ぶるがり屋 2012/05/16 02:56

白無垢の仮面 クトゥルフと帝国リプレイ 感想

クトゥルフと帝国リプレイ 白無垢の仮面 (Role&Roll Books)
著者:内山 靖二郎
販売元:新紀元社
(2006-10-05)
販売元:Amazon.co.jp
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2006年発行 内山靖二郎作、青木邦夫画、
ほぼ日本で唯一のクトゥルフ神話TRPG公式リプレイ第1弾
2012年現在最新リプレイ、『るるいえばけーしょん』にもちょっとリンクしてます。

リプレイとしての位置

昭和ロマン×クトゥルフのサプリメント『クトゥルフと帝国』を使用してのリプレイですが、まぁ読んで楽しむ分には必要ありません。

再生クトゥルフ神話TRPGの初リプレイだからでしょうか、物語の展開やキャラ同士の語らいよりも、実際のプレイの雰囲気、プレイ前の準備や、プレイ後の感想や反省などに重点が取られています。
また正気度など、ルールの根幹はもちろん丁寧に説明。
読み易さと、テーブルトークやクトゥルフ神話RPGに詳しくない方でも読めるよう方向に心を砕いていますね。

また巻末の背景資料(建物や船など)が充実しており、時代の雰囲気を知る事にも重く比重を置いています。
モガやら特高やらがPCなのはこのゲーム・サプリメントならでは。
時代の前後の歴史、匂いとかは深くは描かれていませんが、流石にそこまでは『クトゥルフと帝国』を買え!という感じでしょうか(笑
NHK朝ドラあたりはこの時代が多いような気がします。たしか。

あらすじ

時は昭和30年代。
昭和恐慌後、日中・太平洋戦争戦争前の日本。
一目惚れした不思議な少女の行方、精神病の医者として雇われて、密偵として、父の仇を追って。
様々な理由から、日本の鉄鋼業界の裏で暗躍する秘密結社「佐比売党」に近付く探索者たち。
結社の秘密=「白無垢の巫女」が余りに人間として扱われない事実を追う内に、秘密の奥にある深い闇が探索者たちに迫る!
構成はクラシックな「出会い」「逃避行」「逆襲」の三話構成キャンペーン。

感想

特高便利だなー(笑
立ち位置の特殊性から導入や他のPCとの調整は一手間ですが、その権力から対人情報収集能力の高い事!

最初からある程度(出身や幾つかの技能など)キーパー(GM)にキャラを指定されて始めるゲームスタートを、テーブルトークでは俗にハンドアウトと呼ぶのですが、今回はこれが採用されています。
時代設定もそう馴染み深いものではありませんし、初めてのプレイヤーも居るのでこれは良い手ですね。
クトゥルフTRPGは導入がやや難しいので、ハンドアウトは正式ルールではありませんが有効でしょう。

主人公的立ち位置の若者、推理力と情報収集力に溢れる特高の密偵、父の仇を追う熱血女性記者、…秘密組織に雇われた精神科医だけちょっと活躍シーンが少ないような(笑
女中たちを命がけで守ったりした筈なのに…!

他には個人的に、内山靖二郎キーパーの「怪しいキャラの演技」についての注釈がツボでした。
以後のリプレイでも、特に女性プレイヤーが怪しいNPCを異常に気持ち悪がる事があるのですが、そうかこれが理由かー、と納得です(笑
一応、NPCのイメージ誘導に不安なGMには良いアドバイスかも…しれません?

イラストは青木邦夫氏。
綺麗で怪しく妖しい大好きな絵師様です。
ミ=ゴ登場がグロ格好良かったり、とモガの女性記者がシックな絵柄にマッチして雰囲気があると思います。

他のリプレイとの関係性

『るるいえばけーしょん』で再登場する氷川丸だけでなく、内山先生大好きショゴス細胞も既に今作から登場、大活躍です(笑
後の作品に生かされる事ですが、敵キャラやヒロインがキャラとしてちょっと弱いのは問題なように感じます。
溝口=電人Mの挿絵が無いとはどういう事だ!(笑
NPCヒロインが前面に出ないのは仕方無いのですが、明らかにヒロインを可愛く見せようとする意識がキーパーに無いです。
「あの人たちを殺して!」はダメだよ!(笑
るるいえ堂シリーズでも一巻の『あんてぃ-く』までは似たようなものですが、『はいすくーる』での京、『ばけーしょん』のランデルと唯花の描写は魅力的でした。

るるいえの辰巳先生と同じPLのキャラは…特高の古部かな?


本書だけですと導入書的でやや薄い内容ですが、『るるいえばけーしょん』まで続く再生クトゥルフ神話TRPGの第一弾としては読む価値は十分にあるでしょう。
面白さだけで言えばお薦めではありませんが、揃えて楽しめる作品です。

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