活動報告75回目　特典付き

こんばんは。ビットコイン太郎・坂下です。

ここ数年、「～～太郎」というスラングを良く聞きました。
スマホ太郎、黙れドン太郎、イキり鯖太郎……
最近の作品たちの主人公ですね（最後のすげぇなおい）
転生で無敵チート、やれやれストリームアタックしたり、自分が戦わなかったりしつつ、かわいい女の子に代わりに戦ってもらう主人公たちです。
ちなみに坂下は太郎大好き人間です。もうね、太郎として生きていきたい。
何太郎でもいい。この際すたみな太郎でもいい。ごめんやっぱりよくない。

しかし哀しい事に……坂下のために戦ってくれる美少女は居ません。
ですが、お金なら戦ってくれるんじゃないか、僕が記憶喪失転生主人公ばりに
何もしなくても助けてくれるんじゃないか……
そう思いまして、一月ごろ、ビットコインを買いました。
桁は言えませんが諭吉さんが軍隊編成出来るレベルです。

（お気づきかもしれませんが、今日は本当にあった怖い話です）

――こうして、坂下はただの坂下から「ビットコイン太郎・坂下」となりました。

彼は情報サイトの「これからビットコインの時代が来る！」とのニュースを見てゲヘゲヘ笑いながらチーズをあてにウイスキーを飲み、実際に日々上昇を続けるビットコインのチャートをニヤニヤ見ながら柿ピーを食べビールを飲んで過ごしました。

そうしてチート主人公ばりにネットフリックスでアニメを見てグウタラしているだけのビットコイン太郎・坂下でしたが……みるみるうちに資産は増えていったのです！

（*1月始め1BTC（ビットコイン）=79万程度だった相場は2月初旬に114万を記録し、トレーダーたちは強気の予想を展開。過去最高の200万を更新する予測を立てるトレーダーたちも居た。　後、チート主人公たちごめん）

日々、寝っ転がって酒を飲み、つまみを食べながらお尻をぼりぼり掻いているだけで増えていく資産を前に、ビットコイン太郎・坂下は思いました。
「こんな素晴らしいものを知らない皆はなんて愚か者なんだろう。
そして知っている僕はなんて頭が良いのだろう。しめしめ」
　彼は自分の先見の明を賞賛し、誰かにこの素晴らしい仕組みについて教えてあげることもなく、お金を独り占めしようとしました。
　彼はお金持ちになって巨乳の彼女が出来る妄想をしながら酒を飲み――
　なんと、ビットコインをさらに買い増してしまうのです！

このお金たちは、何の冗談でもなく、ガチのマジな話で、会社員として真面目に働いてコツコツ溜めてきたお金でした。
ビットコイン太郎・坂下はお酒で座った目で自分の「JPY」が「BTC」に変わっていくのを見つめ、勝利を確信していました。
「やれやれ……これで俗世ともおさらば出来るぜ。俺はずっと、自分が普通の人とは違うと思っていた……それが今年、やっと証明されるんだな……ふっ……」
そう零しながら、一人ＰＣの前でニタついていたのです。

―――そして、異変は2月24日から起きます。

折しも世界は「新型コロナウイルス」が流行の兆しを見せ、114万円を突破していたBTCは一気に104万円台まで下落します。
「え？　あれ？」という空気が広がりましたが……多くのトレーダーは強気でした。
なぜならビットコインとは別名「デジタルゴールド」とも呼び、どこの国の貨幣でもない独立した通貨である事から、不況時の資産の退避先、
言わば「金現物」のような役割を持つと考えられていたからです。

しかし、下落は止まりません。

2月28日には日々上昇していたはずのビットコインは、92万円にまで下落してしまいます。
不安を覚えたビットコイン太郎・坂下でしたが……
ビットコインを手放す事はありませんでした。
市場の予測はなお強気で、エリオット波動で言う所の波動なのではないか、上目線は継続、大丈夫、ビットコインデジタルゴールドだからetc　etc……

彼はそんな予想と共に、
「戻る！　必ず来るんだ！　ここが底のはずだ！　今焦って手放してはいけない……益を取り逃がしてしまう！……大丈夫だ、僕の資産は、必ず倍になる！」
と言い聞かせていたのです。

欲しい情報しか耳に入れない、自分の頭で考えない。
これを、「正常性バイアス」と呼びます。

ここで一度、その幻想を承認するかのように市場は小康を保ちます。
すると、あれだけ焦っていたはずのビットコイン太郎・坂下は、
「ほぉら、やっぱり焦って離さなくて良かったぞ。他の市場が下落を始めたし、
資金が流入してむしろ勃起のように上昇するのでは？　ゲヘゲヘ」
そう結論し、今ままでと同様にアニメを見たり、ゲームをして過ごしたのです。

3月8日になりました。
ビットコインは、一気に86万円まで落ちました。

勃起どころか陰茎切断のような下落を見せたチャートに彼は焦りましたが――

「アッ……？　アヒッ……？」
ビットコイン太郎・坂下は、この時点で含み損でした。

１０0万円台で買い増した事が災いし、損を含んでしまったのです。
損を含むと、人間の正常性バイアスは尋常ではなく作動します。
マジで半端なくビンビンになります。勃起を隠せないズボンのテントが如く、
ありとあらゆる障壁を突き抜け出現してきたのです。
「大丈夫だ……これは波動、波動なんだ。あっ、あっ、ほらっ、オシレーターが指標が改善の兆しだ。ＭＡＣＤも30分足……いや１５分足ならゴールデンクロスだ……」

もはやその瞳に光はなく、理論は崩壊していました。

3月9日――ビットコイン、78万円まで下落。

「あぷっ……あぷぷぷっ……僕、損？　損するの……？　えっ、これがチョンパッ？　僕が七年働いてきたお金チョンパッ……ナイナイ。僕はイッショウケンメイ働イテキタカラ――」

3月12日から13日にかけ、ビットコインは83万円から41万円までの下落を達成した。
これは3月初めから通算し、「今地球上に存在する/過去地球に存在した全相場中、最大の下げ幅」だった……

「ＵＲＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹＹ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」

3月13日、日本のとある地方都市のマンションで「ビットコイン太郎・坂下」
という獣が、喉を掻きむしりながらのたうちまわっていました。

怪鳥の瞳となった眼を血走らせ、夜叉の叫びで闇をつんざき、四肢をメビウスの輪のごとく繋ぎ合わせて踊り、さながら出来損ないの阿修羅でした。
その顔は豚と河童のあいの子のような醜い仏敵となり果て、篤実な世間の人々と話す言葉は失われていました。

「アノトキッ、アノトキドウシテ僕をタスケテクレナカッタノ？！　アノトキ誰か〈損ギリ〉オシエテクレタラ、ボクタスカッタノニ！　ボク、ゼンリョウなシミンナノニッ！　セカイシネ……シネシネシネシネシネエエエエエエエエエエエエエエエッ！」

ですが、哀しい事にビットコイン太郎・坂下には助けてくれる美少女も、異様に学園の女の子に詳しい親友も、パパも、いませんでした。
損は、そのまま損として受け入れるしかありませんでした。

誰も助けに来てくれない闇の中、ビットコイン太郎・坂下は潰れた豚の鼻から糞水をひり出し、冷たいフローリングに終わりのない地獄曼荼羅を描き続けていました。

こうして彼の資産のすべては、灰燼に帰しましたとさ。

めでたし、めでたし――

というわけで、本当に投資や運用には気を付けましょう。
この３月、私は目玉が飛び出るほどの損が出ました。死ぬかと思いました。
唯一良かった事と言えばこのハイリスクすぎる商品を人に薦めなかった事です。
ビットコインは「10倍になったら嬉しいが、無くなっても困らない額」を
投資する事をお勧めします。

さらにすごいのがこの後です。

なんと４月終盤からビットコインは謎の大上げを見せ、今現在この損は消えて含み益が出たのです！　どうなっとんじゃこりゃ？！　というレベルです。

だからこの更新をする気になりました。

（私はＦＸではありませんでした。そのため手放す必要がなかったのが大きかったです。もしＦＸにしていたら……考えたくもありません）

え？　今度下がったら――？
勿論、鉄の意志で損切りしますよ。だってこれは特別な資産。
ｺﾂｺﾂ働いたボクのお金。そしてボクもまた、特別な存在だからです
（ウェルダースオリジナルのおじさん張りの笑顔）。

良い勉強になりました。

というわけで超長くなりましたが、今月の特典更新します笑

今月の特典『巨乳妖魔討伐伝④』

対象：支援する以上の方（300円）
タイトル：巨乳妖魔討伐伝（④）
全体のあらすじ：舞台は現代。男の精を吸いとる美しい魔女"妖魔"たちと、妖魔の討伐を使命とした"妖斬り"と言われる剣士の物語。
④のあらすじ：
妖斬り卯月怜雄にとって、自らを助けるために犠牲となった兄の復讐を果たす事が妖斬りとなった理由だった。
いつかあの妖魔と出会った時に、必ず復讐を遂げるため技を磨いてきたのだ。
その彼に仲間からの救援要請が来る。訪れた深夜の建設現場で怜雄の前に現れたのは、「兄の仇」である、青髪の巨乳妖狐・カザネだった。

同日。目を覚ました弘は妖魔アイラから自らの〈一振り〉となる事を提案される。
仲間が来ない絶望に耐えつつ拒んだ弘だったが、アイラから授けられていく妖艶な鍛錬は、徐々に心の刀を鈍らせていく――

登場人物：
卯月怜雄　第十五地区の妖斬りのエース。かつて妖斬りであった兄を妖魔に殺され、復讐のため剣士となった。

妖魔カザネ：青髪巨乳の青和服妖魔。淑やかな美少女。しっかりとした言葉遣いの優しい笑みが特徴だが、アイラと共に宿敵の妖斬りを捕らえ、"鍛錬"を施し堕落させる専門家を名乗る。狐の妖。
怜雄によればかつて怜雄の兄を仕留め、殺したとの事。

甲斐弘　"学園"の生徒にして若き妖斬り。若くして才能を見出され、指折りの剣士となった。自らを物語の主人公に投影している所がある。

妖魔アイラ：赤髪巨乳の黒和服妖魔。西洋風の顔立ちで妖艶な美女。サディスティックな性格。糸を操る蜘蛛の妖。妖魔たちの中でもカザネと共に、妖斬りを"鍛錬"する事を専門とする妖魔。

です。ページ数は28DPとなり、過去最長となっております。感想がありましたらいただけるとうれしいです～
そろそろ挿絵アンケートとかやりたいですね。

それではご笑覧ください。