っとアツくなってきたでしょ♥」

 ユウの体はまるで融けた鉄を流し込まれたように火照り、萎えていたペニスは先ほどの特大射精による疲労が嘘のようにドクンドクンと脈動し始めた。
 なんら快感を感じているわけではないのに、意思に反して既に射精寸前の状態になっている自身のペニスを見てユウは驚愕した。
 
 その様子をおかしそうに笑いながら、ユウの口から手を離したアルマエルマが告げる。

「ウフフッ……私の媚薬は凄いのよ? しばらくの間、キミは萎えずに何度でも射精できるようになったの。 出した後に気怠くなっちゃう事も無いし、もちろん出しすぎて死んじゃったりする事も無いわ。 これで好きなだけいーっぱいドピュドピュできるわぁ……嬉しいでしょぉ?」
「ぶはッ! げほ、ごほッ! ま、待って!! これ以上は――――ひゃうぅッ!!?」

 許しを請おうとしたユウの頭が、突如としてヌチャリと湿った肉の感触に呑み込まれる。
 突然の異質な感覚に、ユウは情けない悲鳴を上げてしまった。

「でもぉ、責め方がさっきと同じだと飽きちゃうでしょ? フフッ……安心しなさい。 今度はさっきより面白いやり方で搾り取ってあげるからぁ♥」
「うぁっ――んぶッ!!? もごッ……んぐぐッ!!??」
「ウフフッ、ウフフフフ……♥♥」

 ジュルジュル、ヌチャヌチャと 濡れた肉の感触が広がり、ついにユウの頭から顔は完全に粘肉に呑み込まれてしまった。
 まるで軟体動物に顔を咥え込まれたような感触にパニックになるユウであったが、第三者の視点からは、アルマエルマの伸び広がった尻尾の先端がユウの頭部を徐々に呑み込んでいく様子がはっきりと見えるであろう。

 アルマエルマの尻尾はそのままユウの首、胸、腰とその体を呑み込んでいき、ついにユウの全身がアルマエルマの尻尾の中に納まってしまった。


「んっ……くうぅっ……んぁあああん♥♥  ふぅぅ……やっぱりかわいい男の子を食べちゃうのは最高だわぁ……♥♥」

 ユウの体が尻尾の中を通り抜ける感触で軽く絶頂し、愛液をトロトロと垂らしながら、アルマエルマは尻尾の中をゆっくりと進んでいくユウの膨らみを愛おし気に撫でる。

「ウフフフ……ナカでもい~~~っぱい、かわいがってア・ゲ・ル♥」

 ユウにとっての地獄のような快楽ツアーは、まだ始まったばかりだ。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「んぐぎぎッ!!??♥♥ ん゛んぃいいいいいッッ!!!♥♥♥♥」

 アルマエルマの尻尾の中を、ユウの体がゆっくりと進んでいく。
 まるで大型動物を丸呑みにしたニシキヘビの腹のように、アルマエルマの尻尾にはユウの輪郭に沿った膨らみが生まれている。
 "気をつけ”のようなユウの姿勢がくっきりと写る程に密着したアルマエルマの尻尾の内壁は生暖かく、粘液でヌルついた表面が股間に擦れる感触はユウにとって耐えがたいものであった。

 唾とも愛液とも違う、サキュバスのフェロモンを濃縮したような何とも言えないニオイが充満した尻尾の中で、ユウは短時間に何度も射精することとなった。

「うぁああッ!?♥♥ あうぅうううッッ!!♥♥ き、気持ちいいの、止まらなッ――――あひぃいいいいいッッ!!!??♥♥♥♥」

 アルマエルマの特製の媚薬の効果は凄まじく、ユウが何度射精しようがその未熟なペニスが萎える事はなかった。
 ペニスの先端から無尽蔵に精子を放ちながら、ユウは脱力する事も許されなかった。

「んッ、ぶぐぐッ…………ぶわッ!? なっ、なん――う゛ぅうッ!!??」

 しばらく窮屈な尻尾内を運ばれていたユウの体が、不意に開けた空間へ吐き出された。
 円形の空間には膝くらいの高さに温かい液体が満たされ、頭上には窄められた口のような小さな弁が見える。
 ユウは状況に困惑したが、次の瞬間には鼻先に突き刺さるような酸性の刺激臭が襲い掛かった。

「むぐッ!! ぐッ、ぐざぃぃ……!! こ、ここって……まさか……うわぁあッ!!?」

 目に染みるような酸っぱい発酵臭に喘いでいたユウに向かって、周りの肉壁がグネグネと収縮し始めた。
 ただでさえ狭苦しい空間で、蠢く肉壁によって刺激臭を放つ液体と一緒に体をもみくちゃにされ、ユウは悲鳴を上げる。

「うわぁあッ!! ぶふッ!!? げっほ!! う゛ッ、うぇえええッッ!!??♥♥♥ こ、これッ、ぶぇッ!!♥♥ や、やめッ――んぁあああああッッ!!!♥♥♥」
『ウフフッ、私の胃の中はどう? とっても気持ちいいでしょう♥ 私くらいになれば、体のナカだって自由に動かせるんだから♪』
「んんんんッ!! んぐぅうううッ!!♥♥」
(く、臭いのに、気持ち悪いのにぃ……! あったかいヌルヌルにちんちんが包み込まれて……気持ちよくなっちゃうぅうう……!!)

 長い長い尻尾を抜けてユウがたどり着いたその空間は、アルマエルマの"胃袋”だった。
 その中を満たす胃液が放つ強烈な刺激臭は常人にとっては嘔吐を避け得ない程のものであったが、日々の試合で性癖を捻じ曲げられた今のユウにとっては、それらは何よりの快楽へのスパイスであった。

 食物を溶かすのではなく、獲物を蕩けさせるためのローションのような胃液がユウの全身に絡められ、体内を犯し、更なる射精へと導いていく。

「あっ、うっ、あぁあっ!? んぁうぅううううッッ!!!♥♥♥♥」 
『あはぁあ……かわいいわぁユウくん♥ お姉さんのナカにどんどん出しちゃいなさい♥♥』
「ぶぐぐぐッ!! ぶはッ!! がぼごぼッ!!♥♥」

 射精時に駆け巡る快感に息をつく暇もなく、ユウは肉壁の動きによってすぐにフェロモン胃液に沈められる。
 初めは膝ほどまでの高さしか無かったはずの胃液だが、いつのまにか直立していないと顔が浸かってしまう程に嵩を増している。

「ごぼぼぼ……ぶはッ!! げっほごほッ!! お゛ぇえッ!!!♥♥ はぁっ、はぁっ……はぁっ……!!?♥♥」
(な、何で……胃液が増えて……いや、胃袋自体が大きく……まさか……!?)

『ウフフフ、そろそろかしらね…………ん、ぐっ……んんっ♥♥』
「う、あっ!? むぎゅううッッ!!??♥♥♥」

 何らかの魔法の作用で体内に響くアルマエルマの声が、強く息むようなニュアンスを帯びた次の瞬間、今までで一番激しく収縮を始めた胃壁によってユウは締め付けられた。
 そして、いつのまにかユウの全身が収まる程に巨大化していた肉の弁に押し当てられたユウは、そのまま弁を押し広げて細い管の中を突き進んでいく。

「んぐぐッ!!! ぐぎぎぎッ!!??♥♥♥ ま、また――――あぅううううううッッ!!!♥♥♥♥」

 キツく全身を締め付けるような細い管の中を、ユウは摩擦で射精を繰り返しながら進んでいく。
 尻尾とはまた違う質感のその管の表面を覆う粘液は、ユウが一番好きなニオイを強烈に放っていた。
 その生臭く饐えたようなニオイはどんどん強くなり、粘液にまみれてほとんど目を開けられないユウの瞼についに光が当たる。

「ん、ぎッ……ふぐぐぐッ……!!」
『んっ……んぇっ……んゲェエエ~~ップ♥♥』
「うわぁあああああッ!!!??」

 勢い良く上方に押し上げられ、一瞬の浮遊感の後にユウが投げ出されたのは、またもネチャネチャとした肉の空間だった。
 先ほどの胃よりは更に広い空間、しかしその場を満たすのはユウの性欲をビンビンと刺激する猛烈な唾臭であった。

「はぁっ、はぁっ……むぐッ!!? ん゛むぅうううううッ!!??♥♥♥♥」
(こ、濃い!!?? すっごく濃い唾のニオイと、ヘドロみたいな重たいニオイ……!! こ、ここってもしかして……!?)
『ウフフ、上手く戻せたわ♥ ほぉらユウくん、あなたが今どこにいるか分かるかしら♪』
「げほ、ごほッ! うッ、く……うぁ、あぁあ……!!?」

 真っ暗闇の視界に横長の切れ目が走り、薄暗かった視界が明るく開けていく。
 視界の前方に広がるのはアルマエルマに吞み込まれる前に戦っていた白いリングで、周りを見渡せば、自身の周りを囲むピンクの肉と、巨大な”白い歯”が目に映る。
 窮屈な体内の器官を潜り抜けてきたユウは今、アルマエルマの口内に吐き戻されていたのであった。

「ここ、く、口の…中……!? な、なんで……ボク……!!?」
『ウッフフフフ♥♥ ビックリしたかしら? お腹のナカでモグモグしてる間に、"ミニマム”の魔法をかけてあげたの……あぁ、この世界に魔法は無いんだったかしら? とにかく、あなたは私の口に納まるくらいちっちゃくなっちゃったのよ♥』
「そん、な……むぶぇッ!!?♥♥」

 魔法により縮小され、アルマエルマの口内に納まっている。
 この上なく非現実的で信じられない事実を告げられ、放心状態になっていたユウの顔をアルマエルマの巨大な舌先が舐め上げる。
 ネチョネチョとした感触の巨大な舌は、大量の唾液だけでなく白い舌苔に覆われており、ニオイだけでなく汚物そのものを擦り付けられる不快感がユウの性的興奮を一気に高める。

 これもまた魔法によるものか、ユウを納めている口を上下に動かさず、頭の中に直接届くような声でアルマエルマが言葉を続ける。

『さて、これからちっちゃいユウくんに、私のこのくっさ~~~い、きったな~~~い舌ベロを使ってたくさんヒドいコトをしちゃうけど……最後のチャンスをあげるわね♪』
「げほごほッ! うぇッ……チャ、チャンス……うわわっ!?」
『ウフフフ……♥』

 アルマエルマの不敵な笑い声と共に、ユウの体が再び喉の奥に押しやられ、その体が更に小さくされてしまった。
 そして、口元に手をやったアルマエルマはスルスルと舌を伸ばしていく。

「げほッ、ごほッ! おぇえッ……はぁっ、はぁっ……えっ!? こ、これって……!?」

 瞳が曇りそうな程の湿気と臭気に何とか目を凝らせば、ユウの目の前には長い舌の"道”がアルマエルマの手の平まで続いていた。
 外の世界へと続くレッドカーペット――実際にはピンクどころか大量の舌苔で真っ白に汚れている――は、ユウのためだけに用意されたものだ。
 一刻も早く脱出しなければと考えていたところに、むしろユウの脱出を促すかのようなアルマエルマの行為に疑問符が浮かぶ。

『ほぉら、大サービスよ。 そこから私の舌の上を通って……そうね、5分以内に手の上まで行けたら見逃してあげるわ♪』
「えっ……に、逃がしてくれる、の……!?」

 続くアルマエルマの言葉に、更にユウが困惑を深める。
 アルマエルマの体内で数えきれない程に搾り取られ、既に体力と精神力の限界を超えているような状態だが、巨大な舌の上を走るくらいであれば容易い事に思える。
 縮小に縮小を重ねた結果、手の平までの距離はユウにとって体感で数十メートル程になるが、平坦な道で全力疾走をすればたった10秒ほどの距離には違いない。
 不安定極まりない舌の上といえど、5分という制限時間は破格である。

『5分以内にゴールまで行けたら、ね♪ 今のヘロヘロのあなたにできるかしら?』
「…………」
 確かに体調はベストコンディションとほど遠いとはいえ、あまりに自身にとって都合が良すぎる条件に、ユウはアルマエルマの真意を勘ぐらざるを得ない。
 勝利を確信している様子のアルマエルマは、魔法で作り出した時計を宙に浮かべた。

『準備は良いかしら? それじゃ、スタートよ♪』
「えっ、えっ!? あっ……!」

 ぐいっ、と器用に舌の奥だけが持ち上げられ、ユウは背中を押されてつんのめる。
 ぬめる舌に足を取られて転びそうになりながらも、ユウは持ち前のバランス感覚で体勢を整え、出口へ向かって走り出した。

「よっ……おっと……!」
『んぁ……ゲッフゥウウウウウウ♥♥』
「むぐぐッ!!??♥♥ げほッ! うぇぇッ!!」
『あら、ごめんなさぁい♪ 気にせず頑張ってね~』
「はぁ、はぁ……♥♥ くっ、うぉぉ……!!」

 道中、いたずらに熱い吐息を吐いたり、ゲップをしたりはするものの、アルマエルマは特に露骨な邪魔立てをしてくる事は無かった。
 その様子にユウはますます困惑するが、とにかく止まるわけにはいかないと前に進んでいく。

 気を抜けば足を滑らせそうなぬめりけと、ブヨブヨと沈み込むような柔らかさを持った舌の上を走り続ける事は容易ではなかったが、それでもユウは着実にゴールへと近づいていく。

『あら、もうそんなところまで進んじゃったのね。 凄いわぁ、さっきまでヘロヘロだったのに。 奥に行くほど臭くなるから、逆に外に近づくほど息がしやすくなるのよね』
「はっ、はっ、ふっ、ふっ……!」
『はぁ、このままじゃ逃げられちゃう……残念だわぁ……もっとすっごぉい技でトドメを刺してあげるつもりだったのにぃ……』
「……ッ!?……くっ……はっ、はっ、ふぅっ……!」

 アルマエルマの意味深な発言に気を取られ、危うく転びそうになったユウが慌てて立て直す。
 頭を振るって雑念を振り切り、ユウはまた走り出した。
 長い長い舌の道は既に中程を過ぎ、時間はまだほとんど経っていない。
 
『あぁん、惜しいぃ♪ 今ので転んじゃったら私の勝ちに近づいたかもしれないのにぃ。 私の舌のくっっさくてきっったなぁ~~いヨゴレが顔にべちょぉぉ~~って付いちゃって♥ 息がし辛くなっちゃったかもしれないのにぃ♥♥』
「ッ!!……はっ…………ふっ…………!」


 舌の感触にも慣れ、徐々に速度を上げていたはずユウの走りが速度を落とし始める。
 ”転んだら大変なことになる”
 "だから早く走りすぎるのは良くないんだ”
 ユウはそのように心の中で自分に言い聞かせる。

 焦らずとも、ゴールである手の平には余裕で時間内に到達できる。

『ユウくんの体幹の強さを甘く見てたかしらぁ……全然転んでくれないわぁ……。 時間はまだまだ残ってるし、ユウくんが何回も転んでくれないと負けちゃうのにぃ……♪』
「ッ……ッッ!!…………ふぅ、ふぅぅ…………」

 手の平まであと10数メートルといったところで、ユウは更に速度を落とした。
 乱れた息を整えるかのように、疲労を堪えているかのように、小走りどころかほとんど歩くような速度だ。
 そしてもちろん、時間にはまだまだ余裕がある。

 "一度や二度くらい”は転んでも大丈夫だろう。
 この、真っ白に汚れたニチャニチャとした舌の上では、転んでもケガをすることはあるまい――――

「はぁ……ふぅ……………………お、っと……」

 ごくり、と唾を飲んだユウは、なぜか足をもつれさせたわけでもなく、不意に膝をついた。
 ぐぢゅ、という音と共に膝小僧が舌に沈み込み、続けて手をついたところから何とも言えないネバついた感触が返ってくる。

 恐る恐る、地面についた手の平を広げて見てみると、そこにはやはり真っ白な泥汚れのように舌苔がベッタリと張り付いていた。
 その手の平から放たれた強烈なニオイがユウの鼻腔にヅン、と突き刺さり、ユウの頭がクラリと呆けてしまう。


「うぁ、あぁ……♥♥ う……うわぁぁっとぉ……」

 
 頬を真っ赤に上気させながら、おもむろに立ち上がろうという姿勢を見せたユウの足がわざとらしく滑り、腑抜けた声を上げながらユウは舌の上にベシャリと倒れ込んだ。

「っ…………ん゛ひぃッッ!!???♥♥♥♥♥♥」

 そしてその瞬間、想定していた何倍も激烈な凄まじい臭気がユウの鼻に襲い掛かった。

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全文約26000字 あらすじ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21967728

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ooo 2024/03/07 23:25

涼宮ハルヒの消化② ~巨大ハルヒと〇学生の命がけの鬼ごっこ~

※本作は『涼宮ハルヒ』シリーズの二次創作です。
 丸呑み・消化・〇亡ENDのため、ご注意ください。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「…………えっ?」
「うわっ!!?」
「なにこれ!? は!?」
「空っ……えっ!? えっ!!?」

 昼休みの生徒達が走り回っていた小学校の校庭に、突如として衝撃が走った。
 さんさんと照りつけていたはずの日差しは不意に色味を失い、薄暗く青白い色に世界が染め上げられた。
 その異様な光景は数秒のうちに元に戻ったが、その間にまるで何らかの世界の法則が捻じ曲げられてしまったかのように感じられる。

 そして生徒たちはすぐに、その答え合わせとなるような異様な存在を視界に収めた。

「あ、あれ……あれっ……!」
「えっ!!?」
「何……あれ……!?」

 小さな子供たちが走り回る校庭に立つ木々。
 その何倍もの大きさの校舎――そこに寄りかかるようにして、巨大な影が佇んでいた。

『んっ……ふぅ、上手くいったみたいねっ! ふふふっ、がお~~~~~♪』
「しゃべっ……」
「きょ、巨人……巨人じゃんあれ!?」
「すっげーーーー!!!」
「やばっ! でっか!!!」


 僅かに音を立てることもなく、瞬きの内に一瞬で出現した巨大な人影に、無垢な少年少女達は目を輝かせた。
 彼らにとっての"巨人”とは漫画やアニメの中に登場するキャラクターであるし、"彼女”の見た目が水色のセーラー服を来た少女であった事も相まって、生徒たちはほとんどが笑顔で無警戒に走り寄った。

 その様子を見た巨大少女が腕を組み、ムムと首をかしげる。

『…………あれ? なんで逃げないのかしら。 せっかくあのアニメみたいな巨人になったのに……えいっ!』

 ズッドォオオオオオオオオンッッ!!!

「う、うわっ!!?」
「えっ!? やばっ!! やばくない!?」
「ひぁあああっ!!?」

 セーラー服を来た超巨大女子高生――”涼宮ハルヒ”はぶつくさと独り言を零した後、そのスカートから素肌が覗く巨大な足を振り上げ、勢い良く地面に叩きつけた。
 轟音と共に地面が揺れ、土煙が巻き起こる。
 校庭に居た生徒達はみな尻もちをつき、あまりの衝撃にしばらく立ち上がる事ができなかった。
 (恐らく作り物か映像であろう)巨人をもっと近くで見てみたい、あわよくばその短いスカートの中も……などと考えていた男子生徒達からも青い好奇心の一切が失われ、その目には一様に恐怖が宿った。

 一瞬の静寂の後、火が付いたように騒ぎ始める生徒達の声を掻き消すように、巨人サイズの大音声が響き渡る。

『はーい注目ー! 今からゲームのルールを説明するからよく聞きなさいっ!』

「う゛っ!? うる、さ……」
「なっ、えっ……?」
「ゲーム……!?」

『ルールは簡単っ! あたしがあんた達を追いかける、あんた達はあたしから逃げる、それだけっ! 30秒くらいは動かないでいてあげるから、その間に頑張って逃げなさい。 すぐ捕まえちゃっても面白くないからねっ♪』

 生来の物か、キンキンと耳に突き刺さるようなやかましい声でまくしたてるハルヒの声が窓ガラスにビリビリと響き、生徒達は思わず耳を押さえていた。
 腰に手を当て、最後にズビッと勢い良く指をさした彼女は得意げだったが、何が何やら分からず困惑している生徒達を見て、ムッと顔をしかめる。

『何よあんた達、すっとぼけた顔しちゃって! とにかくあんた達はこのおっきなハルヒちゃんから逃げ回れば良いのよっ!! もしも捕まっちゃうと~~……♪』

「あっ、あぁあっ!!? やッ!! はなしてッ!!」
『んふふ、んあぁ~~~~~~~~…………♥♥』
「うわっ、うわあぁああああああああ!!!!」

 屈んだハルヒが不意に腕を伸ばすと、逃げる間もなく一人の男の子がその手に捕まってしまった。
 白い5本の指はスラリと細く、女性的な可憐さを感じさせるシルエットにもかかわらず、1本1本が生徒達の胴体よりも遥かに太い。
 にやりと笑みを浮かべたハルヒが口を大げさに開いて近づけると、半狂乱になった男の子が全力で暴れ始める。

 あどけなさを残しつつもツンと目鼻立ちの整ったハルヒという美少女の顔は、既に囚われの男子生徒の視界に映っていない。
 彼の目の前にはぬらぬらと粘液を滴らせたピンク色の深い洞窟があり、その深淵へ手招くようにして超巨大なナメクジのような舌先がうねっている。

『はぁ~~~~~~~♥ れろれろ~~~~~♥♥』
「うわぶッ!!?? ぶふッ!! んぅううううううっ!!!」
「うぁっ……あぁぁ…………!!?」

 ハルヒの呼吸に合わせて、まるで蒸気のようなムワリとした湿気と熱を帯びた空気が男の子の全身を包み込む。
 ぐぢゅり、と音を立ててハルヒの巨大な舌先が男の子の顔へと押し当てられると、周りの生徒達からは男の子の姿が見えなくなってしまった。
 生徒達へ広がる動揺が完全なる恐怖変わろうとしたところで、いたずらっぽく微笑んだハルヒが男の子をその手から解放した。

「ぶはっ!! はぁッ、はぁッ、う゛っ……えっ、げほッ!」
『んふふ、どう? 捕まったらどうなっちゃうか理解できたかしら? あ、ちなみに今のは”フリ”だったけど、次に捕まえたら本当に食べちゃうから! 捕まってゴックンって丸呑みにされたら最後、あたしのお腹の中で骨まで全部溶けちゃうのよ♪』
「ひっ……!!?」
「あっ、うぁあ……!!」

 心底楽しそうな、いじわるそうな顔でハルヒがまくしたて、生徒達に恐怖が広がっていく。
 目の前の巨大少女がどこまで本気なのかは誰にも分からないが、少なくとも彼女にそれを可能にする力があり、これが夢や幻ではない事は確かであった。

「げほッ! げほげほッ! おぇッ!!」
『うふふ♪ まぁ、本気で走って追いかけたりはしないし、踏みつぶしたりもしないから安心しなさい! その代わり……ちょっと、うるさいわよ!』

 ハルヒが得意げに話し続ける傍らで、先ほど戯れにハルヒに顔を舐め上げられた男の子が激しくえずいていた。
 それを見やれば、先ほどまで彼を助け起こそうとしていた生徒達はいつのまにか、みな遠巻きに距離を取っていた。
 
 その原因は、彼の体に染みついた強烈な悪臭であった。

「お゛っ、えっ……うっ、げぼぇえぇええええええッッ!!」
『えっ、ちょっ……はぁああ!!?? 何吐いてんのよッ!!?』
 
 美少女然とした見た目にそぐわず、ハルヒは入浴等を欠かしていないが、口内環境はまた別の話である。
 年相応に代謝の活発な彼女の口内は独特の据えた唾臭で満たされ、巨大化によって何倍にも増幅されたそのニオイはまさしく刺激臭と形容するに相応しい猛烈な悪臭となっていたのだ。

 それらを全身に吐きかけられ、舌先で唾液ごと塗りつけられた男の子はしばらくの間えずいていたが、ついに耐えきれなくなって吐き戻してしまったようだ。
 自身の口臭がそこまで強烈なものになっているとは夢に思わないハルヒが顔を真っ赤にして騒ぎ立て、その剣幕が更に子供たちの恐怖を煽る。

『このガキんちょ!! そこは乙女のキ、キスで、照れたりするとこでしょーが!!』
「げぼっ、お゛ぇえっ……!! ひぃ、ひぃいいああああああっ!!!」
『あっ、ちょっ!! まだ始まってな――――あっ!? こらッ!! 待ちなさいってば!!』
「うわぁああああああ!!!」
「きゃあああああああああああ!!!」

 胃液ごと吐しゃ物をまき散らし、怯え切った目を一瞬だけハルヒに向けた男の子は、そのまま死に物狂いで地面を蹴り、ハルヒの制止を振り切って走り出した。
 それが引き金となったのか、困惑で固まっていた他の生徒達も一斉に恐怖を爆発させ、蜘蛛の子を散らすような勢いで方々に走り出してしまった。

「…………はぁ、まぁいいわ。 あんまり早く捕まえちゃっても面白くないしね。 せいぜいあたしを楽しませなさい♪」

 しばし、逃げ行く子供達を目で追っていたハルヒであったが、気を取り直した様子で目を閉じ、カウントダウンを開始した。
 自身の衝動を抑えつけるように腕を組み、静かに目を閉じつつも、口元はニマニマと緩んで感情をこぼれさせている。

 突如として現れた巨大少女と小学生男女達の、命がけの鬼ごっこが、間もなく始まる。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ドォオオオン!!
 ドッゴォオオオオオンッ!!

 ズッドォオオオオオオオオオオンッッ!!!

「ひっ!!? 来た!! 来てる来てる!!!」
「早く入れよ!!! おい!!!」
「お、押さないでっ! い゛っ! 痛いって!」
「開かない……!? 開かないぃぃ!! なんでぇえええ!!!」
「やばい来てる来てるって!! うぁあああああ!!!」

『んふふ、残念でした~♥ 校舎の中には入れないし、学校の外に出る事もできないわよ! 大人しくあたしに捕まりなさいっ!』
「や、やだぁああああ!!!」
「いやぁああああああああああ!!!」

 生徒達の大多数は校舎の中へ逃げ込もうとしたり、校門から敷地の外へ出ようとしていたが、なぜかそれらの出入口は固く閉ざされたままビクともしなかった。
 鍵がかかっているとか、裏で何かに押さえられているとか、そのような次元ではない強固さで扉が閉じられている。
 まるで、何か不思議な力でこの校庭だけが世界から切り取られてしまったかのようだ。

『ん、しょっと……あれ? 意外と難しいわね。 んふふ、待ちなさ~~~い♪』

 恐怖で泣き腫らし、何度も転んで擦り傷を作りながら死に物狂いで逃げる子供達とは対照的に、ハルヒはまるで散歩中に野花を摘むかのようなゆったりとした動きで子供達を追いかけていた。
 実際、子供達はこの校庭から一歩も外に出られず、誰かが助けに来る事も無いのだから、ハルヒには何も焦る理由が無かった。

 もちろん、最終的にはいずれかの子供を捕まえるつもりだったが、子供達が必死に逃げ惑う様を眺めるのもまた、非日常を心から愛するハルヒにとっては新鮮な娯楽の一つであった。

『はぁ、手だけだと全然捕まえられないわね。 でも、足を使ったら潰しちゃうかもしれないし、どうすれば良いのかしら……んふふ♪』

 ハルヒは白々しく独り言を放ち、コテンと首を傾げて悩む様を晒していた。
 ハルヒが勝手に設定した"ルール”とやらが守られる保証などどこにも無いが、子供達はその僅かな希望に縋って逃げ続け、ハルヒが諦める事を祈るほかなかった。

『……そうだ! 手がダメ、足もダメなんだったら……口を使ってみようかしら! こんなふうに……ふぅうう~~~~~~~♥♥』
「わっ!? うわぁああっ!!?」
「風がっ……う゛っ!? うぇえっ……!」
「げほっ! ごほっ! くっさぁいぃ……」

 ハルヒは地面に這いつくばるような姿勢を取ると、そのまま頬を膨らませ、生徒達へ向けて勢い良く息を吹き出した。
 巨人サイズの唇から放たれる吐息は凄まじい勢いで砂塵と木の葉を舞い上がらせ、物陰に隠れていた子供達をいとも簡単にあぶり出した。
 ハルヒの息が続く限りの断続的な物ではあるが、その瞬間風速は子供達ではとても立っていられない程に強烈だ。

 そしてやはり、そのニオイもまた先ほどと同じように強烈だった。
 風を受けて転げた子供達はほとんどが鼻を押さえており、正面からまともにその吐息を吸い込んだ子供は涙を流して悶絶していた。

『ふぅうう~~~~~! ふぅううう~~~~~!! ふんっ! またそんな大げさに嫌がって! ほんっとに失礼ねっ! あんた達、捕まえたら覚えてなさいよ!!』

 腰に手を当て、ぷりぷりと不満げにむくれるハルヒであったが、そろそろゲームを終わらせる頃合いかと考えていた。
 ハルヒには”自分が子供を捕まえて終わり”、という結末を変えるつもりは毛頭無く、そのための品定めを始めている。

 ズドォオオオンッ!!
 ズドォオオオオオンッ!!
 ズドオオオオオオオオンッッ!!!

「き、来た……早っ!!?」
「お、追いつかれ……ひぃいっ!!?」
「やだやだやだやだやだ!!!!」

 一番背の高い男の子にしようか、かわいい(自分には及ばないが)女の子にしようか。
 そのような事を考えながら、ハルヒは歩みを早め、子供たちの一団を追い詰めていった。

『誰にしようかしらね~? うーん…………よしっ! んっ……もご……くちゅちゅ……♥』

 何かを思いついた様子のハルヒは、独り言を止めて口を閉じ、何やら舌をモゴモゴと動かしている。
 ニヤニヤといたずら気な笑みを浮かべながら口の中にたっぷりと唾液を溜めた後、ハルヒは子供たちの方へ顔を近づけた。

『んふふ……くちゅ……いふわよぉ………………ぺぇッ!!』
「うわぁっ!?」
「きゃああああッ!!!」
「アキちゃんッ!!!」
「アキちゃんが……うっ……!?」
「げほっ!! ごぼごぼっ!! だずっ、だずげっ……!!」

『大当たり~~~なんてね♪』

 追いかけながら誘導した子供たちの集団に狙いを定めたハルヒは、口の中に溜めた大量の唾を塊にして吐き出した。
 細い糸を引きながら緩い放物線を描いた唾塊は、運悪く逃げ遅れた少女の上にベヂャアッ!と酷い音を立てて着弾した。

 巨人サイズの口から放たれた唾液はただ量を水増ししただけとは思えない程に重たくネバついており、少女の未発達な体を地面に縫い付けるのに十分な凶悪さを持っていた。
 一瞬で全身をぬるぬるのネバネバにされた少女はなかなか立ち上がる事ができず、その白く泡立った粘液から発せられる強烈なツバ臭が周りから子供たちを遠ざけた。

『ぷっくくくっ! 泳いでる泳いでる! あはっ! あっははははは!!』

 唾まみれの手足を空回りさせながら必死でもがく少女を指さし、ひとしきり大笑いした後、ハルヒはおもむろに少女へ向けて手を伸ばしていった。

『あ~~面白かった。 さて、それじゃ今日はこの子に…………あら?』

「ま、待てっ! やめろっ!! アキちゃんに触るな化け物っ!!」
「ごほっ、うぇっ……タケ、シくん……!」
「おい化け物っ! 俺が相手だっ!! 俺を捕まえてみろよっ!! できるもんならなっ!!」
「タケシ……!?」
「みんな! 今のうちにアキちゃんをっ!!」

『…………ふぅ~ん?』

 ハルヒが伸ばした手に体当たりするようにして、1人の男の子が駆けだしてきた。
 ”タケシ”と皆に呼ばれている男の子はハルヒの手を蹴りつけ、素早く距離を取ってハルヒを挑発し続けていた。
 見るからに活発で正義感の強い男の子だ。
 クラスの女の子のピンチに居ても立ってもいられなくなったというところか。

『んふ……むふふ……なるほどねぇ~……♪』

 タケシを無視して”アキ”と呼ばれた少女を摘まみ上げるのはたやすいはずだが、ハルヒはそうせずに少しの間思案していた。
 そして、意地の悪い嬉しさを隠しきれないように頬がニマニマと吊り上がっていく。

 思えば確かにこの男の子は図抜けて足が速く、逃げる子供たちの集団を先導していた。
 リーダーシップがあり、正義感が強く、皆の希望を背負ったクラスの中心人物――――そのような男の子の顔が恐怖と絶望に染まり、泣きじゃくる様を見るのはどれだけ気味がいいだろうか?
 その様を見せつけられた他の子供たちはどんな絶望的な顔をするだろうか?

 ハルヒの頭の中で、とっておきのシナリオが組み上がっていく。

「おいっ! どうしたっ!! 捕まえてみろよっ!! 化けも――――ぅぐぇっ!!?」
「……はっ?」
「えっ!? タ、タケ……ッ!? えっ!? えっ!!?」

『んふふっ、ざぁんねん♪ 何とかなると思った? あたしが今まで本気で追いかけてたと思った? バカねっ! そんなわけないじゃない!』

 わずか一瞬の出来事であった。
 突然、今までとは段違いの速度で動いたハルヒの手がタケシの体をあっけなく掴み取り、そのままハルヒの巨大な顔の前へと運んだ。
 クラスで一番足が速く、運動神経が良いタケシに対して、英雄的で幻想的な、まるでアニメじみた展開を薄っすらと期待しかけていた子供たちは、目の前で起こった事態に一瞬で凍り付いてしまった。

「タケシくん!! タケシくーん!!」
「ぐぎっ……離せっ!! 離せ化け物ぉっ!!」
『んふふ……そう? 離しちゃっていいの? あんたもやっぱりあの女の子を食べちゃった方がいいって思う?』
「っ……!? ぐぅぅっ……!!」
『ぷっ! あっははははっ! 女の子の代わりになるなんて、あんたカッコイイじゃない。 キョンにも見習わせたいわね……なんて、これはさすがに見せられないんだけど』

 ハルヒはむずむずとした笑みを浮かべながら、まるで子供たちに見せつけるようにしてタケシを掴んだ手をぐるりと回し、また自身の顔の前まで動かした。
 そして、ゆっくりと見せつけるようにして口を開いていく。

『んふふ、カワイイわね……さぁ、食べちゃうわよ~……はぁぁぁ~~~~~~~♥♥』
「ん゛ッ!? ぐッ! げほッ!! くっさ――うげぇッ!!? い゛ぃいいいッ!!」
「タケシくんっ!!!」
『あーもうっ!! 乙女に向かって臭いって言うなっての!! そんなの……お、大きさが違うからちょっと大げさに感じるだけでしょっ!!』

 活発で運動好きなタケシは大抵の痛み等は我慢できるが、悪臭――特に口臭や唾臭は大の苦手だった。
 サイズ差だけでは説明がつかないハルヒの強烈に饐えた口臭に耐えきれずに咳き込んでしまうと、怒ったハルヒがタケシを強めに握りしめる。

 ハルヒはもちろん手加減をしているが、このまま握りつぶされてもおかしくない状況で、タケシは気概を失わず、負けじとハルヒを睨みつけた。

「ぐッ、ぎぎッ……く、臭いんだよ化け物女……! 食うなら早く食えよ……! その代わり、お前の腹の中でめちゃくちゃに暴れてやる……胃とかに穴開けてやるからな……!!」
『こんのガキっ……!! ふふんっ! そこまでいうなら勝負してあげるわよ! しばらく呑み込まずに口の中に入れておいてあげるから、せいぜい頑張って暴れてみなさい? そうね……10分以内に出てこれたら勝ちにしてあげるわ。 そしたら他の皆も見逃してあげる♪』
「言ったな化け物女! 絶対負けないっ!! 俺は皆を――――」
『あーもううっさいわねっ! いつまで主人公やってんのよっ! 主人公はあたしなんだから……あぁ~~~~~ん』
「くっ……負けないぞ…俺は、俺は絶対――――」

 しびれを切らしたハルヒが大口を開けて、タケシへと迫った。
 ピンク色の巨大な肉の壁が頭上から迫りくる様子がやけにスローモーションに感じられながらも、それに抗うすべを持たないタケシの視界は、やがて闇へと包まれた。

『…………あむっ♥♥』

 バグン、と空気を震わせながら、ハルヒの巨大な口が閉じられ、生徒達はヒッとひきつるように息をのんだ。
 この恐ろしい光景からはしかし、誰も目を背ける事は許されない。
 
 タケシと、生徒達にとっての地獄はまだ始まったばかりであった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「……っ!!? ん゛っ!!? む゛ぐぅうううううっ!!!!」

 視界が暗く閉ざされた瞬間、タケシの体は熱くぬめった粘肉に上下左右から包み込まれた。
 恐らく舌と思われる、独特の"ひだ”の感触があるヌルヌルの肉に全身が沈み込み、全方位から強く押さえつけられているために身動きがほとんど取れない。
 呼吸すら困難なほど舌肉に押し付けられているところに、周りからジュワジュワと滲み出してきた新鮮な唾液が流れ込んでくる。

「ぶッ、ぐッ!!? がぼぼッ!! ぶえッ!! げッほッ!!」
(い、息ができない!! 唾で溺れる!!!)

「むぐぅうッ!! ぐぐぐッ…………ぶはッ!!! げほッ! はぁッ……ふぐッ!!? うぅ゛ううううッッ!!!」
(く、臭いッ!! 臭すぎるッ!! 何だこれッ!!?)

 顔中にまとわりつく舌肉をなんとか押しのけ、僅かに生まれた空間でようやく息を吸い込んだタケシは、次の瞬間に鼻腔を貫いた凄まじい臭気に悶絶してしまった。
 他人の不潔な口内から醸される悪臭が濃縮されたモノを、規格外のサイズ差から全身を包み込むようにして嗅がされているタケシは一瞬にしてパニック状態に陥った。

「ぐざッッ!! ぐぇッ、臭いぃぃッッ!!! きたなッ……うぇ゛ぇぇええッ!!」
(これ全部、あの化け物女の腐った唾のニオイ!? 無理無理無理ッッ!! 息できないッッ!!!)

 幼いながらも健全に育っているタケシであれば、美女との口づけに淡い幻想を抱いていたはずだが、初めて間近で嗅いだハルヒの口臭と唾臭はそのような幻想を粉々に打ち砕く程に強烈なニオイだった。
 桜色の唇で密閉された空間はサウナ以上の湿度に保たれ、顔をどの方向に向けようとも、熱く湿った臭すぎる空気が鼻に殺到し続ける。

 そしてハルヒの舌が気まぐれに動き出せば、またもタケシの体は舌肉に押し付けられ、もみくちゃにされる。

「むぶぇッ!!? がぼッ、ごぼぼッ!! じゅるるッ!? げほッ!! お゛ッ!! お゛ぇええええッッ!!!」
(つ、唾飲んじゃった!! 口の中ネバネバする!! き、気持ち悪いいぃ!!!)

 そのような状態でも窒息を避けるために呼吸しようとすれば、運が悪いと唾臭い空気の代わりに唾そのものがジュルジュルと流れ込んでくる。
 たとえ目を閉じていても、ただの水とは明らかに違うニオイと粘度がそれを確かに"他人の唾”であると強烈に主張し、口内で何本も糸を引く感触や、重くモッタリとした不快な喉越しが震えるほどの嫌悪感を引き起こす。

「お゛ぇええッ!! ぐざいッ!! ぐざいぃぃぃッ!! がぼごぼッ!? ぐぇぇッ!! だず、げッ――ごぼぼぼッ!!」 

 もはや目は開けていられず、顔の鼻から口からドロドロと入り込んでくる大量の唾液のせいで、タケシは溺れているような状態になっていた。
 タケシの幼い人生経験が走馬灯として呼び起こしたのは、プールの授業中に息継ぎに失敗し、塩素入りの水をしこたま飲んでしまった苦い経験だった。

 しかし、人肌に温められた激臭を放つ他人のネバついた体液で溺れ死にそうになっているこの状況の悲惨さはそれとは比べ物にならない。
 
「ん゛んんんッ!! うぁあああッ!!! ごぼごぼぼッ!! ぶぁッ!! あ゛ぅうううううッッ!!!」

 今までの人生で一度も味わった事のない未曽有の嫌悪感と苦しみの中で、タケシはどうすれば良いか分からず、赤ん坊のように泣き叫び、喚き散らした。
 手足をバタつかせ、届く範囲の粘肉をめちゃくちゃに叩き、爪を立て、歯を立てた。
 しかし、その全身全霊の叫びは暗く湿ったハルヒの口内に反響するに留まり、必死の抵抗はハルヒにとっての"心地よい刺激”として消費されるだけであった。

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ooo 2024/02/08 22:26

桃色のシアワセ♥茶色いセカイ ~ド変態のハンター少女ツグミはアナルディルドーに永久就職する~

この作品は『モンスターハンター』の二次創作です。






「わはははっ! あっ、それじゃお前、これは知ってるか? コンガマンの話」
「コンガマン? なんだよそりゃ」
「へへ、知らねえだろ。 なんでも、クソゴツい防具で全身固めた大男でよ。 G級ハンターで、前はここにも顔出してたらしい」
「へぇ、G級? そりゃすげえや、こんな辺鄙なところにもそんな猛者が居たとはな」
「猛者……くくくっ、まぁ、そりゃ色んな意味で猛者なんだろうぜ。 そいつはすげえ変わり者でなぁ……まず、とにかく無口で、人前でぜっってえ喋らねえんだ。 ギルドのだーーーれも声を聴いた事が無いんだと」
「へっ、そりゃまたクールなこって。 んで、なんで”コンガマン”? まさかほんとの名前ってわけじゃねえよな?」
「まぁ焦るなって、話にも順序ってもんがある。 もちろんコンガマンってのは周りがつけたアダ名だぜ。 なぜって、そいつはいっつも密林に一人で入っていくんだが――――」






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 ガンッ! ガンッ!
 ガギンッ! ガギンッ!

 動植物の楽園である深い密林の中で、鈍い金属音が響き渡る。
 重くて固い物が、更に固い物に何度もぶつかるような音が鳴り続けている場所には、数匹の桃色の獣達が居た。

「プゴォオッ!!」
「ゴァアアッ! ブルルァアッ!!」

 成人男性の倍以上の大きさの桃色の牙獣――コンガ達は唸り声を上げながら自分たちのナワバリに侵入してきた異物に対して攻撃を加えている。
 人間によく似たシルエットながら、成人男性の胴程に発達した前足を振り回し、その先端の鋭い爪を執拗に叩きつける。

 しかし、コンガ達の人外の怪力を何度受けても、今回の侵入者はビクともしなかった。

「ガァアアッ!!! グルァアアアアッ!!」
「プゴゴォッ!!! ガァッ……ゴァア……?」
「プゴォ……プゴォォ……」
「…………ふふふ」

 暴れ疲れてフゴフゴと熱い鼻息を漏らすコンガ達に取り囲まれたまま、一人のハンターが不敵な笑みを浮かべた。

 水辺に潜む巨大な盾蟹、砂漠を駆ける角竜、火山地帯に適応した岩竜――――様々な頑強なモンスターの素材を、融かした希少な鉱石で繋ぎ合わせた特注の鎧と盾を身に纏うそのハンターの姿は、まるで瓦礫と岩石の塊に鉄板が立て掛けられているようにしか見えない。

「プギィィ……」
「ほらほら、私に打撃は効きませんよ……このままでは私を排除できませんよ……」
 
 岩山のような全身鎧のハンターの頭部から僅かに除く肌色の口元から、この場に不釣り合いな程に可憐な少女の声がこぼれ落ちた。
 ハンターズギルドの中でも最高位の階級――G級に属する【ツグミ】という少女は、とある調査のためにこの密林を訪れていた。
 
 巨大な盾を構えながら、ツグミはジリジリとコンガ達との距離を詰めていく。

「さぁどうしますか……これはもうアレしかないですよね……ええ私もそう思いますよ……さぁ何を迷う事があるのですかぁ……ほら、ほらぁ……」
「プゴォ……?」
「ゴァッ……プルルルゥ……!」
 
 ツグミが一歩、また一歩と足を踏み出す度に、その超硬度と比例する超重量の装備によって、固い地面に深々と足跡が残っていく。
 小柄なくせに自分達の全力の攻撃を物ともしない異様な固さか、もしくは常にブツブツと漏れ聞こえる謎の呟きの不気味さか……とにかく得体の知れない恐怖を感じたコンガ達が、その巨体をブルブルと震わせながら後退りしていく。

「さぁコンガちゃん達の得意技を……アレを早く……早く早く早くぅううう!!!」
「プギッ!!?」
「プルルァアアッ!!」

 ボブゥウウウウウウウウウウッ!!
 バスッ! バズゥウッ!!
 ブッシュウウウウウウウウウウッッ!!!

「――む゛きゃあああッッ!!??」

 ズドンと足先を地面にめり込ませながらツグミの歩みが早まった瞬間、コンガ達は彼女に向けて一斉に尻を向け、彼らの奥の手である放屁攻撃を行なった。
 コンガ種の巨体に見合った巨大な尻から放たれるオナラの悪臭の威力は凄まじく、彼らの天敵である強大な飛竜種ですら嫌がって逃げ出す事がある程だ。
 無論、凄まじい身体能力を持ちつつも一応は人間であるハンター達にとってもそのガスは脅威で、まともに喰らえばしばらくは食料や経口薬も喉を通らなくなり、何発も喰らえば力尽きて失神してしまう程に強烈な代物である。

 いかに頑丈、頑強な鎧と言えど、激臭ガスを含んだ空気そのものを遮断する事は出来ない。
 もちろん、頭部防具の中にはそれらのガス類を選択的に遮断する、一種のフィルターが備え付けられている物もあり、こういったモンスターと対峙する際には用意するのが常識だが……なぜか顔面をほとんど剥き出しにしているツグミは、当然のようにそのガスの直撃を受け、激しく悶絶した。

「プゴプゴッ!!」
「ブキャキャキャッ!!」
「げほッ! げほッ! うぉえッ!!」

 排除すべき侵入者に対しての明らかな手ごたえを感じ、コンガ達が歓声を上げる。

「すぅううう……ごふッ! げほごほッ!! んっ♥♥ すぅうううう……んぐぅッ♥♥ すぅうううううう…………」
「プギャ……ギャ……?」
「プゴォ……??」
「すぅうううう……むふふぅうううっ♥♥ はぁああ……すぅうううううう……あへへぇ……♥♥♥」
「プギッ……!?」
「キャウウウ……」

 強大な飛竜さえ追い払う放屁の直撃を受けて悶絶していたはずのその小さな侵入者は、何と逃げ出すどころかその場に踏みとどまり、咳き込みながらも深呼吸を始めた。
 真っ赤に火照らせた小さな体をプルプルと体を震わせながら口を半開きにし、涎を垂らしながら恍惚とした表情を浮かべているその異様さ極まる少女の姿に、今までに経験した事のない恐怖を抱いたコンガ達が、まるで子犬のような情けない声を上げる。

「ふごっ♥♥ ふごごっ……ぉ……ん? どうしました……? 追撃がありませんねぇ……? この程度のオナラではG級ハンターである私は倒れないですよぉ……」
「ギャウウ……!?」
「プギュウウ……」

「さぁ、もっと……あなた達の本気を見せてください……♥♥ 同じコンガ種といえど森ごとに微妙に違う食性からオナラのニオイにも差異が生まれるんですよね……この森のコンガちゃんのオナラは他の森よりもマヒダケ系のキノコ成分が多くて鼻の奥がビリビリ痺れるようですね……今の私にこの程度のマヒ効果は効きませんが皆で協力してオナラすれば私を倒す事ができるかもしれませんよさぁほらやってみましょう仲間を呼ぶのも良いですねもちろん私は待ちますから……ああ色んな森のコンガちゃんが集う場所があったら色んなオナラをミックスして嗅ぐことができるんでしょうかそんな場所があればさいこ」
「「プギュウウウウウウーーッッ!!!」」

 ブッピィイイイイイッ!!
 ブズゥッ! ボスッボズゥッ!!
 ブボボボボッ!! バボボッボッボッボォォォ…………

「ふみ゛ゅぐッッ!!??♥♥♥♥ ん゛ぅおぉううッッ~~~~~~~~~!!!!♥♥♥♥♥♥」


 人の大きさを遥かに凌ぐ牙獣が上げたとは思えない情けない悲鳴と共に尻からガスを漏らしながら、コンガ達は一目散に走り去っていった。
 砂塵に混じってもうもうと立ち込める茶色いガスの中心では、鼻ではなく下腹部に手をやったツグミが地面の上でビタンビタンとのたうち回っていた。
 弱肉強食極まる密林の中で、明らかに致命的な隙を晒しているツグミであったが、この状況を作り出したコンガ達は既におらず、また、視界が歪む程の濃度の悪臭ガスの中にわざわざ飛び込むようなモンスターも存在しない。

 ツグミはそのまま、堅牢・重厚にこしらえ過ぎた装備のせいで自らの秘部に直接触れる事のできないもどかしさに悶絶しつつ、しかしやはり興奮が上回った事で気合いのノーハンド絶頂をキメた後、しばらく地面に転がってその余韻に浸っていた。

「はぁ、はぁ、ふぅ、ふぅぅ…………♥♥    さて、と」


 いつまでも浸かっていたくなる快楽の沼から意識を引き抜き、ツグミがすっくと立ち上がる。
 先ほどまで発禁モノの痴態を振りまいていたはずの少女は凛とした表情で森を見据え、一つ小さく息を吐いた。
 

(全く、いけませんね……コンガちゃん達を見るとつい抑えられなくなってしまいます)

 気を引き締めるように頬を両手で張ろうとして、そういえば今の掌は重厚な手甲に覆われている事に気づき、指先をグリグリと頬に押し付けて気合を入れ直す。
 木の幹が凹む程の重量の大盾を立て掛け、ツグミは少しおぼつかない手つきで体の鎧を取り外していく。
 拠点キャンプではなく、モンスターの蔓延る密林内部で防具を脱ぐのは並大抵のハンターにとっては自殺行為であるが、ツグミにとってそれは当てはまらない。

「…………ふぅ」

 ドガン、ズドンと見た目通りの重低音を響かせながら岩竜防具が脱ぎ去られると、その重量の半分にも満たない小柄さの少女の姿が現れる。
 ツグミはまるで小動物のようなあどけなさを残す可愛らしい少女であるが、その実力はハンターズギルドにおける最高ランク――"G級”を冠するに相応しい物だ。

「むぅ……」
(やっぱり、結構蒸れますね。 まぁ、私の体重を補うために重さを増した特注ですから、その辺は我慢するしか無いですね)

 激しい"運動”により薄っすらと汗ばんだ体をタオルで拭きつつ、他に比べてやけに湿り気を帯びている下部のインナーをいそいそと履き替えたツグミが、再び元の重厚な岩竜鎧を纏っていく。
 ものの数分で、可愛らしい少女の下着姿はまた岩石の塊へと変じていた。

 ツグミは元々、体格に見合った片手剣と革製防具での俊敏な立ち回りを得意とするハンターであったが……その後様々な装備を試した結果として、現在の岩ダルマのような状態に落ち着いた。

 もちろん理由は"コンガちゃんの打撃を全て防いで思う存分オナラだけ味わえるから”である。
 
 なお、両手で大盾を持つだけで精一杯なので攻撃用のランスは持っていない。






「…………ふぅむ」
 
 むむ、と真剣な表情で腕を組み――組もうとして装甲が分厚すぎて無理だったのでブラブラと所在無さげに揺らしながら、ツグミは深く考え込んだ。
 
 ツグミがこの森に日々通い詰めるようになったのは、とあるモンスターとの邂逅を求めての事であった。
 歴戦の臭いフェチを限界まで拗らせた歴戦のド変態ハンターである彼女が求めるモンスターはもちろんコンガ種であり、その群れを率いる親玉である"ババコンガ”である。
 
 そしてもちろんのこと、既に数々のババコンガの屁や糞を文字通り死ぬほど味わってきたツグミであるが……この密林で"あり得ないくらいデカいババコンガ”が目撃されたとの噂を耳にすれば無視するわけにはいかなかった。

 長年ソロハンターとして活動し、特に密林での索敵や追跡を得意とするツグミにとって、コンガの群れの追跡はお手の物である。
 喜び勇んで元居た拠点から鞍替えをしたツグミは、普段の活動拠点とは段違いの遭遇率に、この森が天国のように感じていたが……やはりどうにもおかしい。

「ふぅむ…………?」

 コンガの群れは見つかる。
 それこそ、冗談かと思うくらいの頻度で痕跡が見つかる。
 見つかるのだが、なぜかどれもこれも小規模な群ればかりであった。

 コンガ種に限らず、モンスターの群れを率いる親玉の力が強大であればあるほど、その群れの規模やナワバリも大きくなる。
 噂に聞く"あり得ないくらいデカいババコンガ”を筆頭とする群れであれば、それこそ今まで見た事のない程の巨大な群れが率いられているはずで、そういった群れが残す痕跡もまた大規模な物となるのは必然である。

「やっぱり、この群れも小さい……おかしいですね」

 にもかかわらず、ツグミがこの森の探索を数か月も続けて見つけた群れはどれもこれも小規模であった。
 そして、それぞれが少ない頭数の割に群れとの遭遇率はやたらと高い。


「小さい……みんな小さすぎます。 一体なぜ……?」

 群れの規模が小さいのはすなわち、群れを率いるババコンガに十分な力が無いからである。
 この森でツグミが出会ったコンガの群れはどれも小さく、その群れを構成するコンガや、筆頭たるババコンガでさえも、ツグミが今まで別の森で出会った個体に比べて一回り以上小さかったのだ。 
 長年コンガを追い求めて来た彼女であるからこそ、この状況は異様に思えた。

 キャンプ道具を入れた背嚢を背負い、ズンズンと地面を凹ませて歩きながらツグミは思考を続けた。

(ババコンガちゃんが独り占めして、群れのコンガちゃんが小さくなる事はたまにあります……でも、どの群れのババコンガちゃんも小さい……近くに別の強力な群れがあるのかと思えば、そうでもない……)

 溜まった欲求を吐き出した直後のスッキリとした思考で、ツグミは一つの答えに向かっていく。

(森の浅いところにたくさんのコンガちゃん達が……エサも満足に取れないくらいの密度で集まって……まるで群れごと無理やり追いやられたような……いえ、そうに違いないです……ということはやっぱり……!)

 別の角度からの思考アプローチを何度も繰り返し、ツグミはただ一つの解への期待を高めていく。
 数日かけて周囲の安全を確保した後、一人用のサブキャンプを解体し、より奥へと進んだ位置に設営する。

 それを繰り返して限界まで奥部に近いところへサブキャンプを置き、街にあるマイハウスから物資を持ち込む事ができれば……密林最奥部の長期探索への準備がようやく整う。

「ふふ……うふふ……むふふふふふふふ…………」

 G級ハンターに相応しい素材が取れるわけでなく、ただでさえ嫌われ者のコンガ種が溢れるこの密林と街との長距離を、途方も無い回数往復するという地獄のような苦行の中においても、ツグミの心が折れる事は一切無かった。

「むふふふんっ! 待っていてください……史上最大のババコンガちゃんっ!!」

 脳内を埋め尽くす、コンガ達と同じ桃色の妄想を鼻息とともに噴き出しつつツグミは再び重たい物資袋を引きずりながらズドンズドンと歩き始めた。


 決戦の時は――――近い。






 なお、物資運搬のために往復するなら軽装の方が望ましいが、ツグミは道中のコンガを無視するつもりなど毛頭無いので毎回このクソデカ防具を着ていく。
 不可能を可能にする原動力はいつだって人類の飽くなき執念なのである。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ん……? すんすん……こ、これは……これはぁあっ!!? 」

 密林最奥部の探索を開始して数週間後のある日、ツグミは突如として驚愕の声を上げて走り出した。
 身の丈を超える藪を大盾と防具で強引に掻き分け、彼女の中で最も鋭敏な五感――――嗅覚が捉えた存在に向かって突き進んでいく。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ! 間違いないですっ! これはっ! ぜった……いっ! ニオイがどんどん…………あぁっ!!??」

 そうしていくつもの藪と茂みを抜け、ツグミがたどり着いた場所には予想通りのモノが、予想を遥かに超える状態で存在していた。

 木々をへし折って無理やり作り出したかのような空間には――――"あり得ないくらいデカい糞”が鎮座していた。

「こ、これは――むぐっ!!?? ぐぐっ……ぐしゃっ……臭すぎ、ます……ビリビリきます……!! なんという……この……うぐっ! この私が……気圧されるとは……!!」

 限界極まった臭いフェチであるツグミは、長年のコンガとの戯れの中で様々な悪臭を味わってきた。
 メインコンテンツはやはりオナラだが、その中でフンの臭いを嗅ぐ事は当然あるし、フンを顔面に投げつけられた事はもちろん、自ら口に含んだ事すら1度や2度ではない。

 だがしかし、その道の最先端を突っ走る彼女の嗅覚をもってして、目の前にあるフンはまさしく異常の一言で形容された。

 ゴツゴツとしたこげ茶色の巨体はぬるりとした光沢を帯び、表面や断面に未消化物が一切見当たらない様子はこれが腸内で相当に熟成されている事を窺わせた。
 そのニオイはまさに殺人級、否、モンスターですら泡を噴いて悶え死ぬのではないかと思われる程に激烈で、今まで見た歴戦のG級個体を遥かに凌駕している。
 実際に、ツグミがニオイを察知してからここにたどり着くために想定より遥かに長い距離を移動していた。

 まさしくこれこそ、ババコンガが自身の領域を示すための"ナワバリのフン”である。
 目視できる距離で嗅ぐそのニオイは、鼻の奥をビリビリと電気的に刺激されるような錯覚すら覚える程に刺々しい激臭であった。
 これがここに、恐らく他にもあるせいで、他のコンガ達は森の浅いところまで追いやられていたのだ。

「げほっ、ごほっ……こ、これは…………すごい、あり得ないです……! このっ、"太さ”は……っっ!!」


 目の前のフンを見てツグミが驚嘆していたのはニオイだけでなく、むしろその途方も無い太さに対してだった。
 フンのニオイについては腸内環境や生態、食性による要素が大きく、また、その量についても個体の排便頻度や食事量によって同じ体格の個体でもバラつきがあるものだ。
 
 だがしかし、フンの”太さ”を決めるのは大腸の太さであり、そして肛門の"口径”である。
 すなわち、このフンを産み出した個体の体格――とりわけ尻の巨大さに直結する要素なのである。


「こ、この太さ……あの時のより……更に大きい……!?」


 遠目に眺めるだけでも酸欠を引き起こす程の激臭にトリップし始めた、ツグミの脳裏に、まるで走馬灯のように今までの冒険の日々が思い起こされる――――



 片手剣と小盾で身軽に立ち回っていた時に、オナラは何度も味わった。
 攻撃を避けながら嗅ぐのでは物足りず、どれだけ興奮しても現場では一線を越えられなかった事がもどかしかった。
 なのでわざわざ迅竜を何頭も狩って作った隠密特化装備でコンガ達の巣に忍び込み、寝っ屁と嗅いでオナりまくっていたらバレて死に掛けた。
 何とか逃げ込んだ小穴に屁と糞を山盛りに詰め込まれた時は死を覚悟したが、たまたま通りかかったハンター達に救出されて九死に一生を得た。

 以後は懲りて体を鍛えて重装備を身に着け、相手を攻撃できない代わりにコンガ種の打撃程度ではビクともしない状態で屁だけを堪能するというスタイルに切り替え……ときどき魔が差して鎧を一部外したり巣に忍び込んだりして死に掛けた。

 そうして充実した日々を送っていたツグミの脳裏に、色あせる事無く残り続けている鮮烈な記憶があった。
 それはまだ軽装で戦っていた時期に出会った、超巨大な特異個体のババコンガのこと。
 
 それと対峙した際に色々な偶然が重なり、ツグミは超巨大なババコンガの肛門に吞み込まれてしまったのであった。

「すぅ…げほっ! ごほっ……すぅう、ぐっ……はぁあ……はぁ、はぁ……♥♥ 私の体も、余裕で入りそうですね……♥♥」

 当たり前だが肛門とは人間が入るべき場所として作られたわけでなく、その内部は当時のツグミを持ってしても死の恐怖を感じる程の地獄の様な環境であった。
 酸素は薄く、代わりに気を抜けば卒倒しそうな程の激臭ガスが充満し、サウナのような熱気と湿気の中でツグミはもがき苦しみ、最終的には腸内を刺激されて驚いたババコンガの便秘糞と一緒に排泄された。

 そして挿入から排泄されるまでの僅かな間、ツグミは人生の中で最も多くの回数の連続絶頂を経験した。
 その記憶はツグミの脳裏に恐怖として、後悔として、汚点として、そしてこの上ない快楽として、今でもまるで宿便のようにネットリとこびりついている。

「はぁ、はぁ、はぁあ……♥♥ さ、さて、このニオイを早く覚えなければならないですね……♥♥ 慣れてきたのでもっと近くに……」

 無論、ツグミとてアレをもう一度体験したいと本気で考えているわけではない。
 単純に危険極まるし、あの時に助かったのはほとんど奇跡のような物だ。
 またそれ以前に、あのような状況に陥る事自体が”あり得ない”と言える。

 当然ながら、肛門はコンガ達にとってフンやオナラを出すための場所であって、何かモノを入れるための場所ではないのだから。
 下品な攻撃手段が目立つコンガ種だが、さすがにアナルオナニーをする生態は無いし、カネやモノを渡せば言うことを聞いてくれるような相手でもない。

 なので今回はせめてその規格外から産み出されるニオイを思う存分堪能してやろうと、ツグミが巨大フンに向けて歩みを進める。

「ふぅ、ふぅ……♥♥ むふふふふふふふ……ふぇ? あ、れ……??」

 ズドン、ズドンと力強かったツグミの足取りが緩やかになり、止まってしまう。

 足が、上がらない。

 なぜか力が入らず、重たい岩竜素材のレッグアーマーを持ち上げる事ができないのだ。
 怖気づいているとか、ニオイが酷すぎるとかは今さらの話で、むしろツグミの心は巨大ナワバリフンのニオイをもっと嗅ぎたいと必死に訴えている。

「な、なんで……げほっ! くっ……ふぬぬぬっ……あぅぅう……!?」

 しかし意志に反して足は持ち上がらず、それどころか気を抜けば膝からくずおれてしまいそうだ。

「ぬぐぐぐっ……こ、これ……げほっ! ごほっ! もしか、して……麻痺……!?」

 ツグミの脳裏に思い起こされたのは、コンガ達の食性。
 その巨体に似合わずキノコを主食とする彼らは人間にとっての毒キノコの類でも平気で食べるし、オナラやゲップにそれらの成分が混ざる事がある。
 現に、この森に来て何度も嗅いだコンガ達の屁にも薄っすらと”マヒダケ”の麻痺作用が含まれていた。

「むぐぐっ……うぐぐぐぐっ……!?」
(この私に効くくらい強烈な……まさか”オオマヒシメジ”……!? いや、もしかしたらそれ以上の新種の可能性も……そんなに珍しいキノコを主食にしてるなんて……!」

 数々のコンガ達の放つ毒ガスを嗅ぎ続け、生身では考えられない程の毒耐性を獲得していたツグミであったが、目の前のフンからもうもうと立ち込めているガスの残滓はその耐性を貫通する程に強烈な麻痺成分を含んでいるようだ。
 下手に麻痺耐性を持っているからこその慢心が引き越した事態であった。

 現時点ではほんの少し力が入りにくくなる程度の麻痺であったが、そもそも身の丈に合わない超重量の防具を身に着けていたツグミにとってはその僅かな差が命取りである。
 このままこのニオイを堪能するのはさすがに危険と感じたツグミがゆっくりと踵を返し、口元を抑えながらナワバリフンから遠ざかっていく。

 とても惜しいが仕方がない。
 このように表面にテカりがあり、激臭ガスの湯気を立てているような"新鮮”なナワバリフンにお目にかかれる事はめったに無い事なのだが――――


「ん? 新、鮮…………?」

 バキバキッ

「っ!!?」

 ガサガサッ
 バキバキバキバキ……

「ブルルルル…………ボォアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「ひぅううううっ!!??」

 巨大なフンの死角となっていた木陰の木々が薙ぎ倒されると共に、腹の底から揺さぶられるようなとてつもない轟音が響き渡った。
 ズドン、ズドンと小規模な地鳴りを引き起こしながら、特大の"あくび”を放ったばかりの巨獣がゆっくりと現れた。

「ブシュルルルル……ゴァアア……?」
「ひっ!!? でっ……デッ…デッッ……………!!???」


 デカい。 
 ただその一言すら、衝撃と歓喜に震える口元からは上手く紡がれなかった。
 
 "デカい”とか、"大きい”とか。
 そのような陳腐な言葉で言い表せない程に、目の前に現れたババコンガはとてつもない巨大さであった。
 その体は間違いなく飛竜種よりも大きく、地上戦に特化されている彼の膂力をまともに受ければ、如何にG級ハンターといえども死は免れないであろう。

 そして当然ながら、同種を追い出してまで築いたナワバリに入り込んだ者に対し、密林の王者が容赦を見せるはずがない。

「ブフゥウウウ……ブシュルルルルルルルルルル!!!」
「しゅ、しゅご……凄すぎます……むふっ……むふふふふふふふふっ♥♥♥」

 だがしかし、この場で鼻息を荒げるのはババコンガだけではなかった。
 討伐はおろか、逃走すら困難な化け物を前にしてもなお、ツグミの脳内には僅かな恐怖を一面に塗り潰す程の桃色の欲望が渦巻いていた。
 極度の興奮状態で手足が激しく震え、しかしその心は勢いよく奮い立つ。

 生きるか、死ぬか。
 どちらにせよ間違いなく今日、自身の人生は"絶頂”を迎えるのだろう、と。

「ようやく、ようやくです……♥♥ さぁ思う存分……嫌という程に……味わわせてもらいますよ!!」

 そう確信したツグミは大盾の持ち手を一層強く握りしめた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ブォルルルル…………ブガァアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」
「…………ふっ、ぐぅうッッ!!?」

 先手を取ったのはババコンガだ。
 野生の筋肉に支えられた山のような巨体が地面を爆散させながら飛び込み、全身を使った突進を仕掛ける。
 それを斜めに受ける事で衝撃をいなそうとしたツグミが衝撃力を見誤り、軽々と数メートルの距離を吹き飛ばされる。

「がはッ! うぐッ……!!」
「ブルルォアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」

 木々に背中を強打したツグミが息を詰まらせ、無理やり搾り出された空気に血の匂いが混ざる。
 思わずたたらを踏んだツグミへ、振り向きざまにババコンガの巨木のような剛腕が振るわれた。


 ゴガァアアアアアアアアアン!!!!

「――――グギャアウッッ!!?」
「ん゛ッ…………ぷはっ!! はぁッ、はぁッ……むふふふふっ♥♥」

 無防備な少女を粉々に粉砕するかに思われた剛腕はしかし、特殊合金の盾によって正面から弾き返される。

 性癖は終わっているが天性の戦闘センスを持っているツグミは、この日のために拵えたG級装備の防御能力を十全に発揮して見せたのだ。
 血混じりの唾を吐き捨て、地面に深々と足をめり込ませながらも、ツグミの体勢はほとんど崩れていない。

 そしてその目はピンク色の欲望を宿してギラギラと輝いていた。

「ガァアアアアッ!!! ゴァアアアアアッッ!!!!」
「ふッ! ぐッ……! ぬ゛ぅんッッ!!」
「ブギャアアッッ!!??」

 恐ろしい程の風切り音を鳴らしながら二度、三度と闇雲に振り回される剛腕は、その全てがツグミの操る大盾に弾き返される。
 そしてそのたびにババコンガの指先に衝撃が跳ね返り、自慢の鋭い爪が自身の剛腕によって叩き折られてしまう。

「ブギギギ…………ブォガァアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」
「ふッ……はぁああッッ!!」
「プギィイイッ!!?? ブギャギャギャギャアアアアアアッッ!!!」

 一度目はツグミを弾き飛ばした渾身の体当たりも、二度目は通用しなかった。
 ツグミは勢い良く体を捻りながら、絶妙なタイミングでババコンガの顔面を斜めに殴りつけ、その大砲のような衝撃力を完全にいなし切った。

 脳を横に揺らす衝撃に眩暈を覚えたババコンガは、突進そのままの勢いで岩場を粉砕しながら突き刺さった。
 岩場に突っ込んだ頭が抜けなくなったババコンガは、ジタバタと手足を暴れさせてもがいている。

「ぜぇッ、ぜぇッ、はぁッ、はぁッ……ふふ……むふふふふふっ♥♥ 今の私は間違いなく……人生の中で一番強いですねっ!」

 一つ間違えば即死もあり得る攻防を乗り越えたツグミが額の汗を拭い、燃え盛るように火照る体に気休めのような酸素を送り込んでいく。
 しかし、その目は未だ瞬きを忘れたかのように見開かれ、ギラギラとした欲望の視線を眼前の存在――――あり得ないくらいデカいババコンガの尻へと向けていた。

「ブギャアアアッ!! ギャウウウウウッッ!!!」
「はぁあああ……しゅごいぃ……♥♥ ムッチムチのブリンッブリンですぅ……♥♥ も、もっと近くでぇぇ……♥♥♥」

 極限の動きによる疲労と痛みを完全に無視し、煩悩のみによってツグミはジリジリと歩みを進めていく。
 ババコンガの尻に自ら近づくなど、下位ハンターですら犯さないような愚の骨頂であるが、ツグミにとってはそれが最大の目的であるのだからこの状況は必然であった。

 ジタバタと空を蹴る後ろ足の動きに合わせてブリンブリンと揺さぶられる超巨尻に焦点をユラユラと奪われながら、ついにツグミはババコンガの尻の谷間にたどり着いた。

「むふふふふふふふふふ……♥♥ この状況でもオナラをしないとは……やけに焦らしますねえ♥♥ 良いですよ……こうなればとことん――――おっと」
「ブギャッ!!」

 ブン、とツグミの頭上から振るわれたのはババコンガの体の中でも特徴的な部位である、桃色の”尻尾”であった。
 数トンを超える体重を樹上で支える事が可能な彼らの強靭な尻尾は、まるで3本目の手のように物を掴める程の器用さも持ち合わせている。

 今さら腕より細い尻尾による打撃でダメージを受ける事は無いが、万が一、巻きつけられたりすると大変だ。
 ツグミは頭上からの尻尾にも危なげなく対処し、盾でするりと鞭打をいなした。

 すると、ババコンガはそのまま尻尾の先端を自身の尻の谷間に突き入れた。

「むむっ!? ふふふ……むふふふふふふっ♥♥ ついにですね! 待ってましたよっ!」
「ブギギ……ギャウウウウウウウ……!!」

 あり得ないくらいデカい尻の谷間に完全に呑み込まれている尻尾の先端は見えないが、G級コンガマスターのツグミにとっては、その行為が何を意味するかが手に取るように”理解(わか)”る。

「グギャウウウウウウ……ギギギギ……!!」
「むふふふふふふ♥♥ 尻尾でのウンチ投げですよね?ずいぶんとのんびりしてますがお便秘なのでしょうかね?確かにそれだけのウンチが詰まっていたのであればあなたが全然オナラ攻撃をしてこなかったのも頷けますねぇということはその分すごい密度とニオイのウンチが出てくるわけですよねぇ今から楽しみですねぇ私はそれを味わうために今日まで……ん? あれ?   便秘……??」
「ブギギギ……ギヒィッ♥♥ ア゛ォオオオオッ♥♥」

 グチグチ、ニヂニヂと汚らしい水音を鳴らしながら、谷間から徐々に尻尾が引き抜かれていく。
 その先にはいつもなら投擲用の糞塊が握られているはずであったが……ツグミは不意に大きな違和感に襲われた。

 そもそも自分がこのババコンガを見つけたのは、彼がこの場にあり得ないくらいデカいフンを残していたからであり、またそのニオイがツグミにまで届いたのは、そのフンが出したてほやほやの"新鮮”なフンだったからである。 
 大きさから見ても、腸内のほとんどのフンを排泄した直後であるはずなのに、彼が便秘状態にある事は明らかに不自然だ。
 しかし、そうでなければ今までの戦闘中にもっとオナラ攻撃が多用されているはず。

 ブピピッ……ブジュルルッ
 ピッ、ブススッ、ブボボボボッ……

 その矛盾を埋める答えが次の瞬間、身の毛もよだつような爆音と共にツグミの目の前に現れた。

 ズボリュリュリュリュリュリュリュリュッッ!!!!

「オ゛ア゛ァアアアアアアアアアアアアアアアアッッ♥♥♥♥」
「なっ……なななっ……!!? コ、コンガ……ちゃん……!?」

 汚らしい喘ぎ声と共に、あり得ないくらいデカいババコンガの肛門から抜き出されたのは、まっ茶色に染め上げられているが、嫌というほど見覚えのあるシルエット――――コンガのものであった。

「……っ!!?」
(こ、子供の……!? いえ、普通のメスですか……共食い……も、違いますね。 消化されているわけではない……こ、これって、まさか……!?)

 あり得ないくらいデカいババコンガの肛門から、糞便と腸液でコーティングされた雌コンガが放り出された。
 あまりの光景にさすがのツグミも驚愕し、絶句しながらグルグルと思考を彷徨わせる。

 そして、立ち尽くすツグミに向かって"栓”を抜かれた肛門から内部のガスが噴出する。


 ブボッシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッ!!!!!


「――――ん゛み゛ッッッッッッ!!!?????♥♥♥♥♥♥♥♥」

 あまりの衝撃。
 あまりの臭気。
 質量まで感じられる激烈な悪臭がツグミの全身を包み込み
 ビグンッ、と大きく体を跳ねさせたツグミは、そのまま仰向けに倒れ込んだ。

「ん゛んんんッッ!!!!!♥♥♥♥ むぐぅううううううううッッッ!!!!♥♥♥♥♥♥ こ、これ゛……げッほごほッ!! お゛ぅぇぇッ!!」

 しかしてそのニオイはやはり、歴戦のG級臭いフェチであるツグミの想像を遥かに超える代物であった。
 その規格外の体格に見合った量の食物が、種族の特性として外敵撃退のために濃縮されて生まれた腸内ガスは、もはやただの悪臭の範疇に収まらない、明確な”毒ガス”と化していた。

 これは単なる比喩に留まらず、ハンターでない常人が吸い込もうものならニオイを認識する前に白目を剥いて気絶し、口からは泡を、鼻からは血を噴き出して危篤状態になる程に危険なガスであろう。
 G級ハンターとして常人より遥かに強靭な肉体を持つツグミであってすら1発で大きく体力を削られ、気絶しない代わりに鼻腔を筆舌に尽くし難い猛臭が貫いた。

「ごれっ、これは……この、私がッ……こ、ここまで……ん゛ぃッ!?」

 ブボボボボボボボッッ!!!
 ボシュウウウウウウウウウウウッッ!!!
 ブピィイイイイイイイイイイイイイイッッ!!!!

「ぐに゛ゃあああああああああああああああッッ♥♥♥♥♥♥」

 続けて特大放屁が連発された事で辺り一帯は毒ガス地帯と化し、哀れにも巻き込まれた小虫や小動物達は気絶と絶命のどちらかに強○的に振り分けられた。
 倒れたまま全身を一瞬で毒ガス沼に沈められたツグミの体が激しく痙攣する。 
「ゴブブブ……ブバァアアアアッッ!!! ゴフッ、ゴフッ……!!」
「げっほげほっ!!♥♥ ごほっ!!♥♥ お゛ぇえええっ!!!♥♥♥♥」
「ブギィィ…………ブォガァアアアアアアアッッ!!!!」
「まじゅ……まじゅい……でしゅ♥♥ うご、ご……うごか……にゃいと……おぉぉぅ……♥♥♥」

 ようやく岩肌に挟まっていた顔を引っこ抜いたババコンガは、自らの尻から抜け落ちた雌コンガの死体を見て沈痛な唸り声を上げる。
 そして、次の瞬間には怒りの形相を露わにしたババコンガが再びツグミへ猛然と襲い掛かる。

 鼻の神経を焼き殺すかのような悪臭によって呼吸はままならず、イキ汁を岩清水のように滴らせた太ももはプルプルと震えるばかりだ。
 しかし、それでも何とか命の危機に自身を奮い立たせたツグミにババコンガが喰らいつく。

「ゴガァアアアアアアアアアッ!!! ガァアアアアッッ!!!」
「んぎっ!! ぐっ……ぬぐぅうううううっっ!!!」

 巨大な口に備わった図太い牙がツグミの体を貫こうとしたところに、ツグミは何とか大盾を滑り込ませた。
 ババコンガがツグミの上半身に頭から噛り付いている状態で束の間の均衡が生まれる。
 ガギンガギン、と牙と合金が打ち鳴らされ、その咬筋力だけですり潰されそうになるのをツグミは必死で耐えている。

 上半身をすっぽりと覆った巨大な口から漂う、ムワリと湿ったババコンガの強烈な口臭――それが次の瞬間には劇的に変貌する。

「ンガァッ……ゴファアアアアアアアアアアアゥッッ!!!」
「ふに゛ぎぎっっ!!??? ん゛ぉっ!!? あに゛ゃああああああああっっ!?♥♥♥♥」

 ツグミの視界が一瞬にして薄黄色い空気に包まれ、顔中の粘膜を刺すような刺激が襲う。
 ババコンガはツグミの体を咥え込んだまま、特大のゲップを放ったのだ。

 そして次の瞬間には全身に耐えがたい程の”痺れ”が広がり、ツグミの身体は完全に弛緩してしまった。

「あひ……あ゛ぁ…………マ、ヒぃ……♥♥ らめぇ……うごけ……なひぃ……♥♥♥♥」

 それはツグミが予想していた通り、このババコンガが好んで食していた希少なオオマヒシメジに含まれる麻痺成分によるものであった。
 腸内で限界まで消化の進んだフンやオナラではなく、胃の中で消化中のキノコから発せられたより強力な麻痺性ガスがツグミの耐性を貫通し、一時的に体の自由を奪ったのだ。

「ブォフッ! ガフッ!! ブォフフフフ……♥♥」
「あ゛ぅっ!?♥♥ やっ……ひゃめ……ひゃめぇぇ……♥♥♥♥」

 命綱である大盾を手放し、ピクピクと痙攣しながら地面に倒れ伏したツグミの体にババコンガの尻尾がキツく巻き付いた。

 太く力強い尻尾に両手ごと全身を拘束されてしまえば、仮に麻痺が治まったとしても脱出は至難である。
 まさしく万事休すの状態だ。
 このまま頭から丸かじりにされるか、固い地面に死ぬまで叩きつけられるか。
 器用で強靭なババコンガの尻尾はそのどちらもを可能にし、未だ麻痺状態にあるツグミはただ判決を待つ死刑囚でしかなかった。

「ブジュルルル……♥♥ ブォフフフフフフフフッ……♥♥♥」
「あぅ……う゛ぇっ……!」
(やばいですやばいです今までで一番ピンチです!! このままじゃ食べられちゃいます!! ウンチをされるのは良いけどウンチにされちゃうのは困ります!!)

 長い尻尾で拘束したままのツグミの顔をベロリと舐め、ニチャリと湿り気のある笑みを浮かべるババコンガの顔は、そこに野生動物にあるまじき知性と悪意が備わっている事を感じさせた。

「ブォフフフッ♥♥ ブルフフフフゥウウッッ……♥♥♥」
「ぐっ……うっ…………!」

 しかし、ババコンガはツグミをジロジロと見つめるだけで、一向に彼女を痛めつけようとはしない。
 かと言ってこのまま解放する気は無さそうで、ジュルジュルと舌なめずりをしながら興奮を高めているようにしか見えない。

 全身が麻痺・拘束された状態で、唯一動く目と脳みそを全力で稼働させ、ツグミは状況を深く読み取っていく。

 息が荒く、熱い。
 涎が垂れている……興奮している?
 その割には攻撃衝動が収まっている。
 攻撃では無い"何か”をしようとしている……?

「ブォフフフ……ブルルルルゥウ…………♥♥♥」
「うっ……くっ……っっ!? はわわわわわわわっ!!??♥♥♥♥」

 ツグミを拘束した尻尾が大きく動かされ、ツグミの視界が勢い良く切り替わる。
 そして目の前にババコンガの”あり得ないくらいデカい肛門”が現れると、ツグミの思考は一気にピンク色に塗り潰されてしまった。

 ネバついた腸液を涎のように垂らし、モゴモゴと窄まったり広がったりを繰り返すその様子はまるで巨大な赤ん坊の口のようだ。

「にゃ、る……ほど…………ふへっ♥♥ ふひひひひっ……♥♥♥♥」

 他種族にとって銃口に等しいババコンガの肛門を間近に向けられて尚、ツグミはかえって興奮を高めるばかりであった。

 恐らくはこのまま至近距離で放屁を浴びせられまくってしまうのであろう。
 放屁の勢いでフンまで浴びせられてしまうかもしれない。
 しかし、それこそ望むところである。
 自分はそれらを味わうためにこの無謀な戦いを挑んだのだから。
 死の恐怖をピンク色の煩悩が塗り潰し、弛緩した口元からは意図せず涎が垂れ、誰かに聞かれたらドン引きされるくらい気持ち悪い笑い声が零れる。

「ふへへへへへへっ♥♥ 良いでひゅよ受けてたちまひょう思うじょんぶんオニャラをふふっ、ふっかけてくだひゃいわらしはそんにゃことでまけにゃ……にゃ?」

 しかし、眼前の超巨大肛門からはガスが放たれる事が無く、ツグミの体はどんどんと近づけられていき――――


 ブヂュウウッ


「オ゛ァアアアアアウウウウウ……♥♥♥♥」
「ぶみ゛ぃいいいいいいいいいいいいっ!!!????♥♥♥♥」

 あり得ないくらいデカい肛門からツグミに施されたのはオナラではなく、熱烈なキッスであった。
 身の毛もよだつような汚らしい音を立てて、剥き出しの肛門が柔らかな少女の素肌に吸い付く。
 体毛や筋肉に守られていない、敏感な肛門を刺激されたババコンガが野太い嬌声を上げ、ブビブビと歓喜に震えるようにガスが漏れ出す。
 予想だにしなかった衝撃的な出来事に、ツグミは肛門に顔を押し付けたまま悲鳴を上げた。

「オ゛アァアアアアアッッ♥♥♥♥ ア゛ゥアゥウウウッッ♥♥♥♥」
「ん゛み゛みみみっ!!?? み゛っ……ぶゅっ…………ッッ!!???!??」

 メリメリ、ニヂニヂ、と湿った肉を掻き分ける音が響き、ツグミの顔が、体が、ババコンガの肛門の中にゆっくりと挿入されていく。
 顔が最も抵抗を強い"門”を抜けると、少女の悲鳴は外界に一切漏れなくなった。
 ツグミは何が何だか分からず、早くも麻痺から回復しつつある体を懸命に動かしたが、全身を尻尾にグルグル巻きにされている状態では大した抵抗ができるはずもない。

「―――――ッッ!!???―――――――ッッッ!!!!????」

 やがて尻尾による体の締め付けが強まったかと思うと、ツグミの体は先ほどまでと逆方向に動き出し――――

 ブッピピピッ……
 ニヂュニヂュニヂュニヂュッッ……

 固く引き締まった筋肉に首元と頭が搾り上げられる感覚の後に――――ツグミの体はようやく外界への帰還を果たした。

「ア゛ォオオオオオオオオオオオオオウウウッッ♥♥♥♥♥♥」
「ぶはぁあああっ!!?? え゛ぅっっ!!??? げべっ!! お゛ぶぇええええっ!!!??」

 事態を理解するよりも先に、口と鼻の中を激烈な不快感が襲い、ツグミは顔面から様々な体液を盛大に吐き散らかした。
 無限にこみ上げるように溢れ落ちる体液には、目の前で蠢く超巨大肛門から垂れ落ちるのと同じ、明確な”茶色”が混ざっており、自身が先ほどまでどこに突っ込まれていたのかを是が非でも認識させられる。

「ぶっは!! ぉえ゛っ……!! げほっ、はぁっ、はぁっ……!?」
「ブルルォオオオオ……ブフヒヒヒィィ…………♥♥♥」
「な゛っ……なんっ……ひゃめっ――――!!??」

 ツグミは悪臭は大好物だが、フンや糞汁を直接口の中に入れられて平気なわけではない。
 ぐわんぐわんと頭の中で反響する不快感に精神を乱されながら、またも自身を咥え込もうと迫りくる超巨大肛門と、先ほどから響き渡っているババコンガの下品極まりない嬌声を認識したツグミのG級フェチセンサーが、彼女をある一つの”答え”へとたどり着かせる。

 このあり得ないくらいデカいババコンガが、”何”を求めているのか。
 体中が変色・変形し、汚損し尽くされていた雌コンガの体は、"何”に使われていたのか。
 同じく尻尾に巻かれた自身は、これから"何”に使われるのか。

 まさか、まさか――――

「ア、ナ――――!?」
「オ゛ギャアアアアアアアアアウウウウウウッッ♥♥♥♥♥♥」
「ん゛ゅううううううううううううううううううっっっ!!!????」

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ooo 2024/01/02 23:21

因習村の女達 ~男殺しの屁淫香~

「おい花恵、花恵!」
「はい、ただいま……」

 白髪を散らした初老の男が机をコン、と叩きながら、視線を手元にやったまま声を張り上げる。
 すると、酒瓶を手に持った一人の女がしずしずと歩み寄り、村の長である初老の男の手に握られた器に酒を注ぐ。

「おいっ!」
「はい」
「おう、こぼすなよぉ? へへっ」

 続いて村長の向かいに座った20代の若い男――村長の息子がドン、と父親の真似をして器と机を打ち鳴らせば、花恵(ハナエ)と呼ばれた女はまた、淑やかに歩み寄る。
 少し前屈みになって酒を注いでいく花恵の体を、村長の息子が下卑た視線で舐め回す。

 濡れたように艷やかな長い黒髪を垂らした花恵の体を形容するならば、まさしく"豊満”の一言に尽きる。
 肥満というほどではないがむっちりと柔肉の備わったウエストには、まん丸と形の良い巨尻が備わっている。
 はち切れんばかりに膨らんだ服の胸元からは尚も白の柔肉が溢れており、彼女の動きに合わせてそれらが大きく揺れ動く様は、たとえ男でなくても目を奪われる代物である。

 見ているだけで辛抱堪らなくなった村長の息子の手がするすると伸び、花恵の艶めかしい曲線を撫で回す。

「へへっ、ふへへっ」
「お戯れを……こぼれてしまいます」
「だぁから、こぼすなって言ってんだよ! へへへっ……」
「賢治、そのくらいにしておけ」
「いいじゃんかよ親父。 もうすぐ俺のモンになるんだからさ」
「もちろんそうだが、今は待て。 ”サンレイ”までに傷がついては事だ」
「……はいはい、わかったよっと!」
「…………」

 不貞腐れた様子の村長の息子――賢治が腹いせのように花恵の巨尻を平手でピシャリと打つ。
 少なくない衝撃が薄い布越しに尻肉をブルンと波打たせるが、花恵は痛みや破廉恥に声を上げる事も無く、深くお辞儀をしてしずしずと後ろに下がった。
 外部の人間が見れば眉をひそめるどころではない扱いを受けている彼女であったが、ここでは全て日常の光景である。

 "尾長見村(おながみむら)”――――都心から遠く離れたこの古く小さな村では、現代においても極めて激しい男尊女卑の思想が根付いているのであった。

「"サンレイ”までいよいよあと一月だ。 さっきも言ったが花恵、それまで体に傷をつけるなよ。 言うまでもないが、稽古の時以外は屋敷から出るのも禁ずる」
「はい、存じております……」
「へへっ、楽しみだなぁ」
「お前もだぞ賢治。 当日までハメを外しすぎるな。 お前にとっても大事な儀式なんだからな」
「分かってるって。 主役が来れなきゃ締まらないもんな」

 花恵という美しく淑やかな女を、二人はまるでモノのように扱っている。
 村長とその息子という立場がそうさせるのではなく、尾長見村の男達は皆、村の女達を同様に扱っていた。

 尾長見村の女達は皆、30歳になると”サンレイ”の儀式を行わなければならない決まりがある。
 村の男達が集まる宴会場で、伝統の”舞い”を披露するのだ。
 独特の衣装は体に張り付くような細長い布で構成されており、ほとんど裸に近い露出度だ。
 その布の隙間から溢れる柔肉や、谷間の食い込みを肴にして男達は酒を飲み交わす。

 神への感謝を示すための物とされているが、男達にとっては下卑た欲望を発散させるためのものでしかない。

「分かれば良い。 花恵、後で部屋に来い。 問題が無いか見てやる」
「はい……」
「えっ! ずりぃ! 俺も見たいよ親父!」
「くくっ、だめだお前は我慢しろ。 儀式まではおあずけだ」
「んだよそれ! くっそー」
「くくくっ……」

 村の女達の中でも特に美しく、肉付きの良い花恵は村中の男達の欲情を向けられていたが、1ヶ月後のサンレイの儀式をもって、花恵は賢治の妻として迎えられる事が決まっていた。
 
 妻のことをつゆほどにも気にかけず、寝室に花恵を連れ込む村長を羨ましく思いつつも、賢治は渋々と自室に戻っていった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「おい花恵、アレやっとけ、掃除。 6時までな」
「……よろしいのですか?」
「良いんだよ! いちいち聞くな!」
「……申し訳ありません。 ですが掟では」
「バレねえようにやれってんだよ! チッ、毎回うるせえなお前……へへっ、お仕置きしてやろうか」
「重ねて、申し訳ありません。 しかし、今私に傷が付けば儀式に差し支え、村長もお怒りになるでしょう。 速やかに取り掛かる事で誠意を示したく思います。 では……」
「あっ、おいッ!! チッ、儀式が終わったら覚えてろよ……ひひっ、へへへっ……」

 妄想たくましく、脳内を桃色に染めて含み笑いを漏らす賢治をよそに、花恵は大きな蔵(くら)の中へと入った。
 村長宅で代々管理しているこの蔵には貢物や骨董品が多く納められている。
 そこは当代村長のずっと前から女人禁制の掟が敷かれているため、中の掃除や整理は賢治の役割であるのだが、怠け者の賢治は父親が家を空ける際などに花恵へ掃除を押し付けていた。

 花恵も慣れたもので、掃除道具を手にすると、黙々と蔵の中を掃除していく。
 生まれてからずっと尾長見村の風土の中で育ち、若くして両親も亡くしてしまった花恵は、村長親子を含めた村の男達に逆らう事はできなかった。
 そして来月、30歳を迎えた花恵は、”サンレイ”の儀式によって身も心もを神とそれを祀る村へ捧げ、正式に次期村長である賢治の妻――所有物となる。

 それを"当たり前”と割り切りつつもやはり心には陰を宿しながら、花恵はそれらを振り払うように掃除に没頭していく。



「……あら?」

 いつもより念入りにと、棚の中身を掻き出して奥を磨こうとした花恵の手が止まる。
 棚の隅に不自然な段差があり、元々は噛み合わさっていたのであろう板が外せるようになっている。

(二重底、みたいなものかしら……)

 いけない、とは思いつつも、好奇心からその中を覗き込んだ花恵は、古びた箱を取り出した。
 大きめの箱を開けると、黒い小袋がいくつかと、何らかの書物が入っている。
 花恵は久しく凪いでいた感情をドキドキと波打たせ、素早く周囲を見回してから震える手付きで書物をめくった。

(これは……記録? かなり古い、昔の……)

「……えっ?」

 思わず零れ落ちた驚愕の声に花恵は慌てて口元を抑え、周囲を見回した後に再び手元に視線を落とす。

 そこに書かれていたのはここ、尾長見村の歴史――――長い年月によって失われた”真実”が記されていた。

(なに、これ……うそ……!?)

 曰く、村長や、運営に携わる者は全て女性である。
 曰く、村の男達の立場は極めて弱く、半ば奴○のような扱いである。

 古文書で語られる村の様子は、今の尾長見村に住む者からすれば信じられないような内容だった。

『村の女が妙齢を迎えると、村中の男達がその女を讃え、奉る。
 生命を産み出す存在である女性に感謝の意を示し、子孫繁栄のために男達がその精を捧げる催しは"産礼の儀式”と呼ばれ――――』

(作り話……? でも、写真も……それに……こ、これ……)

『――女達の支配は暴力や恐怖によるものではない。
 古来より村に伝わる”秘薬”を常用する事により、女達はその身に"淫気”を宿す。
 女が放つ淫気や淫香に晒された男達はたちまち性欲を制御できなくなり、女達の虜となってしまう――』

(この小袋が……もしかして、秘薬……)

『――その性欲には決して抗う事ができず、たとえ何度射精しようとも女の淫香を嗅がされれば際限なく射精を繰り返してしまう。
 やがて命そのものを搾り出されるようにして、男はそのまま衰弱して死んでしまい――』

「し、死……!?」

 読み進める程に常軌を逸していく記録内容に、花恵は震える指先でページをめくっていく。

『――何人もの犠牲を出し、ようやくこの秘薬を女達から完全に遠ざけたが、これは劇物であると同時に、他国との秘密交易のための貴重な品でもある。
 これは村の長たる男が責任をもって厳重に管理し、交易の際以外は人目に触れさせてもならない。
 村人達にはこの秘薬にまつわる全ての口外、口伝を固く禁じた。
 ゆくゆくは交易の品目から外し、製法も含めて完全に絶やす事が望ましい。
 それまで、決してこの秘薬を女に近づけてはならない――』

(帳簿の整理も何度かしたけど、今の村でそんな交易なんてものは行われてない……本当は処分されるはずだった物が、いつしか忘れ去られて……?)

『――生まれ変わったこの村の名を、"尾長見(おながみ)村”と定める。
 男達は女達の事を厳しく監視し、管理しなければならない。
 二度と、悲劇を繰り返してはならない。
 二度と、女に支配を明け渡してはならない。

 女上(おながみ)村の歴史をここに記し、後世に伝え残す事で――――』


「……い……おいッ!」
「…………!?」
「居ないのかッ! 花恵ッ!!」 
「は、はい! ここにおります」

 ドンドンと戸を叩く音と大声を聞き、ビクンと肩を跳ねさせた花恵がうわずった返事を返す。
 苛立ったような賢治の声が投げつけられる。

「チッ、一度で返事をしろノロマめ。 あー、親父が早めに帰ってくるらしい。 5時までに終わらせろ」
「かしこまり、ました……」

 扉越しに用件だけを伝え、足音は返事を待たずにずんずんと遠ざかっていった。
 ホッと息を吐いて冷や汗を拭い、花恵はまた掃除に取り掛かった。
 咄嗟に懐にしまい込んだ黒の小袋と破り取られたページが、再び元の場所に戻される事はなかった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「いやあ、やっとか。 待ちくたびれたよ、村長」
「そうそう、俺も前からずっと今日が楽しみでねえ」
「まぁ、久しぶりのサンレイだものな」
「それもあるけどさ、今回のは何てったってほら、花恵だろ?」
「ったく、村長だって分かってんでしょう?」
「くくっ、まぁな。 念入りに仕込んである。 今日は皆、楽しんでくれ」
「よっしゃあ!」
「ぐふっ、ぐひひひ」
「酒っ、酒ぇこれで足りるかあ?」
「後からまた出てくるだろ。 足りんかったら後藤さんとこから持ってくるべや」
「へへへっ、俺なんて今日のために去年から――」

 サンレイの儀式――つまり男達にとって、妙齢の女を一晩好き放題にできる宴会の会場には多くの男達が詰め寄せていた。
 締め切られた部屋の中に女達によって料理と酒が運び込まれ、男達の談笑も熱量を高めていったところで、談笑に交じっていた村長がおもむろに立ち上がり、閉じられた大きな襖の前まで移動する。

「……皆、静粛に。 これより、サンレイの儀式を始める」

「おおおっ!」
「来た来たっ!」
「花恵ぇっ! 早く出てこおいっ!」

 村長から号令がなされると、一瞬だけ静まった男達が再び沸き始める。
 皆一様に酒で顔を真っ赤に染め、普段以上に鼻息を荒くしている。
 "すぐに脱げるように”ゆったりとした浴衣の隙間からは、既にギンギンと盛り上がったイチモツが下着を突っ張らせていた。

 トン、トン、トトトトト……

 小刻みに鼓を打つ音が鳴り、音に合わせて襖が一息に開かれる。
 襖が開かれた瞬間、ムワッと”色気”が宴会場に広がったような錯覚を受け、男達が大きくどよめいた。

「おぉっ……!」
「は、花恵ぇ……」
「こりゃあ…たまげたわ……」

 襖の奥には花恵が静かに佇んでいた。
 花恵は儀式特有の装束――白く薄い布地で胸と陰部を隠しただけのような、極めて扇情的な衣装を纏っていた。

 通常は乳房を半分ほど隠すはずの布地も、花恵の爆乳によって引き絞られ、辛うじて乳輪を隠せているか、といった有様である。
 肌を隠す用途を全く成していない、ヒラヒラとした装飾をはためかせながら、花恵は再び鳴り始めた鼓の音に合わせて動き出す。

 トン、トン、トトン
 トトン、トン、トン
 トトトン、トトトン、トトトン

「おっ、おぉお……」
「おぉおおおおっ!!」
「はぁ、はぁっ、はぁっ……!」

 花恵の体が揺れるたび、こぼれ落ちそうな乳房がその後を追うように揺れる。
 花恵の体が舞うたび、白と金の装飾が同じように舞い、その下の紅潮した艶やかな肌が見え隠れする。
 舞は徐々に激しさを増し、花恵の体からまるで湯気のように色気が匂い立つ。

 男達は全員が野獣のように低く唸り声を上げ、既にはち切れんばかりに勃起したイチモツを曝け出していた。

「くっ、うっ……はぁっ、はぁっ……」
(な、何だこれは……!? 確かに花恵の体は極上だが、これほどとは……この儂がここまで当てられるとは……!)

 際限無く意気を揚げ続ける男衆の中で、村長だけが僅かに疑念を抱いていた。
 花恵の色気は普段から凄まじく、自らが直々に施した"稽古”の際も、これまでで一番の盛り上がりになる事は確信していた。

 だがしかし、今日の花恵が放つ色気はまさしく次元が違う。
 花恵の体から醸されるニオイが、飛び散る汗が、まるで質量を帯びた物質かのように部屋を満たし、息苦しい程の色気で視界にピンク色の靄(もや)がかかったかのように感じる
 年老いて年々力強さを失っていた自身のイチモツは全盛期を凌ぐ程の力強さで勃起し、先端からは涙か涎のように我慢汁が滴っている。

「くっ……! ぬぉお……!」

 気を抜けば崩れ落ちそうな膝に渾身の力を入れ、舞台で舞う花恵のもとへ歩みを進めていく。
 ごくり、と唾を飲み込み、村長は震える手を花恵の方に伸ばした。
 
 トトトン、トン
 トトトトトトトトトトト

 トトンッ

「うぉ、おおおおおおおおっ!!」
「はぁはぁはぁはぁっ!!」
「あぁあああっ!! うぁああああああっ!!!」

 特殊な構造になっている装束の一部分を掴み、引き抜く。
 すると花恵の胸元から布地が失われ、ぼろん、ばるんと音を立てるようにして至極の爆乳がこぼれ落ちる。
 その瞬間、男達の怒号を超えた悲鳴のような絶叫が響き、宴会場を更なる熱が支配する。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……賢治……賢治っ!」
「お、おう!」

 息を荒げた村長が鬼気迫る形相で手招きをすると、この儀式のもう一人の主役である賢治が舞台脇から現れる。
 この舞いが終われば、男達は花恵の体に向けて殺到し、花恵は身も心も村に捧げられる。
 そして、この場に居る全員が漏れなく求めている交合の一番手となるのが、次期村長たる賢治の役目であった。

 普段は村の長として厳粛な姿勢を崩さない父親の取り乱した姿に動揺しつつも、今まで我慢し続けた花恵とのまぐわいが間近に迫り、賢治も気持ちを高ぶらせながら花恵の傍に歩み寄る。

 トトトン、トトトン
 トントントントン

 トトトトトトトトトトト……

「はぁ、はぁ、はぁ……」
「ふぅ、はぁ、ふぅ、はぁ……」

 再び鼓の音が勢いを増し、儀式のクライマックスを告げる。
 花恵はこちらに背を向け、尻を突き出すような姿勢で妖艶に腰をくねらせている。

 途中から花恵に最も近い位置でその”淫気”に当てられ続け、頭の中が沸騰しそうな程の熱気に意識を朦朧とさせながら、村長は震える手を花恵の方に伸ばす。
 少し離れた位置からそれを見る賢治に目くばせをした後、意を決して花恵の体に残る僅かな布地に手を伸ばした。



 そして村長の指先が布地に触れる瞬間――――


「…………んっ♥」

 ブッボォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

「っ!!?」
「あっ……!?」
「うぉおっ……お……!?」

 花恵の尻の谷間を覆っていた布地がひとりでに舞い上がり、宴会場に巨大な破裂音が響き渡った。

「な、んっ……」
「えっ……?」
「へ、屁ぇ……?」

 男達の怒号と息遣いを押しのけるようにして響き渡ったのは、花恵の巨大な尻から放たれた”屁”の音であった。
 それに前列の者には、音に合わせて薄桃色の気体が花恵の肛門から噴出するのがしっかりと目に映ったであろう。

 異様な事態に宴会場がシンと静まり返り、男達に動揺が波のように広がっていく。

「へ、屁だよ、な……?」
「えっ、いや、あぁ……」
「花恵のやつ……屁を……へっ、ふへへへっ」

 先ほどまで妖艶に色気を振りまいていた女が、宴会場に響き渡る程に特大の屁をぶちかました。
 考えてみればあまりに滑稽な状況に、男達の気が緩んでいく。

「はっ、はははっ! オイ何やってん――――」

「むごッッ!! がッ! がはぁッッ!!!」
「げっほッ!? ぐぇっ! うぇえええッッ!!」

「おっ……!? はっ、はははっ! そ、村長そんな、大げさな」
「賢治まで、わはははっ!」
「はははっ……はっ……えぇ……?」

 突然、村長と賢治が口元を覆って苦しみ始める。
 至近距離で花恵の屁を浴びた村長の苦しみ様は特に激しく、床に倒れこんでのたうち回るようにもがき苦しんでいる。
 あまりに激しく苦しんでいる様子とは対照的に、村長の股間はドクンドクンと目に見えて波打ち、下着の隙間から飛び出した先端からはまるで小便のように白濁液が放たれ始めた。
 
「むぐぐぐッッ!!! げほッッ!! は、な゛っ……花恵ッッ!! ギザ、マ――」
「…………っ」
「むぐぅううううッ!!?」

 村長の目は血走り、激しく興奮しながら口角泡を飛ばしている。
 その真っ赤に紅潮した村長の顔に、輝く汗を滴らせた花恵の巨尻がズドンと落とされた。

「お、おいッ!? 花恵お前何して……んぉっ!? ぐっせぇえっ!? おぇッ!!」

「…………んっ♥」

 ブゥビビビビビビッッ!!!
 ボブブブブブィビビビビィイイイ!!!!

「あガッ!!! ぐガガガガガガガッ!!!!」
「げほッ、ごほッ! そっ、村ちょ――あぁあっ!?」 

 老いた村長の顔を、張りのある瑞々しい柔肉がすっぽりと覆いつくし、次の瞬間には女の尻から聞こえたとは思えない程に汚らしい破裂音が鳴り響く。
 そのニオイは離れていても分かる程に、爆音に相応しい激臭であった。

 それを至近距離で注ぎ込まれた村長は手足を激しく痙攣させながら、半透明の精液を噴水の如く大量に噴き上げ、やがて糸が切れたようにピタリと動きを止めた。

「…………ふぅ」
「なっ、はっ……!? そん、ちょ……ヒッ!?」 

 ゆったりとした動きで花恵の巨尻が持ち上げられた。
 そしてその下からは真っ赤な顔で舌をデロリとこぼれさせ、白目を剥いたまま硬直している村長の顔が現れた。
 
 この宴会場で最も強烈な悪臭に晒されながらも、村長の体は一切の動きを止めていた。
 呼吸も、そして鼓動さえも。

「えっ、し、死ッ……!? ぐっ!? げほごほッ!」
「お、おい! 花恵テメェ村長に何して――――」
「…………んっ♥」

 ブッゴォオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
 バフゥウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!

「うぉッ!? こいつまた屁ェ……がはッ!?」
「ぐぜっ!! ぐっせぇええええ!!?」
「げほッ、げほッ!? な、なんだ、マラが……マラが痛ぇッ!?」
「ぁ熱ッッ!? なん、だ……うぉあああああっ!!?」

 男達に向かって背を翻した花恵が再三に特大の屁を放つ。
 薄いピンクの靄が男達を包み込み、男達は激しい悪臭に苦しんだ。
 そして、村長と、その傍で倒れて動かない賢治と同じく、自らのイチモツを限界を超えて勃起させていた。

 太い血管が隆起し、普段の倍ほどの、あり得ない程の大きさに勃起したイチモツの先端からは、まるで蛇口をひねったかのような勢いで精液がほとばしる。
 先端を塞いでも、根元を握りこんでも一切止まらずに射精は続き、我慢した小便を開放する時の何倍もの快感が男達の全身を貫いていく。

「おぁッ……あッ……あぁああうあ……」
「ふひゅヒッ…ヒヒヒァ……」
「と、とま、ヒッ、とまら、ね……エヘ、エヘヘヘ……」
「花、恵ぇ……よせ……ひゃめ、てくれ……」
「…………ふふっ♥」

 プッスゥウウウウ~~~~~…………

「んがぐッッ!!?? はぇッ……お、ぁあああああ……」

 命の危機を感じた男の一人が地面を這いながらも花恵に縋りつくが、それを一瞥した花恵は男の顔にしゃがみこんで空気が抜けるような屁を直接かける。
 すると、男のイチモツからはより一層の精液が噴き出し始め、やがて彼は他の男達よりも先に動きを止める事となった。


「な、何だ……!? 何が起こってんだ……!?」
「あいつら何して……んぐッ!? くっせぇッ!!」
「お、おいお前……それ……」
「げほごほッ! あァ……? ヒィッ!?」

 舞台から離れた席に居た男達にとっては、花恵が屁を放り出した途端に前列の男達が急にイチモツを勃起させて射精し始めたようにしか見えなかった。
 そして、地面に倒れこんでビクンビクンと快楽に体を跳ねさせながら尋常ではない量の射精を続ける彼らに訝し気な目を向けていた彼らのもとにも、ようやく"淫香”が届いた。

 "秘薬”によって花恵の体内で生まれた淫気が濃縮された淫香ガスを吸い込んだ男から順に、その体は未曽有の快感に支配されていく。

「……んっ♥……んんっ♥」

 ブビィイイイイイイイイイイッ!!!
 バスゥウウッ!! ブスゥウウウウウウウッ!!!
 ボシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッ!!!

「あぁああああああっ!! なんだこれぇえっ!!! 止まらねえ!! 止まらねえェエエエ!!!」
「げほげほッ!! ぐぜぇええッッ!! ぐぜ……ぇあッ!? なんッ、だッこれッ!? あぁあああああッッ!!!」

 それは明らかに、ただの射精ではなかった。 
 自分達を産んだ"女”という存在に精を捧げるべく、自らの意思とは無関係に、男達は最奥の蛇口を開き、自らの”生命”をイチモツから捻りだしていく。

 花恵が巨大な胸と尻をブルンブルンと震わせながら舞い踊り、濃縮された淫気ガスを肛門からまき散らすたびに、あちらこちらで男達の生命の噴水が上がる。

「何してんだッ!! やめさせろッッ!!」
「ぐッ!? げほッ! くッそぉッ!!」
「花恵、テメエごらァッ!! 何してやが――――」

「んっ……ふぅん……♥♥」

 ブォオオオオオオオブビィイイイイイイイイッッ!!!
 バッシュシュシュウウウウウウウウウウウウッッ!!!

「んがァアッ!!? かはッッ!!」
「なんッ……ぢ、ぢがら……はいらね……ッ!!?」
「和夫ぉ!! んだ、これッ……ぶぁああああッ!?」

 必死に止めようと殺到する男達を尻目に、花恵は時おり屁を放ちながら、ぶるんぶるん、と女肉を揺らして舞い続ける。
 汗を飛び散らせ、体を熱く火照らせた花恵の股間からはトロリとした液体が垂れ落ちる。

 男達はまるで花恵という蜜花に群がる虫のようで、そのどれもが花恵に触れもしないままに倒れ込み、精液を止めどなく捧げていた。

 気づけば閉め切られた宴会場内は薄いピンクの靄が充満している。

「はぁッ、はあッ! く、くそッ! 何かやべえぞッ!!」
「早く開けろッ! おいッ!! 何してるッッ!!」
「ち、力が入らねえんだよぉお……」
「どけッ! 俺が開ける……オラァッ! 開いたぞ――――」

「……ふふっ、来た来た」
「えいっ♥」
「そぉれっ♥」

 ブッシュウウウウウウウウウウウウウッ!!!!
 ブピッ、プビビビィイイイイイイイイッ!!!!

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