D’s Production 2020/07/18 02:07

新作鋭意製作中10 & 過去作《サキュバス探訪譚》の再評価

はじめに

以前の記事「新作鋭意製作中6 - 自分の過去作に学ぶ」で、「ひょんなことから《サキュバス・レ○プ残酷物語》を自分で再プレイすることになりました」ということで、自分の過去作《サキュバス・レ○プ残酷物語》を再プレイした時の感想等を書いたのですが、またしてもひょんなことから、同じく過去作の《サキュバス探訪譚(たんぽうたん)》をプレイすることになりました。
自分の作品とはいえ、制作から既に3、4年は経過していますのでいい感じに忘れていることも多く、なかなか新鮮な気持ちでプレイすることができました。

《サキュバス探訪譚》発売の経緯


サキュバスシリーズ・公式ホームページへ

既に何度かCi-en記事でも紹介しているのでご存知の方も多いと思いますが、《サキュバス探訪譚》は少し不幸な経緯から誕生した作品です。

D's Production初のRPG作品として制作したのは《サキュバス・レ○プ残酷物語》という作品です。これがエログロ・ハードコアリョナの極地を目指して作られた非常に過激な描写をふんだんに取り入れた作品であることはご案内の通り(政治家的な用法)です。

しかしその過激さゆえ、《サキュバス・レ○プ残酷物語》は一部の・・・というより1つのサイトでは審査が通過しませんでした。
この「審査が通過しない」というのは、単にモザイクが足りないなどの問題ではなく、作品のコンセプトの根本から不適当というもので、2、3度ほどストーリーの大幅の改変も含んだ修正版を作って再申請したにもかかわらず、やはり審査が通らないという結果になりました。

そこで已む無く《サキュバス・レ○プ残酷物語》のコアである「グロテスク描写」の一切をかなぐり捨て、ストーリーを一新し、主人公も別に立て、ついでに何枚かのスチル(1枚絵)を加筆して、形式上は全く新しい作品として制作したのが、《サキュバス探訪譚》です。
「形式上は全く新しい」とは言うものの、マップやモンスター画像、世界観など、大半は《サキュバス・レ○プ残酷物語》の流用です。
結果として、《サキュバス・レ○プ残酷物語》の舞台を、別の主人公の視点から再体験するというような形になっています。ただし、グロテスク描写は一切ありません。

なぜここまでして《サキュバス探訪譚》を作ったかと言うと、《サキュバス・レ○プ残酷物語》が通らなかった1つのサイトというのが(もちろんDLsiteなのですが)、デジタル同人ショップの中でも最大手の1つで、特にゲーム作品の販売数については最大だったからです。
せっかく作った(それも3年も掛けて)ゲーム作品をDLsiteで販売できないということは売上の観点からすると大幅な損失です。
だから何とかしてDLsiteで販売したかったというのが制作の理由でした。

ただし、数枚のスチルを加筆しているといっても、《サキュバス・レ○プ残酷物語》の最大の売りであるグロステク描写をすべて削除していますからフルプライスでの販売というわけにはいかず、《サキュバス・レ○プ残酷物語》が1700円のところ、《サキュバス探訪譚》は700円というかなりの低価格で販売することにしました。
販売の経緯からしても、作品の規模としてもそのあたりが妥当だと思います。

以上のことからわかる通り、《サキュバス探訪譚》というのは私の中では、熱意に燃えて作ったわけではなくやむを得ず販売することになった不遇の作品であり、実質《サキュバス・レ○プ残酷物語》の有料販促作品という位置づけでした。
実際、《サキュバス探訪譚》の製品版を買うと《サキュバス・レ○プ残酷物語》の製品版も少し安く変えることになっています。
また体験版で、ストーリーの最初から最後まで遊べるという特徴からもこの作品の販売上の性格というものがわかろうかと思います。


《サキュバス探訪譚》を改めてプレイしてみて


上記のように言うと、いかにもつまらない、価値のない作品のように感じますが──実際今まで私もそのように思っていたのですが、改めてプレイしてみてその考えは見直さなければならないと思い直しました。

さすがに制作中はクリエイターらしく真剣に制作に励んでいたらしく、決して手抜き・粗製乱造の類ではない(少なくとも値段の対しては)・・・と今では思います。

追加されたスチル

まず加筆されたスチルですが、今から見ると技術的には未熟ですが(今も未熟な点は多いのですが・・・)当時の能力の最大限を尽くして作成されているものと見えます。
追加されたスチルは7枚ですが、製作期間(約半年)の大半はこのスチル制作のために費やされたのではなかったかと思います。
手抜きをしていないというと聞こえが良いですが、私は性格上(あるいは能力上)手抜きができない質です。制作が遅れる最大の理由がここにあるのですが、今でも改善されているとはいえません。


《サキュバス・レ○プ残酷物語》との関連性

上記の通り《サキュバス探訪譚》は《サキュバス・レ○プ残酷物語》の世界観を踏襲する形で作られました。
ただしグロテスクな描写・残酷な表現は削除され、主人公も新たに別の人物を立てることにしました。
その結果、《サキュバス・レ○プ残酷物語》では見れなかった別の世界・世界の裏側とでも呼べるものが描写されることになったのです。

具体的には、《サキュバス・レ○プ残酷物語》では(主人公が人間たちを食い殺す残酷なモンスターであったために)殺すしかなかった村の人々と、生きている状態で会話や物品のやり取りをするということができるようになりました。

《サキュバス・レ○プ残酷物語》


▲イベント中、無残に殺されていくだけだった人々


▲鬼ごっこイベントでは、村人に触れると即座に惨殺。プレイヤーが主体的に殺戮を行うことになる。

《サキュバス探訪譚》


▲今作では主人公は一見ただの人間で、村人と会話ができる。
 (ただし非常に寡黙なので村人と"喋っている"シーンはない)


▲それどころか、モンスターに襲われた村人を助け出すなどの慈善的な行為も。

《サキュバス探訪譚》はそれ単独でも遊べるようにはなっていますが、やはり《サキュバス・レ○プ残酷物語》の裏作品という性格が強く、両方やることによってこの世界を堪能できるようになっている、そういう認識を強くしました。

ストーリーの展開の妙


「妙」と書いたものの、実際には「功罪」とでも表現するべきポイントがあります。
今作の主人公「シンシア」は冒頭から一貫して、非常に寡黙で何なら無感情とでも言うべき人物として描かれています。

システムメッセージや村人の言葉などから、プレイヤーが行く先などは困らないようにはなっていると思いますが、主人公が一切喋らないため、主人公自身の目的・動機が一切わからないようになっています(ただタイトルが示す通り、何やらサキュバスを追いかけているらしいということは何となく推測できるかと思います)

これは物語のあるRPGとしてはマイナス点、実質かなりの問題で、プレイヤーの「続きを見たい」という動機づけに著しく欠けるという要因になったのではないかと推測しています。
(実際、アンケートの回答では「主人公の冒険の目的や意思をあらわす台詞がほしいと思った。」という記述も寄せられました)

実はこれについては「最後までプレイしてください」と作者としては思っており、ストーリーの最後には思わぬ展開が待ち受けています。
あまり言い過ぎるとネタバレになりますので差し控えますが、最後までプレイした人の中には意外な展開に驚いたという意見をくださる方もいました。

ただこのような「最後までプレイしてほしい」という作者の希望はなかなか叶えられないという実情もあります。
同人作品は必ずしも最後までプレイするものでもなく、飽きた時点でやめるのがいわば通常だからです。
しかも、お金を払ったならいざ知らずこの作品は無料で最後までプレイできます。
(これには両側面あり、無料でも最後までプレイできるという点が、最後までプレイするプレイヤーを増やしている可能性もあります)

なお、先程からしきりに「最後までプレイ」と言っていますが、これは「表のラスボス」までの話です。
表のラスボスを倒したら「裏のラスボス」に挑む道が開けます。
そのラスボスを倒すと真のエンディングを迎え、この《サキュバス探訪譚》の存在意義というものが明確に示されるのですが、そこまでたどり着いた人はそう多くはないかもしれません・・・

《サキュバス探訪譚》の最大の欠点


上記は一応《サキュバス探訪譚》の長所を述べたものでした(最後のはちょっと怪しいですけど(;´∀`) )。
しかし、作者でも擁護できない、いや作者だからこそ擁護できない最大の欠点があります。

それは、《サキュバス・レ○プ残酷物語》とほとんど同じということです。

ストーリーのテキストはともかく、マップ構造や攻略の順番・手順などは《サキュバス・レ○プ残酷物語》と全く変わるところはありません。
出てくる敵も、一部がグロ関係で削除されているだけで同じです。
つまり、《サキュバス・レ○プ残酷物語》をプレイした人が《サキュバス探訪譚》をもプレイしようとすると、全く同じことを繰り返さないといけないということになるわけです。
これは、自分で言うのも難ですが、結構な苦痛です。

《サキュバス・レ○プ残酷物語》は雑魚敵が多すぎるという意見が多数見受けられたので、《サキュバス探訪譚》では雑魚敵の数を少なくし、ステータスも低めにしました。
それでも終盤には我ながら煩わしく感じられる程度の敵は出てきます。
これはレベルデザインの出来にも関わってくるのですが、2作品を連続でプレイすることを考えれば、明らかなミスデザインです。

両作品ともRPGにあまり興味のない人のために、序盤から高レベルで開始できるおたすけモードを搭載しています。
今後この作品をプレイする人は、ぜひ活用してもらいたいと思います。

余談

余談ながら、《サキュバス・レ○プ残酷物語》は基本的に一周では終わらない想定になっており、いわゆる「強くてニューゲーム」で二週目ができるようになっています。

「二周目のプレイを要求する」

ゲーム作品ではよく見られるものです。
ストーリー上の必要から、是非ともそうする必要がある場合は良いのですが(もちろんオマケでやりたい人だけやるというのも良い)、特に必要なくこれをするのは正直悪手なのではないかと最近では思っています。

《サキュバス・レ○プ残酷物語》ももう少しうまいやり方はなかったものか、今では思わないではないのですが、既に完成した作品ですので今更ですね・・・(;´∀`)

さらに、そのように言いながら現在構想中の《虐殺大陸》の次回作(現在全く制作していません)ではベストエンディングのために3周くらいプレイする必要があるように想定している、という全くの言行不一致なことを考えていたりします。

最後に


この記事を書いたのは、「はじめに」でも書いたように《サキュバス探訪譚》を改めてプレイしてみて純粋にそのある種の面白さに気づいたからですが、それはつまり、純粋に皆さんにお勧めするためでもあります。

お陰様で、《サキュバス探訪譚》の総販売数も150に達しようかという段階です。
この記事を見て面白そうだと感じた人は、是非ともお買い求めくださいませm(_ _)m


サキュバス探訪譚


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